毎週懸垂してるのに、背中が全然変わらない…
そう感じていませんか?
実は“懸垂が効かない理由”はフォームの問題です。
科学的に見ても、背中の使い方が少しズレるだけで
広背筋や僧帽筋の関与は大きく変わります。
今日は “背中に最大限効かせる懸垂のやり方” を、
解剖学 × 科学データを使って、わかりやすく解説します。
この動画を見れば、懸垂が背中に効かないという悩みは今日で終わります。
「懸垂をしても背中が変わらない。効いている感覚がない。
懸垂が背中に効かない理由は3つです。これはパーカーフィットネス自身も長い間やってしまっていました。
手幅を広げると、筋肉の成長にとって最も重要な“ストレッチポジション”が消えます。
“効かせよう”と意識しすぎると、収縮ばかり意識して本当に効かせたいストレッチが抜けます。
肩がすくむと、広背筋や僧帽筋がほとんど働かず、背中の筋肉が完全に眠った状態になります。
この3つを修正するだけで、懸垂は別物になります。」
「背中の筋肉は細かく分けると15個以上ありますが、
今日覚えるのはたった2つの動きだけでOKです。背中は、
広がり:上から下に引く動き
厚み :前から後ろに引く動き
この2つです。
科学的なデータを見ても、ラットプルダウンや懸垂のような“上から下に引っ張る種目”は
厚みよりも“広がりの筋肉”を鍛えます。
一方、ロウのような“前から後ろに引っ張る種目”は、
広がりよりも“厚みの筋肉”を鍛えます。
なので、懸垂だけで厚みの筋肉をデカくすることは難しいです。
だからこそ懸垂は、“広がり特化”と割り切ったほうが成長しやすいです。」
「最近公開された研究によって、懸垂についての“昔からの常識”がかなり崩れてきています。
ここからは、多くの人が信じているけど、実は研究で否定されている懸垂の迷信について紹介します。
最も大きな迷信は 『懸垂はワイドにすると広背筋、ナローで逆手にすると上腕二頭筋狙い』というもの
ラットプルダウンや懸垂で、手幅をかなり開いている人、広げた手幅だけでやっている人も多いと思います。
ですが、これは科学的根拠のない迷信です。
懸垂だけではなく、ベンチプレスやスクワットでも、手幅や足幅によって筋肉の活動が大きく変わることはないと示されています。
例えば、ラットプルダウンの手幅を3種類に分けて筋活動を調査した研究では、
上腕二頭筋、広背筋、僧帽筋、棘下筋について有意な差は見つかりませんでした。
ナローグリップや逆手で行うと、腕に効いているように感じる人も多いですが、
実際にはワイドでも、体を持ち上げているときに内側に負荷がかかっています。
つまり、ワイドに開いてもナローでも、刺激はちゃんと入っています。」
「背中についても同じです。
逆手と順手では動き方こそ違いますが、どちらも広背筋を鍛えています。
広がりを作る筋肉は、肩関節の“伸展”と“内転”で強く働きます。
逆手は伸展寄り。順手は内転寄り。
アプローチは違っても、結局どちらも広背筋など“広がりの筋肉”を鍛えていることに変わりはありません。
なので『ナローや逆手だと背中を鍛えられない』というのは、科学的根拠のない迷信といっていいです。
それでは次のチャプターでは、背中の広がりを作るための懸垂のやり方について紹介します。」
研究では、懸垂もラットプルダウンも筋肥大効果はほとんど同じと言われていますが、
少し工夫をするだけで、懸垂の効果をラットプルダウン以上に高めることができます。
この3つのうち1つでもできていなければ、懸垂の効果は“正しいフォーム”と比べて良くて半分以下。
悪いと、ほとんど意味がないレベルになります。」
「1つ目のポイントは、手幅を狭くすることです。
懸垂やラットプルダウンをするとき、絶対にやってはいけないのが“過度なワイドグリップ”。
なぜかというと、まずケガのリスクが高いからです。
ある研究では、3つの手幅・グリップで懸垂を行わせたところ、
回内グリップで非常にワイドな手幅は、インピンジメントのリスクを高めて、肩のケガのリスクを増やすことがわかりました。
肩はウエイトトレーニングで最もケガしやすい部位のひとつです。
過度なワイドグリップにすることで、わざわざリスクを上げる必要はありません。
そして、過度なワイドグリップは広背筋が伸びません。
近年のデータでは、筋肉がストレッチした状態で負荷をかけると、筋肉の成長が促進される可能性が高いことが示されています。」
(ここで博士の解説VTRを入れる)
「広背筋が働く“肩関節の内転運動”についてもう一度確認すると、
この運動のストレッチポジションは“腕が体の上”にあります。
過度なワイドグリップでは、この位置がほとんど存在せず、
可動域のすべてが“広背筋がすでにある程度収縮した位置”になってしまいます。
これによってパンプ感は強くなり、“広背筋に効いている”ように錯覚します。
しかし、多くの研究で『効いてる感=筋肉に負荷がかかっている』ではなく、
