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脂肪を一切増やさず、筋肉だけを1年で10kg増やす最短ルート【科学】

体重を10kg増やすだけなら簡単です。たくさん食べれば、体はすぐに大きくなります。しかし、その正体が脂肪なら、筋肉でデカくなったわけではありません。

今回目指すのは、体重ではなく筋肉だけで+10kgです。これを達成すれば、体のシルエットは完全に別人になります。

では、筋肉だけで10kg増やすには何年かかるのか。なぜ、多くの人は筋肉ではなく脂肪を増やしてしまうのか。そして、筋肉10kgを作るために本当に伸ばすべき数字は何なのか。今回は、脂肪ではなく筋肉だけを10kg増やす方法を解説します。

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CH1 +10kgの正体――どこに、どれだけ筋肉がつくのか

筋肉10kgがどれほど大きな数字なのか。MRIで全身の筋肉量を測定した研究では、男性が持つ骨格筋量の平均は約33kgでした。つまり筋肉+10kgは、平均的な男性が持つ筋肉の約3割を新しく追加するほどの変化です。少し体つきが良くなる程度ではありません。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10904038/

筋肉は肩、胸、背中、腕、臀部、脚など全身に分散して増えます。そのため、特定の部位だけではなく、体全体の幅と厚みが変わります。

見た目の変化を、分かりやすく3段階で考えます。まず筋肉量+0kgはこのくらいです。体脂肪量にはバラツキがありますが筋肉量としてはこれくらいです。

そして筋肉が+2kgの段階では、肩や胸、腕に少し張りが出ます。自分では変化を感じても、服を着れば周囲には気づかれないことがほとんどだと思います。

+5kgになると変化は明確です。肩幅が広がり、胸と背中に厚みが出て、Tシャツの上からでも筋トレをしていることが分かり始めます。細身だった人なら、痩せている印象はほぼ消え、変化に気づく人が多くなります。

そして+10kgになると、正面だけでなく横や後ろから見た体まで変わります。以前の写真と並べれば、同じ骨格でも別人に見えるレベルです。

筋肉10kgは、一つの部位ではなく、全身のシルエットそのものを変える数字です。体つきの印象を大きく変えるといっても過言ではありません。

では、この10kgを作るにはどれくらいの時間がかかるのか。ここで重要になるのが、最初の5kgと最後の5kgの違いです。実は5kg筋肉をつけてから停滞する人がかなり増えて、ここで止まってしまいます。

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CH2 最初の5kgと、最後の5kgは別物

筋肉だけで10kg増やすには、どれくらいの時間がかかるのか。結論から言うと、かなり速いスピードで成長できた場合、おおよそ1年です。

筋肉は、筋トレを始めて4週間ほどでも測定できるレベルまで成長します。しかし、自分で見た目の変化を実感するには約3か月、周囲から見ても明らかに変わるには半年から1年程度かかります。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29282529/

筋トレ1年目は、人生で最も筋肉を増やしやすい期間です。トレーニング未経験者は刺激への反応が大きく、すでに何年も筋トレしている人より速いスピードで筋肉を増やせます。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33433148/

この初心者期を最大限に使い、トレーニング、栄養、回復をほぼ最適化できれば、1年間で筋肉+10kgは狙えます。簡単ではありませんが、非現実的な目標でもありません。

ただし、最初の半年と後半の半年では難易度がまったく違います。ここが大きなポイント

最初の半年は、極端に言えば普通に筋トレを続けているだけでも筋肉は増えます。フォームやメニューが完璧でなくても、筋トレをしていなかった体にとっては、ほとんどすべての刺激が新しいからです。重量や回数も急速に伸び、見た目も短期間で変化します。

しかし、後半の半年はそれでは通用しません。体が筋トレに慣れ、ただ筋トレをすれば増えた体とは別の体になります。ここからが大変。10kg筋肉量を増やすために最も高い壁はここから。

最初の5kgは、初心者であることによって増やせます。しかし、最後の5kgは、筋トレの質によって増やさなければいけません。特に最初の3か月、半年で体が変わった、つまり結果が出てるのでトレーニングが原因であることを疑いづらいんです。

こうなるとインターネットにあるただ体が大きくなるだけのテクニックを実践して、+10kgからさらに遠ざかってしまうんです。

つまり1年で10kgは、何となく筋トレを1年間続ければ達成できる目標ではありません。前半の速い成長に頼るだけでなく、停滞が始まる後半の半年まで、トレーニングを正しく進歩させ続けた人が狙える数字です。

ところが、多くの人は成長が止まると、トレーニングを改善するのではなく、食べる量を増やして体重を増やそうとします。

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CH3 体重を増やすほど、筋肉10kgから遠ざかる

後半の半年で成長が止まると、多くの人は筋肉が増えない原因を食事だと考えます。もっとカロリーを摂れば、また成長するはずだ。そう考えて、増量やバルクアップを始めます。

