筋トレしてるのに体が全然変わらない。そういう人には共通してる行動があります。
こういう人は、努力が足りないわけではありません。
むしろ、真面目にやっている人ほど、ある行動によって筋肥大の効率を落としていることがあります。
今回は最新の科学的データを基に筋肉がデカくならない人が無意識に行ってるNG行為を科学的なデータを基に解説します。
まず1つ目は、筋トレ中にスマホを見ることです。これ、現代人の多くの人がやっています。セットが終わったらスマホを見る。LINEを見る。SNSを見る。通知を返す。でも、筋肉をデカくしたいなら、これはかなりもったいないです。
もちろん、スマホそのものが悪いわけではありません。音楽を流すだけなら、問題はかなり小さく、むしろプラス影響も確認されています。問題は、スマホによって意識がトレーニングから外れることです。
これでは、筋トレの質が落ちます。
実際、スマホのSNS使用によるメンタル疲労を調べた研究では、トレーニング前に30分間SNSを使った条件で、スクワットのボリュームロードが低下しています。つまり、スマホで疲れるのは目や指だけではなく、トレーニングの出力にも影響する可能性があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34000894/
さらに、筋トレ中のスマホ使用を調べた2025年の研究では、スマホを音楽だけに使う条件と、自由に使う条件を比較しています。この研究ではボリュームロードや強度に有意差は出ませんでしたが、スマホを自由に使った条件では、トレーニングの楽しさや主観的な生産性が低下しています。
つまり、スマホを持つな、という話ではありません。筋トレ中にSNSを見るな。通知に反応するな。セット間をスマホ時間にするな。ということ。特にSNSのチェックは精神的な疲労や集中力の低下が加速する可能性が高く、トレーニングパフォーマンスを大きく下げます。
筋肉がデカくなる人は、1セットごとの質が高いです。逆に筋肉がなかなかデカくならない人は、トレーニングしているようで、実は毎セット、集中が途切れています。集中力が低下するとパフォーマンスや筋トレの質も落ちます。
筋トレ中のスマホはこう考えてください。音楽はOK。トレーニングの記録もOK。でもSNS、LINE、動画、通知チェックはNG。筋肉をデカくしたいなら、トレーニング中のスマホチェックは出来るだけ避けましょう。
2つ目は、休憩時間が短すぎることです。これはかなり勘違いされやすいです。昔からボディビルダーは、セット間の休憩を短くしてパンプを狙うことが多くありました。1987年の研究でも、ボディビルダーではかなり短い休憩を使った高密度のトレーニングが扱われています。一方で、パワーリフターはもっと長めに休みます。ここだけ見ると、「筋肥大なら短い休憩が正解」「筋力なら長い休憩が正解」と思うかもしれません。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3667019/
たしかに、休憩が短いトレーニングはきついです。汗も出ます。パンプもします。心拍数も上がります。トレーニングをやった感もあります。でも、ここが落とし穴です。筋肉をデカくするうえで大事なのは、ただきついことではありません。大事なのは、対象の筋肉に強い張力をかけて、質の高いボリュームを積むことです。
最近公開されたレビューでは、60秒以下の短い休憩よりも、60秒を超える休憩の方が、筋肥大に小さなメリットがある可能性が示されています。つまり、筋肉をデカくしたいなら、休憩を短くすればするほど良いわけではありません。むしろ、短すぎる休憩は、筋肥大効率を下げる可能性があります。
これは簡単に言うと同じトレーニングボリュームでも、休憩時間によって中身が変わる可能性があることです。例えば30秒の休憩で稼いだボリュームと、2分休んで稼いだボリュームは、数字上は同じに見えても、筋肉の成長に対する意味が同じとは限りません。
短すぎる休憩では、筋肉が十分に回復しないまま次のセットに入ります。すると、筋肉への張力よりも、疲労、代謝ストレス、筋損傷の割合が大きくなりやすい。つまり、筋肉を成長させる刺激というより、回復コストの高い疲労を積み上げてしまう可能性があります。
実際、短い休憩と長い休憩を比較した研究では、1分休憩は5分休憩と比べて、筋トレ後の筋原線維タンパク合成の上昇を弱めたことが報告されています。筋トレは筋肉を壊すためにやるのではなく、筋肉を作る反応を高めるためにやるものです。短すぎる休憩で疲労とダメージばかり増やして、筋肉を作る反応が弱くなるなら、それは効率の良い筋トレとは言えません。
https://brieflands.com/journals/asjsm/articles/57500?utm_source=chatgpt.com
