
ホエイプロテイン、値上がりしすぎです。ある人気メーカーでは、1kg4,480円だった商品が、わずか半年ほどで6,980円。毎日飲む人ほど、無視できない出費になっています。
しかし、筋肉をつけるために、高いホエイプロテインを買い続けるしかないのでしょうか?実は、もっと安くタンパク質を補給できる選択肢があります。
そこで今回は、ホエイの代わりになるプロテインから、プロテイン代そのものを減らす方法まで、筋肥大の研究と実際の価格をもとに解説します。

CH1:プロテインが高すぎる!
では、この値上がりによって、実際にどれくらい出費が増えるのでしょうか?
冒頭で紹介したあるブランドの場合、毎日30gのホエイプロテインを飲むと、以前の価格では年間約4万9,000円。しかし、現在の価格では約7万6,000円。同じ量を飲み続けるだけで、年間約2万7,000円も出費が増える計算です。

では、なぜプロテインはこれほど高騰しているのでしょうか?
大きな原因は、世界的なホエイプロテインの需要増加です。
2026年5月のロイターの報道によると、タンパク質含有率80%のホエイ原料「WPC80」の価格は、過去1年間で約90%も上昇しました。しかも、この上昇幅は粉ミルクやチーズなど、ほかの乳製品を大きく上回っています。
その背景にあるのが、世界的な高タンパク食品のブームです。以前は筋トレをする人が中心だったプロテイン市場ですが、現在では健康維持やダイエットを目的とした需要も増加しています。
特に近年注目されているのが、GLP-1系の減量薬です。こうした薬を使った減量では筋肉を含む除脂肪体重も減少するため、十分なタンパク質を確保することへの関心が高まっています。実際にロイターは、減量薬の普及がホエイ需要を押し上げる大きな要因になっていると報じています。
しかし、ここでもう一つ問題があります。
それは、ホエイプロテインは需要が増えたからといって、簡単に生産量を増やせるわけではないことです。
そもそもホエイは、主に牛乳からチーズを作る過程で生まれる液体です。この液体からタンパク質を濃縮し、乾燥させることで、私たちが飲んでいるホエイプロテインが作られます。
つまり、ホエイの供給量はチーズなどの乳製品の生産にも左右されます。さらに、高濃度のタンパク質を取り出すには専用の加工設備が必要です。需要が急増しても、すぐに生産量を増やすことはできません。
そして、日本ではこれに加えて輸送費や為替の問題もあります。海外から原料を輸入する場合、円安や輸送費の増加によって、さらに仕入れ価格が上がります。
実際にTHE PROTEINも、2026年9月の値上げについて、世界的なホエイ需要の増加、輸送費の上昇、円安などを理由に挙げています。
つまり、今回の価格高騰には、世界的な需要増加と供給不足、さらに輸送費や円安が重なっています。
では、私たちは高いホエイプロテインを買い続けるしかないのでしょうか?
実は、ホエイ以外にも筋肥大をサポートできる、安価なプロテインが存在します。
CH2:安いプロテインに変えればいいのか?
まず、ホエイプロテインの代わりとして注目したいのが、ソイプロテインです。
ホエイが牛乳から作られるのに対して、ソイは大豆から作られる植物性のプロテインです。そして、商品によっては、このソイプロテインをホエイよりも大幅に安く購入できます。
例えば、あるサイトのの公式オンラインショップでは、ホエイプロテイン1kgが4,990円。それに対して、国内製造のソイプロテインは2,100円。さらに、アメリカ産のソイなら1,450円で販売されています。
しかし、粉末1kgあたりの価格だけでは正確な比較はできません。そこで、実際のタンパク質含有率を考慮して、タンパク質20gあたりの価格を比較してみましょう。
ホエイは約128円、国内製造ソイは約50円、アメリカ産ソイなら約34円。なんと、ホエイと比べて約60〜73%も安くタンパク質を補給できるのです。
仮に毎日タンパク質20gをプロテインから補給するなら、国内製造ソイに変えるだけで年間約2万9,000円、アメリカ産ソイなら約3万4,000円の節約になります。
しかし、ここで気になるのが筋肥大効果です。いくら安くても、筋肉がつきにくくなるのであれば意味がありません。
実際、ホエイには筋肉の合成を促すロイシンというアミノ酸が比較的多く含まれており、筋肥大に有利だと考えられてきました。
では、実際にホエイとソイを比較すると、どれくらい筋肉の成長に差が出るのでしょうか?
2020年の研究では、48人の男女が12週間にわたって週3回の筋力トレーニングを実施しました。参加者は1日19gのホエイ、または26gのソイを摂取。どちらもロイシンが約2gになるように調整されています。
結果、両グループで除脂肪体重と筋力が増加しましたが、グループ間に統計的に有意な差は認められませんでした。
さらに、2025年に発表されたメタ分析では、43件のランダム化比較試験を調査。そのうちソイと乳由来タンパク質を比較した17研究を統合すると、筋肉量に統計的に有意な差は認められませんでした。
つまり、筋肥大のために高いホエイだけを選ぶ必要はありません。安価なソイプロテインでも、適切な量を摂取すれば十分な筋肥大効果を期待できます。
また、現在WPIという高精製のホエイを飲んでいる人なら、安価なWPCに切り替えることでも節約できます。乳糖によってお腹の調子が悪くなるなどの問題がなければ、全員が高価なWPIを選ぶ必要はありません。
ここまで紹介したように、ソイプロテインに切り替えるだけでも、プロテイン代を大幅に減らすことができます。
しかし、現在は安く購入できるソイプロテインも、今後の原料価格や需要の変化によって値上がりする可能性があります。特にホエイの価格高騰によってソイプロテインの需要が高まる。これによってホエイと同じことが起こる可能性も低くありません。
では、私たちはこれからも、安いプロテインを探して買い続けるしかないのでしょうか?
CH3:そもそもプロテインサプリは必要ない
実は、プロテインサプリは筋肥大に必須ではありません。
筋肉を成長させるために重要なのは、十分なタンパク質を摂取することです。そして、そのタンパク質を必ずしもプロテインパウダーから摂取する必要はありません。実際、国際スポーツ栄養学会も、必要なタンパク質を通常の食品から確保することは可能であり、サプリメントは必要量を満たすための便利な手段だと説明しています。
さらに、2026年に発表された研究では、筋トレ経験のある男女65人を対象に、筋トレ後に卵白、全卵、サーモン、豚肉、レンズ豆、マイコプロテインのいずれかを摂取させました。

