科学的上腕三頭筋の鍛え方,筋トレメニュー
スポーツに最も役立つ上半身エクササイズはプレスです。プレスで主に使われる筋肉は大胸筋、肩にある三角筋、そして上腕三頭筋、今回は腕にある上腕三頭筋について科学的な鍛え方と筋トレメニューを紹介します。
上腕三頭筋の筋肉って何?
上腕三頭筋ってどんな筋肉?
上腕三頭筋の解剖学的なところから、上腕三頭筋はその名の通り三つの頭からなります。ひとつは長頭、もうひとつは外側頭、そして内側頭です。上腕三頭筋の長頭は腕の全体的なサイズの向上につながります。内側頭外側頭を鍛えると上腕三頭筋が馬の蹄のような形になります。
上腕三頭筋は上腕二頭筋よりも大きい筋肉であるため腕の太さという意味では上腕三頭筋、そして上腕三頭筋が重要だと考えます。
上腕三頭筋の作用
上腕三頭筋の最も重要な運動は肘の伸展、肘を伸ばす動作です。これは上腕三頭筋の長頭、内側頭外側頭全てに共通している運動です。加えて長頭は肩関節にもまたがっている大きな筋肉なので肩の伸展にも関わります。例えば背中のトレーニングをしてる時に上腕三頭筋が疲れてくる経験をしたことがある人もいると思います。
それは上腕三頭筋が肩関節の伸展に関わっているためです。
上腕三頭筋の鍛え方
ベンチプレスは上腕三頭筋の内側頭,外側頭?
ベンチプレスは内側頭外側頭を強く刺激すると思っている人もいますが、科学的にはベンチプレスのような肩の屈曲が90度であるプレスは上腕三頭筋長頭がバーを安定させるためにスタビライザー的に機能し強い刺激を受けることを示しています。
そのためベンチプレスは内側頭外側頭だけでなく、上腕三頭筋の3つの頭すべてを刺激するツールであるため長頭の種目と外側頭内側頭、3つの頭をバランスよく鍛える種目だと考えます。
上腕三頭筋のメニューの組み方
大胸筋の種目やショルダープレスでも上腕三頭筋は十分に刺激されているため上腕三頭筋のサイズを維持したい場合や筋トレ初心者の場合、上腕三頭筋固有のトレーニングは必要ないと考えます。他の種目で十分であるためです。
上腕三頭筋のトレーニングには2種類の種目が必要だと考えます。理由はこちらの筋電図分析です。上腕三頭筋トレーニングには避けられないトレードオフ関係があることを示しています。
例えばケーブルプッシュダウンは外側頭内側頭の活動は強いが長頭の刺激は弱く、インクラインダンベルキックバックは長頭の刺激が強く、内側、外側の刺激が弱いことを示しています。トレードオフというのは一方を優先させたらもう一方がおろそかになることです。上腕三頭筋全ての頭にとって最高の種目はありません。
内側頭外側頭と長頭を中程度バランスよく刺激する種目もあります。しかし、筋肉の慣れでも話している通り、ひとつの種目に固執するよりも2~3この種目を行ったほうが追加効果があることが考えられています。
そのため内側頭外側頭を主に刺激する種目、長頭を主に刺激する種目この2種類を使って上腕三頭筋を鍛えるのがおすすめです。
プレス動作を他の部位のトレーニングで行っている多くの人にとって重要な上腕三頭筋トレーニングはエクステンションやプッシュダウンだと考えます。筋電図を見た傾向として上腕三頭筋トレーニングのうち、ディップやプッシュダウン動作は外側頭内側頭を刺激します。オーバーヘッドエクステンションやキックバックは上腕三頭筋の長頭を強く刺激します。
上腕三頭筋のおすすめ筋トレメニュー
オーバーヘッドトライセプスエクステンション
長頭のおすすめ種目として、科学的な権威でもあるブラッドシェーンフェルド博士によるとオーバーヘッドのトライセプスエクステンションが上腕三頭筋の発達に最適であると話しています。これは上腕三頭筋の長頭が肩関節の伸展に関与するためです。
ストレートバーよりもEZバーやダンベルを使うことで手首に負担が無いため安全に行うことができます。
家トレでベンチ台が無い場合は座ってやるトライセプスエクステンションも効果的です重要なのはオーバーヘッド、頭の後ろにウエイトがあるかです。
僕はこれをやると肘がかなり痛くなったり、あとは体が硬いので上手くできないのでベンチ台に寝た状態で行う種目を好んでいます。
インクラインダンベルキックバック
