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脂肪が落ちるのにかかる時間、科学で判明しました

「1日で1kg痩せた」こういうひと、数週間後にダイエットに失敗します。

実は脂肪が落ちるスピードには科学によって証明された明確な上限があります。どれだけ頑張っても、それを超えることはできません。

つまりどういうことかというと、短期間で体重が大きく落ちている人ほど、脂肪はそこまで落ちていない可能性が高いということです。

では、実際に脂肪はどれくらいのスピードで落ちるのか。最高でどれくらい脂肪を燃やすことが出来るのか。そして、その最高速度で脂肪を落とすにはどうすればいいのか。

この動画では、
・脂肪が落ちる本当のスピード
・短期間で体重が落ちる正体
・脂肪を最大効率で落とす方法

これをすべて科学的に解説します。この動画参考になったら是非高評価をお願いします。

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脂肪が落ちる速度

多くの人は、ダイエットというと「どれくらい頑張ればどれくらい脂肪が落ちるのか」をかなり雑にイメージしています。たとえば、1日で1kg痩せた、3日で2kg落ちた、1か月で10kg落ちた、こういう話を聞くと「脂肪って意外とすぐ落ちるんだな」と思ってしまいがちです。でも、ここには大きな勘違いがあります。まず最初に結論から言います。純粋な体脂肪は、思っているほど速くは落ちません。現実的には、1日で落とせる純粋な体脂肪はせいぜい約50〜150g程度です。 もちろん個人差はありますが、このレンジを大きく超えるのはかなり難しいです。

https://journals.lww.com/acsm-msse/fulltext/2009/02000/appropriate_physical_activity_intervention.26.aspx

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3880593/ 

これは「気合いが足りない」とか「努力不足」とか、そういう話ではありません。脂肪が落ちるスピードには、そもそも人体側の制約があります。つまり、頑張れば無限に速く脂肪が落とせるわけではない。ここを理解しないままダイエットすると、体重は減っているのに脂肪はそこまで減っていないとか、逆に筋肉や水分ばかり失っている、というかなりもったいない状態になります。

では、なぜ1日で落とせる体脂肪に上限があるのか。理由は大きく2つあります。1つ目は、脂肪はエネルギーだからです。 体脂肪はただの見た目の問題ではなく、体に蓄えられたエネルギーです。だから脂肪を落とすというのは、結局のところ「そのエネルギーをどれだけ使ったか」という話になります。

ここでよく使われる古典的な目安が、脂肪1ポンド、つまり約0.45kgを落とすのに約3500kcalが必要という考え方です。これはWishnofskyの古典的な論文に由来する非常に有名な数字で、現代では厳密には個人差や体組成変化を考慮すべきだとされていますが、「脂肪はかなり大きなエネルギーの塊である」という理解としては今でも有用です。単純計算すると、脂肪1kgは約7700kcalに相当します。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3880593/

この数字が意味することはかなり大きいです。たとえば、純粋な体脂肪を1kg減らしたいなら、体内から約7700kcal相当のエネルギーを取り出す必要があります。では、その7700kcalを1日で作れるのかというと、普通はまず無理です。なぜなら、1日に作れるカロリー赤字には現実的な限界があるからです。American College of Sports Medicineでは、一般的な減量のためのエネルギー赤字として1日500〜1000kcal程度が推奨されています。これは週あたり約0.5〜1kgの体重減少に相当する、かなりオーソドックスなラインです。

これ以上、例えば3000kcal 5000kcal運動で消費すればもっと早く脂肪を落とせるんじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、この数字は現実的ではありません。おそらく3000kcalは8~10時間の運動、5000kcalは半日以上の運動が必要だからです。 

https://journals.lww.com/acsm-msse/fulltext/2009/02000/appropriate_physical_activity_intervention.26.aspx 

