バルクアップで太る人と筋肉が増える人の決定的な差|失敗しない増量のやり方【体重・カロリー・期間】

バルクアップをすると、同じように食べて、同じようにトレーニングしているのに、結果が真逆になる人がいます。筋肉が増えて体が分厚くなる人。体重は増えたのに、脂肪だけ増える人。
この差は、才能でも根性でもありません。
多くの場合、「正しいと思われている常識」そのものが、失敗の原因です。
たくさん食べればデカくなる。体重が増えれば筋肉も増える。増量期は太って当たり前。こうした考え方は、感覚的には正しそうに聞こえます。
しかし、科学的に見ると、その常識通りにバルクアップをすると、筋肉ではなく脂肪が増える確率の方が圧倒的に高くなります。そして脂肪をつけると筋肉が成長しづらくなる生理学的な現象が起こります。
今日の動画では、ほとんどのひとが知らないバルクアップで筋肉がつく人と、脂肪だけが増える人の違いを科学的なデータを基に徹底解説します。。
そして後半では、バルクアップ中に筋肉を増やす人が実際にやっているトレーニングの考え方、何を変える必要があって、何を変える必要がないのかこの点も、科学的な前提をもとに具体的に解説します。
この動画を観れば、バルクアップで体重はどれくらい増えればいいか。何か月やればいいかなど筋肉を最短でつけるための具体的な方法がわかります。
バルクアップが筋肉を成長させる理由
バルクアップとは、余剰カロリーを作ることで筋肉の成長を促進しようとする戦略です。なぜカロリーを多く摂る必要があるのか。2021年のメタ分析では、筋力に関してはエネルギー不足の影響は小さい一方で、筋肉の成長に関しては明確なマイナスの影響が確認されています。
筋肉の合成や維持にはエネルギーが必要です。そのためエネルギー不足の状態が続けば、筋肉量が減少したり、筋肥大が妨げられる。これは理論的にも自然な結果です。
この事実から、余剰カロリーを作ることは筋肉の成長に有利であると考えられてきました。実際、2002年の研究では、ウエイトトレーニングに加えて1日あたり約400〜500kcalのカロリー余剰を8週間維持した結果、大幅な筋肉量の増加が確認されています。
このようなデータを見ると、増量期を作り、積極的に食事量を増やすことは、筋肉の成長を最大化する合理的な方法に見えます。さらに余剰カロリーは、トレーニング中のエネルギー不足を防ぎ、筋トレのパフォーマンスを向上させる可能性もあります。これも筋肉の成長を助ける要素です。
ここまで聞くと、バルクアップはやらない理由がないように感じるかもしれません。しかし、このメリットは常に起こるものではありません。実はこれらの効果は、ある特定の条件下でしか成立せず、ボディビルダーやトレーナーから誇張されて語られているケースも非常に多いのが現実です。
次のチャプターでは、なぜバルクアップが「筋肉がつく人」と「脂肪だけが増える人」に分かれてしまうのか。そのズレがどこから生まれているのかを、科学的な視点から整理していきます。
バルクアップの問題点
バルクアップの主なメリットは、先ほど整理した通りです。
筋肉量を増やす可能性がある。トレーニングパフォーマンスが上がる可能性がある。これらは、確かに科学的データで確認されている事実です。
ただし、データを深く見ていくと、このメリットは多くの人が想像しているほど強力でも万能でもありません。
特定の条件だけが切り取られ、一般化されて伝わっているケースが非常に多い、というのが実態です。
まず理解しておくべきなのは、バルクアップの効果は「誰でも同じように起きるもの」ではないということです。
余剰カロリーが筋肉に変換されやすいかどうかは、その人の体がどれくらい筋肉を作りやすい状態にあるかに強く依存します。
実際、余剰カロリーによって筋肉の成長が確認されている研究の多くは、トレーニング未経験者、もしくは初心者を対象にしたものです。
初心者は筋タンパク合成が非常に高く、摂取したエネルギーが筋肉に回りやすい状態にあります。この条件下では、バルクアップのメリットは確かに成立します。
