ジム環境なら──“もっと筋肉を成長させる全身法”が可能です。
家トレ最強の全身法、試してくれた人も多いと思います。
今回は、科学が証明した『ジムトレ最強の全身法メニュー』を紹介します。
家ではできない高負荷、そして機材を活かした精密な刺激。
分割法よりも筋肥大効果が2倍以上高い──それを実際のメニューで解説します。
全身トレーニングは筋肉を効率的に成長させたい人が絶対にやるべきトレーニングルーティンです。全身法はセットの質を高めてジャンクボリュームを無くす最強の方法。これは家トレ編でも紹介した科学的データです。
これは個人の意見ではなく、何千人規模の研究で証明されています。
分割法、特にBro-splitを科学的に支持する根拠は、ひとつも存在しません。
同じ種目・同じボリュームで比較しても、
全身トレーニングを行ったグループはすべての筋肉で2倍以上の成長を示しました。
全身法で注意しなければいけないのは種目の順番です。家トレの動画でも紹介したようにベンチプレスの後に上腕三頭筋を鍛えるとベンチプレスの疲労を引き継いでしまうため、ベンチプレスの後は背中や脚を鍛えて使った筋肉を休ませましょう。
ジムトレのメリットは筋肉の成長にとって最適な種目ができるということです。筋肉の成長にとって筋肉が伸びた位置で負荷をかけることはとても重要です。ジムでトレーニングする場合、筋肉の成長にとって最適な種目を選ぶことができます。特にケーブルマシンは最近の研究をみると優秀な種目がとても多いです。
家トレはたくさんのスーパーセットを出来るなど自由なトレーニングができます。一方ジムトレは種目の自由度が高いので筋肉に最適な負荷を入れることができます。
ここからは実際のジムでできる全身トレーニングメニューを紹介します。
全身トレーニングをする前にまずはアップをしましょう。筋トレのウォーミングアップは数分間の動的ストレッチで十分です。腕や脚を振って関節を温めましょう。
広背筋を鍛えるとき最も重要なのは腕をあげたときに負荷をかけることです。
多くの背中トレーニングでは、腕を上げたときに広背筋が十分に伸びないんです。
ケーブルを使えば横方向に引く”負荷を作れて、広背筋をストレッチした状態で刺激できます。ロープグリップでもストレートバーでも好きなもので構いません。
広背筋に負荷をかけるためにもストレッチポジションでは体に対して真上に負荷をかけるようにしましょう。立つとケーブルマシンとの高さができずストレッチポジションで上向きの力が弱くなったり、最大まで腕を屈曲させられない可能性があるので座って体を低くしたほうがおすすめです。
10~12回。3set行います。
大胸筋を鍛えるなら、やはりベンチプレスが最適です。家トレの動画でも紹介しましたが、ダンベルプレスはバーベルよりもウエイトを下に降ろせるため大胸筋を伸ばします。
必ず十分ダンベルを下まで下げて脇を完全に開くことを忘れないでください。大胸筋を十分伸ばせていなかったり、ダンベルを縦にして脇を閉じると大胸筋にかかるはずの刺激が肩に逃げます。
3セット×10〜20回行います。
この種目を初めて見る人にとってはおかしなトレーニングかもしれませんが、解剖学的にこれは理想的な大腿四頭筋トレーニングです。
まず、一般的なスクワットやレッグプレスでは大腿四頭筋の中で最も大きな大腿直筋を鍛えることができません。加えてレッグエクステンションも筋肉の成長にとって最適な種目とは言えません。
2024年の研究では、背もたれを40度倒すと大腿直筋の成長が約2.7倍に。
股関節を伸ばすことで、筋肉がより強くストレッチされるからです。」
この種目はヒザを極限まで曲げることができることに加えて上半身を反らせるため大腿四頭筋すべての頭が効果的にストレッチします。負荷を上げたい人はウエイトを抱えながら行えば効果的にプログレッシブオーバーロードが可能です。
注意点として体を持ち上げるときに腹筋トレーニングのように上半身を曲げないでください。体は開いた状態を維持しましょう。これをすると股関節が屈曲してしまうのはもちろんですが、ヒザの力をほとんど使わずに持ち上げることができてしまうので大腿四頭筋を効果的に鍛えることができません。
8~12回を3set行います。
家トレでも紹介したスティフレッグデッドリフトはハムストリングスとお尻の筋肉を鍛えるのに最適です。ヒザを伸ばしてデッドリフトをするイメージです。最近の研究でもわかったようにハムストリングスを鍛えるときはストレッチポジションで股関節を屈曲させる必要があります。
脚は広げすぎず、お辞儀をするというよりもお尻を後ろに引くとウエイトが中心になるので非常に安定します。5~8回3setで行います。
サイドレイズは肩の外見を変えるために最も効果的な種目です。スポーツサイエンティストのmike israetel博士は肩トレの70~90%を中部に充てることを推奨しています。それくらい三角筋中部は最も重要です。