そして半年後、体重は10kg増えます。胸囲や腕周りも太くなり、服の上から見れば以前より明らかにデカく見える。本人は筋肉+10kgを達成したと思います。

しかし、その10kgが筋肉5kg、脂肪5kgなら、達成したのは筋肉+10kgではありません。体重+10kgです。

脂肪は腹だけにつくわけではありません。胸、背中、腕、肩、脚にもつきます。脂肪で体積が増えれば、筋肉がそれほど成長していなくても、体全体はデカく見えます。

ただし、太ったことと、筋肉でデカくなったことは違います。

筋肉を作るためにエネルギーが必要なのは間違いありません。しかし、そのエネルギーを余剰カロリーとして食事から追加する必要はありません。

人間の体には、大量のエネルギーが体脂肪として蓄えられています。食事だけで筋肉を作るエネルギーを賄えなければ、体は脂肪を分解して補います。実際に、カロリー赤字で体脂肪を大きく減らしながら、トレーニングによって筋肉量を増やすことは可能であることが多くの研究で証明されています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26817506/

つまり、体脂肪が残っているほとんどの人に、筋肥大のための余剰カロリーは必要ありません。筋肉を増やすために、毎日消費カロリー以上に食べる必要はないということです。

トレーニング経験者を、維持カロリー、約5%の余剰、約15%の余剰に分けた研究では、体重を速く増やしたグループほど皮下脂肪が増えましたが、、大きな余剰によって筋肉の厚みや筋力において明確なメリットはありませんでした。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37914977/

食べる量を増やせば、体重の増加速度は簡単に上げられます。しかし、筋肉の成長速度まで同じように上げることはできません。

体重増加だけを成功基準にした増量やバルクアップは、脂肪で体重計の数字を盛り、脂肪でデカくなった状態を筋肥大だと錯覚する方法になっています。

筋肉だけを増やす方法には、明確なメリットがあり、増量による体脂肪の蓄積は明確なデメリットがあります。まず、体脂肪が増えないため、筋肉を増やしている途中で見た目が悪くなりません。

肩や胸が大きくなっても、同時に腹が出て、顔が丸くなり、筋肉の輪郭が消えれば、見た目が良くなったとは言えません。筋肉だけを増やせば、ウエストと筋肉の輪郭を維持したまま体を大きくできます。

そして、体脂肪を増やさないメリットは見た目だけではありません。肥満者では、筋トレとタンパク質摂取による筋原線維タンパク合成の上昇が、標準体型の人より弱くなることが確認されています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30113718/

肥満によるインスリン抵抗性、筋肉内への脂質蓄積、炎症などによって、筋肉がトレーニングやタンパク質に反応しにくくなる可能性があります。簡単に言うと太ると筋肉が成長しづらくなるということ。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31263701/

体脂肪が増えれば必ず筋肉が増えなくなるわけではありません。しかし、体脂肪を増やし続ければ、同じ筋トレから得られる筋肉の成長効率が低下するリスクがあります。

筋肉だけを増やせば、見た目を悪化させず、高体脂肪による筋タンパク合成低下のリスクも避けられます。

体が変わらなくなると増量、バルクアップといったテクニックを試しがちです。しかし、8~9割の人にとってこれは効果がありません。むしろ体脂肪の大幅な蓄積によってデメリットすらあります。

では、体重が当てにならないなら筋肉量が増えるというのは何を目安にすればいいのか。

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CH4 筋肉が増えている証拠は「記録が伸びること」

筋肉10kgを作るために本当に増やすべき数字は、筋トレの重量と回数です。

筋肉痛が強かった。パンプした。翌日に動けないほど疲れた。これらは筋トレをした感覚にはなりますが、筋肉が成長している証拠にはなりません。

筋肉が成長している最も信頼できる目安は、同じ条件でトレーニング記録が伸びていることです。

例えば、ベンチプレス80kgを8回しかできなかった人が、同じフォームと可動域で12回できるようになった。その後、85kgに上げて、再び8回から12回まで伸ばした。以前より重い重量を、以前より多く扱えるようになっています。

このように、筋肉の成長に合わせて負荷を段階的に高めることを、プログレッシブオーバーロードといいます。

2026年の研究では、8週間にわたって負荷を段階的に高めたグループは、同じトレーニングを進歩させずに続けたグループより大きな筋肥大を起こしました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41718594/

これは、前半の半年と後半の半年の違いをそのまま表しています。初心者の前半は、同じ筋トレを繰り返しても筋肉が増えます。しかし後半は、負荷を進歩させなければ成長量が小さくなり、最終的には停滞します。

プログレッシブオーバーロードは、毎回重量を上げることだけではありません。重量を変えずに反復回数を増やす方法でも、筋肉を成長させられます。

負荷を増やす方法と、同じ負荷で反復回数を増やす方法を比較した研究では、どちらの方法でも筋肉量が増え、筋肥大の結果に明確な差はありませんでした。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38286426/

