背中の広がりも重要ですが厚みを構築する筋肉を作ると背中の凹凸ができ、影ができることによって後ろから見た外見が大きく変わります。しかし、一生懸命トレーニングしているのに背中が厚くならない人もいれば数か月で背中のサイズが見違えて増える人もいます。
この差は背中の鍛え方によっておこる差です。背中の厚みを構築する筋肉の性質を理解していないと一生懸命トレーニングしても筋肉はなかなか成長しませんが、逆に正しく鍛えれば短期間でかなりデカくなります。この動画では科学的な根拠、そして専門家のインタビューなどを基に背中の厚みの鍛え方、最強種目について紹介します。
最後まで見てこの記事がいいと思っていただけたら是非高評価をお願いします。
僧帽筋には上部もありますが、この筋肉はMRI測定を行った研究によると僧帽筋の上部は首の筋肉の大部分を占める筋肉であることがわかっているため、僧帽筋の上部は首、中部と下部は背中と考えるのが理にかなっています。
僧帽筋の上部は肩をすくませる肩甲骨の挙上、中部は肩甲骨を寄せる内転、下部は下に下げる下制に加えて中部と同じく内転の2つによって働きます。
三角筋後部は腕を外側に開く肩関節の水平外転。脊柱起立筋は腹筋トレーニングの逆、背中を反らす脊椎の伸展が代表的な運動です。三角筋後部は水平外転だけではなく伸展にも働きますが、いくつかの科学的なデータを基にすると伸展よりも水平外転のほうがこの筋肉を活性化できるようです。
背中の厚みを鍛えるときは肩甲骨の内転、肩関節の水平外転、脊椎の伸展この3つを意識しながら鍛えると解剖学的な筋肉の働きにのっとった鍛え方になるため筋肉の出力を最大化し筋肉を効率的に成長させます。
特に三角筋の後部と僧帽筋は背中の厚みを作るうえで非常に重要であり、脊柱起立筋はスクワットなどの下半身トレーニングでかなり強く活性化されています。外見的にはこの2つの筋肉の凹凸は背中の外見を大きく左右するため、基本的にはこの筋肉を集中的に鍛えたほうが良いでしょう。
背中の厚みを作るときは体に対して前から後ろに引っ張る運動が最適です。これは三角筋後部は肩関節の水平外転、僧帽筋は肩甲骨の内転、ふたつとも水平の運動、前から後ろに引っ張る運動によって最も強く働くためです。
この背中の厚みを構築する筋肉の性質を考えるとスポーツサイエンティストのmike israetel博士はこの部位の最適なトレーニングは水平プル、つまりロウであると答えています。実際、筋肉の活動を調べた研究の多くでは懸垂やラットプルダウントレーニングのような上から下に力をかける種目よりもベントオーバーロウなどの真横に、後ろに引っ張る運動のほうが僧帽筋や三角筋後部の活動が高いことを示しています。
確かにラットプルダウンや懸垂でも引っ張るとき、やや体を斜めにするため、体に対して完全に真下に引っ張っているわけではありません。この少しの体の後傾が僧帽筋や三角筋後部を働かせますが、ロウトレーニング程ではないので背中の厚みを効率的に作りたい人は肩の高さから真っすぐ後ろに引っ張るのがベストです。
この性質を考えると筋トレのBIG3とも呼ばれるデッドリフトは背中の厚みを構築するうえで非効率的な可能性があります。この種目はストレッチ不足という大きな問題がそもそもありますが、デッドリフトは非常に狭い可動域での肩関節の伸展に加えて、その運動もリフトの後半では重力に対して横向きに近く、背中の筋肉においては成長するだけの機械的な緊張がかかっているとは思えません。
実際、ベンチプレスやスクワットなどと比べるとこの種目のデータは非常に少なく、2020年のデッドリフトについての筋電図分析を調査したレビューによるとこの種目のデータはほとんど下半身のものであることがわかっており、この種目が背中の筋肉を成長させることを正当化するデータはかなり不足しています。
全てのトレーニングにおいて正しいフォームでトレーニングすることは非常に重要です。当たり前のように聞こえる人も多いと思いますが、特に背中を鍛えるエクササイズでは科学的根拠が無かったり、筋肉の成長というよりも自分のフォロワーや周りのトレーニーに見せびらかすのが目的というフォームややり方が非常に拡散されており、世間一般的に言う筋トレの教科書通りのものが実は間違っているということも非常に多いです。
背中のトレーニング、厚みを作るロウの種目で非常に多いミスは2つあります。
ひとつ目は脇を閉じること。シーテッドロウはじめロウトレーニングの多くでは一般的にニュートラルグリップにして上腕が体のすぐ横に配置されますが、背中の厚みを構築するためには脇は出来るだけ開いてウエイトを引っ張る必要があります。
いくつかの文献ではバーベルロウの手幅を広げると三角筋後部の活動が増えることを示しています。これはナローグリップの場合、ウエイトを引っ張る運動中、脇が閉じるようになることから肩関節の伸展になり、ワイドグリップにすると脇が開くことで水平外転になるためです。
