最短でデカくなりたいなら40repで鍛えろ!超高回数トレーニングの科学的エビデンスと最強の筋トレメニュー!
ウエイトを持ち上げる回数をレップといいますが、ほとんどの人は10rep前後でトレーニングしています。しかし、それは本当にもったいないです。30rep、40repでトレーニングすると多くのメリットが体に起こることを科学的なデータは示しています。
この記事では40repの超高回数トレーニングが最強である科学的理由と取り入れ方の注意点について解説します。
負荷の常識
筋トレの回数、レップ数というのはトレーニングには非常に重要な要素です。
多くの人が耳にしてきた情報としては筋トレはおおよそ8~12repほどが最適であるというものです。これは低回数過ぎると筋力アップ効果は高いけど筋肥大には向かない。高回数過ぎると筋持久力アップ効果は高いけど筋肥大には向かない。その間の回数が丁度いいという理由からであり、中には20rep以上の高回数トレーニングは持久力トレーニングに近い運動だから筋肉が落ちてしまうと主張する人もいます。
しかし、実際研究データを見るとそうでないことがわかります。
2017年のレビューペーパーには強度と筋肉の成長についてのデータを分析したところ、負荷が変わっても同じボリュームなら筋肉の成長効果は同じであるということが示され、2021年の最近行われた新しいレビューペーパーでも同様のことが示されており、1RMの30%から80%のまでの範囲の回数は筋肉の成長効果は同じであることが発見されました。
これはおおよそ8~40repの間で同じであることを意味します。レビューペーパーやメタ分析は科学的に最も信頼性の高いデータであるためこの主張には強い説得力があります。
ブラッドシェーンフェルド博士も自身のSNSで軽い負荷で筋肉を構築できるという証拠は今や議論の余地がなく、増加は重い負荷の場合と同様であると答えています。これは筋肉の成長には機械的な緊張が必要であり、その緊張が低負荷によって生み出されたものか、高負荷によって生み出されたものかは重要ではないということです。
これによって大胸筋は速筋繊維が多いから高重量など筋繊維のタイプによって鍛え分けをする意味がないことがわかります。高重量も低重量も等しく筋肉を成長させます。
40repが最強の理由
現実的には高重量=低重量とはならない
低重量も高重量も筋肉の成長効果は同じであると考えてOKですが、実際筋トレ効果は同じではありません。これは筋トレ頻度とほとんど同じで筋肉の成長にとってはボリュームが同じ場合、頻度は筋肥大に影響を与えないことを示していますが、同じ時間や同じ努力量でトレーニングをさせるとほぼ間違いなく高頻度のほうがVOLが高いため高頻度のほうが筋肉が成長します。
これと同じでVOLが同じ場合、高重量も低重量も筋肥大効果は同じですが、普通に筋トレをするとVOLが同じになることはありません。
2014年のブラッドシェーンフェルド博士の研究では筋トレ経験の豊富な被験者に上腕二頭筋トレーニングを指示しました。被験者はふたつのグループに分けられ、パワーリフティング型として3repのトレーニングを行わせ、ボディビル型として10repのトレーニングを行わせました。
この研究は両グループのVOLを同じにするように設計していたため、8週間後筋肥大効果はほとんど同じでしたが、10rep行ったボディビル型はパワーリフティング型の1/4の時間でプログラムを終わらせることができました。実際両グループが行ったセット数は1日でパワーリフティング型が7set、ボディビル型は3setであり、高重量でのトレーニングは同じVOLを確保するのに2倍以上のセット数と4倍の時間がかかりました。
VOLを確保するうえで高重量で稼ぐのも低重量で稼ぐのもどちらでも構いません。しかし、低重量のほうが同じ1setでも多くのボリュームを確保できます。これは1RM計算サイトで出したグラフですが低重量になるほど獲得できるVOLは右肩上がりになり、1RMの50%は100%の15倍のボリュームが獲得できることを示しています。
2016年の調査ではこの理論を裏付けており、筋トレ経験のある被験者が25~35回の高回数トレーニングと8~12回の低回数トレーニングで8週間筋トレを指示したところ高回数トレーニンググループのほうが研究期間でより多くのトレーニングボリュームを確保できたことを示しています。
低重量高回数グループの合計ボリュームはベースラインから+31305kgの値を確認しましたが高重量低回数グループは+10714kgだけでした。
筋肥大
2023年の7月に公開された最新のシステマティックレビューではでは2022年の2月までに公開された178件の研究、合計5097人の被験者を対象にした筋肥大、そして筋力についてのデータを分析した結果、筋肥大にはボリューム、筋力には強度が最も重要な数値であることがわかりました。
つまり、高いVOLを確保できるということは高い筋肥大効果であるコトを意味します。
2023/3月に公開された最新の研究では101人の被験者を12週間の全身トレーニングを週3回、8~12repグループと10~15repグループで分けたところ8~12repのグループよりも10~15repグループのほうが大幅に筋肉が成長していることを発見しました。(2.5vs6.)
