体重は落ちた。顔も少し細くなった。腕や脚も前よりスッキリしてきた。なのに、なぜかお腹だけ残る。
腹筋をしても変わらない。有酸素を増やしても下腹が消えない。食事を減らしているのに、鏡を見ると腹だけ出ている。
これ、多くの人は「まだ努力が足りない」と考えます。でも本当に問題なのは、努力の量ではなく、お腹の脂肪に対する考え方です。お腹の脂肪は、ただの脂肪ではありません。同じように腹が出て見えても、中で起きていることは人によって違います。
そして、脂肪は自分が落としたい場所から都合よく落ちるわけではありません。腹筋をやったらお腹から消える。そんな単純な仕組みではありません。
まず最初に知ってほしいのは、お腹の脂肪は1種類ではないということです。
多くの人は、お腹が出ていると全部まとめて「腹の脂肪」と考えます。でも実際には、お腹の脂肪には大きく分けて2つあります。皮膚の下につく皮下脂肪と、お腹の奥、内臓の周りにつく内臓脂肪です。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19656312/
この2つは、同じ脂肪でもかなり違います。つき方も違いますし、見た目への出方も違います。そして、健康への影響も違います。
たとえば、指でつまめる下腹、横腹、腰まわりの脂肪。これは主に皮下脂肪です。皮膚のすぐ下にある脂肪なので、手でつかめます。ダイエットをしても見た目に残りやすく、多くの人が「お腹だけ落ちない」と感じる原因になります。
一方で、脂肪をあまりつまめないのに、お腹が前に張っている人。この場合は、内臓脂肪の影響が大きい可能性があります。内臓脂肪は皮膚の下ではなく、お腹の奥、内臓の周りにつく脂肪です。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3473928/
そして健康面で特に問題になりやすいのは、この内臓脂肪です。内臓脂肪が多い状態は、メタボリックシンドローム、糖代謝の異常、心血管疾患などと関係しやすいことが報告されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5619737/
つまり、お腹の脂肪を落としたいと言っても、見た目に残る皮下脂肪を落としたいのか、腹の奥にある内臓脂肪を減らしたいのかで、意味が変わります。
ここを分けずに考えると、間違った方向に進みます。下腹が気になるから下腹だけを鍛える。腹が出ているから腹筋を毎日やる。でも、それでお腹の脂肪そのものが直接削れるわけではありません。
お腹の脂肪で最初に見るべきなのは、腹筋の強さではありません。まず、自分のお腹がつまめる脂肪なのか、つまみにくいのに前に張っている脂肪なのかです。
つまめる腹は、見た目に残る皮下脂肪。つまみにくいのに前に出ている腹は、内臓脂肪の影響が大きい。
この違いを知らないまま対策すると、お腹の脂肪は思ったように変わりません。
次に、お腹はなぜ太りやすく見えるのかです。実は脂肪には着きやすい部位とつきにくい部位があり、場所によって差があるんです。
まず、男性は体脂肪が増えたときに、腹部に脂肪が集まりやすい傾向があります。これは気のせいではありません。脂肪のつき方は全身で均一ではなく、性別、ホルモン、年齢、遺伝などの影響を受けます。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6795075/
女性は太ももやお尻まわりに脂肪がつきやすい傾向がありますが、男性は腹部、特にお腹の内側に脂肪がつきやすくなります。だから男性の場合、体重が少し増えただけでも、顔や腕より先にお腹に出たように感じやすいです。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6525964/
さらに、お腹は元々の脂肪量が多くなりやすい部位です。腕や顔は脂肪の量が少ないので、少し落ちただけでも変化が分かりやすいです。でもお腹は、元々ついている脂肪の量が多いので、同じだけ脂肪が落ちても、見た目ではまだ残っているように見えます。
加えて先ほど紹介したように人間の腹部には皮下脂肪と内臓脂肪の両方があり、当然増えるスピードも他の部位よりも早いんです。
つまり、お腹は太りやすいだけではありません。痩せても変化が遅く見える部位です。
さらに、お腹の見た目は脂肪だけで決まりません。食後の胃腸の中身、ガス、便通、水分量でも変わります。
朝はお腹がスッキリしているのに、夜になると腹が出る。この場合、1日で脂肪が増えたわけではありません。腹部膨満や腹部の張りでは、朝は腹が平らでも、時間が経つにつれて腹部が大きく見えることがあります。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3388350/