実際、ある研究ではニュートラルグリップのシーテッドロウは回内グリップのベントオーバーロウよりも僧帽筋中部の活動が低いことが示されており、逆に広背筋の活動は高いことを示しています。これはニュートラルグリップにすることで脇が閉じて水平外転から伸展に近い運動になったことを裏付けています。
ロウトレーニングでは出来る限り水平外転に近づける必要があります。脇を閉じてしまうフォームは、ニュートラルグリップや逆手で行うロウだったり手幅を狭くしてしまうことで起こります。背中の厚みを効率的に鍛えたい人は手幅は過度に狭くさせず、手のひらを下にする回内グリップで引っ張るのがベストです。
そして、背中の厚みを構築するときに非常に多いミス。ふたつ目は体の角度。
歴史的なボディビルダーの一人であるドリアンイェーツが考案したイェーツロウのように前から後ろに引っ張るエクササイズでは上半身を起こしている人も少なくありませんが、背中の厚みを構築するためにはこのフォームは非効率的な場合があります。
解剖学的なチャプターでも解説した通り、背中の厚みを構築するためには自分の背中に対して垂直に交差するように真っすぐウエイトを引っ張るのがベストです。これは三角形後部や僧帽筋の中部や後部は肩関節の水平外転によって強く活性化される傾向にあり、ベントオーバーロウでもワイドにして脇を開いたほうが活動が高いデータからも裏付けられています。
上半身を起こして引っ張ることで背中との角度がやや鋭角になります。これによってフラットベンチプレスからインクラインベンチプレスに変更するように下から上に引っ張る運動が追加されます。これによって活動が増えるのは僧帽筋の上部です。この筋肉は肩関節の挙上という肩をすくませる運動によって収縮するため、ウエイトを横ではなく下から上に引っ張ると背中の厚みを構築する筋肉ではなく首にある筋肉が働くようになります。
背中の厚みを効率的に鍛えたい人は脇は出来るだけ開いて背中に対して垂直に真っすぐ持ち上げるようにしましょう。
milo wolf博士をはじめ近年の科学的なデータは筋肉が伸びている位置、ロングレングスが筋肉の成長にとって最も重要であることを示しており、筋肉を最短で成長させるためには筋肉が伸びている位置でウエイトの負荷をかける必要があります。
逆に言うとどれだけ追い込んでいても、たくさんのトレーニングをしていてもトレーニング中にストレッチポジションをカットして筋肉のストレッチを弱めると筋トレ効果は大幅に落ちます。
先ほど紹介した通り、ロウトレーニングでは脇を閉じると肩関節の水平外転よりも伸展が強くなります。そのため、こういったロウを広背筋のトレーニングとして、背中の厚みではなく広がりを作るトレーニングとしてはどうなのかと考える人も少なくないと思いますが、ロウトレーニングで脇閉じて肩関節の伸展運動に近づけたとしても伸展の上部、広背筋のストレッチポジションがないため背中の広がりの種目としてもかなり効率が悪いです。
背中の厚みを作るためには必ず僧帽筋、そして三角筋後部が伸びる状態を作りましょう。
背中トレーニングで非常に多いミス、筋肉の成長を大幅に下げるミスはストレッチポジションをカットすることです。厚みを構築する筋肉を伸ばすためにはストレッチポジションでヒジを伸ばして肩を前方に出し、背中を丸めるようにする必要があります。
しかし、背中を収縮させたまま、肩が後ろにある状態で引っ張っていたりヒジを伸ばし切らず、ストレッチポジションをカットしているフォームがかなり多いです。
一部のトレーナーはこれを負荷を抜かない鍛え方とも言いますが、実際一番負荷がかかっているのはストレッチポジションであるため、ここをカットしたトレーニングは負荷を抜かないとは真逆のトレーニングです。
トレーニングでは必ずストレッチポジションを作り、この位置ではヒジを伸ばして肩を前に出し、肩甲骨を開いて背中を丸めた状態にすることで僧帽筋がストレッチします。背中の筋肉を最大限伸ばしてから引っ張ることで筋肉の成長効果は大幅に増えるのでこの工程を忘れないでください。
ロウのトレーニングで最もおすすめなのがマシンを使ったロウです。一般的にはロウはバーベルやダンベルで行いますが、マシンを使うとフリーウエイトにはないメリットがいくつかあります。
ひとつ目は安全にトレーニングができること。バーベルのベントオーバーロウなどでは腰を痛めることがあります。これはストレッチポジションで腰が曲がってしまい、腰椎に強い負担がかかることによっておこるため、背中は丸めても腰は丸めないようにフォームには十分注意する必要があります。しかし、マシンの場合大胸筋のあたりにサポートがついていることが多いため、ほとんど意識せずにトレーニングをしても腰が丸まってしまうことはありません。
これによって安全に、かつウエイトを持ち上げることに集中できます。
そして、マシンはフリーウエイトよりもストレッチポジションを拡張できる傾向にあります。例えばバーベルのベントオーバーロウでは背中を水平にして垂直にバーベルを持ち上げれば僧帽筋、三角筋後部にとって理想的な運動になりますが、バーベルについているウエイトプレートが地面に触れた段階で負荷が無くなってしまいます。