脂肪燃焼
さらに高いボリュームはより多くの脂肪を減らします。
2011年の研究ではベンチプレスで高回数トレーニングと低回数トレーニングで比較したところ、高回数グループのほうがより多くのエネルギーを消費し、体脂肪を減らす可能性があることを示しています。グラフにある通り、低負荷でたくさんの回数ができるエクササイズほど消費エネルギーが高いことがわかります。
この原因としては主に筋肥大効果と同じくVOLの影響です。つまり、低回数トレーニングよりも多くのウエイトを持ち上げていることになるため、それによってたくさんのカロリーが消費されます。
高回数でのトレーニングは多くのカロリーを消費し、多くの脂肪を燃やします。いつもよりも消費カロリーを上げて脂肪を落としたいという人には40rep法がぴったりなのではないでしょうか。
疲労と安全性
トレーニングで怪我をしないためには出来るだけ軽い重量で強い負荷を筋肉に与えることです。
高回数トレーニングを筋トレメニューに含めることでも安全性が向上します。扱う重量が軽くなれば関節にかかる負担も小さくなり、フォームが崩壊してケガをするリスクも低くなります。
例えば皆さんの体感としても高重量のダンベルサイドレイズをすると肩が痛くなる人でも軽い重量でやれば違和感なくトレーニングが出来たという経験をしたことがある人も少なくないと思います。
さらには体にかかる疲労も和らげてくれる可能性があります。先ほどのブラッドシェーンフェルド博士の研究では3repのパワーリフティング型の被験者は7setこなせるまえにドロップアウトしてしまう被験者がおおく、高重量でのトレーニングは体に大きな疲労をもたらし、その後のトレーニングのボリュームを大幅に低下させる可能性があります。
つまり、高回数トレーニングは安全性が高く疲労感も感じにくくなります。そのためトレーニングを中止しなければいけないケガや倦怠感などリスクを減らすことができ長期的にトレーニングを継続できることにつながるため、VOLが多く確保できるようになり、筋肉がより成長する可能性があります。
40repの注意点
40repのようなかなりの高回数でトレーニングすると今までよりもVOLを大幅に増やせます。VOLを増やすことで筋肉が増えやすくなり、脂肪も多く燃えるようになりますが高回数トレーニングの取り入れ方には注意が必要です。
高重量も必要
ここまでの動画の内容からすると高重量を扱うことがさも間違いであるかのように聞こえる人も一部いるかもしれません。確かに40repでもトレーニングしないことは間違いですが、40repでしかトレーニングしないことも間違いです。
高重量が必要である理由は2つあります。ひとつはバリエーションが増えること。いくつかの研究では一定の負荷で鍛えるよりも高重量、低重量などを使い分けてトレーニングしたほうが筋肉がより成長する可能性が高いことを示しています。
そして、筋力が伸びやすいこと。2022年のアメリカで行われた研究では繰り返し回数を増やす、または扱える重量を増やすことで筋肉の成長が促進されることを示しており、筋力を伸ばすことは将来的な筋肉の成長にとってとても重要です。
最新のシステマティックレビューでは筋肉の成長にはボリュームが最も重要であることを示していますが、筋力は強度が最も重要であることを示しています。これは高重量を扱ったほうが神経適応が促進されるからです。つまり、高重量のほうが筋力が伸びやすく、プログレッシブオーバーロードによって筋肉の成長が促進されます。
トレーニングでは40repのトレーニングも必要ですが、8rep以下の高重量トレーニングも必要です。ただし、筋力の向上は筋肉の成長程VOLが重要ではないため高重量トレーニングをたくさんやってもメリットがあまりありません。基本的には週1~2回1種目程度各筋肉高重量のトレーニングをしてそれ以外は10rep以上の負荷で鍛えるのがおすすめです。
軽すぎる負荷
