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【科学的】筋トレの追い込みは逆効果!?

【科学的】筋トレの追い込みは逆効果!?


アニメや漫画では自分のレベルアップのためにはとんでもなくハードで自分の限界に近いようなトレーニングでレベルアップしますがこれは筋トレ、筋肉の成長においても同じでしょうか。ハードなトレーニングだったり限界までのトレーニングは最適な方法なのでしょうか。

筋トレ初心者の人からよく貰う相談の中に、メンタルが弱くて追い込み切れません。どうしたら追い込み切れますかというものがあります。

筋トレは限界までの追い込みこそ筋肉を成長させるというのが常識のように考えられていますが実際はそうでもありません。科学はこの限界までの追い込みが特に筋肉を成長するという一般的な認識を支持していません。むしろこれは逆効果である可能性があることを示しています。

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追い込んだほうが筋トレの効果が高い?

筋トレの追い込みは必要?

確かにある程度のキツさは筋肉の成長にとっては必要です。

例えば2005年日本で行われた研究では被験者にラットプルダウンを10repギリギリできる重量で実験を行いました。被験者は二つに分けられひとつは10回限界まで行うグループ。もうひとつは5rep終了時点で30秒のインターバルを挟んで残りの5rep行うグループで分けられました。その結果、重量も回数も同じであったにもかかわらず10rep連続で行い限界までラットプルを行ったグループのほうが3倍以上筋肥大していました。

2012年の研究でも限界に近づくにつれて筋線維が多く動員されることがわかりました。つまりより多くの筋線維に刺激が入れられるため限界までの追い込みは理論的には最大数の筋線維を動員できる可能性があります。

限界に近い追い込み=最高ではない

しかし、問題なのは限界に近づけば近づくにつれて筋線維の動員が増えるというわけではないということです。一見先ほどの研究とは矛盾しているように聞こえる人もいるかもしれませんが、この動員数の増加は頭打ちのラインがあります。

限界の5回前から筋線維の活動はほぼ同じ

限界の5回前から筋線維の活動はほぼ同じ

さっきの研究には続きがあります。この研究では肩にある複数の筋肉と僧帽筋で1rep毎の筋電図分析を行いました。その結果筋線維の活動は限界に近づくにつれて高くなることがわかりましたが、ある一定のラインで頭打ちになることがわかりました。

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追い込むのは筋トレ効果を薄くする?

限界までやる必要は全くない

2016年の限界までの追い込み、英語ではtraining to failureといい失敗までのトレーニングと表現します。これと筋力の向上についての複数の研究を分析したメタ分析では筋力を最大化させるために限界までトレーニングする必要はないと示されています。

そして2019年のブラッドシェーンフェルド博士によって行われた新しいメタ分析によると限界から2~3回余裕をもって終わらせるトレーニングと限界まで追い込むトレーニングでは筋肥大や筋力の向上に違いはなかったことを示しています。

つまり限界まで追い込んでも限界まで追い込まなくても筋トレ効果にはほとんど差がありません。

限界までやるとボリュームが下がって悪影響

例えば10rep限界の重量を10repやる人と8rep余力を残して終わらせる人とではボリュームが違います。100kgだった場合ボリュームは1000kgと800kgですからね。この場合、ボリュームが高いので筋肥大効果は限界までやったほうが有意に高いでしょう。しかしそれは1setのみに限ったことです。ブラッドシェーンフェルド博士の言う通り限界まで行うことで神経系が疲弊する可能性があり、複数の研究で限界まで追い込むことでそれ以降のパフォーマンスが大きく低下することを示しています(1, 2, 3, 4, 5)。

つまり限界まで行ったほうがボリュームが高いとは一概には言えません。それ以降のボリュームが低下するので筋トレ1時間以上行っているようなそこそこ一回のトレーニングでボリュームを確保する人にとってはデメリット効果のほうが強いでしょう。

追い込みは色んなリスクが向上する

加えてブラッドシェーンフェルド博士がレビューした追い込みとその効果を調べた77つの研究を分析したリサーチレビューによると限界まで行っても何回分か余力を残すトレーニングには差が無いことを示していますが、限界までのトレーニングはいくつかのリスクを持っています。まずひとつ目は複数の研究でケガのリスクの向上の可能性が示されています。これは短期的な研究ではこの問題は起こりませんが普通の人は筋トレは何年もしますからこれは潜在的なデメリットです。

次に限界までの追い込みは研究によると心理的な疲労を促進させます。ジムに行きたくなくなったり体を動かすのが嫌になったり一種の燃え尽き症候群につながります。

しかしパフォーマンスの低下は別としてこれらの倦怠感だったりの心理的な影響に対する直接的な証拠はありません。なぜなら研究期間は長くても数か月程度だからです。研究ではその心理的、身体的な影響を及ぼす可能性が十分にあるといういわばパズルのピースを見つけてるにすぎません。そのため、もしかしたら限界までの追い込みの疲労の影響は小さい可能性もありますし予想よりももっと大きい可能性もあります。

これを踏まえると敢えて限界までやる価値はほとんどありません。筋トレの効果は同じにも関わらず限界までグループは多くのリスクを抱えているからです。

限界まで追い込んだほうがいい人

ただ、限界まで追い込んだほうがいい人は何種類かいます。

ひとつは非常に軽い重量でトレーニングしてる人、例えば家トレで扱える重量が限られていて腕立て伏せ40repとかそれ以上でいつもトレーニングしている人は限界まで追い込んだほうがいい可能性があります。

この研究では高強度のトレーニング、1rmの80%の強度で行うトレーニングでは限界まで行うメリットはないが低強度のトレーニングでは限界まで追い込むことで高強度のトレーニングと同じ筋肥大効果が受けられることを示しています。

しかしこの研究で定義されている低強度は1RMの30%程度ですので筋力アップ効果は非常に薄いですし長期的に見ると非効率的です。ベンチプレスのマックスが100kgの人が30kgでやるわけですからこれくらい低強度でやってる人も非常に少ないんじゃないかと思います

次にトレーニング時間が非常に短い人、トレーニングに費やす時間が10分とか20分程度の人は限界まで追い込んだほうがいいでしょう。以降のセット数が非常に少ないのでボリュームの低下は起こりません。

最後は非常に高度なリフターであること。遺伝子上限に近づくにつれてさまざまなトレーニングを試す必要があるかもしれません。しかしこれについての調査はなく、倦怠感などと違い間接的な証拠もありません。推測であり実際の場合そうはならない可能性も十二分にあります。

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おすすめの筋トレの追い込み方

1~3回分手前で終わらせる

ブラッドシェーンフェルド博士の推奨では筋トレは基本的には1~3RIR、つまり1~3回分余力を残して終わらせることです。アイソレーションは限界までやってもいいですかというコメントがありましたがアイソレーションでもおすすめしません。MAX重量に挑戦すると必然的に限界までやることになりますから慎重に取り入れましょう。RIRのラインがわからないから基準が欲しいって人におすすめのやめどきは動作スピードが落ちてきたらそろそろ辞め時って感じです。

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