この記事では科学的にはもはや支持されていないのにも関わらず今でもよく目にするトレーニングに関する5つのアドバイスを紹介します。
科学的な研究に基づいたデータをチェックしていない。自分のトレーニングを進化させたり、勉強する気がないトレーナーやインフルエンサーには未だにこれが筋肉の成長において効果的だと信じてるので注意してください。
この動画が少しでも皆さんのトレーニングの参考になったら是非高評価をお願いします。
ウエイトトレーニングにおいてアミノ酸サプリメントは絶対に必要ありません。トレーニング中に飲んでいるアミノ酸サプリメントはほとんどの人にとって超高額な味のついた水でしかありません。
科学詐欺師たちはこの商品を買わせるために、さもこのサプリメントやトレーニング中にアミノ酸を摂取することでメリットがあるように見せますが実はこのアミノ酸を肯定するデータは皆無といってもいいです。
アミノ酸はタンパク質が体内で分解されたものを指します。確かにトレーニングしている被験者にこのサプリメントを摂取させることで筋肉の成長や維持においてメリットを示すデータが数多くあります。
しかしこれらのデータを踏まえてもアミノ酸サプリメントが不要であることは疑いようがありません。
なぜならそもそもアミノ酸はタンパク質が分解されたものであるため、タンパク質さえ摂取していれば十分であるからです。つまり、タンパク質の豊富な食品やプロテインサプリメントさえ飲んでいればわざわざ高額、そして低品質で安価なアミノ酸バランスで構成された劣悪なアミノ酸サプリメントを買う必要がありません。
世界的な権威であるブラッドシェーンフェルド博士は全体的なたんぱく質摂取量が最適である場合、BCAAまたはEAAの補給が有益であることを示す証拠はありません。と主張しています。
そして、ほとんどの人は筋トレ中にアミノ酸を摂取することで特別なメリットがあり、筋肉の成長が促進されたり分解が抑制されると考えていますが筋トレ中にわざわざアミノ酸を飲む必要性はゼロといってもいいです。確かにデータでは筋トレ中のEAAやBCAAによってメリットを示すデータがありますが、これはタンパク質が不足している被験者がただ追加のアミノ酸を摂取したからメリットがあるだけでトレーニング中というタイミングが特別重要であるわけではありません。
そして、アミノ酸サプリメントのメリットについて、これはプロテインよりも吸収が速いといわれています。しかし、この理論には致命的な欠点があります。まずタンパク質はアミノ酸に分解されるため、アミノ酸を補給したほうが吸収が速いというのは理にかなっていますが、それを裏付ける証拠はあまりありません。
ここでふたつのデータを見てみましょう。2018年のナカヤマキョウスケらによって行われた研究では若い成人男性11人を12~15時間の断食を行わせて、一方のグループに加水分解されたホエイプロテイン、もうひとつにEAAアミノ酸サプリメントを与えました。
結果として両方のグループの血中アミノ酸濃度の上昇速度はほとんど同じであり、上昇量はEAAとプロテイン3.3gが最低であることがわかりました。
そしてもうひとつのデータサンプルとして2009年の研究では一般的なホエイプロテインと加水分解されたプロテイン45gで吸収速度の比較をしたところ両グループのスピードはほとんど同じであることを示しているため、menno henselmans博士はEAAブレンドサプリメントとホエイプロテイン全般の吸収速度は変わらないと回答しました。
つまり、理論的にはアミノ酸のほうが吸収が速いですが、それを裏付けるデータは非常に不足しています。
そして、そもそも吸収速度を気にするのもナンセンスです。同じくブラッドシェーンフェルド博士によるとたんぱく質摂取量が十分な人は筋肉の成長において吸収速度が速いとか遅いかを気にする必要はほとんどなく、代表的な寝る前にカゼインを飲むと吸収速度が遅いからいいという研究のほとんどもたんぱく質が不十分な被験者が対象であり、多くのトレーニーにとって参考になるような証拠はほとんどないようです。
吸収速度を気にする原因として空腹による筋分解を考えている人が多いですが、これも科学的根拠のない迷信です。信頼性の頂点にあるレビューでは複数のデータを分析したところ空腹状態で運動をしても筋肉は落ちないことを認めているため、よくある朝起きてすぐEAAをとらないと筋肉が落ちるということはまずありません。
筋肉の成長のために重要なことはタンパク質を十分に摂取すること。これができていればEAAやBCAAは不要です。トレーニング中にアミノ酸を摂取する意味もありません。これをすると筋肉の合成反応が促進されたり分解が抑制されると考えられていますが、トレーニング中というタイミング、そしてアミノ酸が特別であるということに科学的な裏付けは皆無です。
