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筋トレをして筋肉がつくのにかかる時間は?知らずに諦めないで!

筋トレをして筋肉がつくのにかかる時間は?知らずに諦めないで!


みなさん一度はこんなことを考えたことはありませんか?

「筋トレを始めてから効果が出るのにはどれくらいの時間がかかるのか」

「筋肉はどのくらいでつくのか」

そして、「思った通りに筋肉が成長していない」、「毎日筋トレしてるのに何で結果が出ないのか」「前の自分と比べても変化を感じない」と悩むこともあるはずです。

科学的な事実を見るとスムーズに体を変えるためには筋肉がつくまでの時間を理解して、より早く筋肉をつけるための3つのポイントを意識する必要があります。

しかし、これを知らずに損をしている人も多く、頑張ってるのに筋肉がつかない、と絶望して最後にはトレーニングをやめてしまう人もいます。

この記事では最新のデータ、そして専門家のインタビューなどを基にを基に筋肉がつくまでにかかる時間とより早く筋肉をつけるための3つのポイントを紹介します。この動画が少しでも参考になったら是非高評価をお願いします。

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筋肉が成長するのにかかる時間

筋肉が成長するのにかかる時間を説明する前にどうやって筋肉が成長するのかを簡単に紹介します。

筋肉が成長する理由は一言で言うなら「慣れ」です。この言葉は一部のボディビルダーやYoutuberから悪いように言われていますが、ウエイトを持ち上げることで筋肉は機械的な緊張を受け取り、これが信号となって筋肉はこの緊張に慣れる、厳密にいうと適応するために筋肉を成長させます。

注意するべきなのが多くの人がこの機械的な緊張と筋肉へのダメージを混同していることです。筋肉を壊すことで成長すると考えている人もいますが、これは機械的な緊張とは別であり、筋肉を傷めつければ痛めつけるほど成長するというのは科学的にも否定された迷信です。

それではこの緊張に筋肉が適応するのにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。

結論から言うと「筋肉はそう簡単には付かない」。これを前提として知っておいてください。というのも無謀な高すぎる目標設定をするといつまでたってもゴールが見えず、途中で挫折しやすくなります。

マクドナルド博士ガイドラインによると筋肉が最もつきやすいトレーニング1年目でも11kg、毎月ほぼ1kgの筋肉量の追加が限界であることを示しています。

10kgの筋肉量の追加は外見的にも大きな変化がある量です。とはいってもこれは筋トレ初心者というボーナス期間であり、限界値で最高のトレーニングをして1年かかるレベルです。

その後、トレーニング経験が1年追加されるごとに得られる筋肉量も半分程度になっていき、筋肉量を20kg追加したサムを例に出すとおおよそ4年間でこの変化をイメージしてください。

そして、このあたりが人間がスムーズに筋肉を構築できるピークである可能性があります。アナボリックステロイド使用者と非使用者の除脂肪体重について調査したデータでは、74人の非被用者アスリートを対象にした結果、男性は20-40(9~18)ポンド、女性は12~24(5~11)ポンドの筋肉量を獲得すると本来の潜在的な最大値に達する可能性があることを示しています。

ただし、ガイドライン、そしてこの研究の数字は平均値であるため必ずこのスピードや筋肉量が上限であるわけではありません。

「こんなに早く筋肉着かなかった」という人もいれば「もっと早いペースで筋肉がついた」「20kg以上筋肉をつけられた」という人もいると思います。

トレーニングを始めたばかりの人、始めたいと思っている人、聞きたくない現実かもしれませんが1週間でムキムキになったり、1か月でボディビルダーのような体になれることはありません。アナボリックステロイドを使用すれば可能かもしれませんが、別の動画で解説しているようにあなたが間違いなく後悔するような副作用があるためこの方法はおすすめしません。

