筋トレ界最強の高頻度全身トレーニングの科学的証拠とメニューの組み方を徹底解説!
1985年に出版されたアーノルド・シュワルツェネッガーのボディビル百科事典によると彼は1週間で6日トレーニングを行い、1日3~4つの部位、ほとんどの部位が週に2~3回鍛えられていました。今でも多くのトレーニーが胸の日、背中の日などのブロスプリットトレーニング。大胸筋、上腕三頭筋、肩などの3部位を1日で鍛えるプッシュプルレッグ分割など部位を絞ってトレーニングする人が主流です。
しかし、ここ10~20年ほどでトレーニング法は進化していくと共に部位を絞ってトレーニングするよりも全身の筋肉を毎日鍛えたほうが効果的であることが判明しました。これによりフィットネス先進国アメリカでは多くのボディビルダーやフィジーカーが全身トレーニングに切り替えています。あなたがもし筋肉を効率的に成長させたい場合は今すぐに分割法をやめて全身法に切り替えてください。
この記事では科学的な根拠を基に高頻度全身トレーニングのメリットそして、高頻度トレーニングについての迷信や偏見についての真実、最後に初心者の人でも安心の全身トレーニングの作り方について徹底解説します。
効率的に筋肉をつけたい人や科学的に証明されたメリットを知りたい方。メニューの作り方を知りたい方は必見です。
全身トレのメリット
筋肉が最短で成長する
全身トレーニングの最も大きなメリットは高頻度で筋肉を鍛えられること。科学的なデータでは一貫して「高頻度で鍛えたほうが筋肉が成長する」ということを示しています。
2019年の頻度について最も新しいメタ分析ではトレーニング頻度についての25件の研究を再評価したところ、トレーニング頻度自体には明確な違いがないことが示されました。ってことは筋トレの頻度は週1回でも7回でも変わらないってことを意味するのでしょうか。
実は違います。これはボリュームが等しい場合です。ボリュームが同じ場合は筋トレ頻度は何も関係ありませんが普通に筋トレした場合はボリュームが同じということはあり得ません。
2018年の研究では週5回の全身トレーニングと週1回の分割トレーニング5日で比較をしたところグラフのように筋肥大効果については測定した全ての部位で筋肥大効果が2倍程になっており、2015年の研究でも青の全身法のほうが優れていることがわかりました。
なぜ高頻度のほうが筋肥大効果が高いのか。これは非常に単純。ほとんどの科学者、筋トレの専門家が全身法を推奨するのは高いトレーニングボリュームを確保できるから。2017年の筋トレのセット間のインターバルについて、系統的レビューでは筋トレ中の長いインターバルのほうが筋肥大,筋力アップ効果が高いことを示しています。
例えば週に1回で5setセット間のインターバル3分、一気に大胸筋を鍛えるよりも1日1setを週5日やれば24時間の休憩があるため持ち上げる回数が多く、トレーニングボリュームが高いということです。最新の研究ではレッグプレスを週1回9setと週3回3setで分けたところ、研究期間中すべてで黒の週3グループのほうがトレーニングボリュームが高く大腿四頭筋の成長も2.7倍高いことがわかりました。
2016年のブラッドシェーンフェルド博士による研究では頻度と筋肉の成長についての科学的データを分析した結果、頻度以外のトレーニング変数が等しい場合、週に1回よりも週に2回のほうが優れた筋肉の成長をもたらすことを示しているため週に2回鍛える人が多かったですが、今は筋トレ頻度は高いほど筋肥大効果は高いというのが明確な答えとして出ています。
加えて全身法でちょっとずつ鍛えるとジャンクボリュームをカットできます。ジェームスクリガー博士は筋トレのセット数と筋肥大効果についてのデータを分析したところ1日6~8setで筋肥大効果は頭打ちになることを示しています。
いくつかの研究で分割法のように同じ部位を集中的に鍛えると筋肉が深く傷つくことで筋肉の合成反応が下がることが示されています。
そのため、1日で大胸筋を15setやっても実は半分程は筋肉の成長にはほとんど意味のないジャンクボリューム、無駄なトレーニングボリュームになる可能性があります。1日3setずつやればジャンクボリュームのない高品質なボリュームになり、全く無駄のない筋トレメニューとなります。
そして高品質で高いボリュームは脂肪も多く燃焼させます。運動、栄養学の博士号を持つジムストパニ博士は全身トレーニングは遺伝子を活性化させ多くの脂肪を燃やすと解説しています。
2016年の研究では筋肉の成長効果はスプリットトレーニンググループは平均して+0.4%だったのに対し、全身トレーニンググループは+1.1%で2倍以上の差がありました。そして体脂肪の量はスプリットトレーニンググループは-2.1%だったのに対し、全身トレーニンググループは-5.7%でこれも2倍以上の差がありました。
