懸垂じゃ完成しない。科学が証明した“新しい背中トレ”


毎週懸垂やってるのに背中が変わらない。そう感じていませんか?

ほとんどの人は「背中=懸垂」だと思っています。でも -残念ながら 懸垂だけでは背中はデカくなりません。

科学的に見ても、”フォーム次第で背中の筋肉の関与が大きく変わる” ことが分かっています。
今日は、懸垂よりも背中が発達する“正しい引き方” を全て解説します。

この記事を見れば、背中が“効かない問題”は完全に解決します。

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解剖学的な背中

最初は解剖学的な背中から。背中の筋肉は細かく分けると15個以上ありますが、今日覚えるのはたった4つの動きだけでOKです。
背中は、広がり(上から下に引く)厚み(前から後ろに引く)

この2つに分けるだけでトレーニングの質が劇的に変わります。

広がりを作る筋肉は肩関節の伸展と内転によって強く働くことがわかっています。対する厚みを構築する筋肉は水平外転と肩甲骨を寄せる内転に関わります。

つまり、広がりは上から下、厚みは前から後ろ。この方向だけ理解しておけばOKです。

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背中トレの限界

懸垂だけで背中が変わらない理由はシンプルで、**“広がりと厚みで引く方向が違うから”**です。

この違いを理解していないことが背中トレ最大のミスです。

例えばこのシーテッドロウは解剖学的に矛盾しているポイントがあります。

シーテッドロウは前→後ろに引く種目なのに、多くの人が“下方向”に引いてしまいます。腕を伸展させていますよね。これは方向のミスマッチで、厚みではなくシュラッグ

そしてベントオーバーロウで顔を上げると、背中が斜めになり負荷が首(僧帽筋上部)に逃げます。

これはロウではなく“半分シュラッグ”になる典型的なフォームです。これはデッドリフトやラックプルも全く同じです。効果的に背中を鍛えられません。

専門家も芝刈り機をスタートさせるように上半身を起こしたロウでは背中を鍛えることができないと指摘しています。

背中の広がりは上から下、厚みは前から後ろです。

つまり、引く“方向”がズレると、狙った筋肉に刺激が入りません。

これが今までの背中トレーニングの限界。そして問題点。次のチャプターでは実際のトレーニング法や最強種目を紹介していきます。

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科学的背中トレ

それではどうすれば背中を鍛えることが出来るのか。最新の研究によると刺激の方向を狙った筋肉に向けるだけで背中全体の成長が大きく高まることがわかっています。そのために意識するべきポイントは3つです。

厚みと広がりを分離

背中を鍛えるとき知っておきたいポイントは広がりは上から下。厚みは前から後ろに引っ張るという意識です。背中トレーニングでは2択で悩む人は多いと思います。「厚み用と広がり用の2種類を作って鍛える」または「厚みと広がりをバランスよく鍛える種目をやりこむ」。どちらの鍛え方も差がないように見えますが、実は圧倒的に前者のほうが筋肥大する可能性が高いです。

「背中の厚みと広がりをバランスよく鍛える種目」という文言を聞いたことがある人は多いと思います。これはバランスよく鍛えるというよりも「厚みと広がりどちらにとっても中途半端」とイメージしてもらえれば正解です。

というのも広がりと厚みは鍛えるときの方向が全く違うため、同じ背中とはいっても異なる筋線維であるからです。どちらもバランスよく鍛えるというのはほぼ不可能に等しい。

複数の研究で、背中は“引く方向を変えるだけで働く筋肉が大きく変わる”ことが示されています。

特にスポーツサイエンティストの Mike Israetel博士 も、「背中には垂直プルと水平プルの2つが必須」と話しています。

毎日懸垂してるのに背中が変わらないと悩む人は懸垂では僧帽筋などの厚みを鍛えられないため、全く成長してないように感じるのです。懸垂だけでは背中は完成しません。

多くの専門家も答えているように背中全体にとって最適なたったひとつのエクササイズはないと答えています。背中全体をバランスよく成長させたい人は広がりにとって最高の種目、そして厚みにとって最高の種目の2つに分けて考えましょう。たった1つの種目で背中を完成させることはできません。

