60歳でもムキムキになれる科学的事実!筋トレと加齢について最新データを基に徹底解説!
年齢を重ねるにつれて人間は筋肉量と筋力を失います。ギリシャ語でサルクスを肉、ぺニアを損失と呼ぶことからこの現象をサルコペニアといいます。ほとんどのひとが加齢によって筋肉の成長率は低下し、筋肉の分解も強くなると考えていますが、科学的なデータを見ると実はそれは多くの人が思っているよりもはるかに小さく、60歳を超えても筋肉の量を大幅に増やせることを示しています。
筋トレを始めるのに遅すぎることはありません。
この記事では加齢とボディメイクの関係についての真実。そして60歳を超えた人が筋トレをするメリットやおすすめトレーニング法について紹介します。
アスリートのピーク
年齢が30代になるとパフォーマンスが落ちていくというのはよく聞きます。実際、サッカーやバスケットボール選手は一部を除いてピークが20代であることが多いです。確かにスポーツのゲームでも30歳を超えた選手はどんどん能力が落ちていく傾向にあります。
特に数学者や物理学者などの頭を使う能力というのは大体20歳くらいがピークであるといわれているように遅い速いあれど基本的には20代です。
しかし、実はボディビルダーやパワーリフターは先ほど紹介したアスリートよりも加齢による衰退が遅く、ピークも遅い傾向にあります。2019年のパワーリフターのピークパフォーマンスについて調べた研究では世界クラスのウエイトリフターは平均して35歳であることを発見しました。
ボディビルダーについての研究はパワーリフターと違い、数値化して測定できないため信頼性の高い研究はありませんが、オリンピアで何度も優勝しているアスリートを見るとほとんどが30代でも世界ナンバーワンになっています。
7回ミスターオリンピアで優勝したアーノルド・シュワルツェネッガーは20代でも優勝していますが、ドリアンイェーツは30歳半ばまでに6回オリンピアで優勝し、ロニーコールマンは40代前半まで第一線で活躍しました。
もちろん筋肉量のピークというのは人にもよりますしステロイドを使っているかも大きく影響するかもしれません。それでは科学的なデータを見るとどうでしょうか。
加齢とボディメイクについて科学的データ
筋肉の成長、そして体脂肪量。この2つについての科学的なデータはどうでしょうか。
年を取ると筋肉を成長させるのがかなり大変になるのか、脂肪を落とすのもかなり大変になるのか。実は全くそんなことありません。視聴者の方の予想よりも圧倒的に小さいと思います。
筋肥大
2009年の大規模な研究では18~39歳までの被験者826人の男女は12週間の片腕レジスタンストレーニングプログラムを行いました。被験者の上腕二頭筋の成長を見てみると18~39歳までの年齢と筋肥大にどんな関係があったでしょうか。
実は何の関係もありませんでした。被験者の上腕二頭筋のサイズは年齢によって全く関係がなく同じだけ成長していました。
それでは40歳以降はどうでしょうか。ほとんどのスポーツアスリートで40歳以降にピークが来るというのはほとんどありません。多くの人も「さすがに40代はボディメイクのデメリットデカいでしょ」と考えると思います。
確かに2015年のサルコペニアについての研究では20歳からゆっくりと筋肉の減少が始まっていることがわかりました。
しかし、別のデータは驚くべき見解です。2015年の研究では平均25歳の若い成人、平均87歳の女性、そして平均88歳の動けない寝たきりの女性8人ずつ、合計24人の筋肉組織を生体組織診断をしたところ筋肉組織自体は老化の影響を全く受けないことを示しています。
つまり、サルコペニアは20歳から始まってるけど加齢による筋肉組織の影響はほとんどないということを意味します。「それってどういうこと?」と多くの人は思うと思いますが実は先ほど紹介したグラフ。これは年齢とサルコペニアの関係性についての証拠であり、加齢による筋繊維の衰えがサルコペニアを引き起こすことを意味するわけではありません。
もっと詳しく解説すると2010年のサルコペニアについての科学的レビューでは筋肉が減少する原因について次のように書かれています。「サルコペニアの主な原因には、座りっぱなしのライフスタイルと栄養失調が含まれる」
