【科学的根拠ゼロ】EAA肯定派の意見を基にサプリメントの効果を徹底解説!
筋トレ中に飲むイントラワークアウトドリンクの中に含まれているサプリメントで最も多いのがEAAやBCAAなどのアミノ酸サプリメントでしょう。多くのトレーナーやYoutuber、インフルエンサーがこのサプリメントを摂取することで筋肉のサイズにメリットがあるといいます。
1.EAAを飲むことで合成反応、分解反応が改善されるから筋肉が増えやすく落ちにくくなる
2.アミノ酸サプリメントのほうがプロテインよりも吸収速度が速い
3.吸収速度が速いとメリットがある
4.起床後は空腹で筋肉が分解されてるからEAAを飲む必要がある
5.筋トレ中にEAAを飲むと良いことがある
6.EAAに加えてベータアラニンがあるとメリットが増える
7.EAAサプリメントのアミノ酸配合比率は科学的根拠を基にしている
8.EAAサプリメントはコスパが良くトレーニーにとって必要なサプリメントだ
このうちひとつでも正しいと思ってる人は絶対にこの動画を見たほうがいいです。
この記事ではEAA肯定派の意見を基に、EAAの必要性を科学的に徹底解説します。この動画がいいと思っていただけたら最後に是非高評価をお願いします。
EAAってなに
EAA、EAAサプリメントとはどんなものか。まず筋肉を構築するためにはアミノ酸が必要です。種類としては一般的に20種類といわれていますが、2012年の研究に示されているように実際はセレノシステインを入れた21種類であることが報告されています。
アミノ酸は筋肉の成長にとって非常に重要ですが、アミノ酸はタンパク質を構築するため、タンパク質を摂取してアミノ酸を補給する方法でも同じです。
その中でも9種類は必須アミノ酸と呼ばれて体内で生成できないため食事によって外部から補給する必要があります。逆に言うと残りの12種類は非必須アミノ酸とよばれ、体内で生成できるため、不足するのはほとんどの場合必須アミノ酸です。
必須アミノ酸が不足すると筋肉の成長に大きな問題が出るためタンパク質を摂取したり、EAAサプリメントでアミノ酸を補給する必要があります。基本的にはEAAサプリメントというのはこの必須アミノ酸を入れたサプリメントのことを指します。
ただし、EAAサプリメントには過大評価されていたり科学的根拠がほとんどないにもかかわらず、さも効果が証明されているかのようにメリットが紹介されていることが非常に多いです。次のチャプターではリアルな科学的なデータを基にEAAサプリメントの迷信について解説します。
9割が知らないEAAの迷信
サプリメントや健康食品では消費者の購買欲を高めるために使った場合のメリットを紹介することがほとんどです。この内容は正しく、科学的な証拠があるものもあればそうではないものもあります。EAAサプリメントも例外ではありません。
合成反応 分解反応
EAAサプリメントをはじめとしたアミノ酸サプリメントで最も過大評価されているのが合成反応の増加、分解反応の減少です。アミノ酸を摂取することで合成反応が増えることで筋肉がつく、分解反応が減ることによって筋肉が減りづらく、筋肉量にメリットがあるというものです。
例えば最も代表的なのが筋トレ中に合成反応と分解反応が起こっているため、このタイミングでアミノ酸を摂取すると筋肉の成長が促進されるとともに分解が抑制されるため多くの筋肉が成長するという考え方があります。
しかし、これが実際の筋肉量に影響するというデータは多くありません。
例えばBCAA、HMBについてのデータを見てみましょう。BCAAは必須アミノ酸の中で特に重要と考えられているバリン、ロイシン、イソロイシンの3つを含んだサプリメントを指します。調査によるとこの3つの中でも特にロイシンは筋肉の合成反応を強めることを示しています。
そのため、BCAAの中で特に重要なロイシンやロイシンの代謝物であるHMBというサプリメントが生まれました。実際、このBCAAやHMBサプリメントを摂取することで筋肉の合成反応の増加や分解反応の減少を裏付けるいくつかのデータが出ており、2023年の9月に行われたレビューという科学的に最も信頼性の高いデータでもBCAAの補給によって筋肉の分解反応の向上を防ぐことができることを示しています。
しかし、実際の筋肉量について調査をしたところ筋肉のサイズには一切のメリットがありませんでした先程の理屈を基にすると筋肉のサイズに差があるはずですが、BCAAサプリメントの補給による実際の筋肉量について調べたレビューでも「BCAAの効果について複数の研究をまとめて分析したところBCAAサプリメントの使用を正当化する証拠はなく、パフォーマンス,強さ,筋肉量はBCAAの補給に影響を受けない」ということが示されており、HMBについて、同様に信頼性の最も高いメタ分析によると筋力や体組成についてHMBサプリメントの影響が発見できなかったことを示しています。
実は、合成反応が上がっても筋肉が増えない、分解反応が上がっても筋肉が落ちないということは科学的データでは全く珍しくありません。
例えばこの後に詳しく解説しますが、何時間も食事をしていない状態だと筋肉の分解反応が有意に高まりますが、その状態で筋トレをしても筋肉は落ちないことを示す説得力のある証拠が多くあります。