筋トレのVOLは絶対ではありませんが高回数トレーニングのほうが高い傾向にあります。しかし、このレッグエクステンションの研究に示されているように同じVOLでも負荷が軽すぎると筋肉の成長効果が大きく落ちる可能性が高いです。
これは筋肉を成長させるためにはある程度の負荷は最低でも必要であるからです。例えばマラソンを走れば低強度の機械的な緊張が脚に何千回何万回とかかりますが、マラソン選手の脚は太くないように低強度すぎる負荷は筋肉の成長にとって不十分です。
多くのメタ分析やレビューを参照するとおおよそ1RMの30%以下の負荷は筋肉の成長にとって適していない可能性が高いです。
特に注意しなければいけないのは個人差によって扱える重量が変わります。1RMの計算上、30%の負荷だと50rep出来ることになりますが、この数字は速筋繊維や遅筋繊維の割合によっては同じ負荷でも出来る回数が大きく変わります。
例えばパーカーフィットネスを例にするとベンチプレス100kgは間違いなく上げられますが50kg30rep出来るかといわれると微妙なところがあります。つまり、計算上40repは1RMの40%前後ですが人によっては1RMの30%でも40回出来ない場合があるため、40rep出来る重量と「回数」を基準にするのではなく1RMの40~50%で出来るだけ多くの回数をこなすというように「負荷」を基準にして高回数でトレーニングしてください。回数を基準にすると人によっては1RMの30%を下回っていることがあります。
1RMの40%の負荷でまずは挑戦してください。ほとんどの人の場合20rep~30repは出来るはずです。
追い込み
科学的なトレーニングの追い込みとしては潰れるまで追い込むのはNG、1~3rep分余力を残して終わらせることが最善ということが常識です。
しかし、トレーニングの負荷、重量によって追い込みのガイドラインは変わります。最新のトレーニングの追い込みについてのメタ分析では高重量の場合潰れるまで追い込むメリットはほとんどないことがわかったが、低重量トレーニングでは潰れるまでの追い込みが筋肉の成長にとって利点を示す研究がいくつかあることを示しています。
これは高重量の場合1rep目からかなりの筋繊維が動員されていますが、低重量の場合前半のレップでは筋繊維は半分程度しか動員されていないためです。
そのため、40rep法のように高回数でトレーニングするときは潰れるまで行うか、次のレップで潰れるなという潰れる寸前まで行うのがベストです。
効かせやすい種目
このトレーニング法で筋肉を爆発的に成長させるためにかなり重要なポイントですが、超高回数トレーニングは40repでも違和感なく鍛えられる種目を選ぶのがおすすめです。例えばパーカーフィットネスの場合ベンチプレスを1RMの40%ほどで40rep30repやろうとしても途中で大胸筋よりも上腕三頭筋が疲れて上がらなくなってしまいます。
もちろんフリーウエイトのコンパウンドでも出来るなら構いませんが、おすすめとしては安定性が高いマシントレーニング、かつほかの部位に逃げにくいアイソレーション種目です。
特におすすめしたい種目はマシンフライ、レッグエクステンションです。こういったマシンのアイソレーション種目で鍛えると、狙いたい筋肉を超高回数で鍛えることができます。
いかがだったでしょうか。多くの人は高回数といっても15~20rep、ごく稀に20rep以上でトレーニングしている人もいますが40repでやる人はほとんどいません。しかし、40repでやればより多くの筋肉が構築出来て、より多くの脂肪が燃えて、より安全にトレーニングすることができます。誰も手を出さないからこそ、それを実践すれば大きな差が付きます。超高回数トレーニングの効果は僕の個人的な感想や感覚ではなく科学的にも効果が証明されているため、トレーニングでは各筋肉40repの超高回数トレーニングを取り入れると筋肉の成長が劇的に増えます。
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