つまりサルコペニアというのは加齢によって筋肉がつきづらくなる。落ちやすくなるというわけではなく、単純に年を重ねるとテレビを見たり、本を読んだりする時間が多くなり運動をしなくなるから筋肉が落ちるということです。これはジムに行っている人ならわかると思いますがウエイトトレーニングをガンガンやっている70歳、80歳が非常に少ないことからも想像ができるように高齢者になると運動する機会がそもそも減ります。
簡単に言うと年齢を理由に運動しなくなったりジムに行ってウエイトトレーニングをしないことが最も筋肉を落とす理由であるということです。
実際、多くの人が考えているほど加齢によるデメリットは巨大ではなく、加齢が直接的に筋肉の成長を大きく妨げるという証拠はほとんどありません。
マスターズアスリート40~81歳までを対象にした研究でも除脂肪体重や筋力について、年齢によって大きな差はなかったことを示しています。
そして一般的な先入観とは対照的に高齢者でも筋力と筋肉量を大幅に成長させられることを膨大な数のデータが示しています。例えば2001年の研究では20~30歳の被験者と65~75歳の被験者では週に3日6か月間のトレーニングによって同じだけの筋肉量を得たことを示しており、平均90歳の高齢者を対象にしたこの研究では高強度のウエイトトレーニング8週間によって筋力が平均174%上昇したことを示しています。
ただし、科学的な情報というのは科学的なデータは全体を見る必要があり、都合のいい研究だけを紹介するのは詐欺師と同じだとパーカーフィットネスは考えています。
年齢によって筋肉の成長に違いは全くないのか、科学的なデータを見ると実はそうでもありません。2020年のメタ分析では35件の研究を基に年齢と筋肉の成長効果を調べたところ60歳を過ぎると筋肉の成長は確かに落ちることを示していますが、その変動率は最高齢の88歳でも約10%しか説明できていません。
つまり、50代までは筋肉の成長率、筋肉の損失率など筋肉量に関する年齢の影響はほとんどなく20代と同じだけ筋肉を成長させられる可能性が極めて高いですが、60歳を超えると成長率が低下していきます。しかし、それは全く大きなものではなく80歳を超えても効果が半減するものではありません。
脂肪の燃焼
筋肉の成長と同じで年齢を重ねると代謝率が下がって脂肪が落ちにくくなる。増えやすくなるともほとんどの人は考えていますが実際科学的なデータはその考えを支持していません。
2021年の人間のエネルギー消費量と体脂肪についての調査では20~60歳までの間では代謝率は年齢の影響をほとんど受けず、代謝率が下がるのは主に運動をしなくなること、それによって筋肉量が減ることが原因だと示されています。
60歳を過ぎると代謝が低下し始めますが、その低下は大きなものではなく20%以上の減少はないため脂肪の増え方が異常に早くなるということもありません。
筋トレをするメリット
多くの人が年齢を重ねると筋肉や体脂肪量について良くない影響があると考えていますがその影響は非常に小さいです。あなたが60歳を超えていてミスターオリンピアに出ている世界最高レベルの人たちと戦いたいというならそれはかなり難しいですが、厚みのある大胸筋をつけたり腹筋を割ることは間違いなくできると断言します。
加齢によって筋肉が増えなくなる最大の原因は「加齢によって筋肉が増えなくなる」「ウエイトトレーニングって若い人がやるもんでしょ」と考えることです。年齢を意識せずに若い時と同じようにトレーニングすればほとんど同じように筋肉は成長します。
加えて高齢者が筋トレをすることは筋肉や脂肪の量以外にも多くのメリットがあります。
寿命
2022年に東北大学で行われた研究では18歳から98歳までの被験者3800人以上を数十年間追跡調査をした結果、ウエイトトレーニングを行っていた被験者はガンをはじめとしたあらゆる早期死亡リスクを10~20%減少することを発見しました。
そして、72000人以上を対象にした別の研究でもウエイトトレーニングによって死亡率リスクが10%以上低下することを示しているように筋トレをして心肺機能や体を強化することはこれはガンや糖尿病、心血管疾患など筋肉の衰えだけでなくあらゆる病気をも予防し、ほぼすべての死亡リスクを低下させ、あなたの寿命を延ばします。隠れた真実としてウエイトトレーニングは病気までも予防する万能の薬です。
