体脂肪を減らすために、特別な脂肪燃焼サプリや過酷な運動は必要ありません。普段から飲んでいるもの、毎日行っていること、そして一見ダイエットとは正反対に見えるものにも、実際に体脂肪の減少を助ける効果が研究で確認されています。
しかも、中には健康に悪い、太る、ダイエット中は避けるべきだと思われているものまであります。今回は、実は体脂肪を減らしていると判明した身近なものと、その効果を最大限に引き出す使い方を紹介します。
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CH1 人工甘味料入りの飲み物
最初は、ゼロコーラなどの人工甘味料入り飲料です。人工甘味料は、甘いのにカロリーがほとんどないため、食欲を増やす、腸内環境を悪化させる、最終的には太ると警戒されてきました。しかし、研究では、人工甘味料入り飲料は太るどころか、正しく使えば減量を助けています。

過体重または肥満の成人493人を対象にした研究では、参加者を水を飲むグループと、人工甘味料入り飲料を飲むグループに分け、12週間の減量と40週間の体重維持を行いました。52週間後の体重減少は、水のグループが6.1kgだったのに対して、人工甘味料入り飲料では7.5kgでした。両方とも行動的な減量プログラムを受けているため、ゼロ飲料を飲むだけで7.5kg痩せたわけではありません。それでも、水へ置き換えた場合と比べても人工甘味料入り飲料は減量を邪魔せず、わずかに大きな体重減少を維持しています。
https://www.nature.com/articles/s41366-023-01393-3
さらに17件のランダム化比較試験をまとめた研究でも、砂糖入り飲料を人工甘味料入り飲料へ置き換えることで、体重、BMI、体脂肪率がわずかに改善しました。その効果は、水へ置き換えた場合と同じ方向です。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35285920/
人工甘味料自体が、脂肪を直接燃焼させているわけではありません。最大のメリットは、甘さを残したまま飲み物のカロリーをほぼ消せることです。例えば500mLの普通のコーラには約200kcalが含まれます。これを毎日ゼロコーラへ置き換えれば、甘さを我慢せず、1週間で約1,400kcalを減らせます。砂糖入り飲料を我慢して水だけを飲み続けるより、甘いゼロ飲料を残した方がダイエットを続けやすい人もいます。
ここで心配になるのが、人工甘味料の安全性です。結論から言うと、認可されている人工甘味料を一般的な量で摂取したことで、がんなどの重大な健康被害が発生するという因果関係は、現時点では確認されていません。
特に批判されるアスパルテームは、2023年に国際がん研究機関から「発がん性がある可能性がある」と分類されました。しかし、これは通常の摂取量でがんになると判明したという意味ではありません。同時に評価を行ったWHOとFAOの専門家委員会は、人間における証拠には説得力がないとして、1日体重1kgあたり40mgという許容摂取量を変更しませんでした。
https://www.who.int/news/item/14-07-2023-aspartame-hazard-and-risk-assessment-results-released
体重70kgなら、ゼロ飲料を毎日9~14缶以上飲まなければ上限を超えません。普通に1日1本程度飲む範囲では、許容摂取量には大きな余裕があります。
欧州食品安全機関も、人間と動物の研究を包括的に評価し、現在の一般的な摂取量ではアスパルテームに安全上の問題はないと結論づけています。人工甘味料を無制限に摂取する必要はありませんが、ゼロ飲料を1日1本程度飲むことや、人工甘味料=不健康とまで危険だと恐れる根拠はありません。
実際問題、人工甘味料よりも肥満や体脂肪が多く蓄積してる状態のほうが危険です。
ジュースの飲料って実は結構高いんです。一本当たりご飯一杯分くらいのカロリーがあったりします。コーラをダイエットコーラに変える。ゼロ飲料に変える。これだけでかなりのカロリーを削減できます。
CH2 睡眠
次は睡眠です。寝ている間はほとんど動かないため、長く寝るほど消費カロリーが減り、ダイエットには不利に見えます。しかし、普段の睡眠時間が短い人にとって、睡眠を増やすことは体脂肪を減らすための有効な方法です。睡眠の最大のメリットは、特別な脂肪燃焼効果ではなく、睡眠不足によって起こる過食と筋肉の減少を防げることです。