一方で、トレーニング経験者になると事情は大きく変わります。
食事量を増やせばエネルギー摂取量は増えますが、そのエネルギーが筋肉に使われる割合は大きく下がります。つまり、余剰カロリーの多くは、筋肉ではなく脂肪として蓄積されやすくなります。
これに加えて、ステロイド使用者ではバルクアップのメリットが大きくなる可能性があります。ロニーコールマンなど多くのボディビルダーが増量期やバルク期を作っていますが、これはステロイドによるホルモン環境によって筋タンパク合成が大きく底上げされているためです。つまり、「たくさん食べれば筋肉が増える」という話は、条件付きの話に過ぎません。
そして、もうひとつ重要なのが、本当に必要なエネルギー量です。この点は長年、かなり誇張されて語られてきました。
例えば炭水化物はエネルギーになるからたくさん摂ったほうがいい。筋トレ中はグリコーゲン不足になるから筋トレ前に食事をした方がいい。筋肉を作るのには大量のカロリーが必要。
しかし、具体的にどれくらいのエネルギーが必要か知っていますか。実際筋肥大に必要なエネルギー量をレビュー研究から確認すると、1日あたりおよそ5〜50kcal程度であることが示されています。
これは、多くの人が想像しているよりもはるかに少ない量です。仮に100kcal余分に摂取したとしても、筋肉の成長に使われるのは最大でもその一部で、残りは脂肪として蓄積されます。
また、大量の食事をとることでグリコーゲン量が増え、パフォーマンスが上がると考えられがちですが、この点も現実とはズレがあります。
レビューでは各筋群8セットというかなりハードな全身トレーニングを行った場合でも、グリコーゲンストアの減少は最大で約40%程度にとどまることがわかっています。
つまり、現実的なトレーニング環境において、グリコーゲン不足が筋肥大の制限因子になるケースは、ほぼありません。
そしてパフォーマンスや筋肥大のために必要な炭水化物量も、システマティックレビューでは体重1kgあたり1〜3gで十分とされています。
例えば体重70kgの人であれば、1日70〜210gの炭水化物で必要量は満たせます。これは白米で言えば、茶碗一杯強から1.8合程度です。それ以上摂取しても、筋肥大やパフォーマンスに追加のメリットはほとんどありません。脂肪に変換されます。
確かに食事量を増やせば、体内に入る栄養素は増えます。
しかし、筋肥大やパフォーマンスのために体が本当に必要としている量は、多くの人がイメージしているよりもはるかに少なく、ほとんどの場合、増量や余剰カロリーを作らなくても満たされています。
必要量を超えて摂取されたエネルギーは、筋肉を追加で成長させるわけではありません。その多くは脂肪として体に蓄積されます。
実際、先ほど触れたメタ分析でも、エネルギー不足がどれくらいの規模だったかが結果に大きく影響していました。
確かにエネルギー不足は筋肥大を制限していましたが、毎日200〜300kcal程度の軽いエネルギー不足を維持していた被験者では、筋肉の維持や成長にほとんど悪影響が見られなかったことが示されています。
さらに、リコンプに関する複数のレビューでも、軽度のエネルギー不足を維持しながら筋肉を成長させることが可能であることが確認されています。
つまり、「筋肉を増やすには常に余剰カロリーが必要」という考え方自体が、すでに正確ではありません。
ここまでを整理すると、多くの人が信じているバルクアップのメリットは、特定の条件下でのみ成立し、その効果も一般化され過ぎているケースが非常に多いと言えます。
ただ、たくさん食べればいい。体重を増やせばいい。これは大きな間違いです。
ただし、ここでひとつ重要な誤解を解いておきます。バルクアップ自体が間違っているわけではありません。
正しい条件を満たしていれば、バルクアップは筋肉を成長させる有効な手段になります。
問題なのは、「筋肉を増やさないバルクアップをしている人が圧倒的に多い」という点です。