ここで単純に計算してみます。もし1日に500kcalの赤字を作れたとしたら、7700kcalで1kgの脂肪が落ちるとして、1日に落ちる脂肪は約65gです。1000kcalの赤字なら約130gです。つまり、かなり頑張っても1日に落ちる純粋な脂肪はせいぜい数十gから100gちょっとというのがまず1つ目の現実です。ここで「いや、自分は食事もかなり減らして運動もしてるから、もっといけるのでは」と思う人もいるかもしれません。ですが、話はここで終わりません。実は、体脂肪の減少速度を制限するもう1つの壁があります。

それが、脂肪を取り出せる速度そのものに上限があるということです。これが2つ目の理由です。これはAlpertの2005年の論文で有名になった考え方で、人間の脂肪組織は、エネルギー不足になったときに無限にエネルギーを供給できるわけではなく、1kgの脂肪あたり1日約290kJ、つまりおよそ69kcal前後しか供給できないと推定されています。論文でよく知られている表現に直すと、約31kcal/lb fat/dayです。これは「体脂肪が1ポンドあるごとに、1日に取り出せるエネルギーにはこのくらいの上限がある」という意味です。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15615615/

これを具体例で考えるとわかりやすいです。たとえば、ある人が体脂肪を10kg持っているとします。この場合、単純化すれば1日に脂肪から引き出せるエネルギーは、69kcal×10kgで約690kcal前後が1つの目安になります。体脂肪20kgなら約1380kcalです。つまり、体脂肪が多い人ほど脂肪から引き出せるエネルギーの上限は高くなりますが、それでも無限ではありません。ここが重要です。エネルギー赤字を大きくすれば、その分が全部脂肪から出てくるわけではないということです。脂肪から出せる量には限界があり、それを超えた不足分は、筋肉を含む除脂肪組織の分解や、パフォーマンス低下、代謝の適応など、別の形で帳尻を合わせる方向に進みやすくなります。

つまり、「脂肪には供給速度の上限がある」「カロリー赤字を増やしても全部が脂肪燃焼に使われるわけではない」ということ。ここを「脂肪1kgは7700kcalだから、断食すれば一気にいける」と考えるのは間違いです。人体はそんなに単純ではありません。

ここまでをまとめると、1日で落とせる純粋な体脂肪が約50〜150g程度です。なぜなら、人体には脂肪からエネルギーを引き出せる速度そのものに限界があるため、赤字を極端に増やしても、その全部が脂肪にはならない。だから最終的に、**「1日で落ちる純粋な体脂肪は最大でもせいぜい150gほど」**という結論に収まってきます。

150gというのは小さいように思えるかもしれませんが、1週間で1kgほど、1か月で4~5kgの脂肪燃焼。4~5kg脂肪だけを落としたら体型が激変するレベルです。

これを考えると1日150gって意外と簡単だと思うかもしれません。でも実際はそうではありません。この理想的な毎日150gの脂肪を落とすためには抑えなければいけないポイントがいくつかあります。それはこの動画の後半で解説しますが、次に絶対に抑えてほしい体重計と脂肪燃焼の関係について紹介します。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3880593/ 

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体重計≠脂肪燃焼

脂肪燃焼のペースは最大でも150g。でも皆さんこんなこと思いませんか?

「テレビとかインスタで1週間で1kg体重落としたっていう人見たことあるけどな」「もっと早く体重落としたことあるけど」 

確かにダイエットを始めた初期では1週間で1kg以上体重が落ちるのは珍しくありません。

しかし、体重減少は脂肪だけに限ったことではありません。 

体重計の数字に出るのは「脂肪」ではなく「体全体の重さ」です。ここが最も重要です。体重計の数字には、脂肪だけでなく、水分、筋肉、グリコーゲン、胃や腸の中に残っている食べ物、便の量、塩分バランスの変化による体液量の変動まで、全部が含まれています。つまり、体重が落ちたからといって、その中身が脂肪だとは全く限らない。むしろ短期間で大きく落ちるほど、脂肪以外の割合は大きくなりやすい。これが現実です。

