懸垂できない人が10回上げて背中の広がりを爆発的につける筋トレメニューを科学的に徹底解説!
懸垂は非常に優れた背中の広がりを作る種目ですが、腕立て伏せとは違い筋トレ初心者の人でも簡単にできる種目ではありません。ただ、自重での懸垂が10回できるようになれば背中の広がりや外見は間違いなく劇的に変わります。
この動画では科学的なデータを基に懸垂1repが限界から10rep出来るようになるための方法について解説します。
解剖学的な懸垂
懸垂は肩関節の内転、または伸展という運動を主に使用して広背筋を活性化させる種目です。広背筋は肩関節の内転と伸展で強く働くためトレーニングでこの運動を入れるとこの筋肉が働きます。
背中のトレーニングにはロウという運動もありますがこの種目は可動域とストレッチの問題があるため広背筋を強く働かせることができません。スポーツサイエンティストのmike israetel博士は広背筋の性質から背中の広がりを作るためには上から下に引っ張る種目であるラットプルダウンや懸垂が必要であると話している通り、背中の広がりをつけるためには上から下に引っ張る運動が必要不可欠です。
この種目は自重でのトレーニングですが加重ベルトというアイテムがあればダンベルやウエイトプレートをひっかけることで自分の体重にプラスアルファのウエイトを追加することができます。
ポイントとしてグリップ幅と握り方の広背筋の活動についてはほとんどの研究で背中の筋肉の活動は変わらなかったことを示しているため、手のひらを下に向ける回内グリップの懸垂でも上に向ける回外グリップの懸垂どちらでも好きな方で構いませんが、手幅が広すぎると筋肉にかかる負荷が極端に少なくなるため、回内グリップの懸垂の場合大体、自分の肩幅から少し広いくらい、回外グリップの場合は肩幅と同じ、またはそれよりも狭い広さがおすすめです。
筋力を伸ばす必要性
この動画では懸垂の回数を効率的に伸ばしていく方法について解説します。ただ、なぜ懸垂の回数を増やすことが背中の外見を大きく変えるのか。まずそもそも懸垂はかなり優秀な広背筋トレーニングです。
アメリカ運動評議会ACEの筋電図分析ではプルアップ、チンアップは広背筋に最も強い刺激を与えることが示されており、2013年のEMG研究によると広背筋の筋活動については有意差がありませんでしたが懸垂はラットプルダウンよりも脊柱起立筋や上腕二頭筋の活動が優位に高いことが示されています。
そして、この優秀な種目の回数を伸ばしていくと筋肉がより成長します。
2022年の4月1日に公開された研究では筋肉量と筋力についての関係性を調べました。
結果として、除脂肪体重とパワーリフトのパフォーマンスには非常に強い関係性が発見され相関係数は0.95という値でした。これは1.0が最大で完全な線形になると考えると、0.95というのはほぼ線形、つまり筋力を伸ばすということはほぼ筋肉を増やすということを意味し、科学的な研究の値としてはかなり稀な数字です。
つまり懸垂が1repしかできなかったのが10repになれば9rep分間違いなく筋肉が成長していることになります。
これは筋トレの代表的な種目でもあるベンチプレスと大胸筋のサイズでも示されており、懸垂の力を伸ばせば背中が広がると考えることができます。
ただし、自分のできる懸垂の回数を増やすと背中の広がりを劇的に変えることはできますが、当然ながら「正しい懸垂でないと意味がありません」。実は懸垂は非常に間違いが多いトレーニングの1つでもあり、大切なことを守らないと台無しになり、何回懸垂ができても背中の広がりがつかなくなります。
特に回数を伸ばしたいと思うとフォームを犠牲にしやすいので注意してください。
まずひとつ目はグリップ、手のひらを上に向けて脇を閉じたチンアップではほとんどありませんが、回内グリップのプルアップだと手幅を過度にワイドにしている人もいます。これはワイドにすると広背筋という科学的根拠のない間違ったアドバイスに基づいたやり方であったりワイドにすると懸垂の回数が伸びるためです。
しかし、先程解説した通りワイドにするほど広背筋が活動するという科学的証拠はなく、確かにワイドにすると回数が増えますがそれはベンチプレスをワイドにしているのと同じで、体を持ち上げる距離が短くなることで簡単に1repができるためです。
そして、最大のミスはストレッチをかけないこと。過度なワイドグリップにしたりヒジを伸ばし切らないフォームは広背筋のストレッチポジションで負荷がかからなくなります。近年の膨大な数のデータで筋肉を最大まで伸ばした状態で負荷をかけたり、柔軟体操のように強く筋肉を伸ばすだけで筋肉が成長するなど筋肉のストレッチというのは非常に重要であることが認められています。
これは筋繊維に最も負荷がかかっているためです。つまりヒジを伸ばし切らなかったり、過度なワイドにすれば一番負荷のかかる場所を避けることができるため、高重量やたくさんの回数ができますが、筋肉の成長が大きく減るため、あなたが懸垂のパワーリフターだったりSNSでアピールするためならアリですが、背中の筋肉を成長させるためには絶対にNGです。
必ずヒジを伸ばし切り、1rep毎にストレッチをかけて手幅も肩幅と同じくらいにして懸垂を行いましょう。
筋力アップメニュー
懸垂初心者
まずは懸垂が1回もできない人や頑張って1回くらいしかできないという懸垂初心者の人におすすめの種目を紹介します。