普段6.5時間未満しか眠っていない過体重の成人80人を対象にした研究では、食事や運動を変えず、睡眠時間を延ばすための指導だけを行いました。その結果、睡眠時間は平均約1.2時間増え、1日の摂取カロリーは対照グループより平均約270kcal減少しました。消費カロリーには大きな差がなかったため、睡眠を増やしただけでエネルギー収支が改善しています。
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2788694
睡眠不足になると、空腹感が強くなり、高カロリーな食品への欲求も増えます。疲れて判断力が低下した状態では、必要な食事量を冷静に判断できず、お菓子や夜食にも手が伸びやすくなります。つまり、睡眠時間を削って起きていても、運動せずに食べる量だけが増えれば、体脂肪は落ちません。
さらに睡眠不足は、体重が減るときに脂肪ではなく筋肉を多く失わせる可能性があります。カロリー制限中の過体重者を、8.5時間眠る条件と5.5時間しか眠らない条件で比較した研究では、体重の減少量はほぼ同じでした。しかし、十分に眠った条件では脂肪が1.4kg減ったのに対して、睡眠不足では0.6kgしか減りませんでした。反対に筋肉などの除脂肪量は、十分に眠った場合の1.5kgに対して、睡眠不足では2.4kg減少しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20921542/
つまり、同じカロリー制限をして体重が落ちても、睡眠不足では脂肪が残り、筋肉が多く失われる可能性があります。体重計の数字だけを減らしたいなら睡眠を無視しても構いません。しかし、筋肉を残して体脂肪を減らしたいなら、睡眠不足は確実に避けるべきです。
睡眠を増やすことには、もう一つ単純なメリットがあります。夜に起きている時間が長いほど、ついお菓子を食べる、酒を飲む、夜食を取る機会が増えます。早く寝れば、意志の力で我慢しなくても、食べてしまいやすい夜の時間そのものを消せます。これは特殊な代謝作用ではありませんが、実生活では非常に強力です。
まず就寝時間を30分から1時間早めてください。睡眠の質を完璧にする前に、実際に眠っている時間を確保することが優先です。
結論、睡眠は寝ているだけで大量の脂肪を燃やす方法ではありません。睡眠不足による過食を防ぎ、減量中に脂肪ではなく筋肉が失われることを防ぐためのものです。さらに早く寝れば、つい食べてしまう夜の時間もなくせます。体脂肪を減らしたいなら、運動時間を増やす前に、まず不足している睡眠を取り戻してください。
CH3 食事前の水とスープ
次は、食事前の水とスープです。体脂肪を減らすためには食べる量を減らす必要があるのに、食事の前にさらに何かを口にするのは逆効果に見えます。しかし、水や低カロリーのスープを先に入れることで、その後の食事量が減り、結果として体重が落ちることが研究で確認されています。
肥満の成人84人を対象にした12週間の研究では、主な食事の30分前に500mLの水を飲んだグループは、食事前に水を飲まなかったグループより平均約1.3kg多く体重が減少しました。体重の5%以上を減らせた人の割合も、水を飲んだグループの方が高くなっています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26237305/
水を飲むと代謝が上がり、消費カロリーが増えるという説明を聞いたことがあるかもしれません。実際、古い小規模研究では、500mLの水を飲むことで一時的に代謝が約30%上昇したと報告されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14671205/
しかし、その後に行われたランダム化クロスオーバー試験では、常温の水を約500mL飲んでもエネルギー消費量は増加しませんでした。3℃の非常に冷たい水では、60分間のエネルギー消費量が約4.5%増えましたが、増加量はごくわずかです。仮に水を飲んで代謝が多少上がったとしても、それだけで体脂肪の減少に大きな影響を与えるほどではありません。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16822824/
つまり、食事前の水で体重が減った主な理由は、代謝が上がったからではありません。食事の前に胃の中へ水分を入れることで満腹感が生まれ、その後に食べる量が自然に減ったことの方がはるかに重要です。消費カロリーを数kcal増やすより、食事量を100kcal減らす方が体脂肪には大きく影響します。