ただし、ここで勘違いしてほしくないのは、30秒休憩を1回入れた瞬間に筋肥大効率が終わる、という話ではありません。短い休憩が全部ダメなわけではありません。例えば、その部位の最後の1セットだけドロップセットを入れる。最後にパンプ狙いで短い休憩を使う。こういう使い方なら問題は小さいです。問題は、同じ筋肉に対してドロップセットを何回も入れる。毎セット60秒未満で回す。きつさとパンプを優先して、次のセットの出力をずっと落とし続ける。こうなると、筋肉をデカくするトレーニングではなく、ただ疲れるトレーニングになってしまいます。
なので、筋肉をデカくしたいなら、休憩は削りすぎないでください。少なくとも、1分以上は確保する。これが大事です。
3つ目は、チーティングで負荷を逃がすことです。これも、筋肉がデカくならない人にかなり多いです。筋肉を成長させるうえで重要なのは、対象の筋肉に機械的張力をかけることです。機械的張力というのは、簡単に言うと、筋肉が強く引っ張られながら力を出している状態です。筋肥大のメカニズムをまとめたレビューでも、機械的張力は筋肥大を起こす重要な要因の1つとして扱われています。つまり、筋肉は負荷がかかったから成長します。逆に言えば、負荷がかかっていない筋肉が勝手に成長するはずはありません。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20847704/
そして、筋肉の成長を最大化する方法についてのレビューでも、非標的筋、つまり狙っていない筋肉の関与をできるだけ小さくすることが推奨されています。これは当たり前ですが、かなり重要です。胸を鍛えたいなら胸に負荷を乗せる。背中を鍛えたいなら背中に負荷を乗せる。肩の横を鍛えたいなら三角筋中部に負荷を乗せる。狙っていない筋肉が仕事をしすぎるほど、狙っている筋肉への刺激は薄くなります。
https://www.mdpi.com/2411-5142/9/1/9
チーティングの問題は、まさにこれです。チーティングとは、ただズルをすることではありません。鍛えたい筋肉にかかるはずだった負荷を、別の部位や勢いに逃がす行為です。例えばアームカールで上半身を大きく反らす。これは、本来なら上腕二頭筋が受けるはずだった負荷を、腰、肩、反動に逃がしています。懸垂で体を大きく振る。これも、本来なら背中が受けるはずだった負荷を、勢いに逃がしています。
ただ、こういう明らかなチーティングをずっとやっている人は、実はそこまで多くありません。もっと危ないのは、本人がチーティングだと思っていないフォームです。見た目は普通。本人も真面目にやっている。でも、微妙な角度や動かし方によって、負荷が別の筋肉に逃げている。これが一番もったいないです。
代表例がサイドレイズです。サイドレイズは三角筋中部を狙う種目です。でも、腕を横ではなく前に出しすぎると、動きはどんどんフロントレイズに近づきます。フロントレイズになれば、当然、三角筋前部の仕事が大きくなります。実際、ラテラルレイズのバリエーションとフロントレイズを比較したEMG研究では、フロントレイズでは三角筋前部が主に働き、ラテラルレイズでは条件によって三角筋中部の活動が高くなることが示されています。つまり、肩の横を鍛えているつもりでも、腕の軌道が前に流れれば、それは肩の前を鍛える種目に近づきます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32824894/
胸のプレスでも同じです。胸を鍛えるはずなのに、脇を閉じすぎて、肘が体に近くなりすぎると、動きは胸のプレスというより、腕や肩で押す動きに近づきます。腕立て伏せで胸がつかない原因もほとんどの場合これです。
たとえ100kgベンチプレスを持ち上げたとしてもそれが胸に入ってなければ意味がありません。重量も大切ですがまず前提として本当に負荷がかかっているか。それを確認するためには感覚ではなく、解剖学的な運動を意識してください。
4つ目は、かなり余力を残すことです。これは、さっきのスマホ使用ともつながっています。集中力が落ちると特に起こりやすいのが、追い込んでいるつもりで、実はかなり余力を残していることです。筋肥大で大事なのは、何回やったかだけではありません。そのセットが、限界にどれだけ近かったかです。たとえば同じ10回でも意味は全く変わります。なぜなら、限界に近づくほど、より多くの筋線維が動員されやすくなるからです。
だから、限界から遠いトレーニングは、筋肉全体を使い切れていない可能性があります。極端に言えば、筋肉の一部だけを使って終わっているようなものです。その結果、成長刺激を受ける筋線維も少なくなり、発達量も小さくなりやすいということです。