パンプも筋肉の成長にはほとんど役に立たないことがわかっています。
なので、過度なワイドグリップは間違いなく避けた方がいいです。
広背筋をちゃんと伸ばした懸垂は、難易度がかなり上がり、
持ち上げられる回数や重量は落ちます。
ですが、ストレッチポジションをカットしている懸垂よりも、背中の筋肉は間違いなく成長します。」
次にフォームです。
正しいフォームはどの種目でも重要ですが、懸垂は特に大事です。
正しいフォームで懸垂をしないと、背中の筋肉にほとんど刺激が入りません。
まずは先ほど紹介したように、“手幅を狭くする”こと。
広くすると効いた感は強くなりますが、実際に広背筋に効いているわけではありません。
本当に効かせたいなら、ナローグリップです。
次に、広背筋を伸ばし切ること。
懸垂で体を下げたときに広背筋はストレッチしますが、
ここでヒジを曲げた位置で止めてしまい、背中を伸ばしきっていない人が非常に多いです。
こういったトレーニング法を“負荷を残している”と言う人もいますが、
実際には“負荷を逃がしている”と言ったほうが正しいです。
ある研究では、プリチャーカールを
左腕:ストレッチ可動域
右腕:収縮可動域
で行ったところ、扱えた重量に差があったにもかかわらず、
“ヒジを伸ばし切ったストレッチ可動域”のほうが、腕の筋肉をより成長させました。
広背筋も同じです。
広背筋を一度、限界まで伸ばす懸垂をやってみてください。
実はこっちのほうがメチャクチャきついです。
ここをやらないのは、“きついところから逃げている”のと同じです。
必ずヒジを伸ばして力を抜き、広背筋を十分伸ばしてください。
「そして懸垂をするときに、“体を真っすぐ上に持ち上げる”というイメージを持っていませんか?
実は、それも少し違います。
ラットプルダウンで、ウエイトを引っ張るのと同時に“45度背中を反らせる”テクニックを試した研究では、
広背筋の活動が約11%上昇したことがわかりました。
懸垂でも同じで、
体を真っすぐにして上に持ち上げるというより、背中を反らせて鎖骨をバーに近づけるイメージが大事です。
これによって広背筋への刺激が増えます。
「最後に、肩をすくませないように注意してください。この動きについては後半で詳しく解説します。
懸垂をするとき、順手のプロネイトグリップとリバースグリップを両方使うと、
バランスよく広背筋を成長させることができます。
2つのグリップで懸垂をするメリットは主に2つあります。
1つ目は、“複数の種目・バリエーションで鍛えたほうが成長しやすい”ということ。
ある研究では、体の前面に引っ張るラットプルダウンのみを行ったグループと、
ラットプルダウンに加えてビハインドネック、ナローグリップの3種類でトレーニングしたグループを比較したところ、
複数の種目を行ったグループのほうが、多くの部位で成長が確認されました。
そのため、1つの種目だけをやり続けるよりも、
いくつかのバリエーションで鍛えることで、筋肉がより成長する可能性があります。」
2つ目は、“広背筋の上部と下部を狙い分けられる”ことです。
脇の下にある広背筋は、肩から背中に向かって伸びる筋繊維です。
解剖学的な分析では、広背筋は最も上部のL1から最も下部のL6まで、6つのセグメントに分割できることが示されています。
ある研究では、広背筋の筋繊維を上部・中部・下部に分けて筋活動を調査した結果、
伸展は広背筋上部、内転は広背筋下部への刺激が強いことがわかりました。
差はそこまで大きくありませんが、長期的に見ると
広背筋のサイズに違いが出る可能性は十分あります。
ここまでで正しい懸垂のやり方は理解できたと思います。
でも、多くの人は「知っているのにできていない」状態になっています。
ここからは背中に効かせられない人がやりがちな間違いフォームを、なぜダメなのかという理由と一緒に解説します。
まず一番多いのが、肩がすくんだまま引いてしまうフォームです。
見た目は頑張っているように見えますが、僧帽筋の上部が主導になり、広背筋がほとんど働いていません。
肩甲骨が下制できていない、つまり腕と肩で引いている状態です。
引く瞬間に肩を下げる意識をすると、広背筋の起点である肩関節の内転や伸展が使いやすくなります。
次は、体を真っすぐ上に引きすぎるフォームです。
一見きれいに見えますが、解剖学的に背中が使いづらく、負荷が二頭に逃げてしまいます。
さらにビハインドネックのように腕を開きすぎているため、怪我のリスクも高いです。
体を少し反らせて、鎖骨をバーに近づける軌道にすることで、広背筋の内転・伸展が使いやすくなります。
三つ目は、負荷を残しているつもりで下で肘を曲げたまま止めるフォームです。
効いている感はあるのですが、背中が伸びておらず、可動域が狭くなるだけです。
最近の研究では、伸びた状態で負荷がかかるほうが筋肥大が起こりやすいと示されています。
一度しっかり肘を伸ばして、広背筋が抜けるくらいストレッチしてください。
