握力トレはもう古い。“ヤバいほど効く”新しい前腕トレ

前腕を鍛えているのに、見た目がほとんど変わらない。もしそう感じているなら、それは努力が足りないからではありません。
前腕は、上半身の中でも特に“見た目への影響が大きい”筋肉です。
なぜなら、Tシャツなど服を着たとき、腕を下ろした自然な状態で常に露出しているのが前腕だからです。
しかし多くの人が、前腕を「使ってはいる」のに、太くならないトレーニングをしてしまっています。
握力を鍛えれば前腕が太くなる。重い重量を持てば前腕が成長する。
-そう思われがちですが、それは筋肉の仕組みを考えるとそれは非効率です。
実際、高重量のデッドリフトをストラップなしで行えていても、前腕の見た目があまり変わらない人は珍しくありません。
この動画では、前腕が太くならない本当の理由を、筋肉の構造と力のかかり方から解説し、科学的に外せない前腕トレーニングの最適解をお伝えします。
CH1前腕はなぜ外見を大きく変えるのか
まず、なぜ前腕が最も見た目に影響するのか。これは感覚の話ではなく、特性の話です。
前腕は、胸や背中のように服の中に隠れる筋肉ではありません。Tシャツを着て腕を下ろした自然な姿勢のとき、常に外から見えている部位です。つまり前腕は、力を入れていない時間のほうが、長く人の目に入る筋肉です。
さらに前腕は、解剖学的にも見た目の変化が出やすい構造をしています。前腕の筋肉は皮膚のすぐ下に密集して配置されており、脂肪というクッションも薄い。
腹筋のように脂肪によって変化が隠れやすい部位とは違い、前腕は筋肉が少し太くなるだけでも、その変化がそのままシルエットに反映されやすいんです。
前腕が太くなると、筋が浮き出て、全体が丸く、厚く見えてきます。だからこそ前腕は、上半身の中でも外見を大きく変える筋肉です。
しかし、これだけ見た目に出やすい構造をしているにもかかわらず、多くの人は前腕トレーニングの効果を感じられず、前腕が変わっていません。
その理由を、次のチャプターで構造から整理していきます。
CH2前腕が太くならない本当の理由
前腕を鍛えていても、なかなか成長しない人は少なくありません。その理由は大きく分けて3つあります。
1つ目は、前腕を直接鍛えていないこと。
2つ目は、前腕の中で優先すべき筋肉を外していること。
3つ目は、前腕の構造に合わない負荷のかけ方をしていることです。
この3つはすべて、前腕の「構造」を理解すると一本につながります。
握力を鍛えることや、重い重量を持つこと自体が悪いわけではありません。 ただ、それだけでは前腕の筋肥大には不十分。 ここからは、その理由を構造と解剖学の視点から説明します。
CH2.1 解剖学
前腕というのは、手首と指関節にまたがる部位で、筋肉の構造は非常に複雑です。解剖学的には、肘から手首に存在する筋肉を前腕と定義すると、最低でも20種類以上の筋肉があるとされています。
ただし、機能的に見ると、前腕の筋肉は大きく2つのタイプに分けることができます。手首や指を曲げる屈筋群と、手首や指を伸ばす伸筋群です。
分かりやすく言うと、手のひら側が屈筋群、手の甲側、日焼けしやすい側が伸筋群です。この2つの筋群が、前腕の太さや外見を大きく左右します。
CH2.2 前腕が太くならない理由
それでは解剖学的なデータを基になぜ前腕が太くならないかを紹介します。
CH2.21 前腕を鍛えない
前腕は、意識していなくても多くのトレーニングで刺激を受けています。
例えばサイドレイズでは、手首が下がらないように中立位を保つことで伸筋群に負荷がかかります。
カール動作中も、手首が反らないようにしたり、ウエイトを落とさないように握ることで屈筋群は使われています。
このため、前腕のトレーニングアドバイスでは、
「前腕を集中的に鍛える必要はない」
と言われることがあります。
一般的なトレーニングの多くに、
・ウエイトを握る
・手首を安定させる
という動作が含まれているため、これは一見理にかなっています。
では、科学的なデータはどうでしょうか。
ある研究では、一方のグループにベンチプレス、スクワット、デッドリフトなどを含む一般的な全身トレーニングを週3回行わせ、もう一方のグループには、この全身トレーニングに加えて前腕のアイソレーショントレーニングを追加させました。
その結果、前腕のアイソレーショントレーニングを行わなかったグループでも、前腕の筋力はすべての測定項目で向上しました。筋肉量は直接測定されていませんが、筋力と筋肉量には強い関連があるため、前腕がある程度成長している可能性は高いと考えられます。
しかし、前腕のアイソレーショントレーニングを追加したグループでは、すべての測定項目で、より大きな筋力向上が確認されました。