まず最初に理解してほしいのは、体重系の数字は脂肪よりもずっと簡単に増減する成分をたくさん含んでいるということです。

特にその中でも最も大きいのが水分です。短期間で体重が大きく落ちる最大の原因は、ほぼ間違いなく水分です。人間の体はかなりの割合が水でできていて、その水分量は食事内容、塩分摂取量、糖質摂取量、発汗量、睡眠、ストレス、ホルモン状態など、さまざまな要因で簡単に変動します。特にダイエットの初期に多いのが、食事量を急に減らしたり、糖質を大きく減らしたりしたことで体内の水分が一気に抜けるパターンです。

特にこの傾向が強いのは低糖質ダイエット。これによって、数日単位で体重が2kg、3kgと動くことがあります。でも、これは脂肪が2kg、3kg燃えたわけではありません。主に水です。

加えて人間の体にはこのグリコーゲンが数百g単位で存在していて、糖質摂取量や運動量によってかなり変わります。そして重要なのは、グリコーゲンは単独で存在しているわけではなく、水と一緒に保持されているということです。一般的には、グリコーゲン1gに対しておよそ3g前後の水が結びついていると考えられています。つまり、もし体内のグリコーゲンが400〜600g減れば、それに伴って1kg以上の体重変化が起きても全く不思議ではありません。

だから、ダイエットを始めて最初の1週間で体重が一気に落ちた人の多くは、「脂肪がすごい勢いで燃えた」のではなく、「グリコーゲンと水が減った」可能性が非常に高いです。特に、今まで糖質を多く摂っていた人、食事量が多かった人、外食や加工食品などで塩分摂取が多かった人ほど、この最初の水分変動は大きくなりやすい。だから短期間で体重が大きく落ちたからといって、そこで「この方法は脂肪がめちゃくちゃ落ちる」と判断するのは危険です。

次に大きいのが、胃や腸の内容物です。これはかなり見落とされがちですが、実際には無視できません。特に最近はやりの断食ではこの傾向が強い。単純に考えて、食べる量が減れば、体の中に入っている食べ物の量も減ります。急に食事量を減らせば、胃や腸の中にとどまっている内容物の量は減ります。

なぜこのことを知っておかなければならないのか。断言してもいいです。ダイエット初期の体重減少を脂肪の燃焼だと思い込むと絶対に挫折します。

まず前提として、ここまで説明してきた通り、体重は水分やグリコーゲンの変化で短期間に大きく動きます。だからダイエットを始めた直後は、1日で1kg近く落ちるようなことも普通に起こります。ここまでは問題ありません。問題は、そのあとです。

多くの人は、この最初の急激な体重減少を「基準」にしてしまうというミスをします。つまり、「ダイエットとはこのくらいのペースで体重が落ちるものだ」と無意識に思ってしまう。これがかなり危険です。

なぜかというと、その後の体重変化は必ず緩やかになるからです。これは当たり前で、最初に大きく動いていた水分やグリコーゲンが落ちきった後は、基本的に脂肪しか減らなくなるからです。そして脂肪は、ここまで説明してきた通り、非常にゆっくりしか落ちません。

つまりどういうことかというと、多くの人が「停滞期」と呼んでいる状態、つまり体重があまり動かなくなる時期は、実は特別な異常な状態ではありません。むしろ逆で、その状態こそが“正常”です。逆に、最初の1日で1kg近く落ちるような状態のほうが、むしろ特殊です。

ここを勘違いすると何が起きるか。体重の落ち方が鈍くなったときに、「停滞期に入った」「この方法は効かなくなった」と判断してしまいます。そして、多くの人はそこでさらに行動を強めます。つまり、もっと食事を減らす、もっと運動量を増やす、より極端な方法に走る。

しかしこれは、かなり危険な判断です。というのも、一般的に言われる停滞期は脂肪が落ちていないわけではなく、むしろ脂肪が落ちるフェーズに入っている可能性が高いからです。 水分の変動が落ち着いたあと、体重の変化は小さくなりますが、その中身は脂肪である割合が高くなります。つまり、見た目の変化や体組成としては、むしろここからが本番です。