加えて毎日多くのたんぱく質を摂取しているトレーニーは筋トレの時間帯に関わらず筋肉の合成を促進させたり分解を妨げるだけの十分なたんぱく質が体内にあるため、筋トレ中の分解反応の向上によって筋肉が落ちる可能性はほぼゼロです。
実際、筋肉の合成反応の向上や分解反応の抑制を示す研究で対象になった被験者はもれなく1日のたんぱく質摂取量が十分ではありません。
吸収速度
EAAサプリメントのほうがプロテインサプリメントよりも吸収速度が早い。確かにタンパク質は摂取された後にアミノ酸に分解されてから吸収されるため、アミノ酸で摂取したほうがたんぱく質を分解する工程が必要ないため吸収されるスピードが速いというのは理にかなっています。
そこでmenno henselmans博士は2つの研究を参照し吸収速度を比較しました。2018年のナカヤマキョウスケらによって行われた研究では若い成人男性11人を12~15時間の断食を行わせて、一方のグループに加水分解されたホエイプロテイン、もうひとつにEAAアミノ酸サプリメントを与えました。
結果として両方のグループの血中アミノ酸濃度の上昇速度はほとんど同じであり、上昇量はEAAとプロテイン3.3gが最低であることがわかりました。
そしてもうひとつのデータサンプルとして2009年の研究では一般的なホエイプロテインと加水分解されたプロテイン45gで吸収速度の比較をしたところ両グループのスピードはほとんど同じであることを示しているため、menno henselmans博士はEAAブレンドサプリメントとホエイプロテイン全般の吸収速度は変わらないと回答しました。
理論的にはアミノ酸サプリメントのほうが吸収速度は速いです。しかし、人間は長い歴史の中でアミノ酸をタンパク質として補給していたためいきなりアミノ酸を摂取してもあまりメリットはない可能性が高いことに注意する必要があります。
そもそも、吸収速度が速いのがなぜ良いかについて多くのトレーナーやYoutuberは筋肉が破壊されるからと答えます。しかし、2016年のデータでは断食中に筋トレをした被験者でもトレーニング前に食事をする被験者と同じだけの筋肉量を獲得できることを示しており、
2017年、信頼性の頂点にあるレビューでは複数のデータを分析したところ空腹状態で運動をしても筋肉は落ちないことを認めているため、よくある朝起きてすぐEAAをとらないと筋肉が落ちるということはまずありません。
よく考えてみてください。空腹になると筋肉がどんどん落ちるといわれていますが、生物的にそれには何のメリットもありません。捕食者は脂肪だらけで追いつけなくなり、被食者は筋肉が落ちれば逃げられなくなります。生きていくために体脂肪と筋肉どちらが重要か、どちらを先に減らすべきかは悩まずともわかるはずです。
その証拠に筋肉の分解について調べた研究では人間が飢餓状態になると窒素排泄量が大きく下がって筋肉の分解を防ぐ働きがあることがわかっています。そもそも空腹は飢餓ではありません。8時間寝た直後であっても体内の栄養が枯渇している状態ではないため多くの筋肉が破壊されるという理論はあまりにも馬鹿げています。
ちなみに空腹状態で運動すると分解反応が2倍になることが示されていますがレビューに示されている通りそれが筋肉量に影響を与えることはほとんどないため、分解反応が増えたからといって筋肉が減るわけではないことを証明しています。
EAAは吸収速度が速いといわれますが、それは理論的なものです。吸収速度は変わらないもしくはほんのわずかだけ早い可能性がありますが、その差は大きくありません。
そもそも根底から覆しますが、仮に吸収速度が速いといわれてもパーカーフィットネスはこう答えます。「だからなんやねん」。実際吸収速度が筋肉の成長に大きな影響を与えるという証拠はなく、世界的な権威であるブラッドシェーンフェルド博士も毎日のタンパク質補給が十分である場合、速いか遅いかはほとんど関係がないと答えています。
つまり、仮にアミノ酸のほうが吸収速度が早いといっても科学的データを見ると速いメリットはどこにもありません。これは筋トレで使うダンベルが赤色のほうが筋肉が成長する。青色のほうが成長しないといっているようなものだからです。
EAAサプリメントの科学的根拠がない理由
EAAサプリメント支持者の効果の解説には科学的な根拠がないものも非常に多いことがわかっていただいたので、ここからはEAAサプリメントが抱える大量の問題点について解説します。
プロテイン
BCAAやHMBの摂取をしても筋肉が成長しない理由のひとつに少しのアミノ酸しかないことです。家を建てるときは木材だけがあればいいわけではないように色々な道具が必要ですがそれと同じです。
そのため、BCAAやHMBよりもEAA摂取のほうが筋肉の成長にメリットがあるというのは説明がつきます。しかし、それは食事でたんぱく質を摂取したりプロテインサプリメントを飲むことでも同じです。タンパク質を補給すればすべてのアミノ酸を摂取することができます。
EAAサプリメントの最も大きな問題点はプロテインサプリメントを超える要素がほとんどないことです。少なくとも筋肉の成長についてのメリットはゼロであることはほぼ断言して言えます。