つまり、前腕を直接鍛えなくても、前腕がまったく成長しないわけではありません。ただし、前腕を狙って鍛えたほうが、成長率は明らかに高くなります。
トレーニング時間が限られている中で、大胸筋や広背筋を優先したい人が、前腕を鍛えなくても筋肉が落ちることはほとんどありません。わずかに成長している可能性もあります。
しかし、それが最適かというと話は別です。おそらく筋トレ中級者以上になると前腕トレーニング以外で成長するのはごくわずか。おそらくかなりゼロに近いです。前腕を大きくしたいのであれば、前腕を直接狙うトレーニングは必要不可欠。筋肥大を最適化するために非常に有効です。
CH2.22 鍛えた方がいい筋肉を鍛えていない
前腕を最短で成長させるためには、優先順位をつける必要があります。
例えば肩には、三角筋だけでなく棘下筋や小円筋、肩甲下筋なども存在します。しかし、これらは非常に小さいため、肩を大きくしたいのであれば三角筋を集中的に鍛えるのが最も効率的です。
同じことが前腕にも当てはまります。
磁気共鳴画像法を用いて上半身の筋肉サイズを調べた研究では、前腕の筋肉群の多くは、上腕三頭筋などの巨大な筋肉と比べると、数%程度のサイズしかないことが示されています。
筋肉の成長スピードというのはもともとの大きさでかなり変わります。 つまり、前腕トレーニングでは、「大きな筋肉を狙っているのか」「小さな筋肉を狙っているのか」で、成長効果が大きく変わります。
もしたくさん鍛えてるのに前腕が変わらないと感じてるのならそれは小さい筋肉、あまり人の目に触れない筋肉を狙っているからかもしれません。
前腕の中で、優先的に鍛えるべき筋肉は、外見的に重要で、なおかつサイズが大きい筋肉です。
前腕の前部で最も巨大な筋肉は、深指屈筋(FDP)と浅指屈筋(FDS)です。これらは手首と指関節に関与し、前腕のサイズに大きく関わります。
ただし、そもそも前腕の前部は日焼けしにくい部位であることからも分かるように、外見よりも「太さや厚み」に影響する筋肉です。
一方で、前腕は自然な姿勢では後部が外を向いていることが多く、外見的な印象に強く影響するのは前腕の後部です。写真で見えている前腕の筋肉の多くも、後部の筋肉です。
後部の中で特に重要なのが腕橈骨筋です。
この筋肉は解剖学的には肘関節にまたがる筋肉ですが、外見的には前腕の中央部に位置し、前腕のボリューム感を大きく左右します。
腕橈骨筋は後部の中でもサイズが大きく、外見への影響も強い筋肉です。それだけ、前腕の見た目を考えるうえで無視できない筋肉だと言えます。
そして、どの筋肉を狙うかが決まれば、次に重要になるのが**「どう負荷をかけるか」**です。
CH2.23 最適な負荷をかけていない
前腕を鍛えるうえで、もう一つ重要になるのが負荷のかけ方です。ただ前腕を使えばいいわけではありません。
前腕=握力トレーニングだと考え、指を曲げて握る動作ばかりを行うと、負荷は前腕の前部に偏りやすくなります。
そして前部のトレーニングとしても最適ではありません。握力トレーニングでは、指を曲げた状態を保ったまま力を出し続けることが多く、前腕の筋肉の動きはほとんど変わりません。
力は入っているので「効いている感覚」は出やすいですが、筋肉が大きくなるために必要な動きは、ほとんど起きていない状態です。
さらに重要なのが、前腕前部の筋肉の構造です。
深指屈筋や浅指屈筋は、「指を曲げる筋肉」だと思われがちですが、実際には手首関節にもまたがる筋肉です。
つまりこれらの筋肉は、指を曲げる動きだけでなく、手首の動きも含めて初めて、大きく伸び縮みします。
しかし、指を曲げるだけの握力トレーニングでは、手首の動きがほとんど起きません。その結果、前腕前部の筋肉でさえ、十分に伸びることができない状態になります。
これは、前腕の前部を狙っているつもりでも、構造的には中途半端な刺激になりやすい、ということです。
また、握力トレーニングでは、前腕の後部に負荷がかかることはありません。
前腕の後部は、指や手首を伸ばす動作で使われます。特に、外見に大きく影響する腕橈骨筋は、肘関節にまたがる筋肉です。
つまり、前腕の外見を大きく変えるためには、指や手首だけでなく、肘の動きを含めた負荷が必要になります。
しかし、握力トレーニングでは、これらの条件を満たすことが難しい。
その結果、「前腕は使っている」「握力は強くなっている」にもかかわらず、前腕の見た目がほとんど変わらない、という状態が起こります。
つまり、前腕が太くならない原因は、前腕を使っていないからではありません。
前腕の構造に合わないやり方で、負荷をかけていることが問題です。
前部と後部では、狙うべき動作も、負荷のかけ方もまったく違う。この違いを理解しない限り、どれだけ前腕を使っても、外見は変わりにくいままです。