最後は、過度なワイドグリップです。
これも効いた感は強いですが、腕が外に開きすぎるとストレッチポジションが消えてしまいます。
“効いた気がする”ことと、“筋肉に刺激が入る”ことは別です。
手幅は肩幅と同じまでに収めると、可動域が最大化され広背筋をしっかり伸ばすことができます。
ここまでのフォームの崩れに共通しているのは、
腕や肩に負荷が逃げてしまい、広背筋が伸びないことです。
懸垂は広がりに最適ですが、背中を本当にデカく見せるにはもうひとつ必要な要素があります。
✔ 肩がすくむ → 僧帽筋に逃げる
✔ 真上軌道 → 二頭に逃げる
✔ 下で止める → 伸張位が消える
✔ ワイドすぎる → 可動域が消える
懸垂で鍛えられるのは主に“背中の広がり”。
背中を本当にデカく見せるには「厚み」が必要です。
厚みは、前から後ろに引く「水平に引く」の動作で強く使われます。
そのため懸垂だけでは発達しにくいんです。
ただ安心してください。自重でも厚みは鍛えられます。
厚みを作るメインの種目がインバーテッドロウ。
簡単に言うと、体を水平にした状態で引っ張る懸垂のようなものです。(机でも可能)
この動きは肩関節の水平外転=厚みの筋肉(僧帽筋中部・菱形筋・三角筋後部)を狙いやすいのが特徴です。
ポイントは手幅ではなく“動作方向”。
順手で脇を開くと水平外転が強くなり厚みに刺激が入り
逆手で脇を閉じると肩関節の伸展=広がりに刺激が入ります。
つまり厚みを狙うときは脇を開いて順手で引っ張りましょう。。
懸垂で広がり、自重ロウで厚みを作る。
この2つが揃って初めて、本当の“デカい背中”になります。
ここからは多くの人が疑問に思う懸垂のQ&Aに答えていきます。
最強の懸垂ルーティンについて紹介する前にまず先に多くの人が疑問を持つ懸垂や背中のトレーニングについてのQ&Aに答えていきます。
「Q.ワイドとナローどっちが背中に効く?」「効いてる“感”を求めるならワイド。
実際に背中に効かせるならナローです。効いてる感は“収縮”が強いだけで、 実際に筋肉がよく成長するのは、ストレッチがしっかり取れているナローのほうです。」
「Q.逆手のほうが広背筋下部に効くのは本当?」「いいえ。 逆手は最後の位置での収縮が強いため、 “下部に効いているように錯覚する”のが正解です。実際には、逆手だからといって下部だけをピンポイントで鍛えられるわけではありません。」
「Q.懸垂が一回もできません?」「ストレッチポジションを意識した懸垂は、本当に難しいです。その場合は、アシストマシンを使うか、脚で支えながらやるのがいいでしょう。ネガティブだけを延々とやるより、**“正しいフォームで軽くする”**ほうが結果的に近道です。」
「Q.腕が先に疲れてしまう原因は?」「腕が先に疲れてしまって背中を追い込めない原因の99%は、
握力が限界になっているか、肩がすくんでいるかです。引っ張ると同時に、必ず“肩を下げる”こと。
握力が先に限界になる場合は、ストラップを使って補助をしましょう。」
「Q.懸垂はどれくらいの頻度ですればいい?」「できるだけ“高頻度”がおすすめです。懸垂の日を作って5セットやるよりも、 1セットを5日やるほうが筋肉が成長しやすいことが、筋トレ全体の科学的なレビューでも示されています。回復も、高頻度のほうがメリットがあるので、 できるだけ高頻度で鍛えましょう。」
ここからは、背中の広がりを最短で作りたい人向けの懸垂トレーニングメニューについて解説していきます。
まずは、必ず正しいフォームでトレーニングすること。これができていなければ、いくら懸垂をしても背中に十分な機械的な緊張が入らないため、意味がありません。
バーを握るとき、可能な人はストラップを使って握力の補助をするのがおすすめです。」
フォームをおさらいしましょう。
これが、背中の成長にとってベストな懸垂です。
特に、握力補助のストラップは背中を鍛える上で非常に効果的なのでおすすめです。
懸垂の回数や負荷を伸ばしていくと、筋肉も同時に増えていくことがわかっています。
加重ベルトを使って負荷を上げるのも、ぜひ試してみてください。」
科学的なレビューから、筋肉は高頻度で鍛えるほど成長しやすいことがわかっているため、
3〜5セットの懸垂ルーティンを“週に複数回”行いましょう。
例えば、
というように、日によってバリエーションを変えるのも非常に効果的です。自重で厚みも鍛えたい人はインバーテッドロウも追加しましょう。出来れば懸垂の日、インバーテッドロウの日を作るのではなく、両方を同じ日に、違う角度の背中トレーニングを行ってください。
週5回、1日5セット懸垂を行えば、1週間で25セット。
背中の成長にとって、十分すぎる機械的緊張がかかります。
「次回は 『ダンベルカールはもう古い。科学的な上腕二頭筋の鍛え方』 を紹介します。
ぜひチャンネル登録をして、見逃さないようにしてください。