結果、いずれの食品でも筋肉のタンパク質合成が促進され、筋タンパク質合成率に統計的に有意な群間差は認められませんでした。つまり、特別なプロテインパウダーを使わなくても、普段の食品から摂取したタンパク質で筋肉の合成を促すことができるのです。
基本的にたんぱく質の種類についてはホエイやソイなど食品由来のものであれば筋肉の成長に貢献する量はほとんど変わりません。摂取量だけ見ておけばいいです。
では、私たちは実際にどれくらいのタンパク質を摂取すればいいのでしょうか?
筋肥大を目的とする場合、1日あたり体重1kgにつき1.6〜2.2g程度が一つの実用的な目安になります。つまり、体重70kgの人なら112〜154gです。もちろん、必要量には個人差があり、減量中などはさらに多くのタンパク質が役立つ場合もあります。
そして、ここで重要なのは、この数字がプロテインサプリから摂取する量ではなく、食事とサプリメントを合わせた1日の合計量だということです。
例えば、体重70kgの人が普段の食事だけで150gのタンパク質を確保できているなら、わざわざプロテインサプリを追加する必要はありません。
つまり、プロテインは筋肉を成長させる魔法の粉ではなく、タンパク質を補給するための便利な食品の一つにすぎないのです。
もちろん、食事だけではタンパク質が不足してしまう人にとって、プロテインは今でも便利な選択肢です。
しかし、値上がりしたプロテインを買い続ける前に、まずは自分が普段の食事からどれくらいタンパク質を摂取できているのか、確認してみてください。
では、プロテインサプリを買わずに、必要なタンパク質を確保するにはどうすればいいのでしょうか?
CH4:プロテインを買わずにタンパク質を確保する方法
では、プロテインサプリを買わずに、必要なタンパク質を確保するにはどうすればいいのでしょうか?
まず注目したいのが、普段からスーパーで購入できる高タンパク食品です。例えば、鶏むね肉は100gあたり約20〜23gのタンパク質を含み、今回確認した商品では100gあたり約106円。タンパク質20gを100円前後で補給できる計算です。
また、卵は1個あたり約6gのタンパク質を含み、3〜4個で約20g。10個約320円の商品なら、タンパク質20gあたり約105円です。
そして、さらに安価な選択肢が豆腐です。例えば、トップバリュの木綿豆腐には300gで約16gのタンパク質が含まれており、価格は約63円。タンパク質20gあたりに換算すると、約77円になります。
そして、飲み物から補給したい人なら、高タンパク牛乳という選択肢もあります。森永乳業の商品では、約400mlで20gのタンパク質を補給でき、価格は約106円。普段の飲み物を変えるだけでも、タンパク質を増やすことができます。
もちろん、今回紹介した食品が、必ずしもプロテインパウダーより安いわけではありません。先ほど紹介した安価なソイプロテインなら、タンパク質20gを約34〜50円で補給できます。
しかし、ここで重要なのは価格だけではありません。