次のチャプターでは、これらの構造を踏まえたうえで、前腕を太くするための条件を整理していきます。
CH3前腕を太くするための“設計条件”の整理
CH2では、なぜ前腕が太くならないのかを、構造と解剖学の視点から整理しました。
ここからは逆に、前腕を太くするために、何をする必要があるのか、最強の鍛え方を整理します。
難しい話を新しく足すわけではありません。さきほど説明した「前腕が変わらない理由」を、そのまま裏返すだけです。
CH3.1 前腕のアイソレーション種目をいれる
前腕を見た目レベルで変えたいのであれば、前腕が補助的に働くだけの刺激では不十分です。
多くのトレーニング、特に背中トレーニングでは、ウエイトを握るために前腕は使われています。しかしこの刺激は、前腕が主動筋として動いている状態とは言えません。
多くの場合、
・負荷は前腕前部に偏りやすい
・筋肥大を起こすほどの張力になりにくい
・前腕が限界まで使われる前に他の部位で動作が終わる
という条件になります。
前腕を太くするためには、前腕そのものが主動筋となり、負荷を受け取る条件を作る必要があります。
CH3.2腕橈骨筋を狙う
前腕を効率よく成長させるためには、どの筋肉を優先的に狙うのかを明確にする必要があります。
前腕の前部にある浅指屈筋や深指屈筋は、前腕の太さや厚みに大きく関わる筋肉です。
一方で、前腕の外見、特に正面や側面から見たときの印象に強く影響するのは前腕の後部です。
その中でも、腕橈骨筋は前腕の中央部に位置し、外見上のボリューム感を大きく左右します。この筋肉は肘関節の屈曲に関与するため、手首や指だけでなく、肘の動きも含めた刺激が必要になります。
前腕を太くするためには、「どこを太くしたいのか」に応じて、狙う筋肉をはっきりさせることが重要な条件になります。
CH3.3 ストレッチ
前腕の筋肥大を考えるうえで、筋肉が十分に伸びる可動域を含めることは欠かせません。これは科学的なメタ分析でも明らかになっています。
前腕の代表的なトレーニングとして知られている握力系の刺激は、指関節の屈曲を中心とした動作になります。この場合、筋肉は収縮状態で、最大まで伸びた状態を作りにくいという特徴があります。
筋肉の成長を最大化するためには、収縮だけでなく、しっかりと伸びる局面を含めることが重要です。
前腕を鍛える場合も同様で、指・手首・肘の動きの中で、前腕の筋肉が十分に引き伸ばされる可動域を含める必要があります。
この条件を満たさない限り、前腕は「使われている感覚」はあっても、見た目が大きく変わりにくくなります。
前腕を太くするために必要な条件は、特別なテクニックではありません。
・前腕を主動筋として使うこと
・狙う筋肉を明確にすること
・筋肉が最大まで伸びる可動域を含めること
この3つの条件を満たすかどうかで、前腕トレーニングの結果は大きく変わります。
次のチャプターでは、これらの条件を満たす具体的なトレーニング種目を紹介していきます。
CH4前腕に筋肥大を起こす負荷条件
ここからは、前のチャプターで整理した条件を、実際のトレーニングに落とし込んでいきます。
「どの種目を、どうやるか」だけを整理します。
前腕前部(深指屈筋・浅指屈筋)
前腕前部で最も大きい筋肉は、深指屈筋と浅指屈筋です。これらを効果的に鍛えるには、指と手首の両方を使う動作が必要になります。
おすすめはダンベルリストカールです。ベンチ台に前腕を置き、手首だけを外に出します。スタートではダンベルを指先に向かって転がし、落ちる寸前まで指を開きます。そこから手首を屈曲させるのと同時に、指を握り込みます。
指先に転がす動作によって、指関節と手首の両方を使いながら、前腕前部を大きく伸ばした状態から動かすことができます。
ダンベルを使う理由は、手首の角度を自然に保ちやすいためです。肘が動かないように、前腕全体をベンチに固定し、手首と指だけを動かしてください。
前腕後部・腕橈骨筋
前腕の外見に大きく影響するのが、後部にある腕橈骨筋です。この筋肉は肘関節にまたがるため、肘の動きを含むカール動作で鍛えます。
おすすめはプリチャーカール。この種目は腕が横向きになるのでストレッチポジションでしっかり腕橈骨筋に負荷がかかります。ポイントとしては腕が直立になるほどストレッチが無くなります。腕を縦にしないでください。
リバースグリップで行い、手首の伸展を使うと腕橈骨筋と後部の伸筋群を鍛えることができます。スタートでは手首を曲げて、ウエイトを持ち上げるのと同時にそらせます。
肘が前後に動かないように固定し、肘が伸びた位置から曲げ切るところまで、丁寧に動かしてください。
CH5 Q&A
よくある前腕トレーニングの質問に回答していきます。
Q1. 懸垂やデッドリフトだけでは前腕は太くなりませんか?