この機械的な緊張に筋肉が適応するのにはどれくらいの時間がかかるのか。目安として体が変わるのには3か月はかかると覚悟しておいてください。

しかし、これはあくまで目安であり、個人差がありますが、忘れないでほしいことは筋肉の成長やボディメイクにおいて年齢はほとんど関係ありません。確かにレビューでは加齢と共に筋肉を失うことが示されていますが、これはトレーニングしない人のみに言えることで、科学的データにはトレーニングしている人は加齢によって筋肉を失うことはほとんどなく、少なくとも60歳までは若い人とほぼ同じように筋肉が成長することを示しています。

このガイドラインは年齢に影響するものではありません。そして、同じ3か月でもこれよりも早く体を変えたりたくさんの筋肉をつけることは可能であると断言します。

というのもライルマクドナルド博士のガイドラインと筋肉の獲得上限について、研究結果は既に信頼性が高いものではありません。なぜならこのガイドラインが作成されたのは10年以上も前、そして研究が行われたのは1995年であるからです。筋肉の成長についての科学的データは日々進化しており、1995年というのは言うまでもありませんが、10年前でもかなり古いものです。

効率的なトレーニング法を知っていればこれよりたくさんの筋肉をつけることもできますし、パーカーフィットネスはそういった論文やクライアントの方を見たことがあります。

実際、最近行われた新しいレビュー研究では筋肉の成長と時間経過についての研究をまとめて分析したところ、4週間で筋肉の成長が確認できることを示しています。

ただ、逆に科学的事実に基づいたトレーニング法を知らずに、感覚や根性のみでトレーニングするとこれよりはるかに少ない量しか獲得できない可能性があります。

ここからは最短で筋肉を構築するための3つのポイントを解説します。

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筋肉を最短で成長させるポイント

トレーニング

おそらく筋肉を構築するうえで最も重要なのがトレーニングです。あなたが最高の食事をしていて、最高の生活をしていてもトレーニングをしていなけば筋肉が成長する可能性はゼロです。最初にも解説したとおり、筋肉はウエイトトレーニングの機械的な緊張に適応することで成長するため、いわば筋トレというのは筋肥大のスイッチのようなものです。

これを押さなければ何も始まりません。

ただ、このスイッチも皆さんが思うようなスイッチではありません。ブレーカーなど一般的なスイッチは「押すか」「押さないか」この二択しかありませんが、筋肥大のスイッチはいわばハンマーゲームのようなものです。

強く押せばその分、筋肥大する可能性は高くなり、弱く押せばその分しか筋肉は成長しません。どれくらい筋肉が成長するかはこのウエイトトレーニングにかかっています。

最初にも紹介した通りこの機械的な緊張を、筋肉のダメージだったり、ハードなトレーニングと誤解している人も少なくありません。しかし、実際はウエイトトレーニングでは歩けなくなるくらいハードな脚トレをしても機械的な緊張が少なければ筋肉の成長効果も同様に少ないため、効率的に筋肉を成長させたい人に絶対に伝えたいことは感覚を優先しないこと。

どれくらいキツイ筋トレをしたか。どれくらい筋肉を追い込んだかは重要ではありません。これは科学が証明しています。

VOL

機械的な緊張を表す指標として代表的なのがVOL。VOLというのはレップ数、セット数、重量をかけたもので、この数値が高いほうが筋肉が成長する可能性は高くなります。

実際、ブラッドシェーンフェルド博士が行ったメタ分析では筋肉の成長とセット数には相関関係があり、各筋肉週に10set以上行うとそれ以下よりも筋肉が成長することを示しています。

VOL、そしてセット数に関しては様々な意見があります。「各筋肉1週間で20set以上やるとオーバートレーニングだ」という人もいれば一方では「20set以上やってもオーバートレーニングにはならない」と考える人もおり、一部の人は「限界までハードに追い込んでいれば10setくらいでも十分成長する」とも考えています。

実際ドリアンイエーツのトレーニングはウォームアップセットを行って、本気で取り組むセットは1種目1setしかありませんでした。

しかし、全体的なデータ。特にトレーニング経験者の場合はトレーニングVOLが非常に重要です。2015年の研究では48人の男性を対象に毎週6,18,32セットの上腕二頭筋トレーニングと毎週9,27,45setでの上腕三頭筋トレーニングをしてもらいました。結果として上腕二頭筋と上腕三頭筋ともに最もトレーニングを行った被験者のほうが筋肉を成長させることができ、その差は一目瞭然。30set 45setを行ったグループの筋肉の成長率は異常でした。

