今回の動画では最新の科学的データに基づいた腕のエクササイズや鍛え方を紹介します。
腕にある筋肉はほとんどの人が思っているよりも非常に複雑であり、たったひとつの運動でも数多くの筋肉が働いています。そして最新の科学的データによって当たり前だと考えられている腕の鍛え方が間違いで、より効果の高い鍛え方が存在していることがわかっています。
この動画ではそんな腕の筋肉の鍛え方と絶対にやるべき最強種目について徹底的に解説します。この動画がいいと思っていただけたら是非高評価をお願いします。
基本的に腕の筋肉は2つの性質に分けられます。腕を曲げるときに働く屈筋群と腕を伸ばす時に働く伸筋群です。まずは屈筋群から解説します。
腕を曲げるときに働いている屈筋は3つです。上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋です。上腕二頭筋は短頭と長頭に分けられますが、最近の研究では人によっては3つ、4つ、さらには5つの頭がある場合もあることがわかっています。
これによって上腕二頭筋はボディビル競技において遺伝的な要因が強い部位でもあります。アーノルドシュワルツェネッガーのように山のように盛り上がっている筋肉もあればそうではない人もいます。そのため、例えば上腕二頭筋の形が素晴らしい人のトレーニングを真似しても必ずしも同じような形になるワケではないことに注意する必要があります。
ただ、最近公開された研究では鍛え方によってその形に影響を与えられることが示されています。これについては後ほど解説します。
上腕二頭筋は上腕筋、腕橈骨筋とは異なり肩、肘、前腕を横切る三関節筋です。腕を前に出す肩関節の屈曲。ヒジを曲げるヒジ関節の屈曲、そして手首を回外させます。研究によると上腕筋と腕橈骨筋は腕の屈筋の約半分の筋肉量を占めていることがわかっており、上腕二頭筋は44%、上腕筋は41%、腕橈骨筋は15%です。
ほとんどの人は屈筋を鍛えるときに上腕二頭筋に集中しますが、腕橈骨筋や上腕筋を無視すると実際には50%以上の成長を失っていることにもなります。
次は腕を伸ばす時に使用される伸筋群について解説します。ただ、筋肉群とはいってもこの運動で使用される筋肉は上腕三頭筋ひとつしかありません。上腕三頭筋は名前に3が入っている通り3つの頭があります。長頭と内側頭、外側頭です。ただ、面白いことにこの筋肉も人によっては4つ目の頭があることが示されています。
上腕三頭筋は長頭のみ肩関節を横切り、腕を後ろに引く肩関節の伸展にも関与しますが、主な運動はヒジを伸ばすヒジ関節の伸展です。この筋肉の運動は非常にシンプルでこの2つのみです。
重要なのは上腕三頭筋は上腕二頭筋のおおよそ2.5倍のサイズがあり、人間の上半身にある筋肉の中では肩にある三角筋に次いで2位です。したがって腕のサイズを増やしたい場合、上腕三頭筋を巨大化させることがカギです。
ここからは科学的なデータに基づいた腕にある屈筋、伸筋の鍛え方を紹介していきます。最新の科学的データによって当たり前だと考えられている腕の鍛え方が間違いで、より効果の高い鍛え方が存在していることがわかっています。
上腕二頭筋、上腕筋、そして腕橈骨筋を鍛える方法について多くの人が誤解していることはこの3つを鍛えるときは解剖学的な変化をつけてそれぞれを狙う必要があるというものです。よくある情報としては…
1.上腕二頭筋の短頭を鍛えるときはダンベルカールで手首を内側に回す。または幅の広いグリップでカールをすると上腕二頭筋の長頭を強調できる。
2.リバースグリップにすると上腕二頭筋が眠るため上腕筋、そして腕橈骨筋に負荷を集中させることができる
これについて強力な科学的証拠はあるでしょうか。実はあまりありません。
科学的なデータに基づくと屈筋のトレーニングではウエイトの持ち方やグリップは大した影響を持たないことがわかっています。
2023年の研究では回外グリップ、回内グリップ、ロープを使用したニュートラルグリップで比較を行ったところ、上腕二頭筋はじめ、腕橈骨筋の活動も大きな差がなかったことを示しています。
視聴者の皆さんに強調したいことはこの屈筋群について「こうしたらこの筋肉に負荷が集中する」「これをすると上腕二頭筋狙い、これをすると上腕筋狙い」といった特別なテクニックを使用して鍛える部位を大きく変化させることは現実的ではないということです。
科学的エビデンスに基づくと上腕二頭筋最高のトレーニングは屈筋群すべてにとって最高であるということです。そのため、この筋肉群のトレーニングでは様々なバリエーションは必要ありません。