https://www.nsca.com/education/articles/kinetic-select/muscle-activation-and-strength-training2/
2005年に日本の研究グループが行った研究では、10RMの重量で10回を連続して行うグループ。もう1つは、同じ10RMの重量を使いますが、5回終わった時点で30秒休憩し、その後残りの5回を行うグループです。つまり、重量は同じです。合計回数も同じです。種目も同じです。違うのは、限界に近づいたかどうかです。
その結果、12週間後、10回連続で行ったグループでは筋断面積が大きく増加しました。一方で、セット中に30秒休憩を入れたグループでは、筋断面積の有意な増加は見られませんでした。つまり、同じ重量、同じ回数でも、セット中に休憩を入れて限界への近さを下げると、筋肥大効果が小さくなる可能性があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15947720/
研究によると人間は自分の限界値を過小評価する傾向にあります。例えばこれが限界だと思っても意外と1~2回出来ることがあります。集中力が低下すると特にこの傾向が顕著になります。
ただ、この追い込みについてきつくなってくるとフォームが崩れたりチートを使って他の部位に負荷を無意識に逃がしてしまうことがあるのでそこは要注意です。
必ず潰れるまでやらないといけないわけではありませんが、スマホを見ながらトレーニングすると十分なレベルまで追い込めず、その分筋肉も動員できない可能性があります。
5つ目は、種目を変えまくることです。これも筋肉がデカくならない人にかなり多いです。筋肉が刺激に慣れるから、毎回違う種目をやった方がいい。いろんな角度から鍛えた方がいい。
たしかに、毎回違う種目をやるのは新鮮です。楽しいです。飽きにくいです。効いている感じもあります。でも、筋肉をデカくするという目的だけで見ると、種目を変えまくるのはデメリットの方が大きくなることがあります。
まず1つ目の問題は、筋力が伸びにくくなることです。筋トレには特異性の原則があります。簡単に言うと、体は実際に練習した動きに強く適応します。ベンチプレスを強くしたいなら、ベンチプレスをある程度続ける必要があります。懸垂を強くしたいなら、懸垂を。スクワットを強くしたいなら、スクワットをある程度続ける必要があります。毎回違う種目をやると、その動きに神経系が慣れる前に、また別の動きに変わります。すると、1つ1つの種目のフォームも安定しにくく、重量や回数も伸びにくくなります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7674868/
そして、筋力が伸びにくいというのは、筋肥大においてもかなり問題です。重量や回数が伸びていることは、筋肉が成長しているかなり重要なサインです。
2つ目の問題は、正確なログが取れないことです。筋力アップは筋肥大のサインといいましたが、種目を毎回変えていると、前回より強くなったのかが分かりません。先週はベンチプレス、今週はダンベルプレス、次はマシンプレス、その次はケーブルフライ。これでは、記録がつながりません。重量が伸びているのか、ただ種目が変わって感覚が変わっただけなのか、判断できなくなります。
実際、種目バリエーションについてのシステマティックレビューでは、種目のバリエーションは筋肥大や筋力に影響する可能性があり、体系的なバリエーションは部位ごとの発達に役立つ可能性がある一方で、過剰でランダムなバリエーションは筋肉の成長を妨げる可能性があるとされています。つまり、種目を変えること自体が悪いわけではありません。問題は、思いつきで毎回変えることです。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35438660/
筋肉は刺激に慣れるから、いろんな種目をやった方がいい。これは一見正しそうに聞こえます。でも、筋肉は適応することで成長します。トレーニングに慣れて、フォームが上手くなり、対象筋に負荷を乗せられるようになり、少しずつ重量や回数を伸ばしていく。この適応の結果として筋肉はデカくなります。だから、マッスルコンフュージョンのように、いろんな種目をやって毎回筋肉を混乱させるという考え方は、慣れを防ぐかもしれません。でも同時に、筋肥大に必要な適応まで邪魔する可能性があります。
一方で、種目の変化が全く無意味というわけでもありません。別の研究では、エクササイズのバリエーションを使うことで、筋断面積や筋力に良い影響が見られています。だから、ここで言いたいのは、種目を一生変えるなという話ではありません。大事なのは、ランダムに変えないことです。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24832974/