この研究は6か月間も続き、被験者はトレーニング経験の豊富な軍人でした。

トレーニングのセット数として20setを目安にするのは間違っていないと思いますが、それ以上鍛えると筋肉が成長しない、回復できないと考えるのは間違っている可能性が非常に高いです。おおよその目安としてmenno henselmans博士の研究チームが行った分析ではトレーニング1年目は各筋肉10set行えば十分ですが、その後は追加のセットが必要になる、そしてたくさん鍛えれば鍛えるほど成長する可能性が高いです。

最短で筋肉を成長させたい人は1年目は各筋肉10set、そこから毎年5setずつ追加していくのがベストです。

頻度

おそらく最も誤解が多いのはトレーニング頻度です。ライルマクドナルド博士のガイドラインが出た当初は胸の日、脚の日というように鍛える部位を分けるトレーニングが主流でした。

しかし、その後の研究でこういった部位を分けるルーティンには一切メリットがなく、むしろ筋肉の成長を減らしていることがわかっています。

筋肉が一番成長するルーティンは毎日全ての筋肉を少しずつ鍛えるフルボディルーティンです。

ブラッドシェーンフェルド博士は今年の4月に公開された新しいデータを基に次のように解説しています。

VOLが同じという条件下である場合、分割法も全身法もトレーニング効果は変わりません。しかし、同じトレーニング時間、期間の場合分割法の様に低頻度でトレーニングするとトレーニングの質が時間とともにどんどん低下していき、全身法のように高頻度でトレーニングするとボリュームがより良く分散させるため、筋肉の成長効果が高いことに論理的根拠があると主張しています。

https://www.instagram.com/bradschoenfeldphd/p/C5lPoGnLCD_/

例えば1日でレッグプレスを9set行うと1set目には10回できても9set目には疲労で1~2回しか持ち上げられないかもしれませんが、1日3setを3日行うとパフォーマンスが高い状態をキープできます。

実際これとほとんど同じ条件で被験者に9set週1回の脚と3set週3回の脚に分けてレッグプレスを行わせたところ、高頻度で少しずつ鍛えた脚のほうが2倍以上筋肉を成長させました。

分割法で例えばバイセプスカールを一日で10set、20setもやれば上腕二頭筋はパンプして腕が上がらなくなるように達成感は強いと思います。ただ、達成感や感覚はあまりに過大評価されており、先ほど紹介したようにどれだけきつくてもボリュームが少なければ筋肥大効果も少なくなります。

最短で筋肉を構築するためにたくさんのボリュームを稼ぎたい人は、高頻度の全身法のほうが間違いなく効果的です。

パワーリフターを対象にした研究では週3回と6回という頻度でトレーニングを指示したところ週6回グループのほうが全身の筋肉を大幅に成長させました。

科学的なガイドラインとしては週に2回以上を推奨していますが、これは最低ラインであり、高い頻度で鍛えれば鍛えるほど効果は高くなるため、おすすめの頻度としては週3回以上、部位分けをせずジムに行くたびに全身の筋肉を鍛えましょう。

この高頻度トレーニングを推奨すると「回復できるの?」と疑われることがありますが、筋肉は現実的なVOLである場合、24時間あれば回復できるため心配する必要はありません。そもそも考えていただいたらわかりますが、もし回復できなくて成長しない場合こういったデータになっているわけがないので回復の心配をする必要は皆無です。

可動域

VOLを稼ぐ以外に筋肉に強い機械的な緊張を入れる方法は可動域です。VOLは量ですが、この可動域は質です。この質が高ければ1時間のトレーニングでも2時間、3時間トレーニングしている人と同じように効果を出すことができます。