そのため、全身トレーニングは分割トレーニングよりも体脂肪を落としながら、かつ筋肉を構築する優れたトレーニングです。
回復能力が高い
全身法の隠れたメリットは回復能力が高いことです。「え、逆じゃね」と思う人も多いと思いますが、実際は低頻度トレーニングよりも高頻度トレーニングのほうがダメージが小さいです。2018年の研究ではバックスクワットを自分の体重の165%を持ち上げられる筋トレ経験者を高頻度グループと低頻度グループに分けたところ低頻度グループのほうが筋肉の損傷が激しく、被験者は筋肉痛を強く感じたことを示しました。
そして別の研究では上半身下半身分割で週2回ずつのトレーニングよりも週4回毎日脚をトレーニングしたグループのほうがスクワット、レッグプレスで2倍以上の筋力アップ効果がありましたが被験者はかなり高重量のトレーニングをしていたにもかかわらず22時間で大腿四頭筋が完全に回復することがわかりました。
筋肉の損傷はおおよそ24時間あれば完全に回復することができます。このデータを考慮すると分割法で同じ部位を10set,20set鍛えるとセット間の休憩が数分しかないため筋肉が回復しきる前に次のセットとなります。つまり、ダメージが深刻であるということを意味しますが、高頻度であれば24時間の休憩があるため完全に回復してから次のセットがこなせるためダメージがほとんどないということです。
実際、ほとんどの研究者が高頻度のほうが筋肥大効果、筋力アップ効果が高いことと回復にはほとんど問題が起きず、むしろ低頻度よりも回復能力が高いことを認めており、フィットネス研究者のmenno henselmans博士はこのことを踏まえて、あらゆる点で高いトレーニング頻度は低いもの以上の効果がありマイナス面は無いように見えると解説しています。
高頻度は回復できない、上級者は分割法など色々な意見がありますが実際科学的な研究ではその主張は迷信であり、ほとんど逆です。効率的に筋肉を成長させたい人は絶対に全身法をやったほうがいいです。
全身法のデメリット
全身法のように新しいトレーニング法を紹介すると間違いなく批判が出ます。批判や反対意見が出ることは悪いわけではありませんが高頻度トレーニングに対する批判のかなりの割合が根拠に基づいたものではなく本人の偏見によるものがほとんどです。
パンプや追い込みが弱い
トレーニングのセット間のインターバルを1分にした場合と3分にした場合、追い込みや筋肉の疲労感、パンプはどちらの方が上でしょうか。まずほとんどの人はインターバル1分と短いほうが感じやすいと思います。分割法から全身法に変えたトレーニーの方から特に頂く相談ですが、全身法にしたら追い込み感やパンプがほとんどなくなったのですが不安です。というものです。
トレーニングについての最も大きな落とし穴は感覚と筋肥大は結びつかないということ。腕が上がらなくなるまで追い込んでもヒジが曲げられないくらい上腕二頭筋が張っていてもトレーニングボリュームが低ければ大して筋肉は成長しません。つまり、ボリュームのほうが筋肥大には圧倒的に重要であるため、高頻度に変えたらパンプや追い込み感が無くなるのはあなたが効果的な筋トレメニューに変えられたことの証拠でもありますので全く心配する必要はありません。
回復が間に合わない
高頻度トレーニングについての反対意見は99%これといってもいいです。筋肉の回復時間について調べると48~72時間、つまり2~3日かかるとすぐに出てくるため高頻度は筋肉が回復する前に鍛えてしまうから筋肉が成長しないとよく言われます。しかし、その数字についての具体的な根拠は全くないことがほとんどです。
2013年の研究では30人の男性を24時間グループと48~72時間グループに分けました。被験者はレッグプレス、ラットプルダウン、ショルダープレスなどの全身トレーニングを週3回実行しました。48~72時間グループは全身トレーニングを月水金で行い、24時間グループは全身トレーニングを月火水で行いました。被験者間の栄養摂取パターンは類似していたため、栄養摂取によって回復能力に差が出たという可能性はありません。
結果として筋力アップ効果はどの種目もほとんど同じであり、除脂肪体重の上がり方も休憩時間が24時間でも48時間以上でも変わらないことを示しています。ポルトガルで行われた同じような研究でも24時間の休憩と48~72時間の休憩では筋力、筋肥大ともに変わらなかったことを示しています。
そのため、高頻度トレーニングには回復に問題があるというのは科学的な根拠は非常に乏しく、おそらくですがこれは分割トレーニング支持者のそうであってほしいという考えから出た情報だと思います。高頻度トレーニングに回復の問題はありません。
疲れやすくなった