水だけでなく、低カロリーのスープにも同じ効果があります。食事の前にスープを摂った研究では、スープを含めた食事全体の摂取カロリーが、スープを摂らなかった場合より約20%減少しました。スープを追加した分だけ摂取量が増えたのではなく、先に水分と容量が入ったことで、その後の主食やおかずを食べる量が大きく減っています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17574705/
ただし、どんなスープでも痩せるわけではありません。高カロリーのスープだと摂取カロリーは増えます。使うのは、わかめ、きのこ、野菜などを中心にした低カロリーの味噌汁やコンソメスープです。
普段の食事に一品スープを入れる。そのスープから飲む。これをすることで無意識に摂取カロリーを減らせます。
CH4 ダイエットブレーク
次は、ダイエットを一度休むことです。口では簡単に食事制限を続けると言えますが、鶏肉、野菜、低脂質な食事だけを何か月も続けるのは簡単ではありません。ダイエットに失敗する大きな原因は、正しい方法を知らないことだけではなく、好きなものを食べられないストレスによって、食事制限そのものを続けられなくなることです。
そこで、計画的にダイエットブレークを作ります。ラーメン、ピザ、焼肉、スイーツなど、普段は制限している好きな食事を、あらかじめ決めた日に食べます。好きなものを完全に禁止しないことでストレスを解放できるだけでなく、「来週はあれを食べられるから、今週は続けよう」という短期的な目標も作れます。
食べられる食品を厳格に決める方法より、摂取カロリーの範囲内で食品を柔軟に選ぶ方法の方が、食事管理を続けやすく、体重減少にも有利になる可能性があります。実際ある研究ではこういった休憩を入れたほうが脂肪減少が大きかったことを報告しています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29494790/
ただし、ダイエットブレークの取り入れ方には注意が必要です。まず、頻度は多くても週に1回、できれば2週間に1回程度にします。頻繁に好きな食事を入れれば、それはブレークではなく普段の食事になります。減量の進みが遅い人や、1回の食事量を抑えられない人は、さらに頻度を下げてください。
そして、必ず1食だけにします。朝から夜まで好きなものを食べ続けるチートデイは必要ありません。高脂質な食事、デザート、酒を1日中続ければ、数千kcalを簡単に摂取できます。平日に作ったカロリー赤字を、たった1日で消すことも可能です。
チートデイには、たくさん食べることでレプチンや代謝が上がり、その後に脂肪が燃えやすくなるという説明があります。しかし、1回の大量摂取によって代謝が大幅に回復し、その後の体脂肪減少が加速するという確かな根拠はありません。食後の熱産生やホルモンが一時的に変化することはあっても、摂取した大量のカロリーを帳消しにするほどの効果はありません。最終的に体脂肪を決めるのは、一定期間のトータルカロリーです。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12512235/
ダイエットブレークのメリットはストレスを減らすことが一番です。
例えば夜に好きな食事を入れる日は、朝と昼を普段より軽くします。朝昼を食べなくても問題が起きない人なら、食事回数を我慢して夜にカロリーを残す方法もあります。ただし、空腹によって夜の食事を制御できなくなる人は完全に断食せず、軽い低カロリーな食事を朝昼に入れてください。
夜になったら、あらかじめ決めた1食をしっかり楽しみます。
また、食べた後に罪悪感を持って、翌日に極端な断食や過剰な運動をする必要もありません。計画どおりに食べたなら失敗ではありません。その食事も含めて、最初からダイエットの一部です。
ダイエットブレークは、たくさん食べて代謝を上げる方法ではありません。好きな食事を完全に禁止せず、ダイエットのストレスを減らし、食事制限を長期間続けるための方法です。多くても週に1回、できれば2週間に1回、そして必ず1食だけにしてください。
CH5 何気ない動き
次は、何気ない日常の動きです。消費カロリーを増やす方法と聞くと、ランニングや筋トレなどの運動を想像します。しかし、立つ、歩く、家事をする、移動するといった運動以外の活動にも、毎日エネルギーが使われています。これをNEAT、非運動性活動熱産生といいます。