マシンがある人はアシストマシンを使った懸垂もおすすめですが、懸垂初心者の人に絶対にやって欲しい種目はインバーテッドロウです。これはパーカーフィットネス自身も加重懸垂まで行くのに非常に助けになった種目です。この種目が非常におすすめなのはレベルをどんどん上げることができるからです。
まずはLv1として、バーの高さを低くしておしりをつけた状態から引っ張ります。おしりをつけると負荷が上半身の重さだけになるため一番強度を低くして引っ張ることができます。
これができるようになったらLv2として脚をつけて引っ張ります。これをするとおしりまでの負荷になることで体重の60~70%程の負荷がかかります。最初は脚を曲げた状態から始め、どんどん伸ばしていくと負荷が強くなります。
これが10回ほどできるようになったら自重の懸垂を試してみてください。
中級者
自重の懸垂が3~4回出来るようになったら次はシンプルにこのやり方の回数を増やしていきます。
懸垂はじめベンチプレスなどで最もやってはいけないことは種目自体を変えることです。筋トレの刺激の種類を変えるというのは皆さん何度も言われてきたと思います。筋トレの効果や筋力アップ効果などが停滞してきたら「原因は体が慣れだから、筋トレメニューを変更しなさい」というのは常識ともなっています。
懸垂が停滞したり伸びない場合、懸垂をやめてラットプルダウンに変える人もいますが、筋力アップについてはこれは逆効果で、基本的には種目を変えるべきではありません。
理由はトレーニングの特異性です。スポーツ科学の博士号を取得しているブレットコントラレス博士によると筋力アップをするためには的を絞る必要があり、色々な種目を試すと筋力の向上には逆効果であると話しています。
2009年の研究では懸垂とラットプルダウンには相関関係が弱く、ラットプルダウントレーニングは懸垂の代用にはならないことが示されており、懸垂が上がらないからといってラットプルダウンのような違う種目に変更することはせっかく貯めた経験値を無駄にしているようなものです。懸垂を伸ばしたいなら伸ばしたいやり方の懸垂をするべきです。
同じ懸垂だとしても可動域を狭くしたり、ゆっくりやったり、ジャンプしたりする方法は科学的なデータにも示されているように一般的な懸垂とは別ものという認識であるため、おすすめしません。ジャンプしないと無理という人はインバーテッドロウで力をつけたほうが効率的です。
そして、筋力を伸ばすために最もおすすめの方法はトップセットを作ることです。トップセットというのは強度が最も高いトップのセットを作るということです。科学的データとしては高重量のほうが筋力アップ効果が高いことを示しています。これは高重量ほど多くのモーターユニットを動員できるためです。
そのため、中重量を何セットもやるよりも高重量を1setだけ行ったほうが回数が伸びやすくなります。
そして、1setだけに絞ることで倦怠感による停滞を予防できます。筋力と倦怠感は深い関係があります。よくあるのが懸垂がなかなか伸びないから限界まで何セットもやることです。しかしこれは逆効果です。停滞期の原因としてかなりの割合で精神的、肉体的に疲れており、疲労によってパフォーマンスが停滞していることがあります。
最新の筋力アップについての研究を分析したレビューペーパーによると過度の追い込みは強い倦怠感を引き起こし、筋力アップに悪影響を及ぼすことが示されているため、1日に何度も高重量に挑戦するよりも1setだけに全てを出し切るイメージのほうがおすすめです。
ルーティン
ジム、または家で筋トレする時は最初に軽いウォームアップを行いましょう。最新の科学的なデータでは筋トレには長時間のウォームアップは必要ないことが示されているようにこの準備に長い時間かける必要はありません。
おすすめとしては腕を前後左右にする動的ストレッチを数分やるだけでOKです。ここから1setだけウォームアップセットを行います。このセットが多すぎると逆にトップセットで疲れてパフォーマンスが落ちることがあるため少なめ、またはウォーミングアップセットなしでもいいと思います。
自重での懸垂をする場合は脚をかけた懸垂、またはおしりを地面につけたかなり強度の低いウォームアップがおすすめです。
そして、自重の懸垂を行います。おすすめのトレーニングギアですがストラップ系のアイテムがおすすめです。懸垂をするときに背中よりも握力が先に疲れて落ちてしまうという人はかなり多いと思います。実際、最近行われた研究ではこのストラップなしだとデッドリフトのパフォーマンスが大きく減ることが示されている通り背中トレーニングで最大のパフォーマンスを出すためには握力を補助してくれるアイテムが必要です。
しっかりストレッチをかけてアゴが持ち手よりも高い位置に来るまで引っ張ります。これが正しい懸垂の1repです。ほとんど引っ張っていなかったりストレッチをかけないレップはレップではありません。
懸垂の回数を最短で上げたい人はこれを毎日行うのがおすすめです。2018年に行われた研究では中級者トレーニー28人に週3回、週6回の頻度でパワーリフティングプログラムを実行してもらったところスクワットの1RM以外は全て週6回グループのほうが優れており、週3を支持したスクワットについてもその差はほぼゼロであるように高頻度で行うことにメリットはあってもデメリットはありません。
このメニューを行えば体重などにもよりますが完全に初心者の人、懸垂が1回もできない人でも3か月もあれば自重での懸垂が10回できるようになります。
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