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脂肪燃焼の常識が崩壊しました【科学】

脂肪を落としたいなら有酸素運動をする。これは今でも多くの人が信じているダイエットの常識です。しかし近年、この常識を根本から覆す研究が次々と発表されています。

実は、運動で500kcal消費したからといって500kcal分痩せるわけではありません。運動中にカロリーをたくさん燃やしているからといって、その分脂肪が減るとも限りません。

つまり、多くの人が信じている脂肪燃焼の考え方は、すでに古くなりつつあります。

今回は最新の研究をもとに、脂肪燃焼の新常識を解説します。なぜ有酸素運動だけでは思ったほど痩せないのか。痩せないのは根性不足ではありません。有酸素運動は科学的にも脂肪が燃えにくいことがわかっています。そして脂肪を落とすために本当に重要なことは何なのか。脂肪燃焼の科学はここ数年で大きく変わりました。

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運動しても痩せない現象

まず最初に、多くの人が一度は経験したことがある話から始めましょう。

ダイエットを始めると、多くの人はまず運動量を増やします。ランニングを始めたり、ウォーキングを始めたり、ジムに通ったりします。そして運動した後に消費カロリーを見ると、「今日は500kcal消費した」「今日は300kcal消費した」と表示されます。

普通に考えれば、その分だけ脂肪も減りそうですよね。しかし現実はそう単純ではありません。

実際、「毎日走っているのに痩せない」「ウォーキングを続けているのに体重が変わらない」という人は珍しくありません。もちろん全く痩せないわけではありません。しかし多くの場合、予想していたほどの変化は起こりません。

これは体質やたまたまその日がそうだったというものではありません。科学的に解き明かされています。

例えば毎日500kcal運動した場合、単純計算では1週間で3500kcalになります。脂肪1kgはおよそ7700kcalですから、理論上は約2週間で0.5kg近くの脂肪が落ちる計算になります。

しかし実際には、そこまで順調に体脂肪が落ちる人は多くありません。

そして面白いことに、この現象は研究でも確認されています。運動を増やしたグループは確かに脂肪を減らします。しかしその減少量は、消費カロリーから予測される量よりも小さいことが少なくないのです。

つまり「運動すれば痩せる」は正しいのですが、「運動した分だけ痩せる」は正しくない可能性があります。

ここが今回の動画で最も重要なポイントです。

実は近年の研究によって、運動で増えた消費カロリーの一部は身体によって相殺されている可能性が見えてきました。もしこれが正しいなら、ランニングマシンに表示された500kcalは、そのまま500kcalの脂肪減少を意味しません。