全身トレーニングの注意点として分割法から全身法に変えると疲れやすくなる場合があります。これは多くの人からSNSで質問をもらうこともありますし、実際パーカーフィットネスも経験したことがあります。しかし、ほとんどの場合全身を続けていくとすぐにこの疲労感はなくなります。
この疲労感は全身法が原因というわけではなく体の適応不足が問題であるからです。人間の体というのは回復能力をその環境に適応させるRBE(Repeated Bout Effect)があるからです。つまり、何か月、何年も分割法をしてきた人は体がそのルーティンに適応していますが、全身法に急に変えると体がそのルーティンに適応していないため疲労感が強く感じる可能性があるということです。
全身法に変えたら疲れやすくなったという方にするアドバイスは基本的にはひとつだけです。1か月やってみてください。大体ほとんどの人は1か月全身トレーニングをすると疲労感が軽減されます。どうしても疲労が強すぎるという人は、全身法は変えずにトレーニングのセット数を半分にしてから徐々に増やしていくのがおすすめです。
全身法が合わない人
全身法は100人中99人にとって効果的な筋トレ法だと自信を持って言えますが全身法が合わない人もゼロではありません。ここで全身法をやめて分割法で鍛えたほうが筋肉が成長する人について紹介します。
それは分割法のほうがボリュームを確保できる人です。高頻度トレーニングのメリットは同じ筋トレ時間でも低頻度分割法よりも高いボリュームを確保できるのが最も大きなものです。
2021年の4月に行われた研究では週2回と4回でボリュームを同じにしてトレーニングを行わせたところ筋肥大効果に違いはなかったことを示しています。
つまり、全身法よりも分割法のほうがやる気が出て長い時間筋トレできたり、頻繁にジムに行けて高いボリュームを確保できるという場合は全身法よりも分割法のほうが成長できる可能性があります。
しかしこれは、自転車と車で走行距離対決をしているようなものです。低頻度であればあるほど自転車のように1km走るのに長い時間がかかるため、低頻度のほうが効率の悪い選択であることは間違いなく事実です。特にBro-Splitトレーニングのように週に1回で集中的にやる人はボリュームの低下が顕著であり、週3回全身法をしている人と同じトレーニングボリュームを確保するのに大体2倍近く筋トレ時間がかかります。
つまり分割法だったら2倍以上の時間筋トレできるという人は全身法よりも分割法のほうがあっていますが、そういった人は非常にまれであるためほとんどの人は高頻度でトレーニングしたほうが良いでしょう。
筋トレメニューの作り方
ここまで見ていただければ効率的にボディメイクをするためには高頻度の全身法をやる選択肢しかないと思っていただけると思いますが、筋トレメニューはどういう風に組めばいいかわからない、特に初心者の人だと全身法良いって言われてもメニューの作り方が難しいと思うので簡単なルールを教えます。このルール、手順さえ守っていればオリジナルの全身トレーニングメニューは簡単にできます。
まずひとつ目はトレーニング種目をPPLに分類すること。PPLというのはプッシュマッスル、押す筋肉を使う種目、プルマッスル、引く筋肉を使う種目、レッグマッスル、脚の筋肉を使う種目で分けます。メジャーなところだとベンチプレス、懸垂、スクワットです。全身トレーニングで最も重要なルールはプッシュ、プッシュなど同じ運動の筋肉を連続させてやらないことです。
例えばベンチプレスの後にダンベルフライよりもベンチプレスの後に懸垂をして、スクワット、そしてダンベルフライのほうがベンチプレスで使用された筋肉が懸垂中、そしてスクワット中に回復できるため長い休憩を与えることで疲労によるパフォーマンス低下を軽減させることができます。これにより、持ち上げる回数が向上して筋肉の成長をさらに促進させます。
そのため、トレーニング種目をプッシュプルレッグに分けて同じ部位のトレーニングが連続しないようにメニューを構築しましょう。筋トレ初心者の人はまずこのメニューから始めてみてください。このメニューはプッシュ→プル→レッグというサイクルを2周しているメニューです。同じ部位を連続して鍛えないので種目間の休憩は最小限で構いません。
例えばベンチプレスが終わったら息が整う10~20秒ほど休んで懸垂をしてもベンチプレスでの筋肉の疲労は懸垂にはほとんど引き継がれません。疲労感がゼロとまではいいませんが、間違いなく言えることはベンチプレスの後にショルダープレスをするよりも疲労は小さいです。
筋トレは高頻度であればあるほど効果的です。大胸筋は週2、腹筋は毎日というように部位によって頻度を分けるのもほとんど意味がないと思います。効率的に成長させたい場合は部位を絞らずにジムに行くたびに筋肉を鍛えたほうが筋肥大、筋力、回復、全てにおいて優れている可能性が非常に高いです。
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