【背中トレ】科学的な背中の広がりと厚みの鍛え方
この記事では実際にフィットネスに関係する学位を持っている博士の意見や最新の研究で示された内容などを基に背中の筋肉の正しい鍛え方を紹介します。mike israetel博士が地球上の95%の背中トレーニングは間違ってると言うように背中トレーニングの常識ともなっているやり方はあまり効率的ではないこともあります。
解剖学的な背中の鍛え方
大胸筋,上腕三頭筋,肩にある三角筋とは違い背中には大量の筋肉があります。
わきの下にある広背筋,中央にある僧帽筋,小さな筋肉である菱形筋と大円筋,そして脊柱起立筋など数えきれない筋肉がありますがそれぞれの筋肉の役割は大きく2つに分けることができるため、そこまで筋トレ初心者のひとも難しく考える必要はありません。
背中の筋肉群の中で最も外見的に重要なのは僧帽筋と広背筋です。僧帽筋は背中の厚みを作り、広背筋は背中の広がりを作ります。とりあえずはこの2つの筋肉に集中して背中トレーニングメニューを構築することをおすすめします。
僧帽筋などの筋肉が関わるのは肩甲骨の内転や下制などです。肩甲骨を寄せたり下に下げたり上げたりするとき背中にある僧帽筋は強く収縮します。そして広背筋は肩関節の内転や伸展に強く関わります。
非常に重要なポイントですが、背中は僧帽筋と広背筋が特に外見的に影響します。この2つの解剖学的な役割を考えると背中の厚みを作る筋肉は前から後ろに引っ張る運動に深く関係します。加えて広背筋は上から下に引っ張る運動で強く刺激されます。。
背中のトレーニングで重要なのは厚みを作る,僧帽筋は水平,広がりを作る広背筋は垂直であることです。これを忘れないでください。
背中の鍛え方
背中トレには2種類必要
スポーツ生理学の博士号を取得しているmike israetel博士によると背中には2種類のトレーニングが必要なようです。
背中トレーニングにはベントロウやマシンロウのような水平プルと懸垂やラットプルダウンのような垂直プルが必要です。これは解剖学的な背中の筋肉を考えたときに理にかなっています。水平プルは僧帽筋の役割に最も適した運動であり、垂直プルは広背筋が持つ役割に最も適した運動です。
垂直プル=広背筋,水平プル=僧帽筋
例えばバスキーたちの2000年に行われた代表的な筋電図分析では胸骨へ引っ張るラットプルダウンがベントオーバーロウよりも広背筋の筋肉の活性化が強いことを示しています。これは広背筋が上から下に引っ張る垂直の運動に強く関係していることからも分かる通り自然なことです。
逆に背中の厚みを作る僧帽筋の中部,下部にとってはリバースのマシンフライが最も強い筋肉の活性化を示しています。これは僧帽筋が前から後ろに引っ張るような水平の運動に強く関係しているためです。
背中の厚みと広がりの両方を作るためには1種目ではできません。それぞれ1種目ずつ取り入れて、この2種類を同じボリュームで行うと背中の厚みと広がりがバランスよくできた背中になるようです。
背中のおすすめ種目
広背筋を狙う種目
背中の広がりと厚みを作るおすすめの種目を紹介します。
まずは背中の広がりを作る懸垂です。最も原始的な運動ですがラットプルダウンよりもおすすめの種目です。
ひとつ目の理由は多くの筋肉を鍛えてくれます。2013年のEMG研究によると懸垂はラットプルダウンよりも脊柱起立筋や上腕二頭筋の活動が優位に高いことを示しています。
加えてACEの研究でも懸垂はラットプルダウンよりも広背筋の筋活動が強いことを示しています。そしてラットプルダウンよりもおすすめな理由としてはローディングのやりやすさ、加重のやりやすさです。
ラットプルダウンはマシンなので細かい重量調整ができません。次回は1kgだけ増やしたい,2.5kgだけ増やしたいといった細かい設定ができないので懸垂よりもローディング計画がかなりやりづらくなります。
しかし、懸垂は加重ベルトさえあればウエイトプレートを使うだけで細かいローディングができます。
懸垂やラットプルダウンはワイドだと広背筋とよく言われていますが2010年の研究ではワイドとナローで広背筋の活性化に違いが無かったことを示しています。加えて、2014年の研究でもグリップ幅によって広背筋の筋活動に有意な差がありませんでした。
ワイドにすると手首のケガのリスクや可動域が狭くなります。肩幅よりもワイドにするメリットは基本的にありません。最もおすすめの手幅は肩幅よりもやや広めにするのがおすすめです。