アミノ酸サプリメントを推奨するトレーナーはほとんどの場合、ただの無知かプロテインの下位互換であることをわかっていても黙っている詐欺師です。
筋肥大の代表的なテクニックであるバルクアップや増量は効率的に筋肉を増やすため頻繁に推奨されるテクニックではありますが研究結果はそれほど良くありません。
ボディビルダー、そして筋トレ中級者以上の人の中では筋肉を最短で構築するために増量やバルクアップ期間を作ることは珍しくありません。例えばロニーコールマンはこの期間に毎日6000kcalを摂取しており、このシーンを見て自分も同じようにしなければならないと思ったことがありますし、現在でもそう考えている人は少なくありません。
なぜ多くのカロリーを摂取する必要があるのか。2021年のメタ分析を見てみましょう。この研究ではエネルギー不足に陥っている被験者がトレーニングをした場合、筋肉の成長と筋力の向上にどのような影響があるかを調査した研究をまとめて分析しました。
その結果、筋力に関してはエネルギー不足であっても影響はほとんどないことがわかりましたが、筋肉の成長に関してはマイナスの影響があることがわかりました。
筋肉の成長や維持のためにはエネルギーが必要であるため、エネルギー不足の状態であることは筋肉を減少させたり筋肥大を妨げることは確かに理にかなっています。これは逆に考えると余剰カロリー、つまりエネルギーをたくさん摂るほど筋肉の成長にメリットがあると考えることができますが、科学的なデータはどのようなことを示しているでしょうか。
2002年の研究では被験者にウエイトトレーニングプログラムに加えて毎日400~500kcalのカロリー余剰を作る状態を8週間維持させたところ筋肉の成長が大幅に上昇したことを示しています。
ということは科学的な事実としてもカロリーの余剰を作ることは筋肉の成長を最大化させるように見えるため、増量期やバルクアップ期を作ってこの期間に大量の食事をとる人は珍しくありません。
ただし、これには注意点があります。最初に筋肉を構築するのにもエネルギーを使うためエネルギーが必要であることは確かで、不足すると筋肉量や筋肥大効果が減少する可能性がありますが、これは完璧な理論ではありません。
実際、最初のメタ分析ではエネルギー不足でもどれくらいの不足であったかが結果に大きな影響を与えていることがわかりました。大量のカロリーをカットしていた被験者は大きな減少がありましたが、毎日200~300kcalと少しののエネルギー不足を維持していた被験者は筋肉の維持や成長にほとんど悪い影響がなかったことを示しており、筋肉を増やしながら脂肪を減らすリコンプについてのレビューでも示されているようにエネルギー不足を維持しながら筋肉を成長させることが可能であることは数多くの研究によって証明されています。
つまり、カロリーが余ると筋肉サイズが増える、不足すると減るというのは必ずしもそうではないことがわかり、エネルギー不足が小さいとほとんどデメリットがないことがわかります。
そして、特に重要なポイントは余剰カロリーを作る増量やバルクアップの成功率というのは筋トレ経験に大きく依存します。プロナチュラルボディビルダー、そして研究者でもあるのエリックヘルムズ博士によるとバルクアップ期間のようにカロリー余剰を作ることのメリットは筋トレ初心者に特にメリットがあり、筋トレ経験によってどんどんその利点が減っていくようです。
2002年の先ほど紹介した研究でも被験者は筋肉の成長が大幅に上昇したことを示していますが、この被験者はすべて筋トレ経験が全くない初心者でした。
筋トレ初心者というのは筋肉が最も成長しやすい時期であり、逆に上級者になるほど獲得できる筋肉量は減っていく傾向にあるため、初心者時代の余剰カロリーは筋肉に変換されやすい傾向にあります。
それではナチュラルで筋トレ中級者、上級者の人は最大の筋肉の成長のために増量やバルクアップを行う必要があるのか。実はあまりありません。
2023年に行われた新しい研究ではトレーニング経験のある被験者が3つのグループに分けられました。ひとつは体重維持カロリーと同じだけ摂取して余剰カロリーのないMAINグループと5%の余剰を作るMODグループ、そして15%の余剰を作るHighグループに分け、ウエイトトレーニングを支持したところ、全てのグループで筋肥大効果に差がなかったことがわかりました。
唯一差があったのは増加した体脂肪量だけであり、余剰カロリーが多いほど体脂肪が増えていたことがわかり、研究者はカロリー余剰が筋肉ではなくほとんど脂肪に影響を与えることを結論付けました。
実は他のいくつかの研究でもこれと似たような現象が報告されています。というのもカロリーの数字というのは筋肉量よりも圧倒的に体脂肪量に影響し、これは筋トレ経験が豊富な人ほどこの傾向が強くなります。
