筋肉を短期間で成長させたい、効率的な筋トレをしたい。どちらかひとつでもYesの人は今すぐに1日で全身の筋肉を鍛える全身トレーニングに切り替えてください。ボディビルダーやトレーナーの影響で筋トレは分割して鍛えたほうが効果が高いと多くの人が勘違いしていますが、膨大な数のデータで全身法が分割法よりも筋肉を圧倒的に成長させる最強のトレーニング法であるということを認めています。
この記事では全身トレーニングが最強であることを証明する科学的証拠、全身トレーニングメニューの作り方、そして絶対真似してほしいおすすめの全身トレーニングメニューについて解説します。この記事が少しでも参考になったら是非高評価をお願いします。
筋トレというとボディビルダーの影響で腕の日、胸の日、肩の日など1つの部位を集中的に鍛えるのが一般的です。確かに同じ部位を集中的に鍛えるとパンプがあったり、次の日の筋肉痛などの達成感が感じやすくなりますが、現在の科学的なデータでは効率的に筋肉を成長させたい人が分割法をするメリットはほとんどないことがわかっています。
分割法よりも全身法が優れている理由は主に3つあります。
全身法の最大のメリットはトレーニングVOLが分割法よりも圧倒的に高いことです。
筋肉を成長させるためには機械的な緊張が必要です。ウエイトを持ち上げているとき筋肉は収縮し、力を入れると固く緊張している状態になっているはずです。この緊張が信号となって筋肉に対して「おい、この緊張、ウエイトの負荷に適応するためには体を大きくする必要があるぞ」と伝えて筋肉は成長します。
この機械的な緊張はトレーニングボリュームといわれ、100kgのベンチプレスを10回持ち上げたら1000kg、50kgを30回持ち上げたらトレーニングボリュームは1500kgとなります。
このトレーニングボリュームという数字が筋肉の成長に最も重要な要素のひとつであることを科学は認めています。
2023年の7月に公開された最新のシステマティックレビューでは筋肉の成長にとってなにが最も重要なものかを調べました。システマティックレビューというのは科学的な信頼性の最も高いデータで、複数のデータをまとめて結論を出すいわゆる科学的データの総まとめのようなものです。このレビューでは2022年の2月までに公開された178件の研究、合計5097人の被験者を対象にした結果、筋肥大にはボリュームが最も重要な数値であることがわかりました。
つまり、筋肉の成長のためにはトレーニングボリューム、ウエイトの重量×レップ数×セット数という数字を限りなく高める必要があります。
トレーニングボリュームを高めるために最も効果的で簡単な方法は分割法をやめて全身法で鍛えることです。
なぜ、全身法で鍛えるとVOLが高くなるのか。これについて研究者のエリックヘルムズ博士は次のように答えています。
この理論は非常に単純です。例えば、ダンベルカールを1日で10setやる場合、1set目には最高のパフォーマンスが発揮できます。しかし、2set目、3set目となると上腕二頭筋が疲労していき、どんどん回数が落ちていきます。
例えばこれが2setずつ週5日に分けられた場合、毎日ほとんど最高のパフォーマンスができるため分割法よりもこの分、トレーニングボリュームが高いことを意味します。
そして、全身法は筋疲労の局所性を利用して効率的に鍛えます。2021年のレジスタンストレーニングの疲労についてのレビューでは局所性について記述されています。
簡単に言うとこれは筋肉は使った部位しか疲労しないということです。わざわざ科学的なデータを出さなくてもほとんどの人は納得できると思いますが、スクワットをしてからすぐに100mを走るよりもベンチプレスをしてから走ったほうがタイムはいいはずです。
これはベンチプレス中に脚の筋肉はほとんど使用されないため100m走にほとんど影響はありませんが、スクワットを直前にやることで脚の筋肉が疲労して100m走のタイムが大幅に悪くなります。
つまり、先程の筋トレメニューに戻ると分割法のように大胸筋を集中的にやるよりも途中で部位を変えたほうが筋肉の疲労が次の種目に引き継がれないため筋トレ中ずっと高いパフォーマンスが発揮できるということです。
分割法から全身法に変えることでVOLが高くなる、これによって科学が証明しているようにVOLは筋肥大にかなり影響するため高いボリュームは必然的に高い筋肥大効果を生むということです。