ただし、上腕二頭筋の長頭と短頭については例外で鍛え方によって成長に大きな差が出る可能性があります。間違ったやり方でトレーニングすると上腕二頭筋の短頭だけが成長してバランスの悪い腕になってしまうこともあります。
先ほど紹介したように短頭を狙うときはダンベルをひねるように手首の回外に注目する人が多いですが、実際これは正しい方法ではありません。注目していただきたいのは肩です。
科学的な証拠に基づくと一般的な直立した状態でのカールとインクラインカールではインクラインカールのほうが上腕二頭筋が成長効果が高い傾向にあります。これはインクラインカールは腕が体よりも後ろにあるため上腕二頭筋の長頭が強く伸ばされるためです。
ストレッチポジションは近年最も注目されている筋肥大メカニズムのひとつです。筋肉を最大まで伸ばすこと。そしてその位置で負荷をかけることで筋肉の成長が促進されることを多くのデータが認めており、最新のメタ分析でも筋肉の成長を最大化する方法について「筋肉が伸びる可動域を含める」ということが示されています。
そのため、インクラインカールは一般的なカールよりも上腕二頭筋長頭の成長に適しています。
上腕二頭筋の短頭、腕橈骨筋、上腕筋にとってはこの肩の位置は重要ではありませんが、長頭にとっては腕を後ろに引いた状態でカールをすることにメリットがあります。
そして、もうひとつ屈筋を鍛えるときに重要になるポイントはグリップです。カールをするとき手のひらを上に向けた回外グリップを使わないでください。
上腕二頭筋を鍛えるとき99.99%の人は手のひらを上に向けた回外グリップでウエイトを持ち上げると思います。しかし、上腕二頭筋は手首にもまたがり、回外することで収縮しますが、近年の科学的な証拠を見ると筋肉は最大まで伸ばした状態でトレーニングしたほうが成長するため、回外とは逆、手のひらを下にした回内グリップやニュートラルグリップでカールを行ったほうが筋肉は成長する可能性が高いことが考えられます。
ほとんどの人はおそらく一般的なグリップのほうが上腕二頭筋に効いてる感があると思います。しかし、menno henselmans博士が指摘している通り、ほとんどの効いてる感は代謝ストレスで、これを生むのは収縮です。つまり、回外グリップのほうが効いてる感じがするのは手のひらを上に向けるとすべての可動域で上腕二頭筋が収縮している状態を維持するためですが、科学的データはこれとほとんど正反対の結論を出しています。
上腕二頭筋はじめ屈筋を鍛えるときは手のひらを下にした回内グリップ、またはニュートラルグリップで持ち上げたほうが、この筋肉がより強く伸ばされるため筋肉の成長効果が高い可能性があります。
ここまでの動画の内容をおさらいする意味でも上腕二頭筋を鍛えるときにやってはいけないNG行為を紹介します。
まず当然ですがチーティングをやめましょう。
上腕三頭筋のトレーニングではなかなかありませんが、上腕二頭筋のカールでは上半身の勢いを使ってウエイトを持ち上げてる人も少なくありません。これをするとほかの筋肉に負荷が逃げたり、無理に高重量を扱っているためケガのリスクも非常に高くなります。
そして、必ず肘を伸ばし切ってください。筋肉の成長を目的としている場合、すべてのカールでは例外なくヒジを伸ばして屈筋を十分に伸ばす必要があります。ヒジが伸びきる前に軽く曲がった状態で止めるのは筋肉の成長を妨げています。
ある研究では被験者にプリチャーカールを行わせヒジが伸びきるストレッチポジションを集中的に行う腕とヒジが伸びる前で止まる収縮ポジションを集中的に行う腕に分けたところ収縮ポジションのほうが高重量を扱うことができましたが、筋肉の成長効果は軽いダンベルにもかかわらずストレッチポジションを行った腕のほうが優れていました。
そして、腕を下げたときに筋肉に負荷がかかる必要があります。一般的な直立した状態でのカールは腕を伸ばした位置では負荷がありません。上腕二頭筋には横向きの物理的負荷が必要ですが、ダンベルは真下にしか負荷はかかりません。
腕を伸ばした時に腕に対して横向きの力が加わっているかを必ず確認しましょう。
3つ目は腕が後ろに引かれているかを確認してください。これは明らかな間違いではありませんが、プリチャーカールのように腕を前方に出したトレーニングは肩関節が屈曲した状態を維持するため、ずっと上腕二頭筋の長頭が収縮しています。これはこの筋肉の成長を遅らせ、腕のバランスを崩壊させる可能性があります。