筋肉のストレッチは伸ばせばいいというわけではなく、伸ばして負荷をかける必要があるため、どれだけ筋肉がストレッチしていてもウエイトが地面と接触すると負荷が無くなるため筋肉に最適な負荷がかかりません。これはバーベルに限らず、マシンでもウエイトプレートが完全に下りてしまう場合にも起こるため、トレーニング中はウエイトが必ず宙に浮いた状態を維持しましょう。マシントレーニングで音を立てて毎回ウエイトを降ろしている人もいますがこれは絶対にNGです。
背中の厚みを効率的に鍛えたい人にとって最強のマシンロウのポイントは、最大のストレッチがかかるようにマシンを調節することです。一部のマシンには胸にあるサポートの位置を変えられる機能がついていますが、ロウをするときは必ず一番遠い位置に設定しましょう。
これが近いとバーベルのベントオーバーロウのように背中の最大ストレッチがかかる前にウエイトプレートが下に降り切って負荷が無くなってしまうので筋肉の成長効果が大幅に落ちるため、出来るなら自分の腕の長さよりも遠い位置に設定して腕を最大まで伸ばしても負荷が無くならないようにしましょう。
可能な限り体の位置を遠くしたら、次はウエイトが肩の高さに来るように設定します。背中の厚みを作るうえで下から引っ張ったり、上から引っ張るメリットは全くありません。上下の成分を加えると広背筋や僧帽筋上部に負荷が逃げるだけであるため出来るだけ肩の高さから真横に引っ張るようにしましょう。
回内グリップでストレッチポジションで肩甲骨が開いて、背中が丸くなるようにして筋肉を最大まで伸ばします。
三角筋後部、そして僧帽筋中部下部を狙う種目では筋電図分析を見てもリバースフライのような種目が最適である可能性がかなり高いです。これは肩の高さから真横に引っ張る完全なる水平外転であるため、筋肉の成長にとって理想的なのは理にかなっています。
ただし、三角筋後部にとっては一般的なマシンのリバースフライやロウでは可動域とストレッチポジションに問題があります。三角筋後部が最も強く働く水平外転運動はおおよそ180度が最大可動域ではありますがロウは90度程度しか可動域がなく、ストレッチポジションもカットされているため筋肉の成長には効率的ではありません。
ケーブルを使っても問題ありませんが、シングルアームでのマシンフライもおすすめです。体を横向きにして片腕で行うことでストレッチポジションで強い負荷がかかります。ポイントとしては腕が肩の高さになるように座席を調節すること。ストレッチポジションで腕が首の前にくるようにしましょう。そして、ヒジは曲げずに出来るだけ伸ばした状態で引っ張ることです。無理に高重量を扱おうとするとヒジが曲がったり可動域を狭くしてしまいやすいので注意してください。
グリップについてはニュートラルグリップでわずかなメリットを研究では確認しましたが被験者に強い個人差がありました。そのため、みなさんの好きなグリップでOKです。ただし、回内グリップで引っ張るほうが物理的な負荷と三角筋後部の向きがマッチするため、基本的には手のひらが下になるように引っ張るほうがおすすめです。
筋トレメニューとしては背中には広がりと厚みがあるので広がりと厚みを10setずつ確保して合計20set程をまずは目指しましょう。mike israetel博士が言うように広がりと厚みのバランスのためには基本的には1:1でメニューを構築すると両方を兼ね備えた背中になります。厚みの種目では広がりは成長しにくく、広がりの種目では厚みの筋肉には不十分です。
厚みのトレーニングは三角筋後部にとっても最適であるため、三角筋後部のトレーニングと厚みのトレーニングは同じと考えてOKです。
回数についてですが今までのボディビルの歴史としては6~12repくらいがベストとされてましたが、科学的データからこれはもはや迷信といってもいいです。
高重量も低重量も必要であるため10rep前後の高重量だけでなく、20rep以上の低重量でもトレーニングしたほうがはるかに成長しやすくなります。特にボリューム至上主義の現代の筋トレ科学からすると低重量のほうがボリュームが高い傾向にあるため20rep以上はかなり重要なものになります。
パーカーフィットネスとしてはマシンロウは8~12repのある程度重い重量でやって、シングルアームのリバースマシンフライは20rep以上の高回数でやるのがおすすめです。必ず最初に筋肉のストレッチを感じてから引っ張ります。この工程を忘れないでください。背中のトレーニングではストレッチポジションを過小評価して収縮を過大評価しているトレーナーやトレーニーが非常に多いです。
収縮を重視すればパンプや追い込みなど達成感はあるかもしれませんが、筋肉の成長効果は間違いなく大幅に落ちます。
そして、ストレッチポジションで負荷がかかる種目を3~5setを高頻度で行うと筋肉がより成長するという数多くのデータがあります。筋トレ初心者の人は週3回、中級者以上の人は週5回を目標にトレーニングしていってください。