そして姿勢も、お腹の見た目に関係します。反り腰のように腰が反って骨盤が前に傾くと、実際の脂肪量以上に下腹が前に出て見えることがあります。
骨盤の傾きは、立っている姿勢や体の使い方に関係する要素として評価されます。つまり、お腹が出て見える原因は、脂肪だけではなく、体の姿勢や骨盤の位置にも影響されます。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8486407/
お腹は脂肪が増えやすい部位であり、脂肪が増えたように見えやすい部位でもあるということです。
だから、体重が少し増えたときはお腹にすぐ出る。逆に体重が落ちても、お腹だけはなかなか変わらないように見える。
この性質を知らないと、多くの人は「痩せ方が悪い」「そういう体質なんだ」と考えてしまいます。でも実際には、お腹は変化が遅く見える条件がそろっている部位なのです。
ここからは、多くの人が気になる脂肪が落ちる順番についてです。
よく、脂肪は顔から落ちる、腕から落ちる、お腹は最後に落ちる、と言われます。でも実際には、脂肪が落ちる順番はそこまで単純ではありません。
脂肪は、顔、腕、お腹、脚のように、全員が同じ順番で落ちるわけではありません。脂肪の落ち方は、脂肪のつき方と同じ。性別、遺伝、元々どこに脂肪が多いか、内臓脂肪なのか皮下脂肪なのかによって変わります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18180786/
ここで重要なのは、お腹の脂肪が必ず最後に落ちるわけではないということです。むしろ、減量中は腹の奥にある内臓脂肪が、腹部の皮下脂肪より割合として大きく減りやすいことが報告されています。
つまり、ダイエットを始めたとき、最初に変わっているのは、つまめる下腹の脂肪ではなく、腹の奥にある内臓脂肪である傾向が高いです。内臓脂肪が減るとお腹は少し引っ込みますが、皮下脂肪は残ってるのでお腹の肉は減っているように感じにくいんです。
ここが、多くの人が勘違いしているポイントです。人間はまず内臓脂肪から落ちるので実は最初に変化があるのはお腹。でも内臓脂肪というのは落ちている場所が、見た目に分かりにくい脂肪細胞です。
さらに、脂肪の落ち方は脂肪の種類だけではなく部位によっても違います。体重を増やしてから減らした研究では、増えた脂肪と減った脂肪の戻り方が、上半身、下半身、内臓脂肪で同じではなかったことが報告されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22760561/
つまり、脂肪は全身から均等に同じスピードで落ちるわけではありません。落ちやすい脂肪、残りやすい脂肪、見た目に変化が出やすい脂肪、変化が分かりにくい脂肪があります。
ここで「じゃあお腹の皮下脂肪は燃えにくいのか」と思うかもしれません。実はそうでもありません。腹部の脂肪細胞は、臀部の脂肪細胞より脂肪分解の刺激に強く反応したという研究もあります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2503539/
つまり、科学的に見ると、お腹の脂肪が一番燃えにくいとは言えません。
脂肪が落ちる順番は、当然個人差があることは前提として以下の目安があります。
まず体の中で早く反応しやすいのは、見た目でつまめる脂肪ではなく、肝臓脂肪や内臓脂肪です。特に内臓脂肪については、減量時に腹部皮下脂肪よりも割合として大きく減りやすいことが、システマティックレビューで示されています。
肝臓脂肪もかなり早く反応します。2型糖尿病を対象にしたカロリー制限研究では、肝臓脂肪が最初の7日間で約30%低下したと報告されています。
次に変化しやすい目安としては、上半身の皮下脂肪です。 研究では、過食で増やした脂肪をその後の低摂取で落としたところ、上半身皮下脂肪と内臓脂肪は元に戻りやすかった一方、下半身脂肪はまだベースラインまで戻らなかったと報告されています。
つまり、上半身の脂肪は比較的動きやすく、下半身の脂肪はしつこく残りやすい傾向があります。
そして、3番目は腹部の皮下脂肪。ただこれは腕や脚よりもそもそもたくさんの脂肪が蓄積される部位なので後回しにされるというよりも大量の脂肪があるため時間がかかるというほうが正しいです。
そして最後。研究的に「しつこい」と言いやすいのは、下半身・お尻・太ももの皮下脂肪です。
臀部・大腿部、いわゆるグルートフェモラル脂肪は、脂肪酸を長期的に貯蔵しやすく、代謝的には比較的保護的な役割を持つ可能性があるとレビューされています。
お腹の脂肪は下半身よりも早く分解されますが、上半身の中では遅いほうです。なので腕とか顔は痩せたのにお腹だけ残ってる。これは自然なんです。
