前腕が欲しいなら握力を鍛えず腕橈骨筋を狙え!太い腕を作るための最強種目と筋トレ法を科学的に徹底解説!
前腕は人間の体の中で最も目立つ筋肉のひとつかもしれません。特に夏は上半身の中では首と前腕程度しか露出しないため外見的な差をつけるためには大胸筋や背中よりも前腕を鍛えたほうが良いかもしれません。
しかし、menno henselmans博士が「前腕のトレーニングは費用対効果が低いと」言うように前腕は非常に複雑な筋肉であり筋肉の大きさや特性を理解して鍛えないと効果が非常に出にくい筋肉でもあります。
この記事では科学的なデータを基に最短、かつ安全な前腕の鍛え方と最強種目について紹介します。
解剖学的な前腕
解剖学的な前腕
前腕の前部 |
前腕の後部 |
前腕の筋肉は大胸筋や上腕三頭筋などひとつの筋肉がまたがっているわけではありません。非常に多く、おおよそ20以上の筋肉が存在しており、紹介しきれないくらいの種類が存在しています。しかし、この20以上の筋肉が働く運動は2つから3つほどしかないため解剖学的な運動さえ理解していれば前腕の鍛え方としては十分です。
前腕の筋肉は肩にある三角筋のように前部と後部があり、前部は手のひらと同じ面に向いている部位です。バイセプスカールの時に正面を向いているのが前部だと思ってください。
後部は手の甲と同じ面にあります。バイセプスカールの時は鏡に映らない方向です。
前腕の筋肉のほとんどは指と手首の関節にまたがっているため、この関節を使った運動で主に使用されます。ただし、後部にある腕橈骨筋という前腕の中では非常に大きな筋肉のみ上腕二頭筋と同じ肘関節の屈曲に関係します。
前腕の前部は指と手を内側に閉じる屈曲。後部はその逆で指と手を外側に開く伸展に関係します。前腕の解剖学的なトピックとして知らなければならないのは、前部は指と手を閉じる運動。後部は逆に開く運動。この2つでほぼすべての前腕にある筋肉を鍛えることができますが後部にある腕橈骨筋のみ肘関節の屈曲で働くということです。
前腕を鍛える必要がある?
前腕の鍛え方の説明の前にそもそも前腕は鍛える必要があるのかについて解説します。前腕の筋肉は指を閉じる運動に関係しているため、握力に強い結びつきがあります。そのため、例えばダンベルやバーベルを握って引っ張るトレーニングでも筋肉が活動していることが考えられます。
2004年の研究によると高校野球選手を対象に12週間トレーニングを実行させました。ひとつのグループは被験者にはベンチプレス、スクワット、デッドリフトをはじめとした前腕を狙った種目がない一般的な全身トレーニングを週に3日実行させて、もう一つのグループはこの全身トレーニングメニューに加えて前腕のアイソレーショントレーニングを追加させます。
その結果、前腕のアイソレーショントレーニングがなかったグループでも前腕の筋力は成長しておりすべての測定値で増加が確認されました。筋肉量は測定されませんでしたが、筋力と筋肉量には強い関係性があるため、筋力の増加は筋肉が成長している可能性が非常に高いことを示します。
しかしながら、前腕のアイソレーショントレーニングを追加させたグループはより筋力が成長しており、前腕トレーニングなしのグループよりもすべての測定値で大幅な前腕の力の向上を示しています。
そのため、前腕の筋肉は直接的にトレーニングしなくても筋肉がある程度は構築できる可能性があります。とはいってもそれが最適ではなく、筋肉の成長は前腕を直接鍛えたほうが筋肉の成長率は大きく変わります。
前腕の鍛え方
握力トレーニングをしない
握力は前腕の前部を鍛える
前腕の筋肉を効率的に成長させたい場合、最も良くある間違いは握力トレーニングをすることです。確かに握力トレーニングは解剖学的には前腕を成長させます。実際のところ2015年の調査によると握力と前腕屈筋、つまり前腕の前部のサイズには正の相関関係がみられ、握力が強い被験者ほど前腕の筋肉が大きい傾向にあるようです。
そのため、前腕トレーニングで多くの人が握力を鍛えようとします。
しかし、それは前腕の筋肉の元々のサイズを理解していません。前腕の前部は小さく、なかなか成長しづらい筋肉でもあります。筋肉の成長は足し算ではなく掛け算であるため、ボディビルや筋肥大にとって元々のサイズが大きい筋肉を鍛えることは常識です。例えば肩にはいろいろな筋肉がありますが、ほとんどの人がローテーターカフのような小さい筋肉ではなく、三角筋という大きな筋肉を優先して鍛えます。