ダンベルサイドレイズは腕を下げたときに横向きの負荷がありません。なのでケーブルを自分の腰、太もものあたりに調節してサイドレイズを行いましょう。ストレッチポジションで肩が内側に回転したり、ヒジが曲がる。腕を前に出すと他の筋肉に刺激が逃げてしまうのでケーブルを体の後ろ。腕を伸ばして真横に上げましょう。10〜20回を3set行います。
ケーブルを使ったカールは理想的に上腕二頭筋を鍛えます。ダンベルカールやバーベルカールは一般的なサイドレイズと同じく、ストレッチポジションで負荷がありません。ダンベルを下げたとき負荷は下向きですが、この時横向きの負荷が必要です。
そして、腕を引いた状態でカールをすると長頭を伸ばすことができます。上腕二頭筋はヒジと肩にまたがっているため、肩関節も意識する必要があります。加えて、最近の研究を考慮すると手首は回外して上を向かせるよりもニュートラルグリップや回内グリップでカールをしたほうが筋肉が成長する可能性もあります。
というのも上腕二頭筋を鍛えるときに当たり前になっている手のひらを上にした回外グリップ。これは上腕二頭筋が収縮した状態を維持するからです。
かなり重要なポイントとしてケーブルを高い位置に設定して腕を引きながらカールをします。高い位置にするとヒジが伸びきったときに出来るだけ真横に負荷がかかるようになります。ストレッチポジションで腕とケーブルが一直線になってしまうとストレッチポジションで負荷がないことを意味します。
10〜20回を3set行います。ヒジを痛めやすい人は低負荷で行いましょう。
上腕三頭筋を鍛えるときはほぼ間違いなく、オーバーヘッドで鍛えたほうが効果が高いです。研究でも証明されているように腕を頭の上にすると上腕三頭筋の長頭がストレッチします。
ポイントとしてオーバーヘッドのトライセプスエクステンションをするときケーブルの高さを頭の位置に設定する人が多いです。しかし、オーバーヘッドにした状態でヒジを曲げるとストレッチポジションで必要な負荷は横ではなく下からのものになります。
ケーブルは低い位置に設定してください。10〜20回を3set行います。この種目をするとヒジが痛くなるという人もいます。そういった場合20rep出来る低負荷で鍛えると関節への負担を最小限にできます。
ケーブルのクランチはすべての人に推奨できる最高の種目です。家トレの動画では腹筋ローラーを紹介しましたが、この種目は筋トレ初心者や体重が重い人は一回もできない、または非常に少ない回数しかできない可能性があります。
そして、腹筋トレーニングでは腹直筋が伸びたときに横向きの負荷が必要です。ある研究ではプランクで支えている腕を前に出すと腹直筋の活動が上昇したことを示しています。
これは腕を前に出すと腹筋が伸ばされるようになるからです。
ロープグリップを背負ってクランチを行います。腰を守るためにも背中は反らせすぎないでください。とはいえ、健康的な人が腹筋トレーニングで腰を痛めるリスクはないことがわかっています。なので心配しすぎる必要はないでしょう。
特に低負荷でトレーニングすれば安全に鍛えることができます。8~12回を3set行います。
「ここまで紹介した全身法のメニューを、まとめるとこうなります。」
全身法は1setあたりのVOLを高めながら、ジャンクボリュームの発生を抑制する最強のトレーニング法です。各筋肉3setって少ないと思う人もいるかもしれませんが、最新のメタ分析でもわかっているようにおおよそ各筋肉は1回5set以内を目安に抑えるのがベストです。
ジムに人がいなかったり使用する器具が全く同じ場合、周りに配慮しながらスーパーセットを行ってみるのもおすすめです。例えばパーカーフィットネスの場合、ケーブルのショルダーエクステンションをロープグリップで行い、終わったらすぐに腹筋を鍛えます。
干渉しない筋肉同士のスーパーセットは筋トレ効率を大幅に上げます。2023年の研究では、スクワット→ベンチを順番に行うグループと、交互に行うグループを比較しました。筋肥大効果は同じでしたが、交互に行った方はトレーニング時間が半分でした。(23と42)
拮抗筋や干渉しない筋肉同士のスーパーセットは周りに配慮しながら積極的に取り入れてください。
最新のメタ分析を基にすると時間効率と筋肥大効果を考慮すると目安となるトレーニング量というのがわかります。ほとんどのひとにとって目安となるセット数は毎週15setがおすすめです。なのでこのトレーニングメニューを週5回行えばすべての筋肉が15setになります。
これが、科学が証明した“ジムトレ最強の全身法メニュー”。
家トレを超える精密さで、筋肥大を最大化するトレーニングです。次回は“胸をジムでどう鍛えるか”を科学的に解説します。それではまた次回、科学的に鍛えましょう。」