ではなぜそんなことが起きるのでしょうか。

2016年に発表されたある研究がこの疑問の答えを持っています。

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脂肪燃焼の常識を壊した研究

2016年、この疑問に答えるための非常に興味深い研究が発表されました。

研究を行ったのは進化人類学者のHerman Pontzerらの研究チームです。彼らは332人を対象に、身体活動量と総消費カロリーの関係を調査しました。

当時の常識では、活動量が増えれば増えるほど消費カロリーも増えると考えられていました。

例えば毎日300kcal運動する人よりも、毎日600kcal運動する人の方が消費カロリーは大きく増える。これは当たり前の話に聞こえます。

しかし研究結果は違いました。

確かに活動量が少ない人は、動けば動くほど消費カロリーも増えていきます。しかし活動量が高くなってくると、その増加幅が急激に小さくなったのです。

つまり活動量を2倍、3倍と増やしても、消費カロリーは同じようには増え続けなかったのです。

これはダイエットの世界に大きな衝撃を与えました。

なぜなら、「運動した分だけ痩せる」という考え方の前提そのものが崩れるからです。

この結果からPontzerらは、「制約されたエネルギー消費モデル」と呼ばれる理論を提唱しました。

考え方は非常にシンプルです。

私たちの身体は、運動によって消費カロリーが増えると、その分だけ他の場所でエネルギーを節約している可能性があるということです。

もちろんこれは運動が無意味という話ではありません。

しかし少なくとも、人間の身体はランニングマシンの数字のように単純ではない可能性が見えてきたのです。

そして研究者たちは次に、「実際にはどれくらいのカロリーが相殺されているのか」を調べ始めます。

その結果はさらに衝撃的なものでした。

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500kcalは500kcalじゃなかった

Pontzerらの研究によって、人間の身体は運動した分だけ単純に消費カロリーを増やしているわけではない可能性が見えてきました。

では実際に、どれくらいのカロリーが相殺されているのでしょうか。

この疑問に答えるため、その後も多くの研究が行われました。そして2024年、これまでの研究をまとめた大規模レビューが発表されます。

研究者たちは、運動によって増えた消費カロリーが、実際にはどれくらい身体によって相殺されているのかを分析しました。

その結果はかなり衝撃的なものでした。

平均すると、運動によって増えた消費カロリーのかなりの部分が身体機能によって相殺されている可能性が示されたのです。

さらに研究によっては、相殺率が約69%に達するケースも報告されました。69%です。

もしあなたがランニングやウォーキングで500kcal消費したとします。

普通に考えれば、身体全体の消費カロリーも500kcal増えるはずです。

しかし69%が相殺されると仮定すると話は変わります。

つまりランニングマシンに500kcalと表示されていても、身体全体で見ると実際には150kcal程度しか増えていない可能性があるのです。

もちろんこれは全ての人に必ず起きるわけではありません。相殺率には個人差がありますし、運動の種類や状況によっても変わります。

しかし重要なのはそこではありません。

重要なのは、「運動した分だけそのまま痩せる」という考え方が想像以上に単純だったということです。

実際、多くの人はダイエットを始めると、「もっと運動しなければ」と考えます。しかし最新の研究が示しているのは、人間の身体は私たちが思っているほど素直ではないということです。

運動によって消費カロリーが増えれば、その増加分を打ち消そうとする力も同時に働く可能性があります。だから毎日頑張って走っているのに思ったほど痩せない人がいるのです。

そして次に出てくる疑問は、「身体は一体どこでカロリーを節約しているのか」です。

なぜ身体は、せっかく増えた消費カロリーをわざわざ相殺してしまうのでしょうか。

次は、その仕組みについて解説します。

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なぜ身体はカロリーを節約するのか

では身体は一体どこでカロリーを節約しているのでしょうか。

「500kcal運動したのに、実際には150kcal程度しか増えていない可能性がある」

もしこれが本当なら、残りの350kcalはどこへ消えたのでしょうか。実は、その答えは私たちの日常生活の中にあります。最も有力な候補の一つがNEATです。NEATとは運動以外の日常活動による消費カロリーのことを指します。

例えば歩く量、立っている時間、姿勢を維持する動作、家事、無意識の身体の動きなどです。

私たちは運動した後、自分では気付かないうちにこうした活動量を減らしている可能性があります。

例えば朝にランニングをした日は、午後になると座る時間が増えるかもしれません。階段ではなくエレベーターを使うかもしれません。家に帰った後にソファで過ごす時間が長くなるかもしれません。

