外見を変えるために一番鍛えると良い筋肉はどこですか。
大胸筋? 広背筋? 大腿四頭筋? いいえ、間違いなく前腕です。
特に夏などTシャツを着ているときは上半身で露出する筋肉は前腕くらいで、前腕を集中的に鍛えるトレーニングを行うことで腕の外見を大きく変えることができます。
しかし、皆さん一度は聞いたことありませんか。
前腕は懸垂やデッドリフトなどをしていれば自然に鍛えられる。前腕だけを集中的に鍛えるトレーニングは必要ない。
こんなこと聞いたことがあると思います。
確かに遺伝的な要素であったり、仕事やプライベートで前腕をよく使う人は自然に前腕が成長する可能性があり、それだけでも十分かもしれません。
例えば手首のすぐ下にある長掌筋は全ての人が持っているわけではありません。指を束ねて手首を曲げることでその存在を確認することができますが、研究によるとこの筋肉が両方の手首になかったり、片方にしかないという人もいます。
ただし、2004年の研究では被験者にベンチプレスをはじめとした一般的な全身トレーニングに加えて、リストカールなど前腕を直接的に狙った種目を取り入れると前腕に大きなメリットがあったことがわかっているように前腕をターゲットにしたトレーニングを追加することで筋肉量や筋力が大幅に向上します。
前腕トレーニングは一見地味で全員が狙って鍛えている部位ではありませんが、これをやると腕の見た目は劇的に改善されます。
しかし、前腕を鍛えようと思っても前腕にはどんな筋肉があるのか。どうやって鍛えればいいのかを知らない人がほとんどです。実際、研究者のmenno henselmans博士は前腕のトレーニングは費用対効果が低いというように実は解剖学的にほとんど意味のない鍛え方だったり、かなり非効率的なトレーニングをして筋肥大のチャンスを逃している人も少なくありません。
この動画では科学的なデータや専門家のアドバイスなどを基に最短で前腕を発達させる方法について紹介します。この動画が少しでも参考になったら是非高評価をお願いします。
milo wolf博士が答えているように人間の指は非常に複雑に動くため、前腕にある筋肉もかなり複雑です。解剖学的にはヒジから手首にある筋肉を前腕と定義すると最低でも20種類の筋肉があるといわれています。
しかし、前腕にある筋肉は主に2つのタイプしかありません。手首と指を屈曲させる屈筋群と手首と指を伸展させる伸筋群です。分かりやすく言うと手のひら側が屈筋群であり、手の甲側、日焼けしやすいほうが伸筋群です。
この筋肉は意識していなくてもほとんどのトレーニングで機械的な緊張を受け取っています。例えばサイドレイズ中には手首が下がってしまわないように一直線にしますが、これによって伸筋は負荷がかかり成長する可能性があります。
wolf博士によると屈筋は伸筋の2倍の大きさがあるようです。筋肉は足し算ではなく掛け算で何パーセントずつ増えていくため、大きな筋肉を鍛えたほうが増えるサイズも大きくなります。
これに加えて、腕橈骨筋という筋肉も前腕として考えられることがあります。前腕をヒジから手首にまたがる筋肉と定義すると腕橈骨筋は前腕ではありませんが、外見的にもヒジのすぐ下にある筋肉であるため前腕と考えていいでしょう。
実際、上半身の筋肉サイズについて調べた研究では右側のほとんどは前腕の筋肉ですが、屈筋の深指屈筋と浅指屈筋はかなり巨大な筋肉であることがわかります。
前腕の筋肉は屈筋と伸筋、そして腕橈骨筋の3つを抑えればOKですが、この筋肉はどのように鍛えればいいでしょうか。
ここからは本当に効果的な前腕の鍛え方について紹介します。紹介するデータのほぼすべては科学的に裏付けられたものでパーカーフィットネスの個人的な感想だったり、ボディビルダーのトレーニング法を右から左に流しているような情報でもありません。
前腕を最短で発達させたい人は必ず見てください。
トレーニング種目や鍛え方を知る前になぜ前腕は他のトレーニングでも負荷がかかっているのに成長しにくく、リストカールなど直接的に狙う種目を入れたほうが成長するのでしょうか。実はベンチプレス、デッドリフト、懸垂で前腕に負荷がかかっていることは真実ですが、これらの種目によって前腕が成長することはほとんどありません。
この原因は簡単に言うと追い込みです。例えば前腕と同じく腹筋もスクワットなどで働くため直接的に鍛える必要がないといわれますが、スクワットで腹筋が成長するとは非常に考えにくいです。確かにスクワット中に腹筋に力はかかっていますが、その量はごくわずかで、そもそもスクワット中に腹筋が辛くて持ち上げられなくなる人はいません。