それなのに、この時期を「停滞=異常」と捉えてしまうと、必要以上に負荷を上げてしまう。その結果どうなるか。まず、単純にきつすぎて続きません。食事制限も運動も極端になればなるほど、継続性は下がります。短期間で頑張りすぎて、途中でやめてしまうパターンは非常に多いです。

さらに問題なのは、筋肉の分解が進みやすくなることです。カロリー赤字を大きくしすぎると、脂肪だけでなく筋肉もエネルギー源として使われやすくなります。実際調査では脂肪よりも筋肉のほうが数倍分解されやすいことがわかっています。

カロリー赤字を大きくすると体重は確かに減りますが、その中身は脂肪ではなく筋肉の割合が増えてしまう。これは見た目や代謝の観点から見てもかなりマイナスです。

それだけではありません。過度な食事制限や運動は、ホルモンバランスの乱れ、慢性的な疲労、睡眠の質の低下、集中力の低下など、健康面への悪影響も出やすくなります。つまり、「停滞している」と思って焦って行動を強めることが、結果的にダイエットを失敗させる方向に働いてしまうわけです。

そしてもうひとつの落とし穴がチートデイ。体重減少が停滞すると、代謝が落ちたと考えて、食事を増やして代謝をもう一度上げようとします。しかし、ダイエット中の代謝の低下は主に体脂肪の減少で、飢餓モードについて科学的根拠はかなり薄いです。

つまり、いわゆる「停滞期」と呼ばれている状態は、異常ではなく、むしろ脂肪が落ちる通常のペースに入っただけです。このタイミングでチートデイを入れると、せっかく今まで作っていたカロリー赤字をリセットしてしまい、脂肪減少の効率を落とす可能性があります。

体重がほとんど動かなくなったときこそ、脂肪が落ちている可能性が高い。この認識を持てるかどうかで、ダイエットの成功率は大きく変わります。短期間で大きく体重が動くフェーズは、水分の影響が大きい特殊な状態です。その後のゆっくりした変化こそが、本来の脂肪減少のペースです。

ダイエットで失敗する人の多くは、最初の急激な変化に期待値を引き上げられてしまい、その後の“正常なペース”に耐えられなくなります。そしてそこで無理をして、続かなくなるか、筋肉を失うか、体調を崩すかのどれかに行きやすい。

つまり、ダイエットで本当に重要なのは、体重の“変化の大きさ”ではなく、“変化の中身”を正しく理解することです。

ここを理解できるかどうかで、ダイエットの質は大きく変わります。

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脂肪を最大効率で落とす方法 

ここまでで、どれだけ頑張っても脂肪が落ちるペースは決まってる事、そして短期間で体重が大きく落ちても、そのほとんどは脂肪ではないこと。体重がどれだけ落ちてもそれが脂肪でなければ意味がないことを説明してきました。ではここからが本題です。じゃあ実際に、どうすれば脂肪を最も効率よく落とせるのか。

まず最初に結論から言います。脂肪を落とすかどうかは、ほぼすべて食事で決まります。

食事

これはかなり重要なポイントです。多くの人は「運動を頑張れば痩せる」と思っていますが、これは半分正しくて、半分間違っています。確かに運動は重要です。ただし、それは後で説明します。まず先に理解しないといけないのは、脂肪減少の本体はカロリー赤字であり、そのカロリー赤字を作る最も現実的な手段が食事制限であるということです。

SNSやクライアントからよくこういう相談を受けます。「食べるのが好きなので、食事制限なしで痩せたいです」「きつい運動でもいいので、好きなものを食べたいです」。気持ちはかなりわかります。できるなら、好きなものを食べながら、運動だけで痩せたい。これは誰にとっても理想です。ただ、ここははっきり言います。食事を変えずに痩せることは基本的に不可能です。