一つ一つは小さな変化です。しかしこうした変化が積み重なると、消費カロリーは大きく変わります。

しかも厄介なのは、ほとんどの場合本人に自覚がないことです。

身体は「今日は運動したから少し休もう」と意識的に考えているわけではありません。

無意識のうちに活動量を調整している可能性があるのです。

さらに研究者たちは、身体が活動量だけでなく生理的なエネルギー消費まで調整している可能性も指摘しています。簡単に言うと代謝です。これを下げます。

つまり人間の身体は、私たちが思っている以上に省エネが得意なのです。

ではなぜそんな仕組みが存在するのでしょうか。

その理由は人類の歴史にあります。

現代では食べ物を簡単に手に入れることができます。しかし人類の歴史の大部分はそうではありませんでした。

食料が不足する環境では、使えるエネルギーを無駄なく管理できる個体の方が生き残りやすくなります。

もし運動した分だけ無制限にエネルギーを消費していたら、飢餓の時代を生き残ることは難しかったでしょう。

だから身体はエネルギー消費が増えると、それをどこかで節約しようとします。

これは欠陥ではありません。

むしろ人類が長い進化の中で獲得した、生存のための仕組みなのです。

そしてこの事実を知ると、多くの人が信じている「脂肪燃焼」という考え方そのものにも疑問が生まれます。

なぜなら身体が見ているのは運動中の脂肪燃焼ではなく、1日全体のエネルギー収支だからです。

次は、多くの人が信じている脂肪燃焼ゾーンについて解説します。

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脂肪燃焼ゾーンは重要ではない

ここまでの話を聞くと、多くの人がある疑問を持つかもしれません。

「じゃあ脂肪燃焼ゾーンはどうなるの?」

という疑問です。

ダイエットについて調べたことがある人なら、一度は脂肪燃焼ゾーンという言葉を聞いたことがあるでしょう。

これは、ウォーキングや軽いジョギングのような低強度運動の方が脂肪をエネルギーとして使いやすいので、脂肪を落とすのに有利だという考え方です。

実際、この理論自体は間違いではありません。

運動中に身体が使うエネルギーを見ると、低強度運動ほど脂肪の割合は増えます。逆に全力疾走のような高強度運動では糖質の割合が増えます。

つまり運動中だけを見ると、ウォーキングの方が脂肪を多く使いやすいのです。

しかし、ここまでの話を思い出してください。

私たちの身体は運動中の1時間だけを見ているわけではありません。

Pontzerらの研究が示したように、身体は1日全体のエネルギー収支を調整している可能性があります。

さらにこの相殺理論が正しいなら、運動で増えた消費カロリーの一部は身体によって相殺される可能性があります。

つまり重要なのは、「運動中に脂肪を何%燃やしたか」ではありません。

重要なのは、「最終的に、つまり一日の終わりにどれだけエネルギー赤字を作れたか」です。

例えばウォーキング中に脂肪をたくさん使っていたとしても、その後に身体が消費カロリーを節約してしまえば、期待したほど脂肪は減らないかもしれません。

逆に運動中は糖質を多く使う運動であっても、結果として大きなエネルギー赤字を作れれば体脂肪は減少します。

ここで重要なのは、

脂肪を燃やすことと、脂肪が減ることは別だ

ということです。

多くの人はこの二つを同じものだと思っています。

しかし最新の研究が示しているのは、人間の身体はもっと複雑だということです。

身体が見ているのは運動中の脂肪燃焼率ではありません。

1日全体のエネルギー収支です。

だから脂肪燃焼ゾーンを意識することよりも、最終的なエネルギー赤字を作ることの方がはるかに重要になります。

では実際に脂肪を落としたい場合、私たちは何を優先するべきなのでしょうか。

次は脂肪を落とすために本当に重要なことについて解説します。

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脂肪を落とすために本当に重要なこと

ここまでの話を聞くと、「じゃあ結局どうすれば痩せるのか」と思うかもしれません。

運動した分だけ痩せるわけではない。脂肪燃焼ゾーンも思ったほど重要ではない。では脂肪を落とすために本当に重要なことは何なのでしょうか。

結論から言うと、最も重要なのはエネルギー赤字です。

どれだけ脂肪を燃やしたかではありません。どれだけ運動したかでもありません。最終的に身体が消費したエネルギーよりも、摂取したエネルギーが少ない状態を作れるかどうかです。

これが脂肪減少の大前提になります。

そして多くの人が見落としているのが、エネルギー赤字を作る方法です。

例えば500kcalのランニングはかなり大変です。実際エネルギー制約を考えると数字的には1000kcal近くの運動をしなければいけません。しかし500kcalの食事を減らすのは、それよりずっと簡単な場合があります。そして食事制限にはそういった制約もありません。