今まではこの可動域は筋肉の成長にとって同じ、もしくは収縮可動域のほうが効果的であるように考えられてきました。

しかし、最近の科学的データはこれが迷信であり、可動域によって大きな差があることを示しています。

2021年の日本で行われた研究では50人の被験者がプリチャーカールの収縮可動域とストレッチ可動域でトレーニングをしたところ、上腕二頭筋の成長はストレッチ可動域のほうが2倍以上優れていることを発見しました。

レビュー、そして数多くのメタ分析にも示されているように筋肉の成長にはストレッチポジションが非常に重要です。逆に言うと今まで重要と考えられてきた収縮というのは筋肉の成長においてそこまで重要ではなく、収縮を重視したトレーニングや種目は効果的なものではないことを裏付けています。

例えば10kgのダンベルで片腕のカールをすることができる人は多くいますが、ヒジを伸ばし切るまで行うプリチャーカールで10kgを扱える人はそういません。これはストレッチポジションが一番筋肉に機械的な緊張がかかることを裏付けています。

プリチャーカールとインクラインカールのデータに示されているようにストレッチポジションで負荷のかかる種目を選ぶことは筋肉の成長効果を大きく変え、ここで負荷のかからない種目を選ぶことは大げさではなくトレーニング効果を半分にします。種目を選ぶときは必ずここで負荷のかかる種目を選びましょう。

強度

トレーニング初心者の人が最も迷うのが強度だと思います。一体どれくらいの負荷でトレーニングするのがいいのか。

しかし、多くの人が考えているほど強度、扱う重量というのは重要ではありません。

2012年に行われた研究では30〜40repと高回数と10〜12repの高重量グループに分けて、週に3回10週間男性のグループに足をトレーニングさせました。結果は両脚に追加された筋肉の量はほぼ同じでした。

ブラッドシェーンフェルド博士が主張しているように科学的なデータから1RMの30%~80%までは筋肉の成長効果が同じであることを示しています。つまりあなたが5回しかできない重量だったり40回以上できる重量でない限り、筋肉の成長効果は同じです。

おそらく筋トレ始めたばかりの人、そして10年前もトレーニングをしていた人は一度は筋線維によって鍛え方を分けるという話を聞いたことがあると思います。「速筋繊維は高重量」「遅筋線維は低重量」。ただこれはまず間違いなく迷信です。

1RMの30~80%であれば同じように成長します。

ただし、これはVOLが同じ場合です。VOLの観点から低重量高回数のほうが筋肉が成長する可能性が高いことを示しています。

注意点として、高回数ほど自分の限界を推定することが難しくトレーニング初心者や中級者には向いていないため、現実的、実用的な観点から10~20repの範囲がおすすめです。

そして、いくつかのデータから一定の強度でトレーニングし続けるよりも高重量、低重量、中重量を組み合わせると筋肉の成長にいくらかメリットがあることが示されているため、例えば今日は10rep、明日は15rep、明後日は20repというようにいくつかの強度バリエーションで鍛えるのも効果的です。

種目数

筋トレメニューを構築するときに悩むのがどれくらいの種目で鍛えるべきか。どんな人でも一度は「筋肉の慣れ」について聞いたことがあり、ずっと同じメニューだと筋肉が負荷に慣れてきて停滞してしまうというものです。

しかし、頻繁にトレーニング種目を変えることはあまり良くありません。この動画で既に解説している通り、筋肉はその機械的な緊張に適応することで成長するため、あまりにもバリエーションが多すぎると適応の妨げになります。

2022年の4月1日のレビュー研究では、筋トレの種目数と筋肥大,筋力アップの関係性を調査した複数の研究をまとめて分析しました。

この研究によると運動にバリエーションを持たせることは筋肉の成長をいくらか増やしてくれるが、その種類が多すぎると効果を大きく落とすことが示されています。つまり、慣れ防止というのは部分的にはあっており、ある程度の種目数は筋肥大効果を促進させますが、一般的に言われている慣れるからたくさんの種目をやってマンネリ打破というのは筋肉の適応を妨げて逆効果になる可能性が非常に高いです。

