筋トレは、1セット何回、何レップでトレーニングしていますか。10回?12回?もしあなたが、30回や40回で筋トレをしたことがないなら、正直かなり損をしています。
低負荷高回数トレーニングは、「筋肥大しない」「持久力トレーニング」「軽すぎて意味がない」そう言われ続けてきました。
でも、それはもう古い。
科学的なデータを見ると、低重量・高回数トレーニングには筋肥大・脂肪燃焼・安全性・継続性、すべてにおいて、はっきりしたメリットがあります。
しかもこれは、気合や根性論の話ではありません。感覚の話でもありません。科学的データでも裏付けられています。
この動画では、なぜ低重量・高回数トレーニングが有効なのか。なぜ多くの人が誤解しているのか。そして、どう使えば筋トレ効果を最大化できるのかを、科学的なデータをもとに、整理していきます。
高回数トレーニングは、正しく使えば、筋トレの結果そのものを変える戦略です。
筋トレは、1セット何回でやるべきなのか。この疑問に対して、長年「8〜12回が最適」という答えが常識のように語られてきました。低回数は筋力向き、高回数は持久力向き。だからその間の8~12回が最適。高回数トレーニングは筋肥大に向かない。そう聞いたことがある人は多いと思います。
しかし、これは理論やイメージの話であって、科学的な事実とは一致していません。実際の研究データを見ると、回数と筋肥大の関係は、そこまで単純ではないことがわかります。
ある研究では、30〜40回の高回数トレーニングと、10〜12回の高重量トレーニングを比較しました。被験者には週3回、10週間のトレーニングを行わせ、その結果、両グループの筋肉量の増加に有意な差は確認されませんでした。
さらに別の研究では、8〜12回のグループと、25〜35回の高回数グループを8週間比較していますが、ここでも筋肥大効果に明確な差は見られていません。
これらの個別研究をまとめたレビューペーパーでも、同じ結論が示されています。ブラッド・シェーンフェルド博士らが行ったレビューでは、トレーニングボリュームが同じであれば、低回数から高回数まで、筋肥大効果はほぼ同等であることが示されています。
負荷の数字で言えば、おおよそ1RMの30%から80%の範囲。この回数帯であれば、筋肉の成長効果に本質的な違いはない。つまり、「低負荷だから筋肥大しない」「高重量のほうが効果が高い」という考え方は、すでに科学的には否定されているということです。
ここで重要なのは、回数そのものが筋肥大を決めているわけではない、という点です。筋肉は「何回やったか」「何回出来る負荷が丁度いいか」ではなく、「どれだけ成長刺激が入ったか」で反応します。
では、もし筋肥大効果が同じなのであれば、なぜ高回数トレーニングをわざわざ使う必要があるのか。それは高回数のほうが有利になるケースが多いからです。
この答えは、筋肥大を引き起こす本当のトリガーにあります。次のチャプターでは、筋肉の成長を決める最重要要素である「トレーニングボリューム」について、ここから一段深く整理していきます。
CH1では、低負荷・高回数トレーニングでも筋肥大効果は落ちない、という事実を紹介しました。
ここからは、では何が筋肉の成長を本当に左右しているのか。その核心に入ります。
結論から言うと、筋肥大を最も強く左右しているのは「トレーニングボリューム」、いわゆるVOLです。
VOLとは、重量 × 回数 × セット数。つまり、筋肉にどれだけの総仕事量を与えたか、という指標です。
最近公開された200件以上をまとめのメタ分析では、筋肥大と最も強く相関する変数は、重量でも回数でもなく、この総ボリュームであることが一貫して示されています。
回数が違っても、最終的に筋肉が受け取った刺激量が同じであれば、成長もほぼ同じになる。これが現在の科学的結論です。
ここで重要なのは、同じ1時間トレーニングしても、低負荷・高回数で行うか、高重量・低回数で行うかによって、実際に確保できるVOLが大きく変わるという点です。
例えば、3repの高重量トレーニングと、10repの低負荷トレーニングを比較した研究があります。
この研究ではVOLが同じになるように設計されていたため、筋肥大効果そのものは同じでした。
しかし、VOLを同じにするために必要だったセット数は大きく違いました。
10repの低負荷グループは3セットで済んだのに対し、3repの高重量グループは7セット必要でした。
つまり、同じ筋肥大効果を得るために、約4倍の時間がかかったということです。
さらに具体的な数字で考えてみましょう。