トレーニング経験豊富な人の中には増量やバルクアップに非常に肯定的な人もいますが、それは脂肪によって大きくなった体を見てバルクアップが成功しているように感じている可能性が高いです。加えてこういった人は大量のカロリーを増量期に摂取して減量期には大幅なカロリーカットをする傾向にありますが、このサイクルは全体的に見ると筋肉量を減らしている可能性があります。
筋肉は中級者以上になると増えにくくなります。増量期、減量期のサイクルを作っている人に特に多いですが、極端な増量と減量を行います。
増量期に大量のカロリーを摂取すれば運が良ければ追加して筋肉はわずかに増える可能性があります。ただし同時に体脂肪が何倍も増えます。ここから大会前や夏の前に急激な減量を行うことで脂肪も大量に落ちますが、筋肉量もかなり落ちてしまうため、トータルで考えると増量期を作ることで筋肉量が減ってしまっているサイクルに陥る場合があります。
それよりも標準的な体脂肪率を維持して大会やオンシーズン前に2~3kgの減量を行ったほうが全体的に筋肉量を増やせているケースが非常に多いです。増量やバルクアップを完全に否定するつもりはありませんが、YoutubeやSNSにあるアドバイスの多くには注意が必要です。
それはステロイド使用者または初心者のみ当てはまり、体が大きくなったとしてもほとんどが脂肪であり筋肉の成長にとって何の価値もない期間、完全に時間の無駄になってしまうことがあります。体が細い人はコンプレックスのせいでこのアドバイスに飛びついてしまうことがありますが、我慢して少しずつ体重を増やしていった方が間違いなく近道です。
ほとんどの人にとって大量の余剰カロリーを作るバルクアップは不要であり、必要性が高いのはコンテスト後など非常に体脂肪率が低い状態の人。そして、トレーニング初心者かつ線がかなり細い人。こういった人は100kcal程度の余剰カロリーを作ると筋肉の成長が促進されることがあります。
ただ、裏を返すとこれに当てはまらない人に増量は不要です。鏡に映った自分が大きくなったように感じてもそれはただ太っただけです。
スクワットはサイドレイズよりも疲れる。
筋肉の回復には48時間かかるから高頻度で鍛えると回復できなくて成長しない。
こういった回復や疲労についてボディビルの常識では数多くの情報がありますが、これを話すほとんどの人は科学的な根拠を説明できず、先輩やボディビルダーから聞いた情報を調べもせず横流ししていることがほとんどです。
まず、筋肉の疲労。筋肉の回復時間について調べると48~72時間、つまり2~3日かかるとすぐに出てくるため高頻度は筋肉が回復する前に鍛えてしまうから筋肉が成長しないとよく言われます。パーカーフィットネスは高頻度で筋肉を鍛える全身トレーニングを推奨していますが、これに関して「そんなに高頻度で鍛えたら回復できない」と批判されることが良くあります。
加えてこの理論を基に、ウエイトトレーニングでは2~3日に1回鍛えるルーティン、プッシュプルレッグなどの各筋肉週2~3回がベストだと考えている人も少なくありません。
しかし、この筋肉の回復についての数字についての具体的な根拠は全くないことがほとんどです。
2013年の研究では30人の男性を24時間グループと48~72時間グループに分けました。被験者はレッグプレス、ラットプルダウン、ショルダープレスなどの全身トレーニングを週3回実行しました。48~72時間グループは全身トレーニングを月水金で行い、24時間グループは全身トレーニングを月火水で行いました。被験者間の栄養摂取パターンは類似していたため、栄養摂取によって回復能力に差が出たという可能性はありません。
結果として筋力アップ効果はどの種目もほとんど同じであり、除脂肪体重の上がり方も休憩時間が24時間でも48時間以上でも変わらないことを示しています。ポルトガルで行われた同じような研究でも24時間の休憩と48~72時間の休憩では筋力、筋肥大ともに変わらなかったことを示しています。
そのため、「筋肉の回復には数日かかる」「高頻度トレーニングには回復に問題がある」というのは科学的な根拠は非常に乏しく、おそらくですがこれは分割トレーニング支持者や高頻度トレーニングを認めたくない側のそうであってほしいという考えから出た情報だと思います。筋肉の回復には長くても24時間あれば十分です。
そして、神経の疲労も同様です。中枢神経の疲労、CNS疲労と呼ばれますが、これは脳と脊髄で発生します。これが疲労するとCNSが筋肉に適切な指示を与えられなくなり、筋肉を活性化することが困難になります。
ただしこのCNS疲労には多くの誤解があります。
最も大きなものは筋肉の回復よりも時間がかかるということ。実はCNSの回復は非常に短い時間しかかかりません。
2016年の研究ではウエイトトレーニング後のCNS疲労から回復するまでの時間を調査したところ回復にかかる時間がわかりました。疲労から戻るのに何日かかったと思いますか?