ほとんどの人にとって適しているのは各筋肉おおよそ2~3種目で鍛えると筋肉の成長が最大化されます。

最短で筋肉を構築するためには筋肥大のスイッチをより強く押す必要があります。

そのスイッチを強く推す方法は

・毎週10set以上各筋肉をトレーニングすること

・高頻度で筋肉を鍛えること

・ストレッチポジションで負荷のかかる種目を選ぶこと

・10~20repでトレーニングすること

・各筋肉2~3種目を一貫して行うこと

これであなたには毎月1kg筋肉が成長するスイッチが入りました。ただし、この1kg分筋肉が成長するトレーニングが出来ていても1kg筋肉が増えるかは別問題です。

ここで重要なのが2つ目、3つ目のポイント。この2つで手を抜くとせっかくの筋トレ効果を半分、もっと下げる可能性があります。

トレーニングをする人全員に意識してほしいことは筋肉が成長しやすい環境を体内で作ることです。

睡眠

睡眠はおそらく筋肉の構築において最も過小評価されている要素のひとつです。睡眠が不十分であると筋肉の回復や筋肉の成長に悪影響を及ぼし、せっかくのトレーニングを台無しにする可能性があります。

2018年の研究では15人の若い男性に一晩眠らないように指示したところ、すぐに筋肉の分解反応が促進され、脂肪の蓄積を促すホルモンのレベルが上昇していたことを発見しました。

睡眠不足の最も大きな影響は体があなたの筋肉を破壊し、脂肪を多く追加する反応が起こることです。特にこれは減量中に深刻な影響を引き起こします。減量中というのは摂取カロリーが不足しているため筋肉が分解される可能性も高くなります。

シカゴ大学で行われた研究ではダイエット中の被験者を5.5時間睡眠グループと7.5時間睡眠グループに分けたところ、睡眠時間が短かったグループは体脂肪が0.6kgしか落ちず、代わりに筋肉量が2.4kg減ったことを示しています。

そして、いくつかの証拠に基づくと睡眠時間はパフォーマンスに影響を与えます。パフォーマンスが低下するということはウエイトを持ち上げる量が減るということになるため、機械的な緊張が減る。つまり筋肉の成長も低下することになります。

それではどれくらい睡眠をとればいいのか。ほとんどの科学的データや専門家が推奨している睡眠時間は最低でも7時間以上です。

ただ、視聴者の方の中には「こんなに寝れない」という人もいると思います。そこで睡眠時間が十分確保できない人は睡眠の「質にこだわる」のがおすすめです。睡眠の質が高ければ6時間、それ以下でも7時間寝ている人と同じような効果を得られます。

睡眠の質を上げる方法は

・寝る前の30分以内の電子機器の使用を避ける ・アルコール摂取を控える ・6時間以内のカフェイン摂取を避ける

この3つが重要です。

特にアルコールについては酔ったほうがすぐに寝られると感じる人が多いと思いますが、すぐに寝られることと睡眠の質はイコールではありません。睡眠とアルコール摂取についてのレビューにもある通り、アルコール摂取は睡眠の質を大きく低下させる可能性があります。

睡眠が十分確保できない人にとって「昼寝はどうなのか」と相談されることがあります。確かに研究データを見ると睡眠時間が不足している人にとって昼寝は睡眠時間を増やすアプローチのひとつですが、実際、そこまで効果的なものではなく、先ほど紹介した睡眠の質を上げることよりもはるかに重要度は低いため、「出来る人はする」くらいの感覚でOKです。

睡眠の質、そして時間を十分に確保すれば筋肉を構築するのと共に脂肪も付きにくい体を作ることができます、

栄養摂取

世界的な権威であるブラッドシェーンフェルド博士は筋肉を成長させるうえで最も重要なのはトレーニング、睡眠、そして栄養摂取だと答えています。

この栄養摂取こそ、あなたの外見を大きく変える要素です。適切な食事をすればトレーニングで貰ったきっかけを最大限活用でき、逆に不適切な食事をすればどれほど最高のトレーニングをしても筋肉が成長する量はごくわずかです。