科学的に見ても、適切な体脂肪率、適切な余剰カロリー適切な体重増加ペースこれらが揃った状態では、筋肉量は確実に増加します。
次のチャプターでは、その差がどこで生まれるのか。まずは、筋肉が増える人と、脂肪だけが増える人で実際に体の中で何が起きているのかそこから整理していきます。
決定的な違い① 増える脂肪の量
筋肉を成長させるバルクアップと、ただ太るだけのバルクアップでは、結果として増える脂肪の量が決定的に違います。
同じように増量しているつもりでも、ここで結果は完全に分かれます。
成功するバルクアップは、筋肉を作れる体脂肪率を維持したまま進みます。一方で失敗するバルクアップは、筋肉よりも先に脂肪が増え続けます。
脂肪を増やすことのデメリットは、見た目が太ることだけではありません。
実は筋肉の成長には、適切な体脂肪量というものがあり、これを超えると明確な不利が生じます。
数多くのデータから、体脂肪率が高い人は、痩せている人よりも筋肉が成長しにくい可能性が示されています。体脂肪率が高くなると、ホルモン環境や代謝環境が変化し、筋タンパク合成の効率が低下するためです。
そのため、短期間で体脂肪が大きく増えるような増量では、筋肉を増やすメリットよりも、脂肪増加によるデメリットの方が大きくなります。バルクアップで最も重要なのは、脂肪をできるだけ増やさないことです。おおよその目安ですが、体脂肪率20%を超えると明らかにマイナスの影響が出てきます。
なので「バルクアップは体脂肪率が低い人がやるもの」という認識が正解です。体脂肪が平均またはそれ以上の人が増量すると脂肪が増える作業になりやすくなります。
脂肪を増やし過ぎないために必要なのが、余剰カロリーのコントロールです。体重維持カロリーを大きく超える摂取を続けると、余ったエネルギーのほとんどは脂肪として蓄積されます。
トレーニング経験者を対象にした研究では、体重維持カロリーのグループ、5%の余剰を作ったグループ、15%の余剰を作ったグループを比較した結果、筋肥大の効果に有意な差はありませんでした。
唯一はっきり差が出たのは、増加した体脂肪量だけです。
余剰カロリーが多いグループほど、体脂肪だけが大きく増えていました。研究者はこの結果から、カロリー余剰は筋肉よりも脂肪に強く影響すると結論づけています。
さらに、脂肪が多く増えるほど、その後のダイエットはハードになります。研究者のエルックヘルムズ墓によると極端な増量と減量を繰り返すと、結果的に筋肉が失うことになるようです。(博士の解説)
実際、筋肉は脂肪の約5倍のスピードで落ちることが分かっています。バルクアップで増えた筋肉よりも、減量中に失う筋肉の方が多くなるケースは珍しくありません。
太ってから脂肪を落とせば、その過程で筋肉に変わる。
こう言われることがありますが、これは完全な誤解です。脂肪細胞と筋肉細胞は、そもそも別の細胞です。脂肪が筋肉に変換されることは、人体の構造上起こりません。
つまり、「一度太ってから筋肉に変えればいい」という戦略は存在しません。太った分の脂肪は、落とすしかありません。そしてその過程で、筋肉は必ず失われます。
だからこそ、バルクアップで最も重要なのは最初から脂肪を増やさないことです。
決定的な違い② 体重増加のペース
脂肪がどれだけ増えるかを決めている最大の要因は、体重増加のペースです。
筋肉を増やすバルクアップには、適切な体重増加が必要不可欠です。このペースを超えると、増えている体重のほとんどは脂肪である可能性が非常に高くなります。
データに基づくと、理想的な体重増加は、1か月あたり体重の0.5〜1%程度です。この範囲であれば、脂肪をほとんど増やさずに筋肉を増やせている可能性が高いと考えられます。
例えば体重70kgの人であれば、1か月あたり350〜700gの増加が目安になります。この範囲を超えると、エネルギーは筋肉ではなく脂肪に変換されやすくなります。
筋トレ初心者やトレーニング経験が1年未満の人であれば、この倍程度のペースでも許容される場合があります。しかし、トレーニング経験者では同じことは起きません。
