【腕トレ】太い腕を作るための上腕三頭筋の鍛え方,科学的証拠アリ!
腕の筋肉を成長させて筋肉質にしたい場合や脂肪ではなく筋肉で腕を太くしたい場合、上腕三頭筋を成長させることが必須です。しかし、上腕三頭筋は鍛え方のポイントを知っていないと筋肉のバランスが悪くなったりトレーニングしてもあまり成長しない部位でもあります。
この動画では科学的な根拠を基に上腕三頭筋の鍛え方を紹介します。安全かつ効率的に筋肉を成長させたい人にとって、この動画は最適です。
解剖学的な上腕三頭筋
最高の上腕三頭筋トレーニングをするために、解剖学的に上腕三頭筋はどんな筋肉で、どんな運動に関係しているかを理解する必要があります。
上腕三頭筋には三つの頭があり、外側頭、内側頭、長頭です。
外側頭と内側頭は肘関節の伸展に関わり、肘を曲げた状態から肘を伸ばす運動に関係します。ベンチプレスなどのプレストレーニングをはじめ、ディップスやオーバーヘッドプレスなど上腕三頭筋のアイソレーション種目以外でも肘関節の伸展は存在しているため、上腕三頭筋用のトレーニングをしなくても筋肥大したり、筋肉量を維持できる可能性があります。
外側頭と内側頭は肘の伸展のみと非常に単純ですが長頭は肘の伸展に加えて肩関節の伸展にも関わります。例えば背中で肩関節の伸展を使う種目でプッシュ運動をしてるわけでもないのに上腕三頭筋が疲れるという経験をしたことがある人も多いでしょう。これは上腕三頭筋の長頭が非常に長く、肘関節だけでなく肩関節にもまたがる筋肉であるためです。
上腕三頭筋のサイズについては、2006年の研究によると成人の男女が持っている上腕三頭筋のサイズを調べたところ上腕三頭筋は上腕二頭筋の約2.5倍であることがわかりました。フィットネスの科学者であるmenno henselmans博士は上腕三頭筋についてインタビューで、腕を太くするためには上腕二頭筋よりも重要であると答えています。
腕を太くしたい場合は、上腕三頭筋を優先するのがいいでしょう。
上腕三頭筋の解剖学的な働きは鍛え方で非常に重要になるため、すべての頭は肘関節の伸展、長頭だけは肩関節の伸展にも関わるというのは必ず覚えておきましょう。
上腕三頭筋の鍛え方
上腕三頭筋は解剖学的な部分でも話した通り、部位によって若干運動に違いがあるため筋肉の成長にはバラツキが出る可能性があります。上腕三頭筋トレーニングといわれても大まかにいうと2つのタイプがありそれぞれどんな部位を狙って、なぜやる必要があるかは理解しなければなりません。
上腕三頭筋のプレストレーニング問題
特に上腕三頭筋の筋肥大で特に重要なのはプレストレーニング問題です。ベンチプレスや腕立て伏せでは上腕三頭筋は間違いなく活性化されていますが、長頭は肩関節の伸展にも関係しています。プレストレーニングではこの肩関節の伸展は全くなく、上腕三頭筋の運動は肘関節の伸展のみです。
そのため、プレストレーニング問題はベンチプレスなどで上腕三頭筋の外側頭は鍛えられるけど長頭は成長しないから上腕三頭筋トレーニングは長頭を狙った種目をやるべきというものです。
2020年にこの問題について調べた研究が発表されました。この研究ではベンチプレスとオーバーヘッドトライセプスエクステンションのトレーニングの組み合わせによって上腕三頭筋がどう成長するのかを調べました。
研究対象者は18~35歳の男性50人で週に2回のトレーニングを10週間行い、4つのグループに分割します。
ひとつはベンチプレスのみを行うグループ、二つ目はオーバーヘッドのトライセプスエクステンションのみを行うグループ、もう二つは両方のトレーニングを行い、ベンチプレスを最初にやるグループとトライセプスエクステンションを先にやるグループに分けます。
この研究は少なくとも過去6か月筋トレをしていなかった筋トレ未経験者が対象であり、この動画を見てるほとんどの人とは筋トレ経験が違うことが問題点ですが面白いことがわかりました。
まず、上腕三頭筋のサイズはベンチプレスのみと比べてオーバーヘッドのトライセプスエクステンショングループは2倍の上腕三頭筋の成長を経験しました。これを見ると上腕三頭筋の成長にはプレストレーニングはあまり効果的ではないことが予想できます。
しかしながら、上腕三頭筋の外側頭のみに注目するとオーバーヘッドのトライセプスエクステンションはベンチプレストレーニングよりも成長率がはるかに小さく、加えてベンチプレスとトライセプスエクステンションを両方やるグループでもベンチプレスとは成長率がほとんど同じでした。