ストレス
筋トレをすることは肉体的なメリットだけではなく精神的にも多くの利点があります。調査によると労働者の80%が職場でのストレスを経験しておりそのうち半数はそのストレスによって睡眠障害などの以上を引き起こしているようです。
その精神的なストレスもウエイトトレーニングによって解消できることを科学的なデータは示しています。
2020年の研究ではウエイトトレーニングを週に2回、8週間実行したところ不安とストレスが約20%軽減されたことを示しました。
ウエイトトレーニングは病気だけではなく精神的な問題まで解消します。2023年の2月に公開された最新の研究ではウエイトトレーニングはうつ病を抑制することを示しました。男女67名の被験者は自宅での筋力トレーニングを8週間したところ健康状態、ストレス、うつ病の症状について大幅な改善がみられました。
幸福度
ウエイトトレーニングは人間の幸福度も上昇させます。
2022年のメタ分析では11件の研究、合計457人の女性を対象に調査を行ったところ筋力トレーニングが幸福度に関する変数にプラスの影響をもたらしたことを示しており幸福度に対するマイナスを示した研究は一切なかったことを発見しました。
ウエイトトレーニングという方法でカラダを動かすことは人間の幸福度を高めます。別の研究でもウエイトトレーニングは高齢者の幸福度を上げることを示しており、フィットネスの世界的な権威であるブラッドシェーンフェルド博士は「筋トレはおそらく全体的な健康と幸福に摂って最も重要な戦略ですが、かなり多くの人がその大きな利点を認識していない」と話すようにウエイトトレーニングはあなたを幸せにする最も簡単な手段のひとつです。
高齢者の筋トレ法
高齢者はじめ年齢を重ねていくにしたがって注意しなければならないのはケガです。当時世界最高のボディビルダーだったドリアンイェーツはじめボディビルダーの中にはケガで引退せざるを得なかった人も少なくありません。
高齢者に近づくほど関節は弱り、ウエイトトレーニングでのケガのリスクは増えます。
追い込み
ケガを予防するために重要なポイント。ひとつ目は追い込みです。
20年ほど前までは筋トレでは限界まで追い込まなければならない、潰れる寸前までウエイトを持ち上げなければいけないというのが当たり前でしたが、現代のトレーニング理論ではあえて1~3rep分は余力を残して終わらせることが最も安全で効率的であることを示しています。限界ギリギリを狙うとフォームが崩壊するリスクや潰れることで事故につながる可能性があるため、特に一人でトレーニングする場合は自分の限界ギリギリを攻めるのは避けましょう。
軽い重量で鍛える
ふたつ目は出来るだけ軽い重量で強い負荷を入れることです。軽い重量でトレーニングすれば関節にかかる負担も少なく、ケガのリスクを減らすことができます。最も代表的なのは広い可動域でトレーニングすること。物理的に同じ重量でも長い距離を動かすほうが多くのエネルギーが必要です。上腕二頭筋のカールではヒジを伸ばし切るまで下げて広い可動域でトレーニングすればウエイトを動かす距離が長くなるため軽い重量を扱いながらトレーニングをすることができます。
さらにBFRのように加圧トレーニングをするとより軽い重量でトレーニングすることができます。科学的なデータでは加圧トレーニングは一般的なトレーニングと同じ効果があると示されているため、関節への負担を最小限にしたい人にはおすすめです。
トレーニングでは正しいフォームと広い可動域、そして追い込み過ぎないことを意識すれば60歳を超えた高齢者の人でも8rep以下のトレーニングは危険ではありませんが、筋トレは高重量でやらなければいけないわけでもないので自分に合った重量で鍛えるのがおすすめです。
年齢を理由にウエイトトレーニングをあきらめるのは世界で一番勿体ないことです。体脂肪や筋肉量だけではなく寿命やストレス、幸福度にも大きなメリットがあります。この動画がきっかけで、ひとりでも「今からでも筋トレ始めようかな」と思ってくれる方がいてくれると非常にうれしいです。
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