
ダイエットで一番よく聞く言葉が「結局カロリー」です。食べる量より消費する量が多ければ痩せる。これは間違いではありません。体脂肪を落とすには、最終的にカロリー赤字が必要です。
でも、ここで多くの人が失敗します。カロリーは正しい。でも、カロリーだけ見ていても痩せません。
なぜなら、あなたが思っているカロリー収支と、実際に体の中で起きているカロリー収支はズレるからです。実際、ある研究では、運動で消費したカロリーから予測される体重・体脂肪の減少量と、実際に体から減った量は一致しませんでした。つまり、運動で500kcal消費したからといって、そのまま体脂肪が500kcal分減るわけではないということです。
今回は、なぜカロリーを減らしても痩せないのか、そしてカロリー計算より先に何を変えるべきなのかを科学的に解説します。
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CH1:結局カロリー。でもここで終わる人は痩せません
まず最初に、ここだけは絶対に外せません。体脂肪を落とすには、最終的にカロリー赤字が必要です。
主張:体重・体脂肪の変化を考えるうえで、エネルギーバランス、つまり摂取エネルギーと消費エネルギーの関係は基本原理になる。
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22434603/
どれだけ糖質を減らしても、どれだけ脂質を減らしても、どれだけ断食をしても、体脂肪が落ちるときは、基本的に摂取カロリーより消費カロリーが多い状態になっています。つまり「カロリーは全く関係ない」という考え方は間違いです。
実際、609人を対象にした12か月の研究では、健康的な低脂質食と健康的な低糖質食を比較しています。結果として、低脂質でも低糖質でも体重は減りましたが、2つのグループの体重減少に大きな差はありませんでした。さらに、インスリン分泌の違いや遺伝子タイプによって、どちらの食事が有利かも予測できませんでした。
主張:健康的な低脂質食と健康的な低糖質食を12か月比較した研究では、体重減少に有意差はなく、遺伝子タイプやインスリン分泌も「どちらの食事が合うか」を予測しなかった。
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29466592/
つまり、糖質制限だから特別に痩せる、脂質制限だから特別に痩せる、断食だから特別に脂肪が落ちる、という話ではありません。どんな方法でも、最終的に痩せる理由は、カロリー赤字が作られるからです。
ただし、ここで終わる人ほど失敗します。
「じゃあ結局カロリーなら、食べる量を減らして運動すればいいんでしょ」と考えるからです。もちろん方向性は間違っていません。でも、問題はそこまで単純ではありません。
実は運動や食事制限で作ったカロリー赤字は体内でその状態が維持されるわけではありません。どういうことかというと500kcalの赤字を作っても体内では赤字は200kcalだったり、相殺されてほとんど赤字がゼロになることがあります。これは多くの科学的なデータで証明されています。

つまり、ダイエットの原理はカロリーです。でも、成功を決めるのは、カロリー計算の細かさだけではありません。問題は、そのカロリー赤字を本当に作れているのか。そして、体がその赤字を勝手に打ち消していないかです。
ここから、カロリーを見ているのに痩せない理由を、摂取カロリー、消費カロリー、脂肪燃焼の3つに分けて解説します。
CH2:摂取カロリーは、食欲で勝手に変わります
まず見落とされやすいのが、摂取カロリーです。
多くの人は、食べる量は自分の意思で決まっていると思っています。でも実際には、何を食べるかによって、食欲は変わります。満腹感も変わります。そして、気づかないうちに食べるカロリーも変わります。
一番わかりやすいのが、超加工食品です。スナック菓子、菓子パン、冷凍ピザ、カップ麺、甘い飲み物。こういった食品は、単にカロリーが高いだけではありません。食べる量を増やしやすいことが問題です。
実際研究では、超加工食品中心の食事と、未加工食品中心の食事をそれぞれ2週間ずつ食べてもらっています。この研究の面白いところは、用意された食事のカロリー、糖質、脂質、タンパク質、食物繊維、塩分などをできるだけそろえていたことです。
主張:超加工食品は、提示されたカロリーや三大栄養素などをそろえても、自由摂取では1日約500kcal多く食べられ、体重増加につながった。
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31105044/
結果として、超加工食品の期間では、未加工食品の期間よりも1日約500kcal多く食べられていました。そして体重はその分増えました。逆に未加工食品の期間では、自然に摂取カロリーが減り、体重も減りました。