やり方は単純です。各種目に8〜12回などの範囲を設定してください。ベンチプレス80kgを8回できたら、次回は9回を目指します。最終的にすべてのセットで12回できたら、重量を少し増やし、再び8回から伸ばします。

これを肩、胸、背中、腕、脚の種目で繰り返します。1年間で筋肉10kgを狙うなら、1年後には全身の主要種目で、重量または回数が大きく伸びている必要があります。おおよその目安としてはベンチプレス、スクワットなら20~30kgです。

ただし、可動域を狭くする。反動を使う。フォームを崩す。対象筋から負荷を逃がす。これでは数字が伸びても、筋肉への要求が増えたとは言えないので注意してください。同じやり方でレベルアップすることが重要です。

毎回必ず記録を更新する必要はありません。見るべきなのは1回の結果ではなく、数週間から数か月の流れです。1週間かけて更新できていればOKです。

筋肉10kgは、特別な種目や最新テクニックで作るものではありません。同じ種目を正しいフォームで繰り返し、重量と回数を伸ばし続けた結果として作られます。

最初の5kgは初心者であることによって増やせます。しかし、最後の5kgはプログレッシブオーバーロードによって増やさなければいけません。

ただし、どれだけ優れた筋トレをしても、必要な栄養や回復が不足すれば、記録の向上は止まります。

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CH5 筋肉を増やす食事は「余らせる」より「不足させない」

筋肉の成長において筋トレは筋肉に機械的張力を与えるいわばきっかけづくり。本当に成長するのはここから。余剰カロリーが不要でも、必要な栄養まで減らしていいわけではありません。

普通体型の人は、体重がほぼ変わらない維持カロリーを基準にしてください。体脂肪が多い人は、維持カロリーから10%程度までの赤字でも筋肉を増やせます。体脂肪がかなり低い人や明らかに痩せている人だけ、1日100kcal程度の小さな余剰を使います。

ただし、カロリー赤字が大きくなるほど筋肉は増えにくくなります。おおよそ500kcalまでは筋肥大に悪影響はほとんどないため、増量する必要はありませんが、体重を急激に落とすような食事制限も避けてください。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34623696/

タンパク質は、1日あたり体重1kgにつき1.6gが主流でしたが、最新のデータに基づくとそれよりたくさんタンパク質が必要になる可能性がわかっています。2.0〜2.35gを目安にしてください。体重70kgなら140〜165g、80kgなら160〜188gです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33300582/

脂質は最低でも体重1kgにつき0.5gを確保します。炭水化物も最低1g/kgを摂りましょう

炭水化物を増やすほど筋肉が増えるわけではありませんが、極端に減らせば筋トレの重量や回数を伸ばしにくくなります。

最後に睡眠です。睡眠不足は筋タンパク質合成を低下させ、翌日のトレーニング記録も落とします。一晩の完全な睡眠不足でも、筋タンパク質合成が約18%低下しています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33400856/

睡眠は毎日7〜9時間を目安にしてください。

まとめると、維持カロリー前後を基準にし、タンパク質を2.0〜2.35g/kg、脂質を最低0.5g/kg、炭水化物を最低1g/kg確保し、7〜9時間眠る。これだけです。

筋肉を増やす主役はトレーニングです。でも食事と睡眠が伴ってないと筋肉が増えません。

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CH6 その10kgは、本当に筋肉なのか

筋肉だけが増えているかを判断するには、トレーニング記録、ウエスト、写真の3つを確認します。

まず、重量や回数が増えていることです。1年前よりも全身の主要種目が大きく伸びていれば、筋肉が増えている可能性は高くなります。

次にウエストです。ウエストは腹部脂肪の変化を確認する、簡単で実用的な指標です。体重が増えてもウエストがほとんど変わっていなければ、余計な脂肪を大きく増やさずに体を大きくできています。逆に体重が増えていてウエストが太くなっている場合は脂肪の増加が起こってる可能性がかなり高いです。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7027970/

最後に写真や鏡での体です。同じ場所、同じ照明、同じ距離、同じ姿勢で、正面、横、後ろから撮影してください。毎日鏡を見ていると変化には気づきにくいため、1〜3か月ごとに比較します。重要なのは筋肉の陰影です。例えば腹筋の割れ方が薄くなっていないかなどは非常に重要です。

重量と回数が増えてる。でもウエストや腹筋の溝は変わってない。むしろはっきり見えるようになってる。この場合体重増加のほとんどが筋肉です。

反対に、体重とウエストだけが増え、記録が停滞しているなら、増えた体重の中心は脂肪です。

成功の基準は、体重が10kg増えたことではありません。筋トレの重量と回数が伸び、全身のシルエットが変わり、ウエストや筋肉の陰影をほぼ維持できていることです。

体重計に10kgを追加するのではありません。必要な栄養と睡眠を確保し、1年間プログレッシブオーバーロードを続け、肩、胸、背中、腕、脚に本物の筋肉を10kg積み上げてください。

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