フィットネスの研究者であるmenno henselmans博士は前腕トレーニングは費用対効果が低いと話すようにかなり頑張っても成長する量はわずかしかない可能性があります。握力が100kg以上ある人の前腕の前部は確かに大きいですが、逆に言うとそのレベルにたどり着かなければ大きな前腕は手に入らないということです。
さらに握力トレーニングは筋肥大にとって重要なストレッチと広い可動域がありません。腹筋トレーニングではプランクよりもクランチのほうが筋肥大効果が高いように何かの状態を維持するというよりも筋肉を伸ばして収縮させる必要があります。
特に握力トレーニングでは前腕の筋肉のストレッチがないため筋肉の成長にとって最適ではありません。
さらに前腕の前部は露出頻度が低く、ほとんどの体制では前部は隠れています。これは後部と前部の日焼けの違いを見ても明らかです。ほとんどの人は後部のほうが肌が黒く、よく見たり、「あの人前腕太いな」と思うのは前腕の後部で判断することがほとんどであり、握力トレーニングメチャクチャして筋力は伸びてるけどあんまり前腕の見た目が変わりませんという相談を受けることがありますがそれは成長しにくく目立ちにくい前部を優先しているためです。
ファットグリップは?
補足ですが前腕にはファットグリップというアイテムもあります。これは神経ドライバーを活性化して筋肉の活動を高くしたり、握りづらくなるため握力が握力が鍛えられるとよく紹介されていますが神経ドライバーの理論は信頼性は非常に低く、握力トレーニング以外では役に立たない可能性が高いです。
例えば2021年の研究ではファットグリップアリとナシでデッドリフト ベントオーバーロウ アップライトロウ コンセントレーションカール 懸垂の5種目で調査を行ったところ前腕と肩の筋活動はファットグリップによって上昇しましたが腕の筋肉の活動は大幅に低下しており、全ての種目は1RMが減少していることを発見しました。
バイセプスカールやトライセプスエクステンションなど前腕以外の種目でファットグリップを使用している人がいますがこれは握りづらくなることで回数や重量が落ちるため上腕二頭筋や三頭筋の発達が阻害されています。前腕以外の部位にとってはメリットはほとんどありません。
前腕を効率的に成長させたい場合は、外見的にも重要ではなく成長しにくい前部を狙う握力トレーニングをするのではなくこれから紹介するサイズが大きく成長しやすい部位を狙うのが最適です。
腕橈骨筋を狙う
前腕を効率的に成長させたい場合、外見を変えたい場合は腕橈骨筋を狙うのがベストです。多くの人はこの筋肉のサイズを過小評価しています。この筋肉は前腕の中では群抜いて巨大な筋肉であり、後部にある筋肉であるため前部よりもはるかに目立つ筋肉です。
多くのボディビルダーが握力トレーニングをしないのはこれが理由です。外見の差が出やすいのは前部ではなく後部、特に腕橈骨筋であるためこの部位を狙う人がほとんどです。
先ほど紹介したように筋肥大によって外見を変えるためには最初から大きな筋肉を鍛えるのが定石であるため前腕の中でこの部位を狙ったほうがリストカールや握力トレーニングをするよりも効率的に前腕の外見を変えることができます。
さらに、前部は握力に関わっているため普通のトレーニングでも筋力アップや筋肥大が見込めますが後部については他のトレーニングでは手首の伸展や指の伸展がほとんどないためこの部位を直接的に鍛えないと筋トレ歴10年以上でも後部のサイズだけほとんど筋トレ初心者時代と変わらないということもあり得ます。
さらに、腕橈骨筋は肘関節の屈曲という運動で強く活性化されますが、あくまでも肘関節の屈曲で最も働く上腕二頭筋です。そのため、上腕二頭筋トレーニングで腕橈骨筋は活性化されているのは事実ですが、筋肥大にとって十分な負荷がかかっているかといわれると実はそうでもないため直接的なトレーニングが必要です。
腕橈骨筋を鍛える代表的な種目は回内グリップのカールでこの運動は前腕の中でも特に腕橈骨筋にフォーカスしたトレーニングです。一般的に上腕二頭筋のカールトレーニングでは手のひらを上にした回外グリップで行いますが、バーの持ち方を変えるだけでウエイトの負荷を上腕二頭筋から腕橈骨筋にシフトすることができます。