CNSが回復するまでにかかった時間は20分であり、そのうち10分間でほとんど回復していることがわかりました。
1週間かかる、筋肉は回復できていても回復できていないから今日はMAX重量に挑戦しないほうが良いというアドバイスに示されているように神経疲労というのは過大評価されていますが、実際は何日ではなく何分といった分単位であることがほとんどです。
筋肉の疲労や神経の疲労についての情報はほとんどがかなりオーバーに捉えられています。
ほとんどの人にとってウエイトトレーニングの筋肉への疲労や神経系の疲労など肉体的なオーバートレーニングを心配する必要がありません。ウエイトトレーニングのモチベーションが高く、パフォーマンスが落ちていない、関節が痛い。この3つの問題がなければ疲労を考慮してトレーニングを変更させたり鍛えない部位を作るなど無意味なオフを作る必要はありません。
科学が全く指示していない時代遅れのトレーニングアドバイスは、エキセントリックに集中してゆっくりウエイトを下げたり、爆発的なスピードでウエイトを持ち上げること。特にこれは腕立て伏せで多いですが、これをしても筋肉の成長が促進されたりマンネリ打破によって停滞していた筋肉の成長が変わることはありません。
2016年のうすいらによって行われた研究では被験者にバックスクワットを支持し、1repに2秒かかる通常速度グループと6秒かかる低速グループに分けたところ、被験者の大腿四頭筋は低速グループで大幅な成長がみられました。
つまり、トレーニングではゆっくり行ったほうが筋肉が成長することを示しています。これは現実的なトレーニング、視聴者の皆さんに当てはまるでしょうか。いいえ、当てはまりません。
この研究は両グループが同じ重量同じ回数になるように設計されていました。普通に考えると低速で行ったほうが筋肉にかかる緊張が長いため回数や重量は落ちるはずです。つまり通常グループは低速グループと同じ回数になるように手を抜いていたことになります。
筋肉の成長を最大化するためには限界まで追い込む必要はありませんがそれに近いレベルまで追い込む必要があるため、通常グループは明らかに追い込み不足である可能性が高いです。
それではお互いに潰れるまで行った研究ではどうでしょうか。
2021年の比較的新しい研究では被験者にレッグエクステンショントレーニングを指示し、片方の脚を2秒、もう片方を6秒に分けました。同じ被験者の脚で秒数を分けているため、個人差などに影響しづらい結果が得られます。被験者はレッグエクステンションを1RMの50~60%で潰れるまで実行したところ、両グループに追加された大腿四頭筋の筋肉は同様でした。
つまり、努力量を同じにした場合テンポは筋肉の成長に影響を与えない可能性を示しています。
ウエイトを持ち上げるテンポについて調査を行ったレビューが最近2つ出版されました。筋肉を鍛えるためのテンポに関するあらゆる研究に基づくと1repにかかる時間が02~8秒程度であればおそらく問題がないことがわかっています。(Reaview1 Reaview2)
そしていくつかのデータを基にするとボトムポジション、つまりウエイトを最大まで下げたときに一時停止して、下げる動作が持ち上げる動作よりも遅いと筋肉の成長が促進される可能性も示されています。
すなわちウエイトを持ち上げるテンポによって筋肉の成長が促進されたり、早い腕立て伏せとゆっくりの腕立て伏せが別の種目である。テンポを変えるとマンネリ打破ということもありません。
よくあるミスがエキセントリックフェーズで完全に力を抜いてしまうことです。確かにこれをすればたくさんの回数をこなせる可能性が高いですが、それはむしろ筋肉の成長を妨げてしまうことになります。
テンポを変えるというテクニックのほぼすべては何の意味もありません。