1RM100kgの人はその半分の重量を30回あげることができます。つまり、50kgで30回トレーニングを行えば、その1セットのVOLは1500kgです。一方、100kgで1回しか上げられない場合、VOLは100kgです。
もちろん極端な例ですが、低負荷・高回数トレーニングが、少ないリスクで一気にVOLを高めやすい手段であることは直感的にも分かると思います。
筋肥大にとって重要なのは、「重いか軽いか」ではありません。
「どれだけの刺激を積み上げられたか」です。
低負荷・高回数トレーニングは、この刺激量を現実的に確保しやすい。
だからこそ、結果としてVOLが伸び、筋肥大につながりやすくなります。
ここまでで分かるのは、高回数トレーニングは「ケガをしている人が仕方なく選ぶ代替案」ではないということです。
筋肥大を狙ううえで、VOLを最大化するための、非常に合理的な戦略です。
次のチャプターでは、この話をさらに一段深めます。
なぜ低負荷・高回数トレーニングが血流や毛細血管密度を高め、長期的に筋トレ効果そのものを底上げするのか。データをもとに解説していきます。
CH2では、筋肥大を最も強く左右するのは重量ではなくVOLである、という話をしました。ここからは、もう一段深い話をします。低負荷・高回数トレーニングの強さは、単にVOLを稼ぎやすいという点だけではありません。実はそれ以上に重要なのが、筋肉の中身、つまり血流と毛細血管の変化です。
筋肉は刺激を与えれば勝手に成長するわけではありません。成長に必要な酸素、栄養、ホルモン、そして回復のための物質を、血液によって運ばれる必要があります。つまり、血流が悪い筋肉は、どれだけ刺激を与えても成長効率が落ちます。ここで重要になるのが毛細血管密度です。毛細血管とは、筋肉の中で血液を直接やり取りする非常に細い血管のことです。この毛細血管が多いほど、筋肉は栄養と酸素を受け取りやすく、老廃物を素早く排出できる構造になります。
低負荷・高回数トレーニングは、この毛細血管密度を高めやすいことが分かっています。理由はシンプルで、筋肉が長時間にわたって収縮と弛緩を繰り返し、血流が大きく増加するからです。研究でも、低負荷で反復回数の多いトレーニングは、筋持久力だけでなく、筋内の血管構造そのものを変化させることが示されています。これは一時的なパンプの話ではありません。毛細血管密度の増加は、筋肉の土台そのものを強くします。
実際、最近の研究では、毛細血管密度と筋肉の成長には正の相関がみられ、脚の毛細血管密度が高い被験者ほど、スクワットによる筋肥大反応が大きい傾向が示されています。
つまり、同じトレーニングをしても、同じVOLをこなしても、成長しやすい体に変わっていくということです。多くの人は、筋トレ効果が伸び悩むと重量を上げようとします。しかし、血流や毛細血管の土台が弱いまま重量だけを追いかけても、回復や栄養補給が追いつかず、体が筋肉の成長をストップさせてしまいます。
低負荷・高回数トレーニングは、血流を増やし、毛細血管密度を高め、回復力を底上げする。長期的に見て、筋トレ効果そのものを押し上げるための戦略です。
そして、この効果の強さは、筋肥大だけにとどまりません。
CH3では、低負荷・高回数トレーニングが血流と毛細血管密度を高め、筋トレ効果そのものを底上げする性質を持っていることを紹介しました。このメリットは、筋肥大だけで終わりません。同じ理由で、脂肪燃焼と安全性の面でも明確な差が出てきます。
まず脂肪燃焼です。脂肪が減るかどうかを決める最大の要因は、シンプルに消費エネルギーです。高重量・低回数トレーニングよりも、低負荷・高回数トレーニングのほうが、1回のトレーニングでこなせる総仕事量、つまりVOLが大きくなりやすい。VOLが大きくなれば、その分消費カロリーも増えます。
ここでよく出てくるのが「EPOC」や「アフターバーン効果」という言葉ですが、正直ここに期待する必要はありません。研究データを見る限り、EPOCによる追加の消費カロリーはかなり小さく、脂肪燃焼の主役にはなりません。重要なのは、トレーニング中にどれだけの仕事量をこなしたかです。低負荷・高回数トレーニングは、この消費カロリーをシンプルに増やしやすい。だから、筋肉を維持・成長させながら、脂肪も落としやすくなります。
次に安全性です。高重量トレーニングは、関節や腱、靭帯へのストレスが大きくなります。特に疲労が溜まった状態では、フォームが崩れやすく、ケガのリスクが一気に高まります。一方で、低負荷・高回数トレーニングは、扱う重量が軽く、可動域をコントロールしやすい。そのため、関節への急激な負荷や、フォーム崩壊によるリスクを大きく下げることができます。