おすすめは、1つの部位につき種目を1〜3種目くらいに絞ることです。胸ならベンチプレス、ダンベルプレス、フライ。背中なら懸垂、ロウ、プルダウン。こういうふうに、ある程度種目を固定して、その中で重量、回数、可動域、フォームの質を伸ばしていく。種目を変えるとしても、毎回ではなく、数週間から数ヶ月単位で変える。あるいは、メイン種目は固定して、補助種目だけ少し変える。これくらいが現実的です。
筋肉がデカくなる人は、毎回新しい種目を探しているわけではありません。同じ種目で上手くなっています。同じ種目で強くなっています。筋肉をデカくしたいなら、毎回違うことをするより、同じ種目を前回より少しだけ強くする。この考え方の方がはるかに重要です。
6つ目は、喉が渇いてから水を飲むことです。これはかなり地味ですが、筋肉がデカくならない人ほど軽視しています。多くの人は、水分補給をこう考えています。喉が渇いたら飲めばいい。脱水症にならなければいい。トレーニング中に少し飲んでおけば大丈夫。でも、筋肉をデカくしたいなら、この考え方はかなり危険です。
水分不足の問題は、筋肉が直接溶けることではありません。問題は、トレーニングの質が落ちることです。筋トレ中に水分が足りなくなると、集中力が落ちます。力が出にくくなります。後半のセットで疲労がかなり強くなります。いつもなら10回できる重量が9回になる。いつもなら扱える重量が少し重く感じる。最後の数セットでフォームが崩れる。こういう小さな出力低下が起こります。そして筋肥大は、こういう小さな出力低下の積み重ねにかなり影響されます。
実際、水分状態と筋肉のパフォーマンスについてのレビューでは、低水分状態は筋力、パワー、高強度持久力を制限する可能性があるとされています。簡単に言うと、水分が足りないだけで、筋力、瞬発力、そして高強度運動を続ける能力が落ちる可能性があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17887814/
別の研究でも、低水分状態はレジスタンストレーニングのパフォーマンスを落とすことが示されています。つまり、水不足はただ喉が渇く問題ではありません。トレーニングボリュームを削る問題です
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17909410/
そして一番重要なのが、喉の渇きは遅れてくるということです。多くの人は、喉が渇いていないから大丈夫だと思っています。でも、筋トレ中に大事なのは、喉が渇いたら飲むことではありません。喉が渇く前に飲むことです。調査によるとトレーニング中に「喉が渇いた」と感じる時点で、すでに軽い脱水状態になっている可能性があり、集中力やパフォーマンスが低下している可能性があると解説されています。つまり、喉が渇いたら飲む、では遅いです。
では、どれくらい飲めばいいのか。専門家によるとトレーニング前にコップ1杯ほど、そしてトレーニング中は15〜20分ごとに約200mlの水分補給が目安として推奨されています。1時間以上トレーニングするなら、少なくとも1Lくらいは用意しておいた方が現実的です。特に夏、暑いジム、汗をかきやすい人、トレーニング時間が長い人は、さらに必要になります。
なので、筋トレ中の水分補給はこう考えてください。喉が渇いたら飲むのではなく、喉が渇く前に飲む。セットが終わったら一口飲む。長時間のトレーニングなら、最初から1L以上の水を用意する。尿の色が濃い日や、朝起きてすぐ、暑い日、汗をかきやすい日は、トレーニング前から水分を入れておく。これだけで、トレーニングの質が変わります。
筋肉がデカくならない原因は、種目やフォームだけではありません。水不足のような地味な行動でも、毎回のトレーニング出力を削ります。喉が渇いたら飲む。これは日常生活では普通かもしれません。でも、筋肉をデカくするための筋トレでは遅いです。筋肥大で大事なのは、毎セットの出力を落とさないことです。そのために、水分補給はセットが始まる前から始めてください。
7つ目は、空腹で出力が落ちたまま筋トレすることです。ただ誤解しないでいただきたいのは日本ではよく、空腹で筋トレすると筋肉がエネルギーとして使われて分解される、と言われます。でも、これはかなり単純化しすぎです。一晩何も食べていない状態で筋トレしただけで、筋肉が一気に削られるわけではありません。体はまず、血中の糖、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲン、脂肪などを使います。筋肉だけを優先的に削ってエネルギーにするわけではありません。
