ベンチプレスはもう古い。胸を最速でデカくする“新しい胸トレ”

ベンチプレスはもう古い。胸を最速でデカくする“新しい胸トレ”


「ベンチプレス、毎週やってるのに胸が変わらない。厚みが出ない。──そう感じていませんか? 実はそれ、“ベンチプレスのせい”かもしれません。ベンチプレスは、胸の“ほんの一部”しか動かせていません。」最新の研究ではより効率的に胸全体を発達させる方法が見つかっています。

「つまり、努力が足りないわけじゃない。“刺激の方向”がズレていただけです。」「今回は、最新の研究をもとに、“新しい胸トレ”を科学的に解説します。」

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解剖学的な大胸筋

最初は胸にある筋肉がどういったものか紹介します。もう知っている人もいるかもしれませんが、実は最近の研究で多くのことがわかっています。あなたの常識が変わるかもしれません。

胸にある筋肉で最も巨大で外見的に重要なのは大胸筋です。胸にはこの筋肉と小円筋がありますが、大胸筋のほうがはるかにサイズが大きく、胸全体を覆っています。

大胸筋はすべて上腕の外側に挿入されていますが起源はかなり広範囲です。多くの人は胸の外側よりも内側が成長しにくい。遅れてると感じるのは内側は外側よりも筋線維が密集していません。これによって厚みが作りづらいんです。

特にこれは肩幅が広いほどこの傾向が強くなるので肩幅が広い人は大胸筋の厚みが作りづらい傾向にあります。

「胸は“上・中・下”の3つ──そう思ってませんか? でも実は、それでは足りません。」

「最新の筋線維研究では、大胸筋は“上部1+中部と下部7”、合計8つに分かれていることがわかっています。」つまり大胸筋は合計8つに分割できるということです。加えてこの研究では大胸筋全体のうちclavicular headは20%、sternal headは80%であり、上部は中部下部よりもかなり小さいことがわかっています。

大胸筋上部は肩関節の屈曲、そして水平内転。中部は水平内転に関わる筋肉です。最後の下部は水平内転と伸展、内転を担っています。

基本的には腕を上にあげるのが上部、横に閉じるのが中部、下にさげるのが下部とイメージしてもらえればOKですが、大胸筋すべてに共通しているのは水平内転です。

そして、非常に重要なポイントですが、システマティックレビューという信頼性の非常に高いデータにも示されているように大胸筋が最も働くのは水平内転です。つまり、上部の屈曲や下部の内転、そして伸展は水平内転と比べると重要な運動ではりません。

「『上・中・下をバランスよく鍛える』──この考え方こそが、厚みを出せない原因なんです。」次のチャプターでは最新研究からわかった新しい胸の鍛え方を紹介していきます。

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胸トレの限界

大胸筋を鍛えるときに起こりやすい最大のミスは上部、中部、下部を同じセット数で鍛えようとすることです。

「実は胸にも、“デカくなりやすい部位”と“デカくなりにくい部位”があります。そして──上部狙い・下部狙い、この2つの方法には致命的な欠点があるんです。」

まずなぜ大胸筋を鍛えるとき3つの部位を同じように鍛えてはいけないのか。実はインクラインのプレスのような上部狙いの種目や上から引っ張るケーブルクロスオーバーのような下部を強調する種目。これらは近年の科学的なデータに基づくと大胸筋全体の成長にとって逆効果です。

ある研究では被験者にベンチ角度0~60度でベンチプレスを行わせました。その結果大胸筋上部の活動が最も高いのはベンチ角度30度でした。しかし、この角度では中部と下部はベンチ角度0度のフラットベンチの半分程度しか働いておらず、そのあともどんどん筋活動が減っていることがわかります。

これ剖学的な働きが大きく違うからです。大胸筋上部は腕を上げる屈曲、下部は腕を下げる伸展や内転にも関与しています。ベンチ角度が上がれば下から上にプレスをする運動。つまり下部とは正反対の運動が追加されることによって、下部が働かなくなってしまうということです。

「逆も同じ。下部を狙えば上部が眠る──これも複数の研究で証明されています。」

ただし、「上部狙いが下部を、下部狙いが上部の活動を減らしてるのは分かったけど、結局上部と下部を同じように鍛えれば同じように成長するのでは?」「大胸筋全体の成長にとって逆効果ではないんじゃない?」と。確かに上部狙いは下部のマイナスがあっても上部のプラスがあるから問題ないと思うでしょう。