腕に刺激を逃がす

懸垂、シーテッドロウ中に「背中よりも腕が先に疲れる」と悩んだことがある人は多いと思います。この原因は「腕の筋肉がないから」「握力がないから」と思われがちですが、実は引き方の問題です。

背中を使うときはふたつのことを意識してください。まずひとつ目は背中トレーニングは肘で引っ張る意識です。きつくなってくると手に力を入れて強く握ってしまうと腕に刺激が逃げやすくなってしまいます。

さらにもうひとつ重要なポイントがあります。背中は“引きすぎると活動が急低下する”筋肉です。0度を超えるあたりから完全に腕に逃げます。

背中トレーニングが腕や肩に逃げる。その最大の原因は引っ張り過ぎです。ロウは肘90度、プルダウンは鎖骨あたりで十分です。

筋肉を伸ばす

近年の科学的なデータではストレッチポジションがいかに重要であるかが明確になっており、最近の世界のボディビル業界ではトレーニング中にストレッチをかけることはもはや常識です。

筋トレにはBIG3といって上半身の押す筋肉を鍛えるベンチプレス、引く筋肉を鍛えるデッドリフト、脚を鍛えるスクワットがあります。ただ、デッドリフトは“背中が伸びない”ため、成長刺激としては最適ではありません。

先ほど紹介したように、シーテッドロウで脇を閉じたり、顔を上げたベントオーバーロウは広背筋や首に刺激を逃がしています。加えて、負荷を逃がすということはストレッチを無くすのと同じこと。脇を閉じて伸展を使うロウでは狙った筋肉にストレッチがかかりません。

解剖図を見たらわかる通り、ロウで使用される伸展は体の前から後ろ。90度しかありません。

これによって筋トレ効果が大幅に下がります。背中を適切に鍛えるためには100%その筋肉が働く運動をする必要があります。

ロウでは広背筋がほとんどストレッチされないため、広がりより“厚み専用の種目”と割り切るべきです。

これ以外にもプルトレーニングでワイドグリップを使用したり、ヒジを伸ばし切っていなかったり、ウエイトを十分下げていないのは筋肉の成長を妨げています。「そしてロウでも背中を収縮したまま引っ張っている人もかなり多いです。これはほぼ腕トレになってしまっています。」

背中がデカくならない。そう感じている人は背中を広がりと厚みに分けてそれぞれを鍛える種目を作っていなかったり、厚みを鍛えるロウトレーニングで伸展を使っていたり、顔を上げて負荷を首に逃がしてしまっている傾向にあります。ロウトレーニングで広背筋を伸ばすことは不可能に近いです。

「そしてロウでも背中を収縮したまま引っ張っている人もかなり多いです。これはほぼ腕トレになってしまっています。」

それではここから、よくあるQ&Aと最強種目を紹介します。

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Q&A

最強種目について紹介する前に背中トレのQ&Aに回答していきます。

背中は大きな筋肉ですか。はい。背中は上半身の中でも最大級の筋肉です。だからこそ“方向”が重要になります。

懸垂は効果がない?そうではありません。ただ、この種目は完璧ではなく懸垂をやっておけば背中の広がりはつきますが、厚みはかなりつきづらいです。

背中の筋肉の左右差を無くしたい。人間には利き腕など左右差があるため、同じようにトレーニングしているつもりでも右のほうが成長していたり、左が遅れているということはあります。左右差が気になる場合は、弱い側から片腕プルを行い、強い側も同じ回数で揃える。これが最も効果的です。

背中を鍛えるときは何種目必要ですか。最低でも厚み用と広がり用の2種目。おすすめは2種目ずつです。最近公開されたレビューペーパーにも示されているようにたくさんの種目は逆に筋トレ効果を落とします。よくあるいろんな種目をやってマンネリ打破というアドバイスは逆効果になる可能性が極めて高い。なので背中トレーニング全体としては2~4種目がいいでしょう。

