ベンチプレスを超える”新しい腕立て伏せ”|胸の厚みを最短で作る方法を科学的に徹底解説

ベンチプレスより胸をデカくする腕立て伏せは存在しますか?結論から言うと、Yesです。ただし、ほとんどの人は“胸に効かないやり方”をしています。
腕立て伏せは世界で一番行われているトレーニングでもあります。しかし、ある筋電図分析では腕立て伏せは大胸筋の活性が最も低い種目のひとつであることも示されています。つまり、やり方を間違えると、腕立て伏せは胸にほとんど効きません。
ただ、逆に大胸筋と腕立て伏せについて理解を深めてあることをするとベンチプレスを超える、大胸筋をより成長させる腕立て伏せをすることが可能であることを複数のデータは裏付けています。
ここでは科学的なデータを基にベンチプレスを超える腕立て伏せを超える腕立て伏せのやり方について徹底解説します。
腕立て伏せで筋肉はつけられる?
解剖学
腕立て伏せで使用される筋肉は主に4つです。ひとつは大胸筋、これは体を持ち上げるとき肩を軸に腕を閉じることで働きます。そして、この運動で三角筋の前部も働きます。加えて腕立て伏せではヒジが曲がった状態から伸びることで上腕三頭筋が働きます。
ラストは腹筋、、研究データによると腕立て伏せはベンチプレスと比較して腹筋の活動が51%多いことを示しています。これは腕立て伏せのほうがプランクのような体勢になることから腹筋がより活動的になることが原因です。
とはいえ、筋活動よりも信頼性の高い筋肉の成長を直接比較した最新データではプランク中心のトレーニングは腹筋をほとんど成長させられないことを示しているのでこの筋肥大効果はあまり期待できません。
腕立て伏せで胸はデカくなる?
腕立て伏せは大胸筋のトレーニングであるのか。これはYesでもありNoでもあります。2017年の研究ではトレーニング経験のない被験者が週に2回、3setの腕立て伏せを行ったところ大胸筋の厚みが18.3%増加し、3mm厚みがついたことを示しています。
これらデータを見ると腕立て伏せは大胸筋トレーニングであるといえます。しかし、一方で、アメリカ運動評議会(ACE)の調査では、腕立て伏せは“胸に効く種目”として最下位でした。つまり大胸筋を働かせることができなかったということです。加えて別の研究でも腕立て伏せでは大胸筋がそれほど働かないことを示しています。
なぜこのような差があるのか。これは腕立て伏せのやり方の差です。腕立て伏せはやり方によって胸に効かせることができる腕立て伏せか。肩への刺激のほとんどが逃げる腕立て伏せなのかに分かれます。
腕立て伏せは「初心者向けの簡単なトレーニング」と思われがちですが、ジョエル・シードマン博士が言うように、実際にはかなりテクニックや知識が必要な種目です。なので初心者向けだし誰でもできると思って独学で腕立てをしたり、インターネットにある根拠の薄いやり方や感覚を重視したトレーナーの意見を鵜呑みにしてしまうとなかなか効果を感じられなくなってしまいます。
次のチャプターでは効果のない腕立て伏せはどんなやり方なのかを解説します。
腕立て伏せの問題点
まずはベンチプレスを超える腕立て伏せの前に、よくある腕立て伏せのミスを紹介します。ここで上げる腕立て伏せは、大胸筋に効かせられない、効果の出ない腕立て伏せであることが科学的に立証されています。
過度なワイドグリップ
最初は手幅を広げた腕立て伏せ。一般的な常識として手幅がワイドのプレスは大胸筋,手幅が狭いプレスは上腕三頭筋と言われています。しかしこれには一貫した科学的証拠があるわけではありません。
むしろ過度なワイドグリップの腕立て伏せは大胸筋の働きを消してしまいます。なぜならワイドにしすぎると力が外に逃げてしまうからです。
大胸筋は腕を閉じる運動で働くため、負荷は必ず内側にかからなければなりません。
2011年の研究では腕立て伏せと非常に動きが似ているワイドグリップのバーベルのベンチプレスが横方向に負荷がかかっていることを確かに示しています。データによると横方向の力は縦方向の力の約25%であるようです。
腕立て伏せをするときは体を下げたときに肘と手が垂直。またはヒジよりも内側になければなりません。これが外側にあると外側にプッシュをすることになります。手幅は肩幅と同じ、またはそれよりもわずかに広い範囲がおすすめです。
加重しない
腕立て伏せの様な自重トレーニングには実は致命的な落とし穴があります。一般的に初心者の人が腕立て伏せをすると2~3か月までは順調に筋肉をつけることができますが、ある時急に腕立て伏せの効果が無くなってしまう傾向にあります。これは腕立て伏せが簡単になり過ぎてしまうことです。