それでも上部狙い、そして下部狙いはマイナスのほうが大きいです。先ほどの研究をもう一度見てみましょう。ベンチ角度30度を見てください。この時上部の活動は5%ほど上がっています。しかし、中部と下部の活動は10%以上低下しています。

「つまり、“狙いすぎるほどデカくならなくなる”。これが胸トレの落とし穴です。」大胸筋全体の活動を見てもベンチ角度0度のフラットベンチプレスのほうが優れていることがわかります。

研究者のmenno henselmans博士も「インクラインは上部、デクラインは下部というのは正しい。しかし、それはほかの部位の活動を減少させており、実際はインクラインプレスは上部の活動を増やすというよりも下部の活動を減らしているという考え方のほうが正しい」と解説しています。

そのため、上部狙いや下部狙いは結局大胸筋に入る刺激を減らしていることになります。

それでは大胸筋を鍛えるとき、どんな種目をやればいいのか。答えは水平内転です。menno henselmans博士は大胸筋全体を鍛えるとき、水平内転を使った、いわゆる中部狙いの種目が理想的であると回答しています。

解剖学についてのチャプターでも紹介したように大胸筋を上部や下部にとって屈曲や内転は重要な運動ではなくすべての部位にとって水平内転が最も重要であると解説しました。実際、水平内転はすべてをかなり高いレベルで鍛えられます。

2019年の研究ではトレーニング経験のある男女にフラットバーベルベンチプレスを行わせました。その結果、上部は+7.44%、中部は+10.06%、下部は+7.45%の成長が確認されました。

大胸筋は上部と中部、下部に分けて考えることができます。しかし、これは3つをそれぞれ狙って鍛えなければいけないわけではありません。むしろその鍛え方は大胸筋の成長を遅らせる可能性が高い。大胸筋全体にとって最高のトレーニングは腕を肩の高さから真っすぐ閉じる肩関節の水平内転を使ったトレーニングです。

次のチャプターでは実際のトレーニング法や最強種目を紹介していきます。

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科学的胸トレ

それではどうすれば大胸筋を鍛えることが出来るのか。最新の研究によると刺激の方向を変えるだけで大胸筋全体の成長が大きく高まることがわかっています。そのために意識するべきポイントは3つです。

上部を優先

先ほどの解説とは矛盾しているかもしれませんが、「胸全体を育てるには──**“上部を優先”**した方が効率的です。」というのも数多くのボディビルダー、そして専門家や科学者が同意している事実として大胸筋は上部が遅れやすい。これは科学的データでも証明されています。

なぜ大胸筋の上部は遅れやすいのか。これはトレーニング中に下部を優先させること。そして上部を鍛える種目で負荷を肩に逃がしていることが原因です。

まず、トレーニング中に下部を優先させることで上部は遅れます。例えば代表的な高い位置から引っ張るケーブルクロスオーバー。これをトレーニングメニューに入れてる人ややったことがある人は非常に多いと思います。しかし、このトレーニングは上部をほとんど鍛えられていません。

基本的にほとんどのひとにとって大胸筋下部狙いの種目は不要です。こういった種目をやることによってどんどん上部が遅れます。

そして、特に注意してほしいことは気づかず大胸筋下部を優先して鍛えてしまっていることです。menno henselmans博士は一般的なフラットベンチでのプレスが完全な水平内転ではないことを指摘しています。

「ベンチで胸を張る“アーチ”。安全で大事なフォームですが──実はこれ、プレスの角度を下げてしまう。つまり、無意識に下部ばかりを鍛えてしまっているんです。」

これをすると無意識に下部が他の部位よりも発達してしまいます。

ブリッジの角度を相殺するためにインクラインプレスをしましょう。2020年の研究ではスミスマシンを使ったフラットベンチプレスとインクラインベンチプレスの筋肉の成長効果を調べたところ、一般的な常識に反して両方のベンチプレスでの大胸筋下部の成長効果は同じでした。

しかし、上部の成長はインクラインベンチプレスのほうが大きく、大胸筋全体の成長としてはインクラインベンチプレスのほうが効果的でした。

大胸筋の上部は遅れやすい。それは成長しにくいということもありますが、最も大きな要因は無意識にトレーニングで下部に負荷が集まってしまっているからです。そのためにも大胸筋の中部を地面と水平にするようにベンチに角度をつけてプレスやフライをしましょう。

