2024年の5月にあるトレーニング法を調査したが発表されました。この動画ではその最新データで裏付けられたトレーニング効率を爆発的に上昇させる方法を紹介します。この記事が少しでも参考になったら是非高評価をお願いします。
2024年の5月24日に公開された新しい研究では23人の男性被験者がステップに脚を乗せた片脚スミスマシンカーフレイズを行いました。全ての被験者は最大可動域を行い、足首が最も屈曲した状態から最も伸展する状態までを10~20rep行い、これを限界まで行います。限界というのは最大限の努力をしたにもかかわらず、実行できないレベルまで達することを意味し、分かりやすく言うと潰れるまでです。
全ての被験者はカーフレイズ中に足首が最大まで伸展する直前で限界に達しました。
これは視聴者の皆さんの感覚としてもわかると思います。フルレンジモーションでトレーニングをする際、限界に達するのは筋肉が収縮するポジション。レッグエクステンションではヒザがロックする寸前、チェストフライでも腕が完全に閉じ切る位置で潰れることがほとんどであり、可動域も狭いものよりも広いもののほうがハードになります。
逆に言うとストレッチポジションは完全可動域と比べて簡単であることが考えられます。被験者は片脚では最大可動域を潰れるまで行いましたが、もう片方の脚はこの限界から最大屈曲から90度、簡単に言うと一番ストレッチした状態から地面に立っている状態のようにつま先が水平になる位置までの最大可動域のおおよそ半分の可動域で行うセットを休憩なしですぐに追加しました。
実際、何人かの被験者はこのつま先が水平になる位置までカーフレイズを行うことができませんでしたが、大半の被験者は最大可動域でのカーフレイズが出来なくなった直後でも可動域を狭くしたカーフレイズを実行することが可能でした。
研究者はこのストレッチ可動域のパーシャルレップを最大可動域でのカーフレイズと同じだけの回数をやるように指示しました。
研究で実行されたトレーニングメニューはこのカーフレイズを10週間行い、最初の5週で1回3set、最後の5週で1回4setで週に2回トレーニングであり、研究期間後、腓腹筋の内側のサイズを測定しました。
結果としてこのスーパーセットを実行した被験者は最大可動域のトレーニングで終了させた被験者の43.3%もふくらはぎの筋肉を成長させていることがわかりました。
ここまで見て、この研究やこの動画の内容を全て分かった気になって動画を閉じないでください。この研究にはいくつか議論の余地があります。
この研究で対象となった被験者はすべて筋トレ未経験者でした。トレーニング経験によって筋トレのやり方が180度変わるということはありませんが、トレーニングレベルは研究結果に大きな影響を及ぼす可能性があります。
こ記事の最初にも話した通り、これはロングレングスパーシャルを使用したスーパーセットを研究した初めての研究です。つまり、カーフレイズ以外の研究は皆無です。
単純にボリュームが違います。ボリュームというのはセット数、レップ数、そして重量をかけたもので、これは勉強時間とテスト結果だと考えてください。勉強時間が長ければ必ずしもテストの結果がいいわけではありませんが、勉強時間が長いほどテストの成績は良くなる傾向にあります。
最大可動域でのカーフレイズ後にストレッチ可動域のパーシャルレップを行った脚はボリュームの観点から見てもトレーニング量を追加しているため、より筋肉が成長するのは当然とも考えられます。
最新のデータでは被験者は両脚を最大可動域で限界までスタンディングのスミスマシンカーフレイズを行いました。しかし、片方の脚だけ直後にストレッチ可動域のパーシャルレップを同じ回数行っており、それを行った脚は40%以上トレーニング効果が高いことを示しています。
被験者は片脚ずつでトレーニング効果を比較したため、この研究結果が個人差や栄養摂取によってゆがむ可能性が考えにくく、ほとんどの人に当てはまる可能性があります。
ここでパーカーフィットネスの動画を初めて見た人は「狭い可動域なのに何で筋肥大するの」と思う人もいると思います。
本格的なボディビルコンテストが始まって100年近くがたとうとしていますが、今までの常識として筋肉の成長には全可動域、FullRangeOfMotionが最適だと考えられてきました。ダンベルカールではヒジを最大まで伸ばしてからこれ以上曲がらない限界まで曲げて、スクワットでは深くしゃがんでからヒザがロックするまで伸ばすことが正しいとされてきました。
しかし、ここ数年の間でこれを揺るがす「ロングレングスパーシャル」について多くのデータが発表されています。
きっかけは筋肉が伸びる状態、ストレッチポジションが筋肉の成長にとって最も重要であることが判明したことです。プリチャーカールを例にするとこの位置が筋肉の成長の多くを占めているということになります。ということは、トレーニングするときは筋肉を収縮させる可動域は重要ではなく、ストレッチ可動域のみを行ったほうが筋肉が成長する可能性もあることが予想できます。
研究者がこれを調査してみると驚くべきことがわかりました。全可動域フルロムと部分可動域ロングレングスパーシャルの比較を行ったところ5件中4件がロングレングスパーシャルのほうが有利であることを示しました。
その一部を紹介するとレッグエクステンションを収縮可動域、ストレッチ可動域、全可動域の3つで比較を行ったところストレッチ可動域のみを行った被験者のほうが大腿四頭筋の成長が確認されました。
実際、最も説得力のある最新のメタ分析でもこのトレーニングの効果が保証されています。そしてこれは他の部位でも同じように効果がある可能性が高いです。