ある調査によるとトレーニングレベルが普通と評価される男性は平均して15〜20回腕立て伏せを出来ることがわかっています。そのため、トレーニング初心者の人にとっては自重の腕立て伏せは十分なトレーニングになります。
しかし、1か月腕立てをしたらどうなるでしょうか。2018年の研究では、1RMの20%──つまり超軽い負荷で60回以上できるグループは、筋肥大効果が“半分程度”に落ちていました。
腕立て伏せの負荷というのは体重に依存します。腕立て伏せの負荷について調べた研究では、一般的な腕立て伏せは体重の64%、膝立ちの場合は49%でプッシュを行っていることを示しました。
これは腕立て伏せと非常に近い運動であるベンチプレスで考えると非常に軽いです。体重60kgの人なら30~40kgの負荷です。自重トレーニングで停滞してしまう人は90%以上このパターン、レベルが上がっているのにそのレベルに合わせた負荷になっていないからある時点を境に成長しなくなります。
もし、30回以上腕立て伏せができるようになったら負荷を上げてください。
水平内転にこだわる
実はほとんどの人が行っている腕立て伏せは大胸筋ではなく肩を鍛えています。大胸筋トレーニングで絶対にやってはいけないのは脇を閉じること。これをすると胸にかかる負荷のすべてが肩に逃げます。
科学的なレビューによってわかっているように大胸筋を最も働かせる運動は肩関節の水平内転です。つまり腕を閉じる運動です。例えばフロントレイズで大胸筋を鍛えようとする人はいません。これは理にかなっています。フロントレイズのように腕を上にあげる運動は肩関節の屈曲といいますが、これは三角筋の前部、そしてわずかに大胸筋の上部が活動する運動です。
このナローの腕立て伏せを見てください。腕を閉じる運動がほとんどないことがわかると思います。これは脇を閉じるとヒジが肩よりも下に配置されます。この状態でプッシュを行っても腕を上にあげているのと同じで、大胸筋に機械的な緊張はかかりません。
「腕立て伏せやってるのに胸が変わらない」と悩んでいる人のフォームをチェックしてみると、ヒジが肩よりも下にあってショルダープレスのように上に持ち上げているような運動になってしまっていることがかなり多いです。
必ずヒジは肩の下ではなく横に配置しましょう。これは科学的にも証明されています。
ベンチプレスを超える腕立て伏せ
胸に効かせる腕立て伏せは「自分の肩幅に近いグリップ」「レベルに合った重量にするため加重をする」「水平内転にこだわる」この3つのポイントが重要です。
特に脇を閉じた腕立て伏せは最悪です。これで胸に効いていると感じる人もいますが、それは筋肥大に必要な機械的緊張ではありません。脇を閉じると大胸筋は収縮するため、パンプ感=代謝ストレスは強く出ます。しかし、それは「効いている感覚」であって、胸が成長しているわけではありません。
必ず脇を開きましょう。それでは腕立て伏せの基礎がわかったところでベンチプレスを超えるやり方について紹介しましょう。
筋肉を伸ばす
筋肉は可動域の中で最大限伸ばすほど成長します。
2026年の1月に公開された最新のレビューでももう一度この理論が支持され、長い筋肉長で実行されたトレーニングは短い筋肉長で実行されたトレーニングよりも筋肉を成長させる可能性が高いことを示しています。
なので腕立て伏せでも大胸筋を最大まで伸ばしましょう。
筋肉は「一番伸ばされた位置で、強い負荷がかかるほど成長しやすい」この条件を、ベンチプレスと腕立て伏せで比べてみましょう。
バーベルのベンチプレスはバーが体に当たるまでしか腕を下げられず、当たった瞬間に負荷が無くなってしまいます。一方可動域が拡張された腕立て伏せは体をもっと下げることができ、加えて胸が地面に当たるまで負荷がかかり続けます。
この時点で、筋肥大にとって有利なのはどちらか、もう明らかです。
注意点としてほとんどのひとはベンチプレスを回内グリップで行いますが、なぜかこのアイテムを使うとmenno henselmans博士が言っていたように縦向きにおいてニュートラルグリップで腕立てをしようとする人が少なくありません。
必ずこれは横においてください。そして体を深く沈めましょう。
足を上げる
実はこの腕立て伏せでは大胸筋の下部ばかりを鍛えてしまっています。
腕立て伏せでは、体は床に対して完全に水平にはなりません。頭側が高く、脚側が低い。必ずわずかに斜めの姿勢になります。この姿勢のまま体を押すと、力の向きは自然に下向きの成分を含みます。ひっくり返してみるとデクラインプレスに非常に近いことがわかると思います。