実際、2025年のメタ分析では、特に一晩の断食程度であれば、空腹状態で筋トレしても、食後に筋トレしても、筋肥大、筋力、体組成への効果は大きく変わりにくいとされています。つまり、「空腹で筋トレしたら筋肉が分解されて終わり」という考え方は明らかに正しくありません。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41316673/
では、何が問題なのか。問題は、空腹でトレーニングのパフォーマンスが落ちることです。空腹で集中できない。力が入りにくい。いつも10回できる重量が8回で止まる。後半のセットでかなり疲れる。こうなっているなら、筋肥大にはかなりもったいないです。筋肉が分解されるかどうかより、まず筋肉に入る刺激そのものが減っています。
ある研究では、トレーニング経験者を対象に、水だけ、ほぼカロリーのないプラセボ朝食、炭水化物入り朝食を比較しました。その結果、スクワットの総回数は、水だけの38回に対して、プラセボ朝食では43回、炭水化物朝食では44回でした。つまり、炭水化物を入れた場合だけでなく、ほぼカロリーのないプラセボ朝食でもスクワット回数が増えています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32174286/
さらにこの研究では、プラセボ朝食と炭水化物朝食の両方で、空腹感が下がり、満腹感が上がっています。そして、プラセボ朝食と炭水化物朝食のパフォーマンスはほぼ同じでした。これはかなり重要です。つまり、パフォーマンスを上げたのは炭水化物だけではなく、「何かを食べた感覚」「空腹感の低下」「満腹感」も関わっている可能性があります。
https://doi.org/10.1017/S0007114520001002
だから、空腹トレーニングの問題は、筋肉がすぐ分解されることではありません。もっと現実的な問題は、空腹感で集中や疲労に問題が起こるコト。ただポイントは本質的にエネルギー不足であるわけではなく、空腹による不快感。なので朝トレーニングしてる人は空腹感を感じなければ食べる必要はありません。
そしてその食品が炭水化物であったりタンパク質である必要もありません。加えて注意してほしいのは気持ち悪くなるほど食べないでください。トレーニング前にお腹が減ったと感じる人は何か軽く食べておきましょう。
8つ目は、筋トレ直後に酒を飲むことです。お酒は筋肉に悪そう、というイメージはあると思います。ただ、ここで重要なのは「酒は太る」とか「カロリーがある」という話ではありません。筋トレ後の酒は、筋肉を作る反応そのものを弱める可能性があります。
筋トレ後、体は筋肉を修復し、成長させる方向に反応します。このとき重要なのが筋タンパク合成です。簡単に言うと、筋肉を作るスイッチです。プロテインを飲むのも、この反応を高めるためです。でも、筋トレ直後に酒を飲むと、この反応が弱くなる可能性があります。
有名な研究では、被験者に筋トレを含む運動を行わせたあと、タンパク質のみ、アルコール+タンパク質、アルコール+炭水化物の条件を比較しました。その結果、タンパク質のみの条件と比べて、アルコール+タンパク質では筋タンパク合成が24%低く、アルコール+炭水化物では37%低くなりました。つまり、プロテインを飲んでいても、アルコールによって筋肉を作る反応が弱くなる可能性があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24533082/
この研究の重要なところは、「酒だけ飲んだら悪い」という単純な話ではないことです。タンパク質を一緒に摂っても、筋タンパク合成は下がっています。つまり、筋トレ後にプロテインを飲んだから、そのあと酒を飲んでも全部帳消しになる、というわけではありません。筋肉をデカくしたいなら、筋トレ直後の酒はかなり相性が悪いです。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0088384
もちろん、たまに飲んだだけで筋肉が一気に消えるわけではありません。問題は、筋トレした日に毎回飲むことです。特に、トレーニング直後から数時間の回復タイミングで大量に飲む。これを習慣にすると、せっかく入れた筋肥大刺激を自分で弱める可能性があります。特に夕方仕事帰りにトレーニングして夜飲む。これは注意が必要です。
対策はシンプルです。筋肉をデカくしたいなら、筋トレ直後の飲酒はできるだけ避ける。飲むとしても、トレーニングから時間を空ける。量を減らす。少なくとも、トレーニングで筋タンパク合成を発生させた直後に大量に飲むのは避けた方がいいです。
筋トレ後の酒は、ただ太るからダメなのではありません。筋肉を作る反応を弱める可能性があるから問題です。プロテインを飲んだあとでも、酒で筋肥大のスイッチが弱くなるなら、かなりもったいないです。