逆に言うと、現実的にはないと思いますが、トレーニングボリュームが同じ場合、筋肉の成長にあまり差はありません。本質的なトレーニング頻度やルーティンについて、ブラッドシェーンフェルド博士は次のように答えています。
実際これは数多くのデータで証明されています。2018年の研究では週5回の全身トレーニングと週1回の分割トレーニング5日で比較をしたところグラフのように筋肥大効果については測定した全ての部位で筋肥大効果が2倍程になっており、2015年の研究でも青の全身法のほうが優れていることがわかります。
そして、最新の筋トレ頻度と筋肥大効果についてのレビューでも高頻度のほうが筋肉が成長する可能性が高いことを示しているように全身法のトレーニング理論は裏付けが無かったり根拠に乏しいものではなく実際に被験者で高い効果を示しています。
そして、高頻度で全身の筋肉を毎日少しずつ鍛えたほうが筋線維のダメージが少なく、回復に時間がかかりません。トレーナーやYoutuberの中には高頻度で鍛えると筋肉が回復出来ないと主張しますが、実際これは全くの誤解であり、昔ながらの分割法を肯定したいだけの科学的根拠のない偏見といってもいいです。
実は客観的なデータでは分割法のほうが筋肉の損傷が強いことを示しています。
2019年の研究では各筋肉を週1回鍛えるBroSplitグループと週5回の全身トレーニンググループに分けたところ、筋肉の成長とベンチプレス、バックスクワットの筋力の向上効果は高頻度全身トレーニンググループのほうが有意に高いことを示していましたが、筋肉の損傷は低頻度BroSplitトレーニンググループのほうが有意に高く、被験者は強い筋肉痛を感じたことを示しています。
筋トレ後の達成感として筋肉の痛み、筋肉痛があります。NoPainNoGainという言葉があるように筋肉の成長には痛みが必要と考えている人もいます。しかし、衝撃的なことに筋肉痛や筋肉の損傷は筋トレ効果を低下させ、筋肉サイズを減らす可能性があります。
過度の筋肉の損傷は筋肉の成長を妨げる可能性があります。2016年のブラジルで行われた研究ではウエイトトレーニング後、被験者の筋タンパク合成が増加したことを発見しましたが、合成反応と筋肥大は相関しておらず研究の終盤でようやく相関関係が確認されました。
この原因として筋肉の合成よりも修復にタンパク質合成反応が使われていたことがわかりました。筋トレ未経験者の被験者は最初のトレーニングでかなり強い痛みを感じ、筋肉も深く損傷していましたが、筋肉はほとんど成長しておらず、このダメージがほとんどなくなってから急激に筋肉が成長したことを示しています。
つまり、全身法で大胸筋を3setずつ鍛えるよりも胸の日を作って20set大胸筋を追い込んだほうが筋肉痛は強いと思いますが、これは筋肉が成長することを裏付けるものではなく、逆に筋肉の修復に力がほとんど使われていて、筋肉のサイズが増えにくいことを意味します。
加えて、パンプについても多くのトレーニーは間違った知識を持っています。筋肉をパンプアップさせると成長ホルモンの生産が増加し、筋肉の成長が促進される可能性があることを示しているため、トレーニングで筋肉のパンプアップ感を求めることは重要であるように見えます。
しかし、近年の科学的データではこのパンプが筋肉の成長にほとんど役に立たないことを示しています。
まずパンプによって発生する成長ホルモンは筋肉の成長を促進させません。レビューでは成長ホルモンは筋肉組織内で同化作用がなく、逆に重要な同化ホルモンであるテストステロンは休憩時間に影響を受けないことを示しており、2018年の新しいレビューでもパンプによっておこる代謝ストレスには筋肉の成長に直接的な関係がないことを示している通り、パンプによって筋肥大が促進される可能性は限りなく低いでしょう。
分割法から全身法にするとほとんどの人は筋肉痛やパンプが感じなくなります。昔の常識としてはこういったものが筋肉の成長の証拠と考えられていた、そして今でもこれが事実であると信じているボディビルダーやトレーナーも多いため、筋トレ後何も達成感が無くて不安に感じる人も少なくありませんが安心してください。
それよりもはるかに重要なVOLという数字が上昇しているため筋肉の成長は間違いなく増えています。