トレーニングはじめ運動でケガを予防し、パフォーマンスを向上させるために筋トレ前にウォームアップをする。トレーニングが終わったらクールダウンをすると効果的というのは広く知られています。
実際、ほとんどのスポーツクラブや部活動ではこのルーティンが取り入れられていますが、実はこのウォームアップやクールダウンについて科学的な証拠はあまり肯定的ではありません。
2018年のレビューでは運動後のクールダウンについて調査を行いました。この調査ではスプリントや垂直跳びといったウエイトトレーニングと非常に近い高強度運動後のクールダウンの効果について複数の研究を調査しました。
結果として低強度のジョギングや水泳など能動的なクールダウンとストレッチのような受動的なクールダウン両方ともパフォーマンスやケガの予防についてほとんど効果がなかったことがわかりました。
マラソンや遠泳などの持久力トレーニングについてのクールダウンの必要性は不明ですが、少なくともウエイトトレーニングでのクールダウンはほとんどメリットがありません。
ほとんどの人は今までの常識として「一度動かした筋肉を冷やすのは良くない」と考えています。
確かに動かした筋肉を急激に冷やすのはよくありません。例えば一般的に知られているアイスバスのようなクールダウンは筋タンパク合成を阻害し、筋肉の成長を妨げたり、パフォーマンスや回復能力にもメリットがないことがわかっています。
しかし、ウエイトを持ち上げてそこで運動をやめたとしてもそこで一気に冷やされるわけではありません。これは出来上がった料理をテーブルにおいて放置してもすぐに凍り付くわけではなく徐々に冷めていくのと同じです。つまり、クールダウンをしなくてもゆっくり冷めていくため問題はなく、加えてトレーニング後にストレッチをしても回復が促進されたりケガを予防できるという証拠はほとんどありません。
ウォームアップもこれと同様です。ストレッチ自体ケガを予防したりパフォーマンスを向上させるという証拠はほとんどないためトレーニング前のストレッチは必要ありません。
しかし、ウォームアップはクールダウン程無駄というわけではありません。十分なデータによって示されている通り冷たく硬直した筋肉は断裂しやすくケガのリスクが高いことがわかっています。とはいえこの作業に長い時間をかける必要はありません。
2025年の5月30日に公開された非常に最新の研究では経験豊富な29人のトレーニーにスミスマシンベンチプレスとレッグプレスのパフォーマンスとウォームアップについての影響を調べました。被験者は1RMの75%を潰れるまで持ち上げる本番セットの前に
1.同じ重量を3~4rep持ち上げるグループ。1RMの75%はおおよそ10rep出来る負荷であるため3~4repで終わらせるのは十分余力を残しているといえます。
2.1RMの55%と75%で3~4rep持ち上げる合計2セットのウォームアップ
3.ウォームアップセットナシのグループ
結果としてウォームアップセットを行ってもこの準備を一切しないグループとパフォーマンスは大きく変わらないことがわかりました。
例えばベンチプレス100kgを持ち上げる前に90kgを持ち上げれば100kgが軽く感じると思います。ただ、実際何回持ち上げられたかを数値化してみると実はほとんど変わっておらず、むしろ90kgの疲労で回数が落ちている場合すらあります。ただし、誤解しないでいただきたいのですが、ウォームアップは全く役に立たず、時間の無駄というわけではありません。
科学的なデータが示していることはおそらく筋トレの準備に長い時間をかけることはあまり意味がないということです。
クールダウンについてはその方法で実際に効果を感じられている場合を除いて基本的にやらなくていいです。そして、ウォームアップについては数分程度の動的ストレッチで十分であり、少なくともその種目のウォームアップセットというのは必要ありません。
これにたくさんの時間をかけるのはあまり意味がありません。