この体重増加ペースを作るために必要な余剰カロリーは、1日あたりおよそ100〜200kcal程度です。2〜3か月で1kg増えるくらいのペースをイメージしてください。
そのため、2〜3か月だけ増量する短期的なバルクアップでは、効果を実感できない可能性が高くなります。バルクアップは短期戦ではありません。
最低でも6か月以上かけて、ゆっくり体重を増やしていく必要があります。半年で2〜3kgの体重増加ができていれば、非常に成功率の高いバルクアップと言えます。
バルクアップ中のトレーニング
結論から言います。バルクアップ中だからといって、トレーニング内容を大きく変える必要はありません。
多くの人が信じている「エネルギーがたくさんあるから、特別なトレーニングが必要」という前提は、ほとんど当てはまりません。
前のチャプターで説明した通り、筋肉の成長に本当に必要なエネルギー量はごくわずかです。ほとんどの人は、増量していなくても、トレーニングに必要なエネルギーはすでに満たしています。
つまり、バルクアップによって急に高重量が必要になる、回数を極端に減らす必要がある、トレーニング法を大きく変える必要がある。増量期で、筋肥大に最適なトレーニング方法が大きく変わることを示したデータはありません。バルクアップ中でも、減量中でも、筋肉が成長する条件は同じで、違いはほとんどありません。
ただバルクアップ中にやるべき唯一のことは、体重が少しずつ増えている分、プログレッシブオーバーロードを止めない、より最大重量を増やしていくことです。
重量が伸びるなら重量を伸ばす。回数が伸びるなら回数を伸ばす。それだけで十分です。
逆に、バルクアップだからといってトレーニングを変え過ぎると、せっかくいいトレーニングができていたのに不要な変更で成長が止まります。
食事で体重をゆっくり増やし、トレーニングで刺激を淡々と積み重ねる。これが、脂肪だけ増える人と、筋肉が積み上がる人を分ける、現実的な答えです。
まとめ|バルクアップで太る人と、デカくなる人の違い
ここまでの話をシンプルにまとめます。バルクアップで筋肉が増えるかどうかは、才能でも体質でもありません。多くの場合、「一般的な常識を信じているかどうか」だけで結果が分かれます。
まず、バルクアップのメリットは確かに存在します。余剰カロリーは筋肉の成長をわずかに後押しします。ただしその効果は、初心者や特定の条件下でのみ強く出るもので、多くの人が思っているほど万能ではありません。
問題はここからです。多くの人は、食べる量を増やしすぎ、体脂肪を増やしすぎ、体重を増やすペースが速すぎる。この状態で「バルクアップをしているつもり」になっています。その結果、増えているのは筋肉ではなく脂肪です。
そして後からダイエットをして筋肉を失い、これがバルク期で増やした筋肉量をはるかに超えてしまいます。これが、バルクアップが失敗に終わる最も多いパターンです。
一方で、成功する人は真逆です。脂肪をほとんど増やさない。体重は月に0.5〜1%未満。余剰カロリーは100〜200kcal程度。半年以上かけて、ゆっくり体重を増やす。
バルクアップ期間で重要なのはタンパク質とカロリー摂取量。基本的に極端な低炭水化物ダイエットをしていない限り、筋トレや筋肥大に必要な炭水化物量を下回ることはないので、タンパク質を十分に摂ることと体重維持カロリーから+100~200kcalを意識してください。
トレーニング内容は変えません。そもそも摂取カロリーもわずかにしか増やしてないので同じ種目で、同じ可動域で、プログレッシブオーバーロードを積み重ねるだけです。
正しいバルクアップは派手ではありません。変化も遅いです。でも半年後、1年後に確実な差を作ります。筋肉を増やしたいなら、「たくさん食べる」という常識を捨ててください。
必要なのは、脂肪を増やさないこと。体重増加を急がないこと。トレーニングを変えないこと。これが、バルクアップで太る人と、筋肉だけを増やす人の決定的な違いです。


コメント