つまり重要なのが食品の選び方が、カロリーを勝手に増やすということです。
逆に、食欲を安定させやすい食事もあります。その代表がタンパク質です。
タンパク質は、脂肪を勝手に燃やす魔法ではありません。でも、満腹感を作りやすく、食事誘発性熱産生も高く、筋肉を残すうえでも役立ちます。
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15466943/
つまり、タンパク質を増やすと痩せやすくなります。その理由は、タンパク質によって食欲が安定しやすくなり、結果としてカロリー赤字を作りやすくなるからです。
もう1つ重要なのが、食物繊維です。食物繊維が多い食事は、満腹感を作りやすく、食事を続けるうえでも役立ちます。
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31174214/
さらに見落としやすいのが、液体カロリーです。食事のカロリーは気にしていても飲み物についてはあまり気を使わない人は少なくありません。ジュース、カフェラテ、スポーツドリンク、砂糖を加えた甘いプロテイン飲料、アルコール。こういう飲み物は、カロリーがあるのに、食事ほど満腹感につながりにくいことがあります。
意外とジュースのカロリーは高いです。例えば運動中にスポーツドリンクを飲むとその消費カロリーを打ち消すほどのカロリーを摂取することもあります。
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21519237/
ダイエットの一番のストレスは空腹感です。ただ、適切な食品を選べば空腹によるストレスを少なくしながら痩せることが可能なんです。
CH3:消費カロリーも固定ではありません
次に見落とされやすいのが、消費カロリーです。
カロリー収支というと、多くの人はかなり単純に考えます。食事で300kcal減らした。運動で500kcal消費した。だから合計800kcal分、体脂肪が落ちるはず。こう考えます。

でも、これは間違いです。運動で消費したカロリーは、そのまま体脂肪から消えたカロリーではありません。
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29897822/
実際、過体重の成人を対象にした12週間の研究では、週に1500kcalを運動で消費するグループと、週に3000kcalを運動で消費するグループを比較しています。
もし単純な計算通りなら、週に1500kcal運動すれば、その分だけ脂肪が減るはずです。週に3000kcal運動すれば、さらにその2倍近く脂肪が減るはずです。
でも、結果はそう単純ではありませんでした。週1500kcalの運動グループでは、体脂肪の明確な減少は見られませんでした。一方で、週3000kcalの運動グループでは体脂肪が減りました。ただし重要なのは、どちらのグループでも、運動で作ったはずのカロリー赤字がそのまま脂肪減少にはならなかったことです。
週1500kcalの運動では、作った赤字のおよそ63%が相殺され、週3000kcalの運動でも、およそ34%が相殺されていました。つまり、運動で消費したカロリーの一部は、体の中で帳尻を合わせられていたということです。
脂肪を落とす目的で見るなら、運動の表示カロリーをそのまま信じるのは危険です。ランニングマシンに500kcalと出たとしても、それは「体脂肪が500kcal分減った」という意味ではありません。
さらに、消費カロリーは足し算のように増え続けるわけでもありません。
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26832439/
332人を対象にした研究では、身体活動量と総消費エネルギーの関係を調べています。その結果、活動量が低い範囲では、活動量が増えるほど総消費エネルギーも増えやすい。しかし、活動量が高い範囲では、その関係が弱くなり、総消費エネルギーが頭打ちに近づくことが示されています。
つまり、運動を増やせば、消費カロリーがそのまま無限に積み上がっていくわけではありません。体はどこかで帳尻を合わせます。基礎代謝が変わることもあります。普段の活動量が落ちることもあります。他のエネルギー消費が抑えられることもあります。
運動で500kcal消費したこと。1日の総消費カロリーが500kcal増えたこと。体脂肪が500kcal分減ったこと。この3つは同じではありません。
ここを間違えると、「運動しているのに痩せない」という状態になります。運動はしている。汗もかいている。消費カロリーも表示されている。でも、1日の最後に本当のカロリー赤字が残っていなければ、体脂肪は思ったほど減りません。
脂肪を落とすために見るべきなのは、運動中の表示カロリーではありません。1日の最後に、カロリー赤字がどれくらい残っているかです。
CH5:カロリー計算より先に、痩せる食事環境を作る