次におすすめしたいのがインクラインベンチにうつぶせになるダンベルキックバック、筋電図分析によると非常に強い上腕三頭筋の長頭への刺激を示しています。おすすめの角度として45~60度です。
ケーブルプッシュダウン
そして内側頭外側頭におすすめなのがケーブルプッシュダウン、ブラッドシェーンフェルド博士の記事ではオーバーヘッドのトライセプスエクステンションに加えて肘が側面に保持されている運動は長頭の動きが弱くなり外側頭内側頭がアクティブになると記述されています。
プッシュダウンのときにロープを使うことで長頭の活動が強くなり、全体的にバランスの取れたエクササイズになるようです。
ベンチディップス
次はベンチディップス、非常に昔からある種目で自重でできる種目ですが外側頭内側頭を強く刺激し上腕三頭筋の外側を鍛える最も効果的な種目のひとつです。ケガのリスクを増加させるため、ディップの下げる位置は肘が90度になるまでそれ以上にかrだを下げると肩の件と関節の負荷が増加します。
トライアングルプッシュアップ
そしてアメリカの運動評議会による研究では筋電図分析によるとトライアングルプッシュアップが上腕三頭筋の長頭と外側頭を最も刺激する運動であることがわかりました。内側頭の数値はありませんが、クローズグリップのベンチプレスよりもはるかに高い数値を記録しています。この腕立て伏せはインピンジメントがかなり強いので僕はムリですが試してみて違和感が無い人にはお勧めです。
上腕三頭筋のセット数と回数,頻度
スポーツサイエンティストのマイクイズラテル博士によると上腕三頭筋は10~14setが推奨されています。
回数は8~20rep、しかし科学的なレビューでは例外的な範囲はあるにせよ重量による筋肥大効果はほとんどないことが示されています。
そして頻度は週に2~4回、ただ科学的な文献を見ると意外と上腕三頭筋も高ボリューム高頻度でも良く反応するようです。週に4回以上でも効果的ですが大胸筋トレーニングの前日にやるのは個人的にはオススメしません。
そして上腕三頭筋トレーニングにおいて最も重要なのがこれです。
パーシャルレップでやるな
上腕三頭筋のフルレンジは強いストレッチと肘をロックさせるまで行う収縮です。
18個の研究を分析したmenno博士の可動域と筋肥大についてのレビューでも筋肥大においてパーシャルレップは筋肉の成長を刺激するのにフルレンジよりも利点が無いことを示しています。
何人かのボディビルダーが行っているプッシュダウンでは上腕三頭筋はほとんどストレッチしていません。特にプッシュダウンでは肘をだきるだけ曲げて上腕三頭筋をストレッチさせましょう。
さらに多くの人が間違えているのが肘のロック、トライセプスエクステンションやプッシュダウンのフィニッシュではしっかりと肘をロックさせましょう。これをすることで強く収縮します。
肘をロックさせるとケガするんじゃないかと心配する人がいますがそれは取り越し苦労だと考えます。例えばもともと何かのケガによって肘が痛い場合や実際にフルレンジでやってみて痛い場合はロックさせないほうがいいでしょう。しかし、ロックさせても痛みが無いのにあえてパーシャルレップでやるのはオススメしません。
チートを多用して超高重量を扱ってる場合は別ですがもともと健康な肘を持ってる場合はロックさせることで肘が損傷する可能性は低いと考えています。
もし肘が痛む場合はパーシャルレップでやるのではなく上腕三頭筋のトレーニング自体をスキップさせて回復を優先させましょう。
上腕三頭筋筋トレメニュー
長頭の種目
種目名 | 回数 |
EZバートライセプスエクステンション | 10~15rep |
インクラインダンベルキックバック | 8~12rep |
内側頭外側頭の種目
種目名 | 回数 |
ベンチディップス | 8~10rep |
ケーブルプッシュダウン | 12~20rep |
全体を鍛える種目
種目名 | 回数 |
ローププッシュダウン | 12~15rep |
ダイアモンドプッシュアップ | 8~12rep |
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