なぜかというと、カロリー消費には明確な限界があるからです。

具体例で説明します。ボディビルダーのスティーブ・クックが行った「10000kcalチャレンジ」というものがあります。彼はまず1日で10000kcalを摂取し、その後にそれを運動で消費できるかという挑戦をしました。結果はどうだったか。朝食で約2400kcal、昼食で4000kcal、夜で残りを食べて、合計10000kcalを摂取するのに約12時間。その後、日付が変わった瞬間からスプリント、ランニング、ウエイトトレーニングなどを行い、ほぼ丸1日動き続けました。関節が痛くなるレベルまで追い込んで、それでも消費できたのは合計で約7000kcal程度。つまり、一日中動き続けても、食べたカロリーを完全に相殺することはできなかったということです。

この例が示しているのはシンプルです。食べたカロリーを運動で帳消しにするのは、現実的ではない。

もう少しわかりやすく言うと、食べるのは簡単で、消費するのはそれよりはるかに大変です。

例えばおにぎり1個で約200kcalあります。この200kcalを消費するためには、軽いランニングでも20〜30分程度は必要になります。これを1日何回も繰り返すことは、現実的ではありません。つまり、脂肪を減らすという目的において、消費を増やすよりも摂取を減らすほうが圧倒的に効率がいいということです。

ここでCH1の話と繋がります。脂肪はエネルギーの塊です。そしてそのエネルギーを使うことで脂肪は分解されます。つまり、毎日エネルギー不足の状態を作ることが脂肪減少の本質です。そのエネルギー不足をどう作るか。その答えが食事制限です。

ここで1つ重要な注意点があります。カロリー赤字を作ればいいからといって、極端に食事を減らせばいいわけではありません。例えば断食のように、1日全く食べなければ2000kcal前後の赤字を作ることはできます。しかしこれはCH2で説明した通り、その多くは水分や筋肉の減少です。

体はエネルギー不足になると、脂肪だけでなく筋肉もエネルギー源として使います。特に赤字が大きすぎる場合、この傾向は強くなります。

その結果、体重は減るけれど、体脂肪率は思ったほど下がらない、見た目も締まらない、代謝も落ちる、リバウンドしやすくなるという状態になります。つまり、やりすぎはむしろ逆効果です。

では、どのくらいの赤字が適切なのか。最近公開された科学的な目安としては、1日に必要なカロリーから200〜500kcal程度のマイナスが現実的で、かつ持続可能です。この範囲であれば、脂肪をしっかり落としつつ、筋肉の減少をゼロに抑えることができます。

メタ分析でも500kcal以内の赤字であれば筋肉への影響がゼロになることを認めています。

CH1で説明したように、脂肪の減少には上限があります。だから、赤字を無理に大きくしても脂肪がそれ以上落ちるわけではありません。それならば、上限ギリギリを安定して出し続けるほうが圧倒的に効率がいいということです。

結論として、脂肪を最短で落とす方法は、極端なことをすることではなく、適切なカロリー赤字を安定して継続することです。

これが、科学的に見ても、実践的に見ても、最も効率の良い方法です。

運動

ここまでで、脂肪を落とすかどうかは食事、つまりカロリー赤字で決まることを説明しました。ではここで疑問が出てきます。「じゃあ運動は必要ないのか?」結論から言います。運動は必須です。ただし目的が違います。多くの人は運動=カロリー消費だと思っていますが、本質はそこではありません。運動、特に筋トレの役割は筋肉を守ることです。

2025年に公開されたレビューでは、122件の研究をもとに、筋肉の成長、つまり筋肥大が脂肪燃焼にも影響することが示されています。これは単にカロリーを消費するという話ではなく、脂肪が落ちやすい状態を作るという意味で重要です。この効果には科学が証明した3つの理由があります。