栄養摂取で心掛けることは

・カロリー

・タンパク質

・炭水化物

・脂質

・その他の栄養素(クレアチン、水など)

です。

摂取カロリー

摂取カロリーは全体的なエネルギー摂取量です。筋肉の維持や成長のためにはたくさんのカロリーが必要になります。ボディビルダーは毎日5000kcal以上のエネルギーを増量期に摂り、一般的なトレーニーでも増量期を作って大量のエネルギーを補充する期間を作ることは珍しくありません。

しかし、トレーニング経験がある程度ある人にとっては増量期を作ったり、大量のカロリーを摂取することにメリットはない可能性が高いことを最近の科学的データは示しています。

最近行われた新しい研究ではトレーニング経験のある被験者を余剰カロリーのないMAINグループと5%の余剰を作るMODグループ、そして15%の余剰を作るHighグループに分けたところ、全てのグループで筋肥大効果に差がなかったことがわかりました。唯一差があったのは増加した体脂肪量だけであり、余剰カロリーが多いほど体脂肪が増えていたことがわかり、研究者はカロリー余剰が筋肉ではなくほとんど脂肪に影響を与えることを結論付けました。

ジェイカトラーやロニーコールマンなどボディビルダーが増量期に5000kcal以上摂取するのはアナボリックステロイドを使用していることが理由です。ナチュラルよりも体が筋肉を構築しやすい環境になっているため大量のカロリーを摂取してもそれの多くが筋肉に変えられます。

しかし、一般的なナチュラルトレーニーの場合、エネルギーを筋肉に変える量には限界があるためほとんどが脂肪に変換されます。

pak博士によるとこういった増量が効果的なのはかなり痩せている人、プロナチュラルボディビルダーのjeff nippardさんもこういった増量はその後に脂肪を落とす行程をただ難しくしているだけであると否定的です。

筋肉を成長させるためには体重が増えも減りもしないカロリーの±5%以内にしましょう。筋肉の成長や体の変化を感じるためにはある程度低い体脂肪率が必要であるため、脂肪も同時に落としたい人は体重維持の-5%を維持するのがおすすめです。

目安として、科学的なデータに示されている計算式に基づくと1時間のウエイトトレーニングの消費カロリーは200kcal程度なのでほとんどの男性は2300kcal、女性は1800kcalがおすすめです。カロリー計算機のURLを載せておくので気になる人は見てみてください。

そして、ボディビルダーやYoutuber、トレーナーの中には3時間おきに食事をしたりアミノ酸を摂取すれば体内のアミノ酸レベルが維持されるため食事の頻度を多くするほど筋肉の成長や維持にメリットがあると主張しています。

これは一見理にかなっているように見えますが、あまりにも単純すぎて馬鹿げています。そもそも食事をしていない=エネルギーがないというのは間違っています。実際は24時間程度の断食をしても筋肉の合成や分解に影響はほとんどありません。最新のデータに示されているようにたくさんのたんぱく質やエネルギーを摂取すれば長時間吸収され少しの量しか摂取していなければ短時間で吸収が終わるため、結局のところ食事量が同じであれば全て同じです。

半年ほど前に行われた研究でもプロテイン100gを摂取した被験者は12時間後であっても0g、25gよりもタンパク質合成反応が高いことを示しているため、筋肉の成長や維持のためにこまめに食事をする必要は全くありません。

摂取カロリーを意識することでエネルギーの全体的な量が把握できますが、エネルギーの中でどういったものをどれだけ摂取するかも重要です。

ここからはタンパク質、炭水化物、脂質の摂取量について解説していきます。

タンパク質

タンパク質は筋肉を成長させるうえでおそらく最も重要な栄養素です。この栄養素は体内でアミノ酸に分解され、筋肉の構築に役立ちます。

2012年のメタ分析によると680人の被験者を対象にした22件の研究を分析したところ1日体重1kg当たり約1.2gしかたんぱく質を摂取していなかった被験者が50gのプロテインサプリメントを摂取した結果筋肉のサイズと筋力が大幅に増加したことを発見しました。