結論から言うと、太くなる可能性は低いです。これらの種目で前腕は使われますが、あくまで補助的です。前腕が主動筋として動き、しっかり伸びる可動域を含む刺激にはなりません。前腕を見た目レベルで変えたいなら、前腕を狙ったトレーニングが必要です。
Q2. 握力トレーニングは本当に意味がないんですか?
意味がないわけではありません。ただし、前腕を太くする目的としては最適ではありません。
指を曲げる動作が中心になり、前腕全体が十分に伸びる条件を満たしにくいため、外見の変化につながりにくくなります。
Q3. ストラップを使うと前腕が鍛えられなくなりませんか?
前腕を太くしたい場合、ストラップの使用は問題ありません。むしろ背中や脚のトレーニングでは、前腕が先に疲れてしまうのを防ぐ意味で有効です。前腕は、前腕用のトレーニングで狙って鍛えれば十分です。
Q4. 前腕トレーニングは毎日やってもいいですか?
問題ありません。高頻度トレーニング自体が、回復面で不利になることはありません。前腕の成長には、頻度は最低でも週2回は必要になります。
重要なのは頻度ではなく、総ボリュームと構造に合った刺激が成立しているかどうかです。
Q4. 前腕を変えたいけど優先度は高くない人はどうすればいいですか。
前腕よりもほかの筋肉を優先したい人は前腕トレーニングはやらなくていいです。そして、他の筋肉を優先させながら前腕もデカくしたいという人は腕橈骨筋だけ、つまりカールをやっていれば前腕の外見が変わるのでおすすめです。
Q5. 血管を浮かせたい場合も同じ考え方でいいですか?
完全に同じではありません。
血管の見え方には、筋肉量だけでなく、体脂肪の量や皮膚の厚さ、血流の影響も大きく関わります。
体脂肪が低いほど血管は見えやすくなりますが、前腕の筋肉が発達すると、その土台が作られるのも事実です。
ただし、前腕を太くすることと、血管を浮き立たせることは目的が違います。
この動画では、あくまで前腕そのものを太くするための構造とトレーニングに集中しています。血管の見え方を重視したい場合は、以前の動画で解説した内容と組み合わせて考えてください。
CH6 前腕トレーニングの頻度・回数・まとめ
ここまでで、前腕が太くならない理由と、構造に合ったトレーニング方法を整理してきました。最後に、実際にどう組めばいいのかを、シンプルにまとめます。
まず頻度です。前腕を成長させるためには、最低でも週2回は刺激を入れる必要があります。おすすめは週3回。背中や腕のトレーニング日に、最後の仕上げとして入れるのがおすすめです。
回数とセット数は、1種目2〜3セット、10〜20回を目安にしてください。重要なのは重量ではなく、狙った筋肉がしっかり伸び縮みしているかどうかです。
反動を使わず、可動域を毎回同じように再現することを優先してください。
前腕前部と後部は、同じ日にまとめて行っても、日を分けても構いません。 トレーニング時間が限られている場合は、前腕前部1種目、後部1種目だけでも十分です。前腕の前部と後部は働きが異なるため、リストカールの後にすぐプリチャーカールを行うスーパーセットにすると、短時間で両方を効率よく鍛えられます。
そして一番大事なポイントをまとめます。前腕を太くするために必要なのは、前腕を主動筋として使うこと。狙う筋肉を明確にすること。しっかり伸びる可動域を含めること。
この3つを満たしていれば、前腕は必ず見た目に変化が出てきます。
握力が強くなるかどうかは、副産物です。重い重量を持てるかどうかも、本質ではありません。前腕の構造に合った負荷をかけられているか。それだけを基準に、トレーニングを組んでください。
今回紹介した内容をそのまま実践すれば、「前腕を鍛えているのに変わらない」という状態からは確実に抜け出せます。


コメント