これをすればブリッジの角度が相殺されて水平内転運動に近くなります。

大胸筋に刺激を集める

大胸筋上部を鍛えるためには大胸筋上部に負荷を集中させる必要があります。当たり前のように聞こえるかもしれません。実際、筋肉の成長を最大化させるためのトレーニング法についてのメタ分析でも非標的筋の関与を最小限にする、つまり他の筋肉に負荷を逃がさないということが明記されています。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、大胸筋トレーニングでは無意識に肩へ負荷を逃がしてしまっている人がたくさんいます。これによって上部が遅れたり上部を鍛えているつもりでも肩ばかりが発達して上部が成長しなくなってしまいます。

大胸筋、特に上部を鍛えるとき絶対にやってはいけないのは肩関節の屈曲の過大評価です。確かに腕を上げる運動は大胸筋上部も関わります。しかし、科学的に証明されているようにこの運動がメインになるのは大胸筋上部ではなく、肩の前側、三角筋の前部です。

実際、動画の前半で紹介した研究でもベンチ角度が30度を超えると上部の活動も減ってしまい、ベンチ角度45度は0度のものよりも上部の活動が弱いことがわかっています。その代わり三角筋の前部は上昇し続けています。

つまり、大胸筋上部を効果的に鍛え、負荷を集中させるためには肩関節の屈曲は必要最小限にする必要があります。屈曲は少しあればいいです。むしろ屈曲が強すぎると大胸筋が働かなくなります。

そのためにもベンチ角度はあげすぎないということはもちろん。脇を閉じないことも重要です。腕立て伏せやダンベルプレスでは脇を閉じながらプレスを行う人が多いですが、これはほとんど屈曲運動で大胸筋を鍛えられていません。

プレスでは脇を完全に開いて肩の横にダンベルが移動するようにしましょう。腕立て伏せでもヒジは肩の下ではなく横にあることが重要です。これをすることで屈曲ではなく水平内転運動になることから肩の関与が最小限になる胸トレになります。

ストレッチ

筋肉の成長を最大化する方法について、レビューでは非標的筋の関与に加えて「筋肉が完全に伸びる可動域を採用する」ということが示されています。

大胸筋の厚みを作る最強の種目を聞くと90%近い割合でバーベルベンチプレスという答えが返ってくると思います。しかし、バーベルベンチプレスは大胸筋にとって代表的な種目ですが大きな欠点があります。それは筋肉を最大まで伸ばせないこと。

バーベルベンチプレスは大胸筋が最大まで伸びる前にバーが体に当たってしまうため筋肉を十分伸ばせない。つまりトレーニング効果も低いことが考えられます。これと同じでマシンのトレーニングでも筋肉が伸びる前に負荷が無くなってしまうものも多いので注意してください。

「胸トレで一番大事なのは──**“どれだけ伸ばせるか”**」ここで大きな差がつきます。

大胸筋の上部は遅れやすい。それは無意識にトレーニングで下部に負荷が集まってしまっているからです。そのためにも大胸筋の中部を地面と水平にするようにベンチに角度をつけてプレスやフライをしましょう。

胸トレでは脇を開いて大胸筋を十分に伸ばすことを忘れないでください。ベンチ角度が上がっている時点で屈曲を意識する必要はありません。「肘が下がるほど肩に刺激が集まる。──つまり“屈曲が強すぎると胸が眠る”。そして上部にも逆効果です。」

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Q&A

それではここからよくある胸トレについての質問に回答していきます。

大胸筋は大きな筋肉ですか。はい。ただし、一番大きな筋肉ではありません。科学的データを見ると上半身の中で3番目で広背筋とほとんど同じサイズです。

大胸筋の内側を狙いたいです。大胸筋の内側は筋線維の密度が低く、大胸筋の内側のギャップを感じやすいです。ただ、内側狙いについて科学的根拠のあるトレーニング法は見つかっていません。menno henselmans博士もいうようによくある内側トレーニングはただ収縮を感じてるだけです。逆に根拠のない内側の鍛え方をするほうが遠回りです。