これを考えるとストレッチ可動域であればパーシャルレップでも筋肉の成長効果は高いことが考えられます。そして、このスーパーセットの筋肥大効果はカーフのみに起こるものではなく全身の筋肉のほとんどに当てはまる可能性が高いです。
ただし、ここで重要なポイントはスーパーセットの必要性です。新しいデータでは全可動域を限界まで行った後にロングレングスパーシャルのようなストレッチ可動域のパーシャルレップを行いました。
勘のいい視聴者の方なら「最初からストレッチ可動域のパーシャルレップでよくないか」と考える人もいると思います。
ここで最新のデータとの比較を行います。ではレッグプレスマシンを使用したカーフレイズで収縮可動域、全可動域、ストレッチ可動域の3つで比較を行いました。この研究はスーパーセットを使用せず特定の可動域を限界まで行いましたが、結果は予想通りストレッチ可動域のみを行ったカーフレイズグループのほうが優れていました。
最新のデータは筋トレ経験のない男性で週に2回10週間トレーニングを行い、1回のトレーニングで3~4set行います。そして先程の研究は筋トレ経験のない女性で週に3回8週間で3setトレーニングを行いました。
お互いに種目やセット数などのトレーニング変数が若干違うため、完璧な比較ではありませんが、最新のデータは+43.3%全可動域を上回りましたが、2023年の研究は+126.9%全可動域を上回りました。
これを考えるとスーパーセットよりも最初からストレッチ可動域のパーシャルレップでトレーニングをしたほうが効果的かもしれません。しかし、これは明らかに研究不足であり、先ほど話したように完璧な比較ではないため100%信じてはいけません。
それではどんなトレーニングをすればいいのか。次のチャプターで解説します。
最新の研究データに関わらずここ数年で公開された研究では全可動域だけを行うよりもストレッチ可動域のみのパーシャルレップでトレーニングしたほうが筋肉が成長する可能性が高いことを示しています。
この研究ではFullROM後のロングレングスパーシャルを使用したスーパーセットを取り入れると筋肉の成長効果が大幅に上がったことを示していますが、必ずしもそのやり方でないといけないとは思えません。最初からロングレングスパーシャルで限界までトレーニングしたほうが効果的である可能性もあります。
とはいってもまだ研究は十分ではありませんが、まず間違いなく言えることはストレッチポジションを過小評価するべきではないということです。一部の無知なトレーナーやボディビルダーのトレーニングアドバイスには「こっちのほうが効く」という理由でトレーニング種目やトレーニングテクニックを判断することがあります。
確かに収縮ポジションというのはカーフレイズの研究にも示されているように一番キツイと感じる位置であるためを集中的にやれば達成感はあるかもしれませんが、ストレッチポジションをカットするのは筋肉の成長を目指す人にとっては論外です。
そのため、必ずストレッチポジションで負荷のかかる種目を行いましょう。プリチャーカールならヒジが伸びるまで行って、ダンベルのサイドレイズはストレッチポジションで三角筋中部に負荷がかからないためケーブルを使用しましょう。
そして、ロングレングスパーシャルについてストレッチポジションで負荷のある種目とない種目では明らかにストレッチポジションで負荷のかかる種目のほうが筋肉が成長する可能性が高く、これは大量の研究で示されています。
しかし、そこだけをやればいいかについては議論の余地がまだあります。先日SNSで質問をいただきましたが、トレーニング効果についてはFullROM≦Long Length Partialであるため、ロングレングスパーシャルとFullROMに差がない可能性もあるため、両方取り入れるのが最もおすすめです。
効果的な方法はセットによって使い分けることです。最新のデータでは全可動域が限界に達した直後にストレッチ可動域に切り替えるトレーニングメニューでしたがこういったトレーニングはそもそも効果的ではなく、加えて筋肉を過度に損傷させる可能性があります。
筋肉は傷つけるほど成長するという超回復理論に科学的根拠はほとんどなく、いくつかの研究では筋肉を損傷させると獲得できる筋肉量が減ることを示しています。ドロップセットや同じ部位のスーパーセットのように休憩なしで連続で鍛えるトレーニングは筋肉の損傷が特に大きいため、積極的に取り入れるとトレーニング効果を大きく低下させる可能性が高いでしょう。
効果的に鍛える方法として、前半に全可動域でトレーニングを行って以降はロングレングスパーシャルに切り替えます。ダンベルベンチプレス4setなら1~2set目はストレッチから収縮までの全可動域を行いますが、それ以降はロングレングスパーシャルを行うと筋肉の成長が最大化される可能性があります。
パーカーフィットネスが気に入っているやり方は1set目にフルレンジモーションで行って、それ以降のセットはロングレングスパーシャルに切り替えます。
ロングレングスパーシャルに切り替えることで難易度がかなり下がるため、このトレーニング法をすればダンベルの重さを1set毎に変える必要がありません。例えば全てのセットを全可動域で10repのトレーニングをするとします。20kgのダンベルベンチプレスを行うと後半のセットでは同じ重量で目標の回数を持ち上げられないことがあるため、ダンベルの重量を下げる必要があります。このダンベルの切り替えが結構面倒なことがありますが、途中でロングレングスパーシャルに切り替えることでずっと同じ重量のダンベルを使用しながら効果的なトレーニングが可能です。