ただし、上腕三頭筋の長頭ではこれと逆の現象が発生し、トライセプスエクステンションのみのグループはベンチプレスだけのグループよりもはるかに高い成長率を達成しました。
そして、内側頭でも長頭ほどではありませんがトライセプスエクステンションのみのグループは高い成長率を示しました。
つまり、トライセプスエクステンショングループの上腕三頭筋全体の成長率はほとんどが内側頭と長頭のみであることがわかります。
この研究を参照するとプレストレーニングで上腕三頭筋の外側頭は成長するから上腕三頭筋のアイソレーション種目では長頭を狙うべきというのは正しいと思います。加えて、menno henselmans博士はインタビューで外側頭と内側頭は非常にシンプルであるため無視できると答えています。そのため、上腕三頭筋トレーニングは長頭を特に意識するのがいいでしょう。そうすることで上腕三頭筋全体がバランスよく鍛えられる可能性があります。
上腕三頭筋の長頭を鍛える方法
上腕三頭筋の長頭を鍛える種目は代表的なものとしてオーバーヘッドのトライセプスエクステンションが上げられます。
肩関節の伸展機能と上腕三頭筋について調べた研究では肩関節の伸展のみの場合、上腕三頭筋の長頭の活動はあまり高くないことが示されているため肩関節の伸展を使うときは肘を伸ばす運動も追加するべきでしょう。
そして腕の角度についてですが、2010年のアンドリューデビッドソンらによる研究では上腕三頭筋の3つの頭の活動は肩関節の伸展範囲0〜180度でほとんど同じだったことを示しています。どういうことかというと腕を上にあげるオーバーヘッドのエクステンショントレーニングと腕を体にくっつけたケーブルプッシュダウンのような運動には上腕三頭筋の活動にはほとんど差がなかったということです。
加えて2018年の研究ではダンベルのエクステンショントレーニングで、座った状態でオーバーヘッドで行うのと寝た状態で顔の前で行うものとでは長頭の活性化に違いがなかったことを示しています。
一般的にオーバーヘッドは長頭といわれていますが、頭の後ろで行うエクステンション種目と顔の前で行うエクステンショントレーニングでは実際に肩関節の伸展を行っていなければ長頭の活性化に大きな違いはないと思います。そのため、トライセプスエクステンショントレーニングではオーバーヘッドでスタートでは頭の後ろにバーを配置して肩関節の伸展を使いながら顔の前あたりに引っ張ります。
フリーウエイトでは強度曲線がバラバラであるため肩関節の伸展を使用したケーブル種目もおすすめです。
間違った鍛え方
上腕三頭筋の長頭向きの種目が少ない
上腕三頭筋の間違った鍛え方としては最初は長頭のトレーニングの割合です。上腕三頭筋のトレーニングボリュームをすべて長頭狙いにする必要はないと思いますが全体的に成長させたい人は6~8割程度は長頭向きの種目をすることを推奨します。
特にナローグリップのベンチプレスなどは大胸筋などのコンパウンドトレーニングを行ってる人には外側頭を強く刺激して上腕三頭筋のバランスを悪くする可能性があるためおすすめはしません。加えて長頭を狙うためにはオーバーヘッドでトレーニングすることだけでなく、肩関節の伸展を使って腕を後ろに引っ張る運動も追加しましょう。
ストレッチと可動域不足
次はストレッチと可動域不足、可動域と筋肥大の大量の調査により筋肥大にはストレッチポジションと広い可動域が重要であることを示しています。上腕三頭筋トレーニングでよくあるのはパーシャルレップ、プッシュダウンで言うと肘をスタートでしっかり曲げずに、肘の角度が90度の位置でストップさせるトレーニング法です。これはストレッチを殺します。
そしてもう一つは肘をロックさせないトレーニング。関節をロックさせると痛める可能性があるためあえてロックの寸前で止めるというものです。しかし、膝や肘をロックさせるとケガするという科学的な信頼性が高い情報は見たことがありませんし、スポーツサイエンティストのmike israetel博士も上腕三頭筋は深くウエイトを下してストレッチさせてから肘をロックするまでが正しいトレーニングだと話すように、元々肘に問題を持っている人でない限りロックのせいで壊れる可能性は低く、それは可動域を狭くしているため筋肥大効果が下がります。