カロリー赤字が必要です。これは変わりません。ただし、全員が毎日細かくカロリーを数えないと痩せないわけではありません。そしてカロリー計算をしないと痩せられないわけでもありません。大事なのは、カロリー赤字を自然に残りやすくすることです。やることは、大きく4つです。
1つ目は、食事の質を上げること。
質を上げる方法は毎食タンパク質のものを最低一つは食べること。鶏胸肉、卵、魚、赤身肉、ギリシャヨーグルト、プロテイン、豆腐、納豆。なんでもいいです。毎食、タンパク質源を入れてください。タンパク質は、脂肪を勝手に燃やす魔法ではありません。でも、満腹感を作りやすく、ダイエット中に筋肉を守るうえでも重要です。だから最初にやるべきなのは、食事を減らすことではありません。まず、減らしてはいけないものを固定することです。
参考研究:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19400750/
次は、食物繊維の多い食品を食べること。食物繊維の豊富な食べ物は低カロリーであることが多いことに加えて噛み応えがあります。人間は噛むほど満腹感を感じるため歯ごたえというのは大きな意味があります。
最後は、超加工食品と液体カロリーを減らすことです。スナック菓子、菓子パン、カップ麺、甘い飲み物。これらは意思で耐えるより、最初から近くに置かない方が楽です。超加工食品が危険なのは、単にカロリーが高いからではありません。食欲を刺激して、食べすぎやすいからです。甘い。脂っこい。柔らかい。すぐ食べられる。止まらない。こういう食品は、満腹感よりも快感が先に来ます。だから、食べ始めると止まりにくい。こういった食品はゼロにしましょう。
参考研究:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31105044/
液体カロリーも同じです。ジュース、砂糖入りコーヒー、カフェラテ、スポーツドリンク、酒。これらは食べた感覚が弱いのに、カロリーだけが入ってきます。簡単に言うと満腹感は水と同じですがカロリーは大きく違います。だから最初にやるべきなのは、まず飲み物のカロリーを減らすことです。
参考研究:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3210834/
ふたつ目は痩せ方を変えること。多くの人が間違えるのが、運動で脂肪を落とそうとすることです。もちろん運動は健康に良いです。ただし、運動の消費カロリーは思っているほど多くありません。例えば体重70kgの人が運動だけで500kcal消費しようとすると、早歩きならだいたい100分前後、ランニングでも50〜60分くらい必要になります。
参考研究:https://www.nibn.go.jp/activities/documents/2024Compendium_table_adult_ver1_1_5.pdf
しかも、運動で表示された消費カロリーが、そのまま1日の消費カロリーに上乗せされるとは限りません。運動で300kcal燃やしたつもりでも、1日の消費カロリーが300kcal丸ごと増えるとは限りません。
参考研究:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26832439/
なので運動で痩せる。これを一度やめてください。カロリー赤字は食事で作ります。食事の質を上げることで勝手に脂肪は落ちていきます。そしてダイエット中の運動の本当の目的は、筋肉を守ることです。
食事だけで体重を落とすと、脂肪だけでなく筋肉も落ちやすくなります。筋肉が落ちると、基礎代謝が落ちて痩せにくくなる。リバウンドのリスクが上がる。そして免疫機能が低下することで病気にかかりやすくなったり、ケガしやすくなります。
有酸素運動では筋肉は落ちてしまうのでおすすめは筋トレ。筋トレといっても何時間もやる必要はありません。おおよそ1週間で1時間確保できればいいです。ジムに行ってない人なら家でスクワットや腕立て伏せをする。これだけで筋肉を守れます。
CH6:結論。痩せる人は、赤字が残る生活を作っています
ダイエットは、結局カロリーです。体脂肪を落とすには、最終的にカロリー赤字が必要です。これは変わりません。
でも、カロリーだけでは痩せません。というのも計算した消費カロリーの数字はそのまま脂肪を燃やすわけではないから。
ここを間違えると、運動しているのに痩せない。食事を減らしているつもりなのに痩せない。脂肪燃焼しているはずなのに体脂肪が減らない。こういう状態になります。
痩せる人は、カロリーを気合で削っているのではありません。ダイエットで失敗する人は食事の量を変えます。これによって空腹のストレスで続かなくなってしまいます。逆に成功する人は食事の質を変えています。

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