「Q. ベンチプレスは効果ないの?そうではありません。でもベストな種目ではありません。ダンベルやケーブルを使用したほうが効果が高いでしょう。

ダンベルプレスやフライって肩にとって危険?正しくやれていれば危険ではありません。ストレッチの強い種目で肩が先に疲れる、大胸筋を追い込めないという人におすすめなのが、ダンベルを肩のすぐ近くにおいてください。フライのようにダンベルが遠い位置にあると肩への負荷が強くなります。ダンベルを肩に触れさせるイメージです。

「Q. 大胸筋を上・中・下で分けて鍛えるのは間違い?考え方としては間違いではありませんが、基本的に下部狙いの種目は不要です。大胸筋は全体を鍛える種目と上部を優先させる種目の2つの種類があれば十分です。

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最強種目

ここまでを踏まえて、科学的に最適化された胸トレを紹介します。

インクラインのダンベルプレスは大胸筋を鍛えるのに理想的な種目です。バーベルベンチプレスよりも大胸筋を伸ばすことができ、これが筋肉の成長を促進させる可能性があります。

ブリッジを考えるとフラットベンチよりも大胸筋全体を鍛えることができます。ベンチ台の角度については全体を鍛える場合は15度。上部を優先させる場合は30度がおすすめです。上部の遅れを感じている人は30度でプレスをした方がいいでしょう。

ダンベルはジムんの肩と同じ、もしくはそれよりも低くしましょう。十分下まで下げていないダンベルプレスは効果的なトレーニングとはかけ離れています。スポーツサイエンティストのmike israetel博士が言うように、これは筋肉ではなくメンタルを鍛えてるようなものです。

脇を閉じると不要な屈曲が強くなります。ベンチ台で角度を作っている時点で上部や大胸筋全体にとっては十分です。加えて脇を閉じると下部と中部が収縮した状態になるため大胸筋が伸びなくなります。脇は完全に開いてください

たとえ30kg、40kgでトレーニングしていたとしても正しくできていなければ10kgのダンベルベンチプレスに負けます。

家でトレーニングしていたり、ダンベルがない場合は腕立て伏せがおすすめです。ポイントとして腕立て伏せの場合はダンベルプレスと逆、脚を上げて頭よりも高い位置にする必要があります。これによってインクラインベンチと同じになります。

大胸筋を最大まで伸ばすためにもプッシュアップバーを使って限界まで体を沈めて、脇を開くためにもバーを横にしましょう。プッシュアップバーは縦向きにするのが一般的ですが、これはダンベルを縦に持つのと同じで不要な屈曲運動になります。

大胸筋を効率的に鍛えたい人は絶対にプログレッシブオーバーロードを忘れないでください。2025年の7月に公開された最新の研究では筋力と筋肥大には非常に強い相関がみられ、バーベルベンチプレスをトレーニングメニューにした研究ではベンチプレスの最大回数が増加すると同時に大胸筋の厚みが増加する傾向があることがわかりました。

数多くのデータに証明されているように筋力が伸びると筋肉も成長している可能性が非常に高いです。

インクラインダンベルプレス。そしてデクラインの腕立て伏せの回数や重量を増やす意識をすると筋肉の成長が大幅に伸びます。効率的に胸をデカくしたい人は忘れないでください。

今日の動画をまとめると、大胸筋がデカくならない人は、下部を鍛えすぎていて上部を後回しにしている可能性が高いです。水平内転とブリッジを考慮して少し角度をつけるようにしましょう。

「緩やかな角度のダンベルプレス。プッシュアップバーを横向きにした腕立て──これが胸全体を仕上げる最適解です。」必ずストレッチと肩に刺激を逃がさないためにも脇を開くことを忘れないでください。

最新のメタ分析に基づくと、トレーニング効率を考えると毎週11~18setがおすすめです。そしてもっと重要なのが高頻度で筋肉を鍛えること。胸の日を作るのはもう時代遅れです。毎日3setずつでもいいのでちょっとずつトレーニングしましょう。こういう鍛え方のほうが筋肉が成長するということはもう証明済みです。

ベンチプレスだけでは胸は完成しない。“方向と順番と刺激”──この3つが、新時代の胸を作ります。パーカーフィットネスの動画では全身法のトレーニングメニューでの胸トレ、そして新しい肩の鍛え方なども公開しています。チャンネル登録して是非チェックしてください。

Parker Fitness

今までの失敗,そして成功から科学的な文献を基にすると筋肉の付き方が全く違うことに気づきました。 それを皆さんにも経験してほしくYoutubeなどで科学的なアプローチで効果的な筋トレ法を紹介しています。