そして、実際に全身法をやったことがないとわからない意外と知らないメリットですが、分割法よりも短時間でトレーニングが終わります。
例えばベンチプレスの後にダンベルフライをやる場合、同じ大胸筋に強い負荷がかかるため十分な休憩時間が必要ですが、ベンチプレスの後に懸垂なら背中の筋肉はベンチプレスでほとんど疲労していないため、息を整えるくらいの短い休憩時間ですぐ次の種目に行くことができます。
これによって筋トレの半分以上を占める休憩時間というものがカットされるため短時間で多くのトレーニングボリュームを確保でき、筋トレ効率というのが大幅に上昇します。
全身トレーニングを効果的、そして時間効率のいいものにするためにはいくつかの注意点があるので必ず押さえましょう。
全身トレーニングは主に筋肉の局所性を使ってVOLを増やす筋トレ法ですが、間違ったトレーニング順序で鍛えるとトレーニングボリュームの上昇効果が大幅に下がります。
2つのトレーニング順序を出すのでどちらが正解か是非考えてみてください。ひとつ目はベンチプレスの後にプリチャーカール、もうひとつはベンチプレスの後にオーバーヘッドトライセプスエクステンション。
正しいのはベンチプレスの後にプリチャーカールを行う筋トレメニューです。ベンチプレスは大胸筋だけではなく肩や上腕三頭筋も強く活性化させるため、この直後に上腕三頭筋を鍛えるとベンチプレスの疲労を休憩なしで引き継ぐことになりますが、上腕二頭筋を鍛えればBP中に使用されていないため、ベンチプレス後に休憩をほとんど取らなくても高いパフォーマンスが発揮できます。
全身トレーニングメニューを作成するときは鍛える筋肉が連続して行われないように注意しましょう。これが連続してしまうと分割法と同じようにボリューム低下が起こりやすくなります。
おすすめのトレーニング順序としてはまずプッシュプルレッグルーティンのように鍛える筋肉を押す筋肉、引く筋肉、脚の筋肉の3種類に分けます。この3つはお互いに干渉しない筋肉群同士であるため、これを順番に行うことで鍛えた部位が2種目後にまた鍛えられることになるので十分な休憩時間があります。
必ずプッシュプッシュのように同じ性質の筋肉が連続しないようにしてください。最低でも1種目は違う性質ん種目を行って間隔を空けましょう。
2022年の4月1日のレビュー研究では、筋トレの種目数と筋肥大,筋力アップの関係性を調査した複数の研究をまとめて分析しました。
この研究によると運動にバリエーションを持たせることは筋肉の成長をいくらか増やしてくれるが、その種類が多すぎると効果を大きく落とすことが示されています。トレーニングの種目は多すぎても良くありませんが、少なすぎても良くありません。
科学的データや専門家の意見を基にすると各筋肉2~3種目程度で鍛えると筋肉の成長が最大化される可能性が高いようです。
つまり、全身トレーニングの場合、1種類のメニューを毎日行うようにすると種目数が制限される可能性が高くなるため、全身トレーニングメニューをAとBの2種類構築して鍛えるのがベストでしょう。
注意点として、バリエーションについても背中トレーニングで3種目、上腕二頭筋も3種目だとすると上腕二頭筋は背中トレーニングでも活性化されることを考えるとバリエーションが多すぎる可能性があるため、腕や肩は基本的には1種目で構築するのがいいと思います。
全身トレーニングで最もおすすめなのがスーパーセットを使うことです。スーパーセットというのは簡単にいうといくつかの種目を休憩をほとんどなしでトレーニングすることです。これをすることで短時間で効果的な筋トレをすることができ時間効率が大幅に高まります。ダンベルフライをやった後にダンベルプレスというように分割法でもスーパーセットを使っている人もいますが、客観的なデータを見ると同じ部位のスーパーセットには何の意味もなく単純にそれは同じ部位を休憩なしで鍛えているだけです。これは過度の筋肉の損傷やボリューム低下につながるため絶対にNGです。
ただし、別の筋肉同士のスーパーセットはかなり大きなメリットがあります。干渉しない筋肉群同士のスーパーセット、例えば脚と肩というペアはお互いのトレーニング中にほとんど活動しないためお互いに良いパフォーマンスができます。
効果的なスーパーセットを取り入れると筋トレ効率が劇的に上がります。