つまり、低負荷・高回数トレーニングは、筋肥大しやすい筋肉を作り、脂肪燃焼を後押しし、ケガのリスクを抑えながら、トレーニングを継続できる。ここまで揃ってる最高のトレーニング法のひとつであるといえます。
次のチャプターでは、この低負荷・高回数トレーニングを使ううえで、絶対に外してはいけない注意点について整理します。ここを間違えると、せっかくのメリットがすべて消えます。
ここまでで、低重量・高回数トレーニングが、筋肥大・脂肪燃焼・安全性の面で、構造的に有利であることを紹介してきました。ただし、ここで一つはっきりさせておきます。「低重量が絶対に正しい」「高重量はいらない」という考え方は間違いです。この認識を誤ると、筋肥大もしない、疲れるだけ、時間の無駄という最悪の結果になります。
このチャプターでは、低重量・高回数トレーニングを“戦略”として成立させるために、絶対に外してはいけないポイントだけを整理します。ここを押さえれば高回数は武器になります。外せば、ただの自己満足です。
まず、高重量が不要という考え方は100%間違いです。筋肉を成長させるためには、プログレッシブオーバーロード、つまり筋力の向上が不可欠だからです。研究を分析したメタ分析でも、筋肥大と最も強く関係するのはVOLであり、筋力の向上には負荷の強さ、つまり高重量がより効果的であることが示されています。
そのため、高重量トレーニングを完全にゼロにするのは逆効果です。重要なのは「やらないこと」ではなく「やりすぎないこと」。つまり割合です。実は、筋力の向上に必要なトレーニング量はそれほど多くありません。最近のメタ分析では、筋力の向上は週あたり約5セットで効果が頭打ちになることが示されています。
つまり、高重量トレーニングは必要ですが、少量で十分です。例えば最初の1セットだけ高重量で行い、その後は低重量・高回数に切り替える。この組み方をすると、筋力アップと筋肥大の両方を効率よく最大化できます。
次に、低重量・高回数で最も多い失敗についてです。負荷を軽くすると聞いて「とにかく軽ければいい」「何十回でもできる重量でいい」と考える人がいますが、これは逆効果です。研究データを見ると、筋肥大効果が安定して確認されている負荷の下限は、おおよそ1RMの30%前後です。これを下回ると、トレーニングボリュームが多くても、筋肥大効率が落ちる可能性が高くなります。
重要なのは回数そのものではありません。その負荷で、筋肉がどれだけ本気で動員されているかです。軽すぎる重量では回数だけは増えますが、筋繊維の動員が不十分になりやすく、成長刺激としては弱くなります。
そこで一つ、シンプルな目安を出します。低負荷・高回数トレーニングで使う重量は「30〜40回で限界が来る負荷」。これが基準です。30回やっても余裕があるなら軽すぎます。50回、60回できる重量は、筋肥大を狙う負荷としては適切ではありません。
回数を増やすことだけが目的ではありません。適切な負荷を選び、回数という手段を使って、十分な成長刺激を作る。ここを外した瞬間、高回数トレーニングのメリットはすべて消えます。
ここまでの話をシンプルにまとめます。低重量・高回数トレーニングは、筋肥大しない、効果の低い方法ではありません。
科学的には、筋肥大効果は8〜40回の範囲でほぼ同じで、成長を決めているのは回数ではなく、どれだけの刺激、つまりVOLを積み上げられたかです。現実のトレーニングでは、高重量ほどVOLが伸びにくくなります。その点、低負荷・高回数は、同じ時間でより多くの刺激を安定して積み上げやすい。これが、筋肥大で有利になる理由です。
さらに、高回数トレーニングは血流を増やし、毛細血管密度を高め、回復力そのものを底上げします。これは一時的なパンプの話ではありません。筋肉が成長しやすい「環境」を作るという、構造的なメリットです。脂肪燃焼や安全性の面でも同じです。消費カロリーはVOLで決まり、EPOCに期待する必要はありません。軽い重量で可動域をコントロールできる分、ケガのリスクを抑えながらトレーニングを継続できます。
ただし、重要な注意点もあります。高重量は不要ではありません。筋力を維持・向上させるために、少量は必要です。そして、低負荷は「軽ければいい」わけではない。目安は30〜40回で限界が来る負荷。これを外すと、高回数トレーニングは意味を失います。結論です。低負荷・高回数トレーニングは、代替手段ではありません。逃げでもありません。正しく使えば、筋肥大・脂肪燃焼・安全性・継続性、すべてを同時に成立させる最高の戦略です。