次に、腹筋してもお腹の脂肪が落ちない理由です。
ここはかなり重要です。お腹を凹ませたい人ほど、まず腹筋を増やします。クランチ、レッグレイズ、プランク、腹筋ローラー。お腹が気になるから、お腹を鍛える。これは感覚的には正しそうに見えます。
でも、お腹の脂肪を落とすという意味では、この考え方はズレています。
腹筋運動は、腹筋を鍛える運動です。お腹の脂肪を直接的に削る運動ではありません。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21804427/
実際に、6週間の腹筋運動を行わせた研究では、腹筋の筋持久力は向上しました。でも、腹部の皮下脂肪や体脂肪率は有意に減少しませんでした。つまり、腹筋を鍛えれば腹筋は強くなります。でも、それだけでお腹の脂肪が落ちるわけではありません。
食事制限に腹筋トレーニングを追加した研究でも、食事制限だけの場合と比べて、腹部皮下脂肪の厚みがさらに大きく減ったわけではありませんでした。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25766455/
ただ、最近は「部分痩せは完全に嘘ではない」という研究もあります。腹部の持久的な運動によって、局所的な脂肪利用が増えた可能性を示した研究もあります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38010201/
ただし、これを「腹筋すれば腹だけ痩せる」と考えるのは危険です。特に部分痩せの研究を見て「腹筋が脂肪燃焼に有効なんだ」と飛躍して考えてしまう人が多いです。
実際腹筋トレーニングよりもお腹の脂肪に影響を与える要素はたくさんあります。これを無視して腹筋をするのはかなり勿体ないです。
腹筋100回より、食事で300kcal減らす方がお腹の脂肪には効きます。そして腹筋100回より、スクワット、懸垂、ベンチプレスのような大きな筋肉を使うトレーニングの方が、体を変える力は大きいです。
腹筋運動は腹筋を割るための運動。腹の脂肪を落とす主役ではありません。本当に変えるべきなのは、腹筋の回数ではなく、体脂肪が落ちる生活全体です。
ここまでで、お腹の脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪があること、そして脂肪は全身から同じ順番で落ちるわけではないことを解説しました。
では、お腹の脂肪を落とすために、食事では何を変えるべきなのか。
まず大前提として、体脂肪を落とすにはカロリー収支が必要です。どれだけ健康的なものを食べていても、摂取カロリーが消費カロリーを上回っていれば、脂肪は落ちません。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8017325/
ただし、お腹の脂肪、特に内臓脂肪や肝臓脂肪は、単にカロリーだけで決まるわけではありません。何を食べるかによって、お腹の奥に脂肪がつきやすくなることがあります。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2673878/
ここを間違えると、体重は少し落ちているのに、お腹がなかなか変わらない。顔や腕は細くなったのに、腹だけ前に出ている。こういう状態になります。
最初に減らすべきなのは、砂糖入り飲料です。
ジュース、砂糖入りコーヒー、甘いカフェラテ、スポーツドリンク、エナジードリンク。こういう液体の糖質は、お腹の脂肪にかなり不利です。
砂糖入り飲料の摂取量が多い人ほど、長期的に内臓脂肪が増えやすいことが報告されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4729662/
さらに、フルクトースを含む甘い飲み物は、内臓脂肪、血中脂質、インスリン感受性に悪影響を与えることが報告されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2673878/
つまり、お腹を凹ませたい人が最初に見るべきなのは、食べ物より飲み物です。
固形の食事は減らしているのに、甘い飲み物を飲んでいる。これだとカロリー赤字が消えるだけでなく、内臓脂肪や肝臓脂肪に不利な食生活になります。
次に減らすべきなのは、酒です。
毎日飲む人のお腹が落ちない理由は、酒そのものだけではありません。酒のカロリー、つまみ、食欲の乱れ、睡眠の質の低下。この組み合わせで、お腹の脂肪は止まりやすくなります。
研究では、週間アルコール摂取量が多いほど、腹部の内臓脂肪面積、内臓脂肪の割合、内臓脂肪と皮下脂肪の比率が高い傾向が報告されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6522392/