まず1つ目は基礎代謝です。筋肉はエネルギーを消費する組織なので、筋肉量が増えるほど何もしていない状態でも消費カロリーは増えます。短期的には数%ですが、長期的には最大で20%近い代謝増加が起こる可能性が示されています。これは簡単に言えば、同じ生活をしていても太りにくくなるということです。

2つ目は分解バランスの変化です。ダイエットで体重が落ちるとき、そのすべてが脂肪になることはありません。筋トレをしていない場合、平均的に約25%は筋肉が減少します。つまり1kg体重が落ちたとき、そのうち約250gは筋肉です。これは科学的調査によって代謝の低下、見た目の悪化、リバウンドの原因になることがわかっています。しかし筋トレを行うことで、この分解バランスを脂肪優位に変えることができます。筋肉の分解を抑え、その分を脂肪の減少に回すことができるということです。

3つ目はエネルギー消費です。筋肉は成長する過程でエネルギーを必要とします。つまりトレーニング中だけでなく、回復や合成の過程でもカロリーが消費されます。結果として、同じカロリー赤字でも脂肪が落ちやすい状態が作られるということです。

ここまでをまとめると、筋トレは単にカロリーを消費するためのものではありません。**筋肉を守り、分解バランスを改善し、長期的に代謝を上げることで、脂肪を落としやすくするためのものです。**逆に言えば、筋トレをしないで痩せようとすると筋肉の分解はほぼ確実に起きます。その結果、代謝が落ち、リバウンドしやすくなり、見た目も崩れます。つまり、筋トレなしのダイエットは高確率で失敗に近づきます。

ここで重要なのがタンパク質です。筋トレは筋肉を守るための刺激ですが、材料がなければ意味がありません。**筋トレだけしても、タンパク質が不足していれば筋肉は普通に減ります。**筋肉を維持・成長させるためには、十分なタンパク質摂取が必須です。さらにタンパク質は消化の過程で多くのエネルギーを消費するため、わずかですが代謝を上げる効果もあります。目安としては体重1kgあたり約1.6g。このラインを確保することで、筋肉の維持と脂肪減少の両方を最大化できます。

ここでよくある質問があります。「HIITのほうが脂肪燃焼にいいのでは?」「EMSで脂肪を燃やせばいいのでは?」結論から言います。どちらも筋トレの代わりにはなりません。

まずHIITについてです。HIITや有酸素運動にはアフターバーン効果、いわゆるEPOCがあると言われていますが、これはかなり誇張されています。実際にアフターバーンで追加される消費エネルギーは数十kcal程度で、脂肪燃焼への影響はほとんど無視できるレベルです。さらにこの効果はHIITだけでなく、ほぼすべての運動に共通して小さく存在するものです。つまり、HIITだけが特別に脂肪を燃やすわけではありません。

次にEMSです。EMSは電気刺激で筋肉を動かし、筋肉の成長や脂肪燃焼を促すとされていますが、科学的な評価はかなり厳しいです。複数のメタ分析では、EMSの使用によって有意な体脂肪減少は確認されていません。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2021.640657/full

さらに重要なのは、多くの研究が筋トレや食事制限と併用されており、EMS単体の効果を切り分けられていないことです。つまり、効果があったとしても、それがEMSによるものかどうかは不明です。加えて、効果が出ている研究の多くは高齢者や運動習慣のない人を対象にしており、一般的なトレーニーにそのまま当てはまるとは言えません。結論として、EMS単体で脂肪を落とす効果はほぼないと考えるのが妥当です。

つまり優先順位は明確です。筋トレが最優先、有酸素運動は補助。やってもやらなくてもどちらでもOK、EMSは不要。

結論として、脂肪を最短で落とすためには、**食事でカロリー赤字を作り、筋トレで筋肉を守り、タンパク質でそれを最大化することが重要です。どれかひとつでもできてないと150gの脂肪を毎日落とすことは不可能です。