これと同じで懸垂中に前腕が疲れて上がらなくなる人もほとんどいません。もし懸垂で前腕が疲れて持ち上がらなくなるならそれは背中トレーニングにそもそもなっていないのでストラップをするなど改善するべきです。限界から遠すぎるトレーニングは筋肉の成長効果がかなり低いことがわかっているため、このように前腕に負荷はかかっていても成長するほどの負荷がかかっていることはないでしょう。
前腕を鍛えて成長させるためには必ず前腕を直接的に狙うトレーニングが必要です。
前腕を効果的に鍛える代表的な種目はリバースグリップのバーベル、ダンベルカールです。いくつかの解剖学的なデータに基づくと手のひらを下にした回内グリップでカールをすると腕橈骨筋や前腕にある伸筋がより活動する可能性があることを示しています。
しかし、残念ながらこれらのデータはリバースグリップにすることで前腕が効果的に鍛えられるデータを示すものではなく、理論的にはそうなることを裏付けたデータであるだけです。
最近の研究では実際の筋肉の成長効果や筋肉の活動を調査するとグリップによって腕の筋肉の活動が変化することがほとんどないことがわかっています。menno henselmans博士も「リバースグリップにすることで上腕二頭筋が活動しなくなったり前腕の活動が増えたりするという情報に一貫性はなく、リバースグリップが前腕にとって優れているとは言えない」と指摘しています。
そのため、科学的な事実に基づくと手のひらを上にした一般的なカールも、ハンマーカールのようなニュートラルグリップのカールもリバースグリップのカールも上腕二頭筋はじめ前腕の筋肉の活動はほとんど同じです。
前腕の屈筋は指と手首に関わる筋肉であるため、握力トレーニングやフォーマーズウォークなどのグリップトレーニングをするのが一般的ですが、これらのトレーニングは筋肉の成長を制限する要因があります。
近年の科学的データでは一貫してストレッチポジションのような筋肉が伸びた位置で負荷をかけることで筋肉の成長が大幅に向上することを示しています。実はトレーニングで筋肉に一番機械的な緊張がかかるのはストレッチポジションです。
10年以上前のブラッドシェーンフェルド博士が行った科学的調査では機械的な緊張のほかに筋肉の成長には筋肉の損傷や化学的ストレスが必要と示されていますが、その後のレビューで筋肉の損傷や化学的ストレスは筋肉の成長にはほとんど役に立たず、博士自身この調査結果が間違っていることを認めているため、この2つをトレーニングで意識するのは無意味です。
ファーマーズウォークなどウエイトを握った状態を維持するトレーニングは屈筋のストレッチポジションがなく、先ほど紹介したリバースグリップカールでもストレッチポジションで負荷がないため、科学的なデータを見るとこの種目の筋肥大効果はかなり低いことが予想できます。
そして、前腕の屈筋、伸筋は手首と指の二関節筋であるため握力トレーニングで手を広げたときある程度屈筋は伸ばされますが手首は中立的な位置に配置され、負荷もないため屈筋が適切に伸ばされません。最近行われたレッグエクステンションの研究にも示されているように、これは筋肉の成長効果を大きく減らす可能性があります。
前腕の鍛え方について一般的な常識や代表的な種目が正しく、効果的な種目というわけではありません。ウエイトの持ち方によって大きな差が出ることはなく、代表的な種目のほとんどはストレッチポジションで致命的な欠点があります。
ここからは正しく前腕を狙う方法と絶対やるべきおすすめのトレーニング種目を紹介します。
最初は前腕の屈筋を狙う方法です。この筋肉を効果的に鍛えるためにはストレッチポジションで手首を伸展させて指を伸ばす必要があります。一般的にはこの筋肉を鍛えるときはダンベルを握った状態で行うリストカールが代表的ですがwolf博士が指摘しているように握りこんだ状態を維持することは筋肉のストレッチを減らし、筋肥大の制限要因になりえます。
ストレッチポジションで手首を伸展させるのと同時に指を開いてダンベルを転がすと前腕の屈筋を最大限伸ばすことができます。ファットグリップを使用すると指がやや広がるため一般的なリストカールよりも筋肉が伸ばされますが、このやり方のほうが効果的です。
伸筋はこれとは逆の運動です。複数の科学的なデータを見るとストレッチポジションで手首を屈曲させて指を曲げることが理想です。これはリバースグリップのリストカールをするのがベストでしょう。先ほど紹介したようにリバースグリップにすること自体に生体力学的な意味はありませんが、回内グリップにすると伸筋の運動に負荷がかかるようになります。
腕橈骨筋も伸筋と同じくリバースグリップにしたりニュートラルグリップにする意味はほとんどありません。実際こっちのほうが効くという人もいると思いますが、人間は機械的な緊張を正確に知ることは出来ず、効いてる感覚というのは筋肉のパンプ感や収縮感に基づいていることが多いです。しかしパンプ感は筋肉の成長にはほとんど役に立たず、筋肉の収縮も最近の研究で重要ではないことがわかっているように効くというのはトレーニングの重要な指標ではありません。