背中の種目は肩トレと考えてもいい。OKです。背中トレーニングのすべてで三角筋の後部は働いています。

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最強種目

ここまでを踏まえて、科学的に最適化された背中トレを紹介します。

最初は広がり用の種目。プルオーバーは伸展を使って広背筋を鍛える最も優れた種目です。広背筋には懸垂という代表的な種目もありますが、背中の広がりを作る懸垂は次の動画で徹底的に解説する予定です。お見逃しなく。

プルオーバーはおそらく広背筋トレーニングで最もこの筋肉に機械的な緊張がかかる種目です。これをケーブル、家でトレーニングしている人はダンベルで行いましょう。

複数の研究で、背中種目の多くは“収縮位置が一番キツい”抵抗曲線であると指摘されています。成長に最適なのはその逆、ストレッチ位置で最も負荷がかかる種目です。

ダンベルを使う場合はベンチに仰向けになり上半身を水平にしましょう。そうするとストレッチポジションの負荷が最大になります。ケーブルを使用するときはストレッチポジションで真上に負荷がかかるようにしましょう。

ポイントとしてこの種目を行うときは正座のようにするのがおすすめです。というのもこの種目は立ちながら行っている人も多いですが、こういったやり方だとほとんどの場合広背筋が伸びる前にウエイトが完全に下に降りてしまって負荷が無くなってしまうことが多いです。

最低でも腕が頭の位置まで来るようにします。体の正面で止めると広背筋がストレッチせず筋トレ効果も落ちます。

そして先ほど解説したようにあるポイントで働きが無くなってしまうことが多いです。

なので背中トレーニングでは収縮は最大まで行わなくてもいいです。例えばダンベルなら90度。ケーブルのプルオーバーなら腕が自分の体と交差するくらいまで引っ張れば十分です。引っ張り過ぎには注意してください。

そして、背中の厚みを鍛える最強種目はケーブルでのリバースフライです。

筋電図分析を見ても僧帽筋、三角筋後部にとってはリバースフライのような種目が最適である可能性がかなり高いです。特に三角筋後部にとってはロウでは可動域とストレッチポジションに問題があります。三角筋後部が最も強く働く水平外転運動はおおよそ180度が最大可動域ではありますがロウは90度程度しか可動域がなく、ストレッチポジションもカットされています。

milo wolf博士が推奨しているように僧帽筋や三角筋の後部を理想的に鍛えるためにはケーブルを使うのがベストです。これを使えば三角筋後部を伸ばせます。ケーブルのヘッドをそのまま握って引っ張り、ストレッチポジションでは腕を交差させて三角形後部、そして肩甲骨を開いて僧帽筋を伸ばします。

肩甲骨を寄せたまま引っ張ったり、腕を交差する前でやめないでください。そして肩と高さが違うと不要な運動が入ってほかの筋肉に刺激が逃げてしまいます。肩の位置からまっすぐ横に引っ張るようにしましょう。

懸垂だけでは背中は完成しません。
足りていないのは解剖学、そして科学を基にした“広がりと厚みを作る方向”です。

背中を完成させる最適解はこの2つ:プルオーバー(広がり)ケーブル・リバースフライ(厚み)

ストレッチを最優先にして、無理に高重量を扱おうとしないでください。リバースケーブルフライでも2kgでもかなりきついです。週11〜18セット・これを高頻度で積み上げましょう。常識でもある背中の日というのはもはや時代遅れです。

最新のデータでは高頻度ほど成長することが証明されています。
“方向”を理解すれば、背中は確実に変わります。

次回は背中の広がりを作る最強の懸垂のやり方について解説します。チャンネル登録して是非チェックしてください。

Parker Fitness

今までの失敗,そして成功から科学的な文献を基にすると筋肉の付き方が全く違うことに気づきました。 それを皆さんにも経験してほしくYoutubeなどで科学的なアプローチで効果的な筋トレ法を紹介しています。