筋肉が増えない種目が研究で判明しました【科学】

筋トレには、キツいのに筋肉が増えない種目があります。

これは感覚やパーカーフィットネスの好き好みの話ではありません。実際のデータで成長が確認されてない種目があります。

筋肉痛がある。パンプする。実際やると筋肉に効いてる。でも、それは筋肉が増えている証拠ではありません。研究を見ると、トレーニングしているのに、狙った筋肉のサイズが増えていない。こういう例が実際に出ています。

つまり、筋肉が使われている気がする。でも、成長していない。

今回は、なぜこんなことが起こるのか。そして、どんな種目を選ぶと筋肉が増えないのか。実際の研究データを使って解説します。

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CH1 筋肉が伸びない種目は、成長しません

1つ目は、筋肉が伸びない種目です。

まず見てほしいのが、プランク系のコアトレーニングです。プランクは腹筋に力が入ります。かなりキツいです。腹筋を鍛えている感覚も強いです。でも研究では、自重コアトレーニングを10週間行っても、腹直筋の明確な成長は確認されていません。

男子大学サッカー選手を対象にした研究では、ホイールを使ったコアトレーニング群、自重コアトレーニング群、何もしない群を比較しています。トレーニングは10週間、週2回です。その結果、体幹の除脂肪量や内腹斜筋は増えています。しかし、腹直筋の筋厚が有意に増えたのは、ホイールを使った群だけでした。自重コアトレーニング群では、腹直筋の成長は確認されませんでした。

 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30539100/

つまり、腹筋に力が入っていることと、腹直筋が大きくなることは別です。プランクで腹筋がキツいのは事実です。でも腹直筋は伸び縮みしていません。体を反らないように固定しているだけです。

ここで重要なのが、アイソメトリックホールド。アイソメトリックというのは、筋肉の長さを大きく変えずに力を出し続けるトレーニングです。要するに、止めたまま耐えるトレーニングです。

アイソメトリックホールド自体が悪いわけではありません。大事なのは、どの筋肉の長さで止めているかです。筋肉が短くなった位置や、中立に近い位置で止めても、筋肥大の刺激はかなり弱くなります。逆に、筋肉が伸ばされた位置で強い力を出すアイソメトリックは、筋肥大が起こります。

実際に、ある研究では特殊な機械を使って大胸筋をストレッチさせたところ一般的な大胸筋トレーニングに匹敵する筋肥大効果が得られました。

だからプランクの問題は、止めることではありません。腹直筋が伸ばされた位置で強い張力を受けていないことです。プランクは腹直筋を強く伸ばして耐える種目ではありません。腹直筋を中立に近い位置で固めているだけです。だから腹筋に力は入るし、1分もやればかなりきついでしょう。でも腹直筋はかなり成長しにくい。

例えばこれはスクワットやベンチプレス、デッドリフトで腹筋も鍛えられるというのが迷信であるコトにもつながります。この種目中腹筋はプランクと同じ状態。固めて耐えてるだけ。加えてプランクよりも刺激ははるかに弱いため、成長する可能性は限りなく低いです。

同じことは、トップ側だけのパーシャルレップでも起こります。たとえば、アームカールの上半分だけ、ベンチプレスの上半分だけ、レッグエクステンションの上半分だけ。こういうやり方は、筋肉が短くなった位置だけで頑張っています。収縮感は強いです。パンプも出ます。でも、筋肉が伸ばされた位置の刺激が抜けています。

レッグエクステンションの研究では、大腿四頭筋が伸ばされた範囲で行うパーシャルと、大腿四頭筋が短くなった範囲で行うパーシャルが比較されています。その結果、筋肉が伸ばされた範囲で行った方が、筋肥大は有利でした。逆に、筋肉が短くなった範囲だけで行うパーシャルは、筋肉を増やす刺激として明らかに弱くなります。

 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33977835/

日本では収縮信仰がいまだに強いのでヒジを伸ばし切らないカールやヒジを少ししか曲げないレッグエクステンションは負荷が筋肉に残るから効果的であると信じられています。でも上半分だけ、トップだけ、収縮感だけを追うやり方は、筋肉を増やす一番おいしい部分を捨てています。

つまり問題は、筋肉が伸びていない位置で頑張っていることです。

プランクも、トップ側パーシャルも、収縮維持も、共通点は同じです。筋肉に力は入ります。でも、筋肉が伸ばされた位置で強い張力を受けていません。だから収縮感は強いのに、筋肉は増えません。

筋肉を大きくしたいなら、上でギュッと縮める感覚を追うのではなく、下で伸ばされた位置を使うべきです。収縮感が強い種目ほど、実は感覚だけで終わっていることがあります。

筋肉の成長がほとんどない種目、ひとつ目は収縮位置でしか動作がない種目。

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CH2 二関節筋は、使っていても成長しません

2つ目は、二関節筋の長さ変化がキャンセルされる種目です。

代表例がスクワットの大腿直筋です。スクワットは脚を鍛える最高の種目のひとつです。これは間違いありません。でも、大腿四頭筋の中でも、大腿直筋を鍛える種目ではありません。