睡眠

ここまでで、脂肪は食事で決まり、筋トレで質が決まることを説明しました。では最後にもう1つ、見落とされがちですがかなり重要な要素があります。それが睡眠です。

睡眠の目的はホルモンの最適化。睡眠が不足すると、ホルモンバランスが乱れ、体は筋肉を分解しやすくなり、脂肪を蓄積しやすい状態になります。特にダイエット中はカロリーが不足しているため、もともと筋肉が分解されやすい状態です。そこに睡眠不足が重なると、この傾向がさらに強くなります。

実際にシカゴ大学で行われた研究では、ダイエット中の被験者を「5.5時間睡眠」と「7.5時間睡眠」の2つのグループに分けたところ、睡眠時間が短いグループは体脂肪が0.6kgしか減らなかった一方で、筋肉量が2.4kg減少していました。つまり、同じダイエットをしていても、睡眠が不足しているだけで“脂肪は落ちずに筋肉だけが減る”という最悪の結果になる可能性があるということです。

ここまででわかる通り、睡眠不足の問題は単なる疲労回復ではありません。体の中で起きているのは、
・筋肉が分解されやすくなる
・脂肪が残りやすくなる
という、ダイエットにとって致命的な変化です。

さらにもう1つ大きな問題があります。それが食欲です。睡眠不足になると、食欲を増やすホルモンが増え、食欲を抑えるホルモンが減少します。その結果、無意識に摂取カロリーが増えやすくなる。つまり、せっかく作っていたカロリー赤字が崩れやすくなります。

ここまでをまとめると、睡眠不足は
・脂肪が落ちにくくなる
・筋肉が落ちやすくなる
・食べすぎやすくなる
という3つの方向からダイエットを壊します。

つまり、睡眠不足はダイエットを失敗させる要因の1つではありません。

ではどれくらい寝ればいいのか。多くの研究や専門家が共通して推奨しているのは、最低でも7時間以上の睡眠です。ただし、どうしても時間が取れない人もいると思います。その場合は「量」ではなく「質」にこだわることが重要です。

具体的には、
・寝る30分前のスマホやPCなどの電子機器の使用を避ける
・アルコール摂取を控える
・就寝6時間以内のカフェイン摂取を避ける

こういった基本的な対策をすることで、睡眠の質を大きく改善することができます。結果として、睡眠時間が多少短くても、質の高い睡眠によってパフォーマンスを補うことが可能になります。

ここまでの内容をすべてまとめます。まず最初に理解してほしいのは、脂肪には燃焼速度の上限があるということです。どれだけ頑張っても、純粋な体脂肪は1日でせいぜい数十g、多くても約150g前後が現実的な上限です。この上限を無視して「もっと速く落とそう」とすると、落ちるのは脂肪ではなく、水分や筋肉になります。

体重減少のスピードは脂肪のスピードではないということです。

体重の減少がゆっくりになると停滞だと感じますが、実際は逆です。最初の急激な減少のほうが特殊であり、その後のゆっくりした変化こそが、脂肪が燃えている正常な状態です。ここで焦ってやり方を変えると、上限を超えようとして脂肪以外を削る方向に進みます。

では、どうすればいいのか。結論はシンプルです。その上限、つまり1日最大150g前後の脂肪燃焼に近づける行動を積み重ねること。このペースを維持すれば1か月で4~5kg、これは見た目が激変するレベルです。

そのためにやることは3つです。
**食事で適切なカロリー赤字を作る。**これが脂肪燃焼の本体です。赤字を作らなければ脂肪は動きませんが、やりすぎても上限以上には増えません。500kcalを目安にしましょう。500kcalはおにぎり、食パンなら2個、おおよそ1食の半分程度です。

 **筋トレで筋肉を守る。**同じ体重減少でも、脂肪の割合を最大化するために必要です。
**睡眠でそれを崩さない。**睡眠不足は食欲、筋肉、代謝のすべてを乱し、上限に届く前に失速させます。

150g以上脂肪は落ちませんが、これを1か月続ければ4~5kg脂肪は落ちます。これは5~7%。2か月やれば10%源は確実で外見としても大きな変化です。

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