そして最後はカールをするときずっと手を上に向けないでください。これもプリチャーカールと同じで上腕二頭筋の短頭が収縮した状態を維持することになります。ダンベルをひねるようにフィニッシュで手のひらが上を向いているのは問題ありませんが、ヒジが伸びているとき手はニュートラルグリップか回内グリップがいいです。
それでは腕の伸筋、上腕三頭筋に移りましょう。この筋肉は先ほどの屈筋よりもはるかにシンプルです。伸筋は上腕三頭筋のみであり、これが働くのは肩関節の伸展とヒジ関節の伸展の2つです。
基本的には上腕三頭筋の鍛え方も上腕二頭筋と非常に似ていますが、いくつかのポイントがあるので紹介していきます。
まず上腕三頭筋はベンチプレスで鍛えることができるのでしょうか。そしてベンチプレスはどれほど効果的なのでしょうか。
ある研究では被験者にワイドグリップのバーベルベンチプレスとバーベルスカルクラッシャーを行わせて上腕三頭筋の外側頭、内側頭、長頭という3つの筋肉の成長効果を比較しました。その結果、上腕三頭筋全体の成長効果はバーベルベンチプレスはスカルクラッシャーの半分程度しかありませんでした。
特に長頭については2倍以上の差があり、バーベルベンチプレスではほとんど長頭を成長させることができませんでした。
これは腕の角度が原因です。研究で行われたスカルクラッシャーはバーベルを頭の後ろまで移動させました。これによって肩関節が屈曲し、上腕三頭筋の長頭が強く伸ばされます。対するワイドグリップのバーベルベンチプレスでは腕はほとんど体の前にある状態で長頭が収縮した状態を維持します。
これによって長頭の成長には種目間で大きな差がありました。
ただし興味深いことに上腕三頭筋の外側頭についてはバーベルベンチプレスのほうがはるかに筋肉の成長効果が高いことがわかりました。そのため、バーベルベンチプレスは長頭の成長にはあまり期待できない可能性が高いですが、外側頭についてはプレストレーニングで十分でしょう。
つまり、このことを踏まえると上腕三頭筋のアイソレーショントレーニングでは長頭を優先して鍛えたほうが全体的にバランスの取れた腕を作ることができます。
上腕三頭筋を鍛えるときにやってはいけないことは上腕二頭筋とほとんど真逆です。
まずヒジを十分に曲げましょう。ストレッチポジションでは限界まで肘を曲げて筋肉を伸ばします。そして肩を屈曲させて腕が頭の上か後ろにあることを確認してください。
2022年の日本で行われた研究ではケーブルプッシュダウンとオーバーヘッドで行うトライセプスエクステンションではプッシュダウンのほうが高重量を一貫して扱うことができたにもかかわらずオーバーヘッドで行ったほうが筋肉の成長が50%高いことを示しており、研究者は上腕三頭筋は肩関節とヒジ関節にまたがる二関節筋であるためオーバーヘッドで行うことで筋肉がより強く伸ばされ、成長効果が高くなることを発見しました。
上腕三頭筋を効果的に鍛えたい場合、自分で腕を見ながらトレーニングすることはあきらめてください。効果的な上腕三頭筋トレーニングは腕が自分の頭の上にあります。鏡を見ながらでもない限り上腕三頭筋を見ながら鍛えることはできません。
それではここから最強種目を基にした腕のトレーニングメニューを紹介していきます。実は最近の科学的なデータによって筋トレのガイドラインが大きく変わりつつあります。
どれくらい腕を鍛えればいいのか。これについて最新のメタ分析では1週間あたりのセット数について週20setを行うと非常に堅実な筋肉の成長がみられることが示されています。そして、特別筋肉を成長させたい人は30~40set1週間で確保するようにすると素晴らしい結果が期待できることを研究者は発見しています。
この数字を非常に多いと感じる人もいるかもしれませんが、これはフラクショナルセットです。つまり簡単に言うと腕を使う大胸筋のプレストレーニングや背中のプルトレーニングも含まれます。そのため、実際のところ20set、30setも腕のトレーニングをする必要はありません。
トレーニングメニューにもよりますが、必要な腕トレは大体この数字の半分くらいをイメージしてください。
それでは腕をどのように鍛えればいいでしょうか。昔ながらのアドバイスに基づくと腕を鍛える最良の方法は腕の日を追加することだと考えられています。しかし、これは真実とは言えないでしょう。結局のところ腕の日はジャンクボリュームをこなしているだけになってしまいます。