調べてみるとEAAのほうが筋肉の合成反応を促進するといわれているようですが、吸収速度の研究に加えて別の2008年の研究でも高齢者を対象にホエイプロテインとEAAサプリメントで比較をしたところホエイプロテインのほうがわずかですが合成反応を促進させる効果が高いことを示しているように、アミノ酸で補給したほうが合成反応が強くなるという証拠もありません。
吸収速度についてはよく言われますが、先ほど解説している通り「アミノ酸のほうが早い」といえるだけのデータはありませんし、早いメリットもありません。menno henselmans博士もEAAはプロテインの値段が高いバージョンであるだけと話しており、味が好きな人かアイソレート商品でも耐えられないほどの乳糖不耐症、非常に厳しいカロリー制限している人、お金を使うのが好きな人だけが使うべきと答えています。
ただし、ホエイプロテインも飲めないほどの厳しい減量をしてる人は世界中でもいるかどうか怪しいレベルですし、乳糖不耐症の人も別のエッグプロテインなどを使ったほうがはるかにコストパフォーマンスがいいです。そのためにホエイプロテインの3~5倍もするEAAを摂取する必要があるかは疑問です。
配合比率
EAAサプリメントはほとんどの場合、EAAブレンドとして売られていることがほとんどです。これは業者がアミノ酸の比率を決めて販売しています。
あなたがその企業の経営者だとするとどうしますか。出来るだけ安いアミノ酸でEAAブレンドサプリメントを作りたいはずです。このサプリメントのアミノ酸配合比率は業者にとって都合のいいもので構成されている可能性が高いです。
そもそも、必須アミノ酸9種類を多い順に並べるだけでも36万以上のパターンがあるため(362880)必須アミノ酸の最高のブレンドを作ることは不可能です。つまり、業者側がブレンドを作るときに参考にする科学的データは全くありません。いくつかのデータを見るとBCAAやロイシンが多いとメリットがありそうな感じはしますが、先ほど紹介したようにBCAAやHMBのレビューを見ればこれらのアミノ酸が多ければいいというのは同意できません。
最も信頼性の高い比率はホエイプロテインやタマゴなど代表的でよく研究がされている高たんぱくのものにアミノ酸の配合率を合わせることです。ただし、それをするとプロテインや食事でよくね?といわれたら否定できません。
EAAブレンドサプリメントのほぼすべては科学的データに基づいたアミノ酸比率ではなく業者側の都合によってきめられています。
ベータアラニン
一部のEAAブレンドにはβアラニンが含まれています。彼らはこの物質を入れることでパフォーマンスや筋肉の成長にメリットがあると考えていますが、残念ながら2017年のレビューによってそれは否定されています。研究者は23件のベータアラニンについてのデータをまとめて分析したところパフォーマンス等の生化学的パラメータを改善する証拠がなかったことがわかりました。
そもそも、ベータアラニンやグルタミンなどの非必須アミノ酸は体内で生成出来ることに加えて食事でも補給できるためもう十分すぎる量が摂取されています。サプリメントで補給する意味がほとんどないというのは当然のことです。
研究データ
そしてEAA摂取によってメリットを示すデータもかなり致命的な問題点があります。それはタイミングと被験者のたんぱく質摂取量です。
ブラッドシェーンフェルド博士は被験者のたんぱく質摂取量が十分であるとき、プロテイン、EAA、HMB、またはロイシンの補給が筋肉の適応に有益であるという説得力のある証拠は見たことがないと話しています。
例えばある研究で筋トレ中のEAA摂取によって筋肉が増えたとします。この結果を見て「筋トレ中にEAA飲むといいことがあるんだ」と思うのは早いです。そもそも、筋トレ中に飲む必要があるのか、被験者がこのEAAサプリメントを摂取するタイミング以外でアミノ酸を補給していたらどうなるのか。と考える必要があります。
実際、筋トレ中でなければならない理由、1日のたんぱく質摂取量が十分である人にとって追加のメリットがあるという証拠はゼロです。
食事などでたんぱく質を十分とってる人が飲むEAAはただの水であり、足りない人は高いだけのEAAを飲むよりもプロテインを飲んだり高たんぱくの食事をしたほうがはるかにコストパフォーマンスに優れています。
そして筋トレ中に飲む必要もありません。カゼインプロテインを寝る前に飲んでメリットがあるのはタンパク質が不足している人だけであるようにタイミングや吸収速度のメリットはタンパク質が足りていない人だけに当てはまりますし、そこを気を付けるなら毎日たくさんのたんぱく質をとるように意識したほうが間違いなく効果的です。
いかがだったでしょうか。EAAサプリメントは支持者が多いサプリメントですがほとんどのトレーニーにとって全く必要がありません。合成反応は筋肉のサイズに影響を与えるかは怪しく、断言しますが、今の科学的なデータではプロテインでよくね、タンパク質をたくさん摂るようにしたらよくね。と言われたら反論はできません。それかアミノ酸のほうが筋肉の合成反応を上昇させるというように嘘をつくしかありません。
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