だから、体重は落ちているのに腹だけ残る人は、まず酒の量を疑ってください。
ビールッ腹といわれることもありますが、ビールだけが悪いわけではありません。ハイボールでも焼酎でも、飲酒量が多ければ問題になります。さらに、酒を飲むと揚げ物、ラーメン、スナック、締めの炭水化物が増えやすくなります。
そしてこういった揚げ物やバター、脂身の多い肉、加工肉、揚げ物、菓子パン、ファストフード。こういう食品は、カロリーが高いだけでなく、脂肪のつき方にも影響する可能性があります。
過食条件で脂肪の種類を比較した研究では、飽和脂肪酸を多く摂ったグループは、多価不飽和脂肪酸を多く摂ったグループより、肝臓脂肪と内臓脂肪が増えやすいことが示されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24550191/
次に、精製された炭水化物です。
白いパン、菓子パン、麺類だけの食事、お菓子、砂糖の多いシリアル。こういう食品は食べやすく、満腹感が続きにくく、カロリーが増えやすいです。
全粒穀物と精製穀物を比較した研究では、全粒穀物の摂取量が多い人ほど内臓脂肪が少なく、精製穀物の摂取量が多い人ほど内臓脂肪が多い傾向が報告されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2954448/
最後に、超加工食品です。
スナック菓子、菓子パン、カップ麺、ファストフード、加工肉、甘いデザート。これらはカロリーが高く、食物繊維が少なく、脂質と糖質が組み合わさっていて、食欲が止まりにくい食品です。
超加工食品の摂取量は、肝臓脂肪、膵臓脂肪、内臓脂肪、内臓脂肪と皮下脂肪の比率と関連することが報告されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9013765/
ここで大事なのは、お腹の脂肪を落とす食事は、ただ量を減らすだけでは不十分だということです。
カロリー収支は前提です。でも、お腹に脂肪をためやすい食品を残したままだと、体重が少し落ちても腹囲が思ったように変わらないことがあります。
ここからは、結局何をすればお腹の脂肪が落ちるのかを解説します。
まず前提として、お腹の脂肪を落とすには、内臓脂肪と皮下脂肪を同時に落とす必要があります。腹の奥につく内臓脂肪。下腹や横腹に残る皮下脂肪。このどちらか一方だけを見ていると、お腹は思ったように変わりません。
ただし、ここで勘違いしてはいけません。お腹の脂肪を直接燃やす魔法の食品、運動はありません。脂肪を落とす大前提は、カロリー赤字です。
摂取カロリーが消費カロリーを上回っていれば、内臓脂肪も皮下脂肪も落ちません。これはどんなダイエット法でも同じです。問題は、そのカロリー赤字をどう作るかです。
多くの人は、まず運動でカロリーを消費しようとします。腹筋を増やす。スクワットを増やす。ランニングを増やす。もちろん運動は大事です。でも、お腹の脂肪を落とす目的で、運動の消費カロリーに期待しすぎるのは危険です。
腹筋を10分やっても、消費カロリーはせいぜい数十kcalです。スクワットや筋トレも、食べすぎを簡単に帳消しにできるほどの消費にはなりません。
さらに、運動で消費したカロリーは、そのまま全部マイナスになるとは限りません。科学的なデータに基づくと運動で消費した分の一部が相殺されることがあります。
つまり、運動は健康にも筋肉にも有効です。でも、脂肪を落とす主役として、運動の消費カロリーに期待しすぎると失敗します。お腹の脂肪を落とす主役は、食事管理です。
ただし、食事管理というのは、根性で食べる量を削ることではありません。一番重要なのは、食事の質を上げて、自然にカロリー赤字を作ることです。
お腹の脂肪を増やしやすい食品を減らして、お腹の脂肪が落ちやすい食事に置き換える。これが一番現実的です。
たとえば、砂糖入り飲料を水、お茶、ブラックコーヒーに変える。これだけで、飲み物から入っていた余計なカロリーが消えます。
菓子パンやスナックを、米、芋、オートミール、全粒穀物に変える。同じ炭水化物でも、脂質と砂糖が減り、食物繊維が増え、満腹感が続きやすくなります。
このように。お腹の脂肪を落とす食事は、ただ我慢することではありません。こういった内臓脂肪を落とす食品に変えるだけで細かくカロリー計算をしなくても、自然にカロリー赤字になるケースが多くなります。実はこれが一番効果的で成功率が高いお腹の脂肪を落とす方法。
質を変えると内臓脂肪が落ちます。加えて低カロリーで満腹感の高いものに置き換えられるので皮下脂肪も勝手に落ちていきます。
最後にこの動画が参考になったら高評価。もっと見たいと思ってもらえたら是非チャンネル登録をお願いします。