実は、普通の食品からタンパク質を摂ることには、プロテインパウダーだけでは得にくいメリットがあります。
まず、タンパク質以外の栄養素も同時に摂取できることです。例えば、牛乳ならカルシウム、卵ならコリンやビタミン、肉なら鉄や亜鉛、魚なら種類によってはEPAやDHAなど、タンパク質と一緒にさまざまな栄養素を補給できます。
さらに、食品全体の栄養構成が筋肉の合成に影響する可能性もあります。実際、2017年の研究では、同じ18gのタンパク質を全卵と卵白から摂取させたところ、全卵の方が筋タンパク質合成反応が大きくなりました。
そして、もう一つのメリットが満腹感です。
プロテインパウダーは短時間でタンパク質を補給できる便利な食品ですが、飲み物として摂取するため、食事そのものを置き換えても満腹感が十分に得られるとは限りません。
一方、肉や魚、卵などを使った食事なら、噛んで食べることで満足感を得やすく、空腹を抑えやすくなる場合があります。
実際、2010年に発表された研究では、同じ鶏むね肉を固形のまま食べた場合と、液状にして摂取した場合を比較したところ、固形のまま食べた方が空腹感を強く抑えました。
もちろん、プロテインドリンクにも満腹感を高める効果はあります。しかし、特に減量中など、空腹を抑えながらタンパク質を確保したい人にとっては、普通の食品を利用することにもメリットがあるのです。
つまり、食品からタンパク質を確保することは、単なる節約のための妥協ではありません。
タンパク質以外の栄養素も摂取でき、食事としての満足感も得られる。プロテインが高騰した今こそ、普段の食生活を見直す価値があるのです。
CH5:プロテインが高騰した今、どうするべきか?
ホエイプロテインが高騰した今、まず検討したいのが、安価なソイプロテインへの切り替えです。今回紹介したように、ソイでも十分な筋肥大効果を期待でき、商品によっては年間3万円以上の節約になります。
しかし、ソイに変えれば、すべて解決するわけではありません。
現在は安く購入できるソイプロテインも、数か月後に同じ価格で買える保証はありません。ホエイと同じように、原料価格や需要の変化によって値上がりする可能性は十分にあります。
そこで、私がおすすめしたいのが、普段の高タンパク食品を中心にして、不足する分だけ安価なソイプロテインで補う方法です。
例えば、肉や魚、卵、乳製品などから必要なタンパク質の大部分を確保し、どうしても足りない分だけソイプロテインを利用する。
これなら、サプリメントに依存することなく、筋肉の成長に必要なタンパク質を確保でき、プロテイン代も大幅に抑えられます。
重要なのは、ホエイを飲むことでも、プロテインを完全にやめることでもありません。
筋肉を大きくするために必要なのは、高いプロテインではなく、十分なタンパク質です。
価格が高騰した今こそ、当たり前のように飲んでいたその1杯が、本当に必要なのか見直してみてください。


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