NEATが体脂肪に与える影響を調べた有名な研究では、16人に維持カロリーを1日1,000kcal上回る食事を8週間摂取させました。同じように食べすぎたにもかかわらず、参加者が蓄えた脂肪には約10倍の差がありました。

研究者がこの原因を調査したところNEATの変化であることがわかりました。食べる量が増えたときに、無意識の動きも増えた人ほど脂肪が増えにくくなっていました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9880251/
普段より座る時間が増える、外出しなくなる、家事を後回しにするといった小さな変化が積み重なると脂肪がより減りにくく増えやすくなります。
NEATを増やすうえで、特に大きな違いを生むのが移動手段です。1日に数分立つよりも、普段車で移動している区間を、自転車や徒歩へ置き換えた方が活動量は大きく増えます。通勤や買い物はほぼ毎日行うため、一度移動手段を変えれば、運動しようと意識しなくても活動を繰り返せます。
成人48人を対象にしたランダム化比較試験では、1日最低20分の自転車通勤を8週間行ったグループで、体力が向上しただけでなく、皮下脂肪厚も対照グループより減少しました。ジムへ行く時間を追加したのではなく、普段の通勤を自転車へ変えただけです。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21708185/
注意してほしいのがこれを「座らない。立っていればいい」と誤解すること。ただ立っているだけで大量の脂肪が燃えるわけではありません。デスクワークを座って行う場合と立って行う場合を比較した研究では、立つことで増えた消費量は1時間当たり平均約8kcalでした。4時間立っても増加量は約30kcal程度です。ただ立っていれば痩せるというわけではありません。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27515973/
実践では、まず自分が車を使っている移動を確認してください。その中から、徒歩や自転車で無理なく行ける距離を1つだけ変更します。すべてを変えられなくても、片道だけ自転車にする、目的地の少し手前に車を止めて歩くといった方法でも構いません。
毎日座って行っていた移動を、歩行や自転車へ変えれば、運動時間を新たに作らなくても消費カロリーを増やせます。これが日常の消費カロリーに最も大きな違いを生む方法の一つです。
CH6 筋肉を成長させる
最後は、筋肉を成長させることです。ダイエットでは体重を減らすことばかり考えますが、体脂肪を減らしたいなら、筋肉も成長させてください。
筋肉は、何もせずに作られるものではありません。筋トレ中にエネルギーを使い、トレーニング後には傷ついた組織を修復し、新しい筋タンパク質を合成します。タンパク質を分解して再び組み立てる代謝にもATPが必要です。つまり筋肉を成長させることは、摂取したエネルギーを脂肪として蓄えるだけではなく、体を作り直すためにも使わせる行為です。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22139560/
実際、健康な成人を対象にした58件の研究をまとめたメタ解析では、筋トレだけでも、運動をしなかった場合と比べて体脂肪率が平均1.46ポイント、脂肪量が約0.55kg減少し、内臓脂肪も減っていました。食事制限や有酸素運動を行わなくても、筋トレには体脂肪を減らす効果があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34536199/
筋肉を成長させると勝手に体が脂肪を分解して筋肉の構築に回し、消費エネルギーが増えます。

加えて筋トレをすると体の分解反応が脂肪の分解に集中します。人間の体には筋肉の分解と脂肪の分解の両方が存在していますが、筋トレをするとこの比重を脂肪重視にできます。
体重だけを基準にすると、筋肉が増えて脂肪が減っていても、ダイエットが進んでいないように見えることがあります。例えば脂肪が2kg減り、筋肉が1kg増えれば、体重は1kgしか減りません。しかし、見た目と体脂肪率は、体重を1kg減らしただけの場合より大きく改善します。
だから、筋トレをしてください。筋肉が増えると代謝が上がることはもちろんその増える行為自体で多くのカロリーが勝手に使われます。


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