僧帽筋を狙う種目
続いて背中の厚みを作る種目です。おすすめはベントオーバーロウ。アメリカ運動評議会ACEの研究では僧帽筋中部の筋肉の活性化はインバーテッドロウと同じで、非常に高いことがわかります。これはそれぞれ水平に前から後ろに引っ張る運動であることから分かる通りです。
これについてもワイドにすると広背筋狙いという人もいますが間違いです。ワイドにするメリットは1つもないので肩幅よりやや広いくらいをおすすめします。
背中トレーニングの代表的なミス
ほとんどの背中トレは間違ってる
続いて背中トレーニングの代表的なミスです。mike israetel博士は最初にも話した通り自身の記事で地球上の背中トレーニングのうち約5%程度しか正しい鍛え方をしていないと紹介しています。
背中の筋肉の役割を知っているつもりでいてもそれをトレーニングに反映できていない人は非常に多いです。理由についてmike israetel博士、そしてフィットネス研究所の理事であるmenno henselman博士は次のように話します。
背中トレーニングの圧倒的に多い間違いはストレッチ不足と背中の筋肉に強く刺激を入れる方法を知らないことです。例えばこんなダンベルロウはどうでしょうか。多くの人がやってる背中トレーニングですしもしかしたら視聴者の人の中でもやってる人がいるかもしれません。
背中の厚みを作る筋肉を効率的に刺激するためにはその筋肉に対してまっすぐ刺激を入れることです。このダンベルロウは背中に対して斜めに物理的な負荷がかかっています。これではたとえ50kgのダンベルを扱っていても50kg分の負荷が入っていません。
世界的なフィットネスの権威であるブラッドシェーンフェルド博士も芝刈り機をスタートさせるようなポーズでダンベルロウを行うと最適な筋肥大効果を得られないと発信しています。
このトレーニングはダンベルの負荷を肩甲骨を上げる運動に関与する僧帽筋の上部と肩甲骨を寄せる僧帽筋の中部でシェアしているようなものです。それなら両方のトレーニングになって効率的じゃんと思う人がいるかもしれません。しかし、鍛えたい筋肉に斜めに負荷を加えることは可動域とストレッチの減少になります。さらには広背筋を鍛えるために重要な運動である肩関節の伸展も角度をつけたダンベルロウでは30度程度しかありません。
立った状態のダンベルロウよりもベンチ台に膝をつくダンベルロウのほうが筋肉に対して垂直に負荷が乗るのと同時に腕の長さを最大限生かすことができ、可動域の拡大や僧帽筋のストレッチ感も強くなります。さらには肩関節の伸展範囲も90度近くになるため広背筋も効率的に鍛えられます。ベントオーバーロウでも状態を起こしてバーを持ち上げる人が多いですがこれは僧帽筋と広背筋にとって中途半端なトレーニングとなります。
ストレッチと広い可動域が重要
最近のメタ分析によると広い可動域は狭い可動域よりも筋肥大効果が高いことに加えて可動域の中でストレッチが強いトレーニングの方が効果的であることを示しています。例えば最新の研究では収縮部分のみのプリチャーカールよりもストレッチ部分のみのプリチャーカールのほうが遥かに筋肥大していることからも分かる通り、ストレッチをかけることで筋肉が成長しやすくなることを示しています。
ロウで特に間違えてる人が多いのでロウを紹介しましたが、懸垂で広背筋を伸ばしていなかったりラットプルダウンで肘を曲げたままプルを行うのも非常に効率が悪いです。
そしてもうひとつの代表的な間違いは収縮したままプルを行うことです。シーテッドロウ、ベントオーバーロウでよく見かけますが背中を収縮した状態を維持しながら引っ張っても背中にはほとんど負荷は入っていません。
これは肘を曲げながらダンベルカールを行うのと同じです。肘関節はほとんど機能してないので上腕二頭筋は全く刺激されていません。
つまり収縮させた状態でプルを行うことは背中の筋肉の活動を大幅に下げて肩や脊柱起立筋に負荷を集中させてるのと何も変わりません。
mike israetel博士のベントオーバーロウを見てください。スタートでストレッチをかけて引っ張ってることがわかります。ストレッチを無視したり鍛えたい筋肉に対してまっすぐではなく斜めに負荷をかければ重いダンベルは扱えて承認欲求は満たせるかもしれませんが背中は発達しません。
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