9つ目は、筋トレ後に体を急激に冷やすことです。代表的なのはアイスバスや冷水浴です。ただ、これはアスリートだけの話ではありません。冬に汗をかいたまま外に出る。筋トレ後に寒い部屋で体を冷やす。冷房をガンガンにかけて、体を一気に冷やす。こういう行動も要注意です。
冷水浴は、筋肉痛を和らげることがわかっています。だから、やった後は回復したように感じます。体がスッキリする。筋肉痛が軽い。疲労感が抜けた感じがする。でも、ここが落とし穴です。冷水浴は主観的な疲労感や筋肉痛には効果が出やすい一方で、客観的な回復指標については一貫して強い効果が確認されているわけではありません。つまり、本当に筋肉が早く回復しているというより、冷やされて痛みや疲労を感じにくくなっているだけの可能性があります。
https://www.frontiersin.org/journals/physiology/articles/10.3389/fphys.2023.1006512/full
さらに、筋肥大目的ではもっと注意が必要です。2024年のシステマティックレビュー・メタ分析では、筋トレ後の冷水浴は、筋タンパク合成を弱める可能性があるとされています。筋トレ後の炎症やストレス反応は、すべて悪いものではありません。筋肉が適応するために必要な反応もあります。それを毎回強く冷やして抑えると、疲労感は軽くなっても、筋肉がデカくなる反応まで弱める可能性があります。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11235606/
もちろん、普通のシャワーや少し涼しい部屋まで否定しているわけではありません。問題は、筋トレ直後に体を急激に冷やすことです。アイスバスに入る。冷水で長く冷やす。冬に汗をかいたまま外気で体を冷やす。冷房を強くかけて体を一気に冷やす。こういう習慣は、筋肥大目的なら避けた方が安全です。
筋肉をデカくしたいなら、筋トレ後に必要なのは、体を急激に冷やすことではありません。食事、睡眠、適度な休息で回復させることです。冷やすと回復したように感じます。でも、感じ方と筋肥大は別です。筋トレ後に毎回体を冷やしすぎているなら、筋肉が成長する反応まで弱めている可能性があります。
10個目は、筋肉痛を薬で消すことです。これは知らない人がかなり多いと思います。筋トレ後に筋肉痛がある。痛いから、イブプロフェンやロキソニンのような抗炎症薬を飲む。すると痛みが軽くなるので、回復したように感じます。でも、筋肉をデカくしたいなら、この習慣には注意が必要です。
頭痛、ケガ、医師からの指示、日常生活に支障がある痛み。こういう場合に薬を使うことまで否定しているわけではありません。問題は、筋肉痛を毎回消すために、抗炎症薬を習慣的に使うことです。
若い成人を対象にした研究では、8週間の筋トレ中に高用量のイブプロフェンを使ったグループと、低用量アスピリンを使ったグループが比較されています。その結果、高用量イブプロフェン群では、筋力と筋肥大への適応が弱まったと報告されています。つまり、筋肉痛を抑えるための抗炎症が、筋肉が成長するための反応まで弱める可能性があります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28834248/
筋トレ後の炎症や痛みは、すべて悪いものではありません。もちろん強すぎる痛みやケガは別です。でも、普通の筋肉痛まで毎回薬で消そうとすると、体が筋トレに適応する反応まで邪魔する可能性があります。筋肉痛がない方が気分は楽です。でも、楽になることと、筋肉がデカくなることは同じではありません。
なので、筋肥大目的なら、筋肉痛を消すために抗炎症薬を毎回使うのは避けた方が安全です。どうしても痛いとき、生活に支障があるとき、医師の指示があるときは別です。ただ、筋トレを頑張ったあとに「筋肉痛が邪魔だから毎回薬で消す」という使い方はおすすめできません。
筋肉をデカくしたいなら、筋肉痛は薬で消すより、睡眠、食事、適度な休息で回復させるべきです。痛みを感じにくくすることと、筋肉が回復して成長することは別です。
ここまで、筋肉がデカくならない人が無意識にやっている行動を10個紹介しました。
スマホを見る。休憩を短くしすぎる。負荷を逃がす。余力を残しすぎる。種目を変えまくる。水を飲まない。空腹で出力を落とす。筋トレした日に酒を飲む。体を急激に冷やす。筋肉痛を薬で消す。
これは無意識にやってる人がほとんどかもしれませんが毎回のトレーニングの質を少しずつ削ります。これを何ヶ月も続けると、筋肉がデカくなる人と、なかなか変わらない人の差になります。
逆に言えば、やることはシンプルです。
今日紹介した10個の中で、自分に当てはまるものがあるなら、まず1つだけでいいので変えてください。
筋肉をデカくするために必要なのは、もっと根性を出すことではありません。
筋肉が成長する邪魔を減らすことです。