腕の日ではほとんどの人は上腕二頭筋や上腕三頭筋を15~20set行います。ただしこれは理想的なトレーニングとはかけ離れています。最近公開されたメタ分析によると1回のトレーニングでより多くのセットを行うと筋肉の成長は促進されるものの、それには収穫逓減の法則が働くことが判明しました。
どうやら1回のトレーニングをこなせばこなすほど効果は低くなり筋肉グループあたり11setを超えるとさらなる成長が見込めるかどうか不明瞭になるようです。つまり、腕の日の1set目よりも2set目のほうが効果はは低く、それが11setを超えると筋肉の成長に貢献しないジャンクボリュームになる可能性が出てくるようです。
そのため、週に1回腕の日を作って筋肉を追い込むのではなく毎日腕を少しずつ鍛えたほうが確実に成長します。
上腕二頭筋を鍛える最強種目の条件は「ヒジが伸びた位置で負荷があるコト」「肩関節を伸展させた状態を維持できること」そして「ニュートラルグリップ、または回内グリップでカールができること」
この3つを踏まえた最強種目はケーブルを使ったカールです。ベンチを90度にして座った状態でケーブルのヘッドをつかんでカールを行います。ベンチがない人はヒザ立ちで座った状態で行うのもいいでしょう。これには上腕二頭筋を効果的に鍛えるためのすべてが詰まっています。
重要なポイントとして腕を伸展させるとカールの軌道は上から下に引っ張る方向になります。横から引っ張ると腕を十分に伸展させられなかったりストレッチポジションで負荷がかからないようになってしまいます。おおよそ肩の高さ、またはそれよりも高い位置から引っ張るといいです。
家でトレーニングしている人やジムにケーブルがない人はダンベルのインクラインカールがおすすめです。ただしこの種目は座席が直角に近いと腕を下げたときに地面に対して垂直になって負荷が無くなってしまいます。
おすすめとして座席は15度程度、少し角度をつけるだけにしてカールをしましょう。
上腕三頭筋、最強種目の条件は「ヒジが曲がった位置で負荷があるコト」「肩関節を屈曲した状態を維持できること」です。上腕三頭筋最強種目はオーバーヘッドで行うトライセプスエクステンションです。
上腕三頭筋は手首にはまたがっていないためグリップはロープでもバーでも何でも構いません。注意点としてオーバーヘッドのトライセプスエクステンションでは横から引っ張るタイプをイメージする人が多いですが、これをするとヒジが90度になった段階で負荷が無くなってしまうため上腕三頭筋全体を最適に伸ばすことができません。
ケーブルは低い位置に設定して下から上に持ち上げるイメージが大事です。
家でトレーニングしている人やケーブルマシンがジムにない人はダンベルを使ってこれを行いましょう。
この種目をするとき「ヒジが痛くなる」という人も少なくありません。そういった人にパーカーフィットネスは2つのポイントをお伝えしています。まず最適なグリップを探してください。例えばストレートバーだとヒジが痛いけどロープに変えたら違和感が無くなったということも少なくありません。
自分にとってやりやすいグリップを探しましょう。
そして低負荷でトレーニングすることも安全性を高める方法です。低負荷で行うと関節や腱の負担を小さくできます。筋肉は低負荷でもトレーニングができることを示す十分な証拠があるので、この方法で筋肉の成長が犠牲になることはありません。
上腕二頭筋と上腕三頭筋を鍛えるときストレッチポジションでのトレーニングがカギとなることが研究によって一貫して示されています。この2つの部位についてストレッチをテーマにした研究は現在8件行われていますが筋肉の成長を確認した研究は6件で、残りの2つは同じ効果であるようにこのテクニックを使用してあなたが得をすることはあっても損をすることはありません。
必ず上腕二頭筋はじめ屈筋のトレーニングではヒジを伸ばし切ることを忘れないでください。ウエイトを下げるときに完全に力を抜くとヒジの故障や筋肉の成長にとってもよくありません。抵抗を感じながらゆっくりと戻しましょう。
上腕三頭筋のトレーニングでもヒジを90度曲がった位置で止める人もいますが、十分曲げてこの筋肉を伸ばしてください。
そして腕を鍛えるとき、スーパーセットは非常におすすめです。腕の屈筋と伸筋のように働きが反対の筋肉同士のスーパーセットは筋肉の成長を減らすことなくトレーニング時間の短縮が達成できる方法です。研究によるとこういった拮抗筋のスーパーセットはトレーニング時間を最大40%減らしながら同様の筋肉の成長が見込めることがわかっています。