人間の生体力学上、回内グリップにすることで上腕二頭筋は非常に不利な位置になりトレーニング中の活動は大きく落ちてその分腕橈骨筋の支配率が高くなります。前腕を鍛えるとき、バーの握りは回内グリップで持ちましょう。
前腕を鍛える最強種目
前腕を鍛える最強種目はリバースグリップのケーブルカールがおすすめです。
フィルヒースなどの前腕が巨大なボディビルダーはハンマーカールを好みますが最新の科学的データからするとこの種目は筋肥大にとってそれほど良くない可能性が高いです。
リバースグリップにすることで前腕と上腕筋に負荷を集中させることができます。ハンマーカールのようにニュートラルグリップにする方法もありますが、回内グリップで手のひらを下にしたほうが上腕二頭筋の活動を抑えることができるため前腕の腕橈骨筋の活動が高まります。
そして、ケーブルを使うことで筋繊維のストレッチがかかります。一般的なフリーウエイトカールでは筋繊維が伸びているときに負荷がありません。科学的なデータから筋繊維が伸びている位置で負荷をかけると成長が促進されるというかなり説得力のある証拠があります。
そのため、ケーブルを使って筋繊維が伸びている位置で横に引っ張る力をかけると腕橈骨筋がストレッチし、筋肉がより成長しやすくなります。
ケーブルにハンドルをつけて逆手で引っ張ります。この時親指を下に回すのではなくひっかけてサムレスグリップで持つのがおすすめです。そして、引っ張ったときにケーブルが腕に当たらないように高さを設定します。大体おすすめとしては膝と同じ高さに最初は設定してストレッチを感じられるように設定しましょう。
そして、肘を伸ばした時にウエイトプレートが完全に下りてしまうと物理的な負荷が無くなってしまうためある程度マシンから離れて行いましょう。
そして、肘を曲げてウエイトを引っ張ります。最後の重要なポイントはフィニッシュと同時に手首を伸展させることです。これによって手首が伸展するため腕橈骨筋だけではなく前腕の後部全体も強く活性化されます。ストレッチの感じ方には腕の長さなど個人差が強いのでいろんな角度、そしてどれくらいケーブルマシンから離れて行うかを試してみて最もストレッチの感じやすいポジションを見つけるのが近道です。
ストレッチポジションというのは最も筋肉に負荷のかかる位置であるため普通のリバースグリップカールよりも扱う重量がかなり落ちると思います。しかし、それこそ筋肉の成長にとって重要な部分で負荷がかかっている証拠でもあります。2~5kgくらいのウエイトからまずは始めましょう。
前腕筋トレメニュー
前腕は大胸筋や背中、大腿四頭筋と比べても非常に小さくトレーニング後の疲労も感じにくいです。さらに、基本的に前腕のトレーニングはその日のメニューの最後に行われます。そのためトレーニングはかなり限界まで近いラインで追い込んでもほとんど問題がありません。
上がらなくなるまでとは言いませんがあと1repはできないなと思うくらい限界ギリギリを攻めてもOKです。
筋肉の成長のためには高頻度で鍛えたほうが成長しやすいため、筋トレメニューの最後に毎回リバースグリップカールをやると効果的です。時間をあまりかけたくないという人はドロップセットで鍛えるのもおすすめです。ドロップセット法は小さな筋肉に特に有効な鍛え方です。
リバースグリップカールでは必ずスタートポジションで腕橈骨筋のストレッチを感じることが重要です。意外とこれが難しくて腕の長さなどによって同じやり方でも差が出ます。自分にとってどれくらいの高さが最適なのか。そして、ケーブルマシンからどれくらい離れるのがベストなのかを判断しましょう。
回数としてはベストはありませんが比較的高回数でやるとボリュームが増える傾向が強いため高回数の方がおすすめです。20rep程の回数でかなり限界に近いラインまで追い込みましょう。
前腕を効率的に成長させたい人は元々巨大であり外見的にも重要な後部、特に腕橈骨筋を狙うのがおすすめです。そして筋肉の成長のためにはストレッチが重要であるため、リバースグリップカールを高頻度で高回数、限界に近いレベルまで追い込みましょう。
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