上腕三頭筋は肘関節の伸展であるため、自分の上腕の向きと逆向きに力が入ると強いストレッチがかかります。スタートポジションでは肘を限界まで曲げて筋肉を伸ばします。
上腕三頭筋の筋トレメニュー
ラストは上腕三頭筋の筋トレメニューの構築法について紹介します。
速筋繊維が比較的多め
科学的なデータを見ると、上腕三頭筋は比較的、遅筋繊維よりも速筋繊維の割合が多い可能性があります。
しかしながら、2015年の研究では8~12回の高重量グループと25~35回の高回数グループでは上腕三頭筋の筋肉のサイズはほとんど同じであるように、科学的には高回数も高重量も筋肥大には重要であるため、速筋繊維だから高重量に反応するというのは筋肉の成長を制限します。
回数についてのレビュー研究を見ると、同じボリュームであるならおおよそ5~35回までは同様の筋肥大効果を得られます。ただし、これはある程度自分の限界から近いラインまで追い込んだ場合のみです。
筋トレ頻度
そして筋トレ頻度については科学的なデータを見ると高頻度のほうがボリュームを分割できて、筋肥大効果が高い傾向にあるため筋トレ中級者以上なら週3回以上の上腕三頭筋トレーニングを推奨します。
人によっては上腕三頭筋は他の筋繊維よりも筋肉痛が強い可能性がありますが、反復発作効果と呼ばれるトレーニングをしていくにつれて筋肉の損傷が小さくなり、回復が早くなるため高頻度で上腕三頭筋を鍛えるようなルーティンを続けていくと最初は無理だと思っても徐々に筋肉痛は小さくなります。
どうしても痛い無理な人は高頻度でやることは固定させてから徐々に1回あたりのセット数を増やしていくのが今後の筋トレ効果を考えるとメリットがあります。
筋トレのセット数
上腕三頭筋のセット数については各種目5セット、合計45セットを筋トレ経験の豊富な軍人に1週間で行うグループは上腕三頭筋を信じられないくらい成長させたように世間一般的にオーバーワークといわれるようなボリュームでも筋肉は成長し続ける可能性があります。
加えて、2022年の2月に最新のレビュー研究が発表されました。この研究では唯一統計的な有意性が発見された上腕三頭筋は20set以上でも筋肥大効果が高いことが示されているように、上腕三頭筋は大量のボリュームを行っても成長し続ける可能性が高いです。
とはいってもベンチプレスなどのコンパウンドトレーニングとの兼ね合いもあるため、おすすめのセット数としては、筋肉量を維持したい人、例えば背中を集中的にやりたいから上腕三頭筋トレーニングの時間も背中に回したい。とりあえず筋肉は落とさなければいいという人は、上腕三頭筋のトレーニングはコンパウンド種目さえやっていれば0setでも筋肉は落ちないでしょう。
実際に研究でもベンチプレスのみで長頭の筋肉量はわずかに増えています。
トレーニングの順番についてですが、最低でも大胸筋よりも後にトレーニングすることを推奨します。これは大胸筋のプレストレーニングで上腕三頭筋も使われているため先に上腕三頭筋を疲労させておくと大胸筋をある程度追い込むレベルまで到達する前に上腕三頭筋の疲労によってウエイトが上がらなくなるためです。
動画の途中で紹介した研究でも大胸筋の厚みは先にトライセプスエクステンションをやるグループはベンチプレスを先にやるグループの半分程度しか胸を成長させられませんでした。ただし、上腕三頭筋のサイズについてはトライセプスエクステンションを先にやっても後にやっても差はあまりないため、まずは大胸筋から鍛えることを推奨します。
筋トレ初心者や未経験者は1週間で5~10setやれば十分筋肥大効果は最大になります。未経験者の人なら10setもおそらく必要ないですね。中級者以上は15set程度の上腕三頭筋トレーニングを推奨します。週5回トレーニングをしている人なら1日3setずつ上腕三頭筋のアイソレーション種目を行えば合計で15setとなります。
おすすめのメニュー構成法としては、上腕三頭筋の2/3程度は肩関節の伸展を使った種目を取り入れるのがおすすめです。上腕三頭筋はコンパウンドでは強いストレッチは入らないため必ず筋肉に強いストレッチがかかるように自分の上腕の方向とウエイトの負荷の方向の関係を意識しましょう。
スタートポジションで自分の肘が曲がっているほど上腕三頭筋はストレッチしています。エクステンション種目は強度曲線の問題を考えるとマシンやケーブルを推奨します。
これらを守れば必ず上腕三頭筋は効率的に成長します。
コメント