腕橈骨筋は複数の運動にかかわりますが、2008年の臨床試験に示されているようにこの筋肉が働く運動はほとんどがヒジ関節の屈曲であり、上腕二頭筋とほとんど同じです。実際、研究でも一般的な手首を回外した状態で行うバーベルカールとニュートラルグリップのような半回外グリップでは腕橈骨筋の筋活動にほとんど差がないことを示しています。つまり、意外かもしれませんが、上腕二頭筋にとって理想的な種目はほとんど腕橈骨筋にとっても理想的です。
それではここからは実際の前腕、屈筋、伸筋、腕橈骨筋を鍛える最強のトレーニング種目とおすすめのメニューを紹介します。
この筋肉を効果的に鍛えたい人が絶対に知っておくべきトレーニング法はロングレングスパーシャル法です。
最近の科学的なデータではストレッチ可動域と収縮可動域を行うFullROMよりもストレッチ可動域のみを行うロングレングスパーシャルのほうが筋肉の成長効果が高いことを示しており、これについてのwolf博士が行ったレビューは2023年の最優秀記事に選ばれています。
前腕の屈筋を鍛えるためには指を開いて手首を伸展させることが重要です。ケーブルを使用したリストカールはおそらく前腕を鍛えるうえで理想的な種目です。まずストレートバーを使用してバーが自分の指先に来る位置に置きます。
ここから手首と前腕が一直線になるまで持ち上げます。このやり方をすると狭い可動域でトレーニングすることになり収縮可動域がカットされますが、ロングレングスパーシャルの科学的データを見るとこれは筋肉の成長に何の問題もないことがわかります。
伸筋はこれとは逆です。バーを握りこんでストレッチポジションで手首を屈曲させます。ポイントとしてこのトレーニング中に腕が負荷に負けて下に引っ張られてしまうことがあります。これをすると手首の屈曲量が減ってストレッチポジションでかかる負荷が減るため必ず最低でも前腕は水平に保つようにしてください。
バーは握りこんだ状態で伸筋が伸ばされるため、この状態を維持して手首を使って持ち上げましょう。
前腕の屈筋と伸筋は拮抗筋と呼ばれる対となる筋肉です。例えば屈筋が収縮する運動は伸筋にとってストレッチする運動でありその逆でもあります。拮抗筋を鍛えるときはスーパーセットがおすすめです。
例えばある研究ではベンチプレスとベントオーバーロウを3setずつ順番に行うグループと休憩をほとんどなしで交互に行うグループでは休憩がなかったにもかかわらず交互に行ったグループは半分以下のトレーニング時間かつパフォーマンスが高いことがわかりました。
そのため、屈筋と伸筋を交互に鍛えると休憩なしでも高いパフォーマンスが発揮できるためトレーニングVOLを犠牲にすることなく短い時間でトレーニングを終わらせることができます。可能な人はこのスーパーセットを積極的に取り入れてみてください。
そして腕橈骨筋を鍛えるときは上腕二頭筋にとって理想的な種目が最適です。複数の二関節筋のデータを基にすると腕を後ろに引いたケーブルカールが理想的です。これは肩関節とヒジ関節を利用して上腕二頭筋を最適に伸ばしますが、腕橈骨筋は肩関節にはまたがらないため、腕橈骨筋のみに注目すると腕を後ろに引く意味はないためプリチャーカールのように腕を前に出しても問題はないと思いますが、間違いなく重要なのはヒジが伸びたときに上腕二頭筋に負荷がかかることです。
一般的な直立カールはじめ多くのカールはこの位置で負荷がないため筋肉の成長効果がかなり低いです。
ちなみに腕橈骨筋や上腕二頭筋は上腕三頭筋と拮抗筋であるため、上腕三頭筋トレーニングのスーパーセットが可能です。
筋肉は高頻度で鍛えるほど成長しやすいことがわかっているため、ジムに行ったり家で筋トレするたびにこの筋肉を鍛えましょう。毎日2~3setずつでもいいので前腕を鍛えるとかなり成長しやすくなります。他のトレーニングへの影響を考えるとトレーニングの終盤に行うのがいいでしょう。
拮抗筋のスーパーセットをやれば5分もかからないと思うのでトレーニングのラストにやってみてください。高回数でトレーニングすると高いボリュームと毛細血管とミトコンドリアを強化できるため筋肉の成長にかなり大きなメリットがあります。
パーカーフィットネスのおすすめとしては30rep近い回数で限界までやるトレーニングをするとかなり短い時間で筋肉を成長させられると思います。
スピードをつけて素早くやるよりもコントロールさせながら1rep2〜3秒は最低でもかけるのが効果的です。特にストレッチポジションで筋肉が十分伸びているか確認するのは非常に重要です。前腕を効果的な方法で鍛えると短期間で腕の外見を成長させることができます。