たんぱく質摂取量は2018年のレビューペーパーでは49件の研究と1863人の被験者を分析したところ毎日体重1kg当たり1.6gのたんぱく質摂取量までは除脂肪体重の増加が促進され、それを超える摂取量は停滞することがわかりました。

そのため、筋肥大効果が最大まで欲しい場合は、体重1kgあたり1.6g以上摂取するようにするのがおすすめです。ただし、タンパク質は少ないよりは多いほうが良いです。特に減量中は筋肉の構築や維持のために多くのたんぱく質が必要になる可能性があるので体重1kgあたり1.6gの摂取量を狙うよりも2.0gの摂取を意識するほうがおすすめです。

脂質

脂質はおそらくボディメイクで最も過小評価されています。ボディビルダーの一般常識として「脂質が一番いらない」「減量するときは脂質をカットする」というものがありますが、脂肪分の摂取量が不十分だと起こる最大のデメリットは体内のテストステロン値の低下です。

実はテストステロンを上げることは非常に重要です。というのも2021年に公開された研究ではテストステロンと体組成には関係性が見つかり、テストステロンレベルが高い被験者は筋肉量が多く、同時に体脂肪量が少ない傾向にあることがわかりました。そのため、高いテストステロン値を維持することはボディメイクで非常に重要ですが、低脂質ダイエットのように摂取する脂肪分を極端に減らすとテストステロン値がかなり減ることがわかっています。これは複数の研究、そしてレビューによって明らかになっている事実です。

科学的なデータ、そして専門家のガイドラインを基にすると摂取カロリーの最低20%、理想的には30%は脂質で埋めるようにしましょう。

炭水化物

炭水化物は体を動かすためのグリコーゲンと呼ばれるエネルギー源となり、不足するとパフォーマンスの低下やテストステロン値の減少につながりますが、多くの人はこの栄養素が実際にどれくらい必要かを知りません。

menno henselmans博士が行った炭水化物摂取と筋肉の成長、パフォーマンスについてのレビューでは説得力のある高炭水化物摂取によるメリットを発見できなかったと示しています。実はハードなウエイトトレーニングでもグリコーゲン貯蔵の30%程度しか減らないようにトレーニングでエネルギーが枯渇することはまず現実的になく、筋肉の成長やパフォーマンスにおいて必要な炭水化物量というのはほとんどの人が考えているよりもかなり少ないです。

炭水化物は1日当たり米1合程度、500kcalとれば間違いなく十分です。

1日に必要なカロリーを計算するときはたんぱく質と脂質を計算して残りを炭水化物で埋めましょう。

例えば体重70kgの男性の場合、1時間のウエイトトレーニングを週3~4回していれば平均して体重維持カロリーは2500kcalです。ここから筋肉をつけながら脂肪を落としたい人は200kcal程減らして、2300kcalにしましょう。

2500kcalが目標になったらそこからタンパク質量を計算します。70×2.0で140g、カロリーに換算すると560kcal。そのあと脂質を計算します。摂取カロリーの30%は750kcal、グラム計算すると80gほどです。

たんぱく質と脂質で1310kcal埋めることになり、残った1190kcalを炭水化物で埋めます。

このバランスはテストステロン値を最大まで高めて、筋肉の成長にとって最高の栄養摂取です。トレーニングで与えたきっかけを最大限使えます。

栄養摂取について理解を深め、目標に最短で近づくためには栄養を数字で管理することが非常に重要です。何か買うときは必ずラベルに書かれているカロリーや栄養素をチェックしてください。

トレーニング指導させていただいている方の中には、家族に料理を作ってもらっているという方も少なくありません。こういった方は自分の摂取カロリーやマクロ栄養素などを把握することが難しいため、可能なら自分で食事を用意することを強く推奨します。

ただし、どうしてもそれが不可能な人は絶対に意識するべきポイントがいくつかあります。まずアルコール摂取をやめること。タンパク質だけは必ず意識すること。高カロリーな調味料や食品を避けること。

この3つを意識すればとんでもない食事でなければ筋肉の成長にとって十分な栄養を確保できます。

 

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