これはベンチプレスでも同様。ベンチプレスでブリッジを作ると胸が上がってデクラインプレスになってしまうのであえてインクラインプレスをすることでこれを相殺します。
水平な床で行う腕立て伏せは完全な水平内転ではなく水平内転に、下向きの押し成分が混ざった状態です。
このズレは小さく見えますが、影響は大きいんです。実は大胸筋の上部と下部は反対の筋肉。つまり下向きの成分が入ると、大胸筋上部の筋線維は動員されにくくなります。下部や中央はある程度使われていても、上部だけが遅れていきます。
その結果、腕立て伏せを続けているのに、胸の厚みが増えない。下部は変わるのに、上部は変わらない。バランスの悪い胸になる。こうした状態が起きます。
この問題を解決するには、水平内転を「本当に水平」に戻す必要があります。100%の水平内転にすれば大胸筋全体をかなり高いレベルで鍛えることができます。そのために必要なのは、体の角度を変えることです。
具体的には足を上げることで完全な水平内転になります。完全な水平内転をすると、同じ腕立て伏せでも、刺激の質は別物になり、大胸筋全体をかなり効率的に鍛えられます。
科学的な腕立て伏せ
それではここからベンチプレスを超える。胸に効かせる腕立て伏せのポイントをまとめて紹介します。まず用意してほしいのはプッシュアップバーと段差。プッシュアップバーは可動域を拡張するのに。段差はデクライン角度を相殺するのに使います
段差がない人はお尻を上げて角度を変えましょう。ポイントはスタート位置で背中と地面が水平になる。そしてボトムポジションでは頭よりもお尻が上になる角度です。
そしてプッシュアップバーを横向きに置きます。この時重要になるのは位置です。ベストは肩の真下。ただしプッシュアップバーがあると体を下げたときに肩とハンドルがぶつかって邪魔になるので肩幅より少し広めにするのがおすすめです。
スポーツサイエンティストのmike israetel博士もいうようにアルファベットのTになるように肩と腕が一直線になると大胸筋が最大まで伸ばされます。大胸筋の筋線維は横向きなので、脇を閉じるとどれだけ下にさげても胸は伸びないんです。
ここから体を沈めます。このとき肩に痛みを感じる場合は脇を少し閉じてもOKです。
この時のポイントは体を沈めるのに1秒以上かけること。体を沈めるときは、
少なくとも1秒以上かけてください。体の力を抜いて落ちるように下げると、筋肉に適切な張力がかかりません。
メタ分析でも示されているように、筋肥大に最適なテンポは1repあたりおよそ2〜8秒です。
ここから体を持ち上げます。このとき、ヒジがロックするまで持ち上げるか、その前で止めるか聞かれることがありますが、結論から言うとどっちでもいいです。ロックが収縮ポジションにあるときこの動作は大きな役割を持ちません。
体を持ち上げるまでお尻を上げた体の角度は変えないようにしてください。
これが大胸筋の成長にとってベストな腕立て伏せ。30回以上できるようになったら、その時点で自重は軽すぎます。必ず加重してください。過重には片腕で行う方法もありますが、これは筋力よりもはるかにバランス感覚のほうが重要です。なので良い胸のトレーニングにはなっていません。
最も簡単で効果的なのはバックパックやウエイトを背負ってトレーニングすること。これをすれば単純に可動域全体で余計な要素を加えることなく負荷を上げることができます。
この腕立て伏せをちょっとずつでもいいので出来るだけ毎日行いましょう。“ワンパンマンのサイタマ”が毎日腕立てをする──実はあれ、科学的にも理にかなっているんです。筋肉の成長については膨大なデータにも証明されているように腕立て伏せの日を作って胸を追い込むよりも、毎日少しずつ腕立て伏せをしたほうが筋肉が成長することがわかっています。
なので1時間腕立て伏せに集中するよりもテレビのCMが入るたびに腕立て伏せをしてそれを毎日継続したほうがデカくなります。手抜きのように見えますが実はこれが一番効率が良い。
おおよその目安として1週間で10set以上できていたら筋肉は成長します。ただし、これ以上やってももちろんいいですし成長効果は伸び続けます。実際40setに増やしたら筋肉が爆発的に成長したという例は数多く報告されています。
間違った腕立て伏せだと100setやっても胸の筋肉はつきません。でも正しい方法でやるとベンチプレスを超えるほど胸を成長させられます。

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