もちろん極端な食事制限をするべきという話ではありません。しかし脂肪を落とす上で主役になるのは、運動よりもまず食事管理です。

実際、多くの研究でも脂肪減少に最も大きな影響を与えるのはエネルギー摂取量であることが示されています。

だからダイエットを始める時に最初に見直すべきなのは、有酸素運動の量ではありません。

まずは食事です。

摂取カロリーは適切か。

無意識に食べ過ぎていないか。

高カロリーな飲み物や間食が増えていないか。

こうした部分を見直す方が、何時間も有酸素運動を追加するより大きな効果を生むことは珍しくありません。

もちろん運動にも価値があります。

運動は健康を改善しますし、消費カロリーを増やすこともできます。

しかし今回紹介した研究が示しているように、運動だけに頼って脂肪を落とそうとすると限界があります。

だから脂肪減少の主役は食事管理。

運動はそれをサポートする存在。これが現在の科学から見た最も現実的な考え方です。では脂肪燃焼効果を最大化するためにはどんな運動がいいのか、この疑問について解説します。

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なぜ筋トレが有利なのか

ここまでの話を聞くと、「じゃあ運動なんて必要ないのか?」と思うかもしれません。

結論から言うと、脂肪を落としたい人にとって運動は非常に重要です。その理由は、運動の目的が単なる消費カロリーではないからです。運動の最大の目的は筋肉を守るコト。

例えばダイエットで体重が10kg落ちたとしても、その内訳が脂肪10kgなのか、それとも脂肪7kgと筋肉3kgなのかでは結果は全く違います。

体重計の数字は同じでも、筋肉を落とすと見た目も基礎代謝も将来のリバウンドリスクも大きく変わります。

だからダイエットで重要なのは、ただ体重を落とすことではありません。脂肪を落としながら筋肉を守ることです。

そして、そのために最も重要な運動が筋トレです。実際、多くの研究で筋トレは有酸素運動よりもダイエット効果が高く、減量中の筋肉維持に有効であることが示されています。

筋トレをせずにダイエットをすると100%筋肉は落ちます。分析によると落ちた体重のうち20~30%は筋肉であるようです。筋肉が落ちると代謝が落ちて痩せにくくなったり、痩せた後のリバウンドのリスクを上げることはもちろん免疫機能が低下することで、死亡リスクが上がることがわかっています。

もちろん筋トレをしたからといって脂肪が勝手に消えるわけではありません。

脂肪減少の大前提は、あくまでエネルギー赤字です。

しかし同じエネルギー赤字を作るのであれば、筋トレを行った方がより良い状態を達成できます。

これが脂肪燃焼の新常識です。

重要なのは、どの運動が一番脂肪を燃やすかではありません。

重要なのは、どの方法が最終的に良い体を作るかです。

運動した分だけ痩せるという考え方は、すでに古くなりつつあります。

身体が見ているのは運動中の脂肪燃焼率ではありません。

1日全体のエネルギー収支です。

そして脂肪を落としながら良い体を作るために、筋トレはこれからも重要な役割を担い続けるでしょう。

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まとめ

最後に、今回の脂肪燃焼の新常識を3つにまとめます。

1つ目は、運動した分だけ痩せるわけではないということです。

長年、運動で500kcal消費したら500kcal分痩せると考えられてきました。しかし近年の研究では、人間の身体は増えた消費カロリーの一部を相殺している可能性が示されています。

2つ目は、脂肪燃焼ゾーンは思っているほど重要ではないということです。

重要なのは運動中に脂肪を何%燃やしたかではありません。身体が見ているのは1日全体のエネルギー収支です。

そして3つ目は、脂肪減少の主役はエネルギー赤字だということです。

食事管理でエネルギー赤字を作り、筋トレで筋肉を維持する。これが現在の科学から見た最も合理的なダイエット戦略です。

今回紹介した研究は、脂肪燃焼の常識を大きく変えました。しかし変わらないこともあります。

それは、地道な食事管理と筋トレが今でも最も重要だということです。

運動した分だけ痩せる時代は終わりました。

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