これをかなり分かりやすく示した研究があります。Zabaleta-Kortaらの研究では、トレーニング経験のある男性を、スミスマシンスクワット群とレッグエクステンション群に分けて、5週間トレーニングを行わせています。どちらも週3回、4セット12回を限界まで行っています。

結果はかなりはっきりしています。レッグエクステンション群では、大腿直筋の3部位すべてが有意に成長しました。近位部が9.0%、中央部が8.8%、遠位部が19.7%増えています。一方、スミスマシンスクワット群では、大腿直筋は近位部が3.0%、中央部が1.2%、遠位部がマイナス2.2%。有意な成長は確認されていません。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34743671/

つまり、スクワットで脚は鍛えられます。でも大腿直筋は増えていません。

なぜこんなことが起こるのか。理由は、大腿直筋が二関節筋だからです。

二関節筋とは、2つの関節をまたぐ筋肉です。大腿直筋は大腿四頭筋の一部ですが、他の広筋群と違って、膝関節だけではなく股関節もまたいでいます。役割は、膝を伸ばすこと。そして股関節を曲げることです。

スクワットで立ち上がる時、膝は伸びます。これは大腿直筋にとっては縮む方向です。でも同時に、股関節も伸びます。これは大腿直筋にとっては伸ばされる方向です。

つまり、大腿直筋は膝側では縮もうとしているのに、股関節側では同時に伸ばされています。片方の関節では短くなる。もう片方の関節では長くなる。このせいで、筋肉全体の長さ変化がキャンセルされます。

だからスクワットでは、大腿直筋はほとんど鍛えられません。筋肥大効果はゼロにかなり近い。スクワットで大きくなりやすいのは、股関節をまたがない外側広筋や中間広筋です。大腿直筋はスクワットでは取り残されます。

つまり、大腿直筋を成長させたいなら、スクワットだけでは足りません。スクワットは脚トレとして優秀です。でも、大腿直筋を大きくするならレッグエクステンションが必要です。研究ではバーベルスクワットですがこれはしゃがんだ時に膝が体の前に来るスクワット、そしてレッグプレスほぼすべてに言えます。

ふくらはぎも同じです。腓腹筋は足首だけでなく、膝関節もまたいでいます。だから腓腹筋を鍛えたいなら、膝を曲げたシーテッドカーフだけでは足りません。

スタンディングカーフレイズとシーテッドカーフレイズを比較した研究では、スタンディングでは外側腓腹筋が12.4%、内側腓腹筋が9.2%増えました。一方、シーテッドでは外側腓腹筋が1.7%、内側腓腹筋が0.6%で、有意な増加は確認されていません。つまり、腓腹筋を鍛えたいなら、膝を曲げながら行うと成長効果が大幅に下がってしまいます。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38156065/

そして、この二関節筋問題は脚だけではありません。腕でも起こります。代表例が、ディップスの上腕三頭筋長頭です。

ディップスは三頭筋に効きます。でも、三頭筋長頭でもスクワットと同じことが起こってます。上腕三頭筋長頭は、肘だけではなく肩関節もまたいでいる二関節筋です。だから長頭をしっかり伸ばした状態で鍛えるには、肩の位置が重要になります。

ディップスでは体を下げたときに肩関節が伸展、つまり収縮、そしてヒジは曲がるのでストレッチします。上腕三頭筋ではヒジが曲がってるときに腕が前に出る種目だと全体を鍛えることができます。胸トレにはこういった種目がなくディップスに近い運動になるため、ベンチプレスや腕立て伏せでは長頭が遅れやすくなります。

懸垂やラットプルダウンでの上腕二頭筋の長頭も同様です。なので基本的には腕トレでは長頭をメインに鍛えるのがいいでしょう。

筋肉の成長がほとんどない種目、ふたつ目は二関節筋によって長さの変化がキャンセルされる種目。

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CH3 筋肉が増える種目の選び方

では、どんな種目を選べば筋肉は増えやすいのか。答えはシンプルです。プランクのように、ある状態をキープする。耐える。固める。こういう種目ではなく、ウエイトを動かして、狙った筋肉をしっかり伸び縮みさせる種目を選んでください。

プランクやプレートプレスはほとんど収縮を維持してるトレーニング。プレートプレスについての研究はありませんが、筋肉の成長効果はかなり低い可能性が高いです。腕がずっと閉じていて大胸筋が収縮した状態を維持しています。

特に重要なのは、ストレッチポジションです。筋肉を大きくしたいなら、上で筋肉を縮める感覚より、下で伸ばされた位置に負荷が乗っているかを見てください。筋肥大に一番影響するのは、筋肉が伸ばされた状態で強い張力を受けるところです。

だから、収縮感だけで種目を選ぶのは危険です。収縮感が強い種目は、効いている感じはあります。でも、その種目が筋肉を伸ばした位置で負荷をかけていないなら、筋肥大の刺激としては弱くなります。

気を付けなければいけないのが、直立のダンベルカールのような種目です。普通の立ったダンベルカールは、上腕二頭筋が一番伸びている最下部で、負荷がほとんど乗りません。ダンベルは下に引っ張られるだけなので、腕が真下にある位置では、肘を曲げる方向への負荷がかなり小さいからです。

こういった種目は伸ばされた位置で負荷が抜けないように、ケーブルの向きやベンチ角度を工夫する必要があります。

次に、二関節筋です。二関節筋を鍛える時は、肘だけ、膝だけを見てはいけません。必ず、もう一つの関節も見てください。

上腕三頭筋なら、肘だけでは足りません。肩関節も見ます。三頭筋長頭は、肘関節だけでなく肩関節もまたいでいます。だから肘を伸ばすだけではなく、肩の位置によって長頭の伸び方が変わります。

上腕三頭筋長頭を鍛えたいなら、オーバーヘッド系が強いです。腕を頭上に近づけることで肩関節が屈曲し、長頭はより伸ばされた状態になります。その状態で肘を伸ばすから、長頭にストレッチポジションで負荷が乗ります。

実際に、ケーブルトライセプスエクステンションを、腕を頭上に近づけたオーバーヘッド姿勢と、腕を体の横に置いたニュートラル姿勢で比較した研究では、オーバーヘッド姿勢の方が上腕三頭筋の肥大が大きくなっています。特に二関節筋である長頭では、オーバーヘッド姿勢が28.5%、ニュートラル姿勢が19.6%で、オーバーヘッドの方が明確に大きく成長しています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35819335/

つまり、三頭筋長頭を作りたいなら、プレスダウンやディップスだけでは足りません。肘を伸ばすだけではなく、肩関節を使って長頭を伸ばす必要があります。三頭筋長頭なら、オーバーヘッドです。

大腿直筋も同じです。大腿直筋は膝関節だけでなく、股関節もまたいでいます。だからレッグエクステンションをするときも、膝だけを見てはいけません。股関節をどうするかで、大腿直筋の伸び方が変わります。

大腿直筋は、股関節を曲げすぎた普通の座位よりも、上半身を少し倒して、股関節を開いた状態でレッグエクステンションを行う方が有利です。股関節を開くことで大腿直筋はより伸ばされます。その状態で膝を伸ばすから、大腿直筋にストレッチポジションで負荷がかかります。

レッグエクステンションの研究でも、股関節を90度曲げた座位と、股関節の曲がりを浅くした40度のリクライニング姿勢を比較しています。その結果、40度のリクライニング姿勢の方が、大腿直筋の筋肥大に大きなメリットがありました。一方、外側広筋では大きな差はありません。これは、大腿直筋が股関節もまたぐ二関節筋だからです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39699974/

ふくらはぎも同じです。腓腹筋は足首だけでなく、膝関節もまたいでいます。だから膝を伸ばした状態でカーフレイズをする必要があります。実際別の研究を見てみても座った状態のカーフレイズよりも立ち上がってヒザを伸ばした状態のカーフレイズのほうが筋活動が高いことがわかります。

筋肉が増える種目というのはこういった種目です。

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CH4 まとめ:効いてる感に騙されるな

今回の結論です。筋肉が成長しない種目には、共通点があります。

1つ目は、筋肉が伸びていないことです。プランクのように固めるだけ、トップ側だけのパーシャルのように短い位置だけで動かす種目は、収縮感は強くても筋肉は増えにくくなります。

2つ目は、二関節筋の長さ変化がキャンセルされることです。スクワットで大腿直筋が育ちにくいように、肘や膝だけを見ていると、肩や股関節側で筋肉の刺激が抜けます。

ここで一番気をつけてほしいのが、効いてる感です。多くの人は、筋肉を強く感じる種目ほど効果が高いと思っています。でもこれは逆です。効いてる感が強い種目ほど、筋肥大には弱いことがあります。

なぜなら、効いてる感は収縮で出やすいからです。筋肉を限界まで縮めると、パンプしやすい。焼けるような感覚も出やすい。だから、ものすごく効いているように感じます。

たとえばプリチャーカールでも、肘を伸ばした位置で耐えるより、限界まで曲げ切った位置の方が上腕二頭筋を強く感じます。でも、筋肉が大きくなりやすいのは、強く感じる場所ではありません。筋肉が伸ばされた状態で、強い負荷を受けている場所です。

つまり、収縮感は過大評価されています。むしろ収縮感だけが強い種目は、ストレッチポジションの負荷が抜けていることがあり、筋肉の成長効果も低い可能性が高いです。ほとんどの人は、この構造に気づいていません。

筋肉を大きくしたいなら、収縮感ではなくストレッチを見てください。狙った筋肉が伸びているか。伸びた位置で負荷が乗っているか。二関節筋なら、もう一つの関節まで使えているか。

収縮よりもストレッチの方が重要です。これは筋肥大を考えるうえで、かなりはっきりしています。

筋トレで一番危険なのは、効いてる感を成果だと勘違いすることです。筋肉は、強く感じたから増えるのではありません。伸ばされた位置で、強い張力を受けた時に成長します。

Parker Fitness

今までの失敗,そして成功から科学的な文献を基にすると筋肉の付き方が全く違うことに気づきました。 それを皆さんにも経験してほしくYoutubeなどで科学的なアプローチで効果的な筋トレ法を紹介しています。