2023年の2月に出版された最新の研究がこれを証明しています。被験者は一般的なストレートセットでのスクワットとベンチプレスを3set終わったら次の種目で3setというように順番に行うグループとスクワットとベンチプレスを1setずつ交互に行うグループに別れたところ両グループ同様の効果がありましたが、交互に行ったグループのほうが半分近い時間でトレーニングを終わらせることができました。(23分 42分)
そしてもっといいのが拮抗筋同士のスーパーセット。上腕三頭筋なら上腕二頭筋、大胸筋なら背中というように表と裏のような関係の筋肉を拮抗筋といいます。実はいくつかの研究に基づくと拮抗筋同士のスーパーセットはお互いのパフォーマンスを向上させる効果があることを示しています。
干渉しない筋肉や拮抗筋のスーパーセットはブロスプリットやプッシュプッシュレッグなどの分割法では出来ません。
注意点としてスーパーセットをするときは周りの人に迷惑が掛からないようにしましょう。レッグカールとレッグエクステンションのような拮抗筋スーパーセットだとマシンを2つ使うことになるので器具の独占になります。パーカーフィットネスとしては全ての人が全身トレーニーになって欲しいですが、迷惑トレーニーにはなってほしくありません。
この動画で紹介するスーパーセットは器具の独占がない同じ器具で可能なスーパーセットを紹介します。
このチャプターで紹介する全身トレーニングは1日6種目を2パターン紹介します。それぞれ各種目3~5set、そして筋肥大のバランスのためにも腕や肩のトレーニングは大胸筋、背中の半分程度に設定しています。これは例えば背中10set上腕二頭筋10setだとすると、ラットプルダウンはバーベルカールとほぼ同等の筋肥大効果が確認されているように、背中トレーニングと同じセット数で上腕二頭筋を鍛えると実際トレーニングで受ける機械的な緊張は上腕二頭筋のほうがはるかに多いため腕のほうが成長速度が速く、筋肉のバランスが崩壊する可能性があるためです。
一応サンプルなのでこの部位をもっとやりたい。この種目を追加したい、この種目は高負荷でやりたい、低負荷でやりたいなどは皆さんあると思うので、このメニューにどんどん改良を加えていただいても全く問題ありませんが、先程解説したプッシュプルレッグの順番だったり全身トレーニングメニューの作り方は忘れないでください。
フラットなベンチプレスは科学的なデータによると大胸筋全体を強く活性化するため、大胸筋をバランスよく構築するためには必要不可欠です。
研究者のmilo wolf博士によると、バーベルのベンチプレスよりもダンベルのベンチプレスが優れている点があります。それは大胸筋がより強く伸ばされることです。
博士にあると今ある25件の研究ではほぼすべての研究で筋肉が伸びるストレッチポジションで負荷のかかる種目がそうでない種目よりも筋肉の成長効果が高いことを示しており、客観的なデータを基にする場合ストレッチポジションをカットしたり、ここで負荷のかからない種目を選ぶことは時代遅れとも言っていいです。
バーベルベンチプレスも決して悪いわけではありません。しかしこの種目はバーベルが大胸筋に当たった段階で負荷が無くなってしまうためストレッチポジションが制限される可能性があります。
ダンベルのプレスはバーベルよりも強いストレッチをかけることができます。注意点としてボディビルダーの影響でヒジが直角になる位置で止めているフォームが非常に多いです。これはストレッチポジションを自らカットしており、筋肉の成長にとって一切メリットがありません。
スポーツサイエンティストのmike israetel博士も話している通り、ほとんどの人が目指すのはダンベルが自分の大胸筋と同じ高さまで下がることです。必ず大胸筋を最大まで伸ばすことを忘れないでください。
そして、過度に脇を閉じると大胸筋の活動が大幅に減る可能性があります。大胸筋が最も働く運動は肩関節の水平内転で腕を真横に閉じる運動であるため脇を閉じるとこの運動が弱くなります。ギロチンベンチプレスのEMG分析に示されているように脇は出来るだけ開いたほうが良いでしょう。
一部の人は完全に脇を開くと肩を痛めると考えていますが、おそらく実際やってみて「肩が痛い」と感じる人でない限り完全に開くのを目標にするのがベストです。
肩の安全のためにダンベルが肘の真上にある状態を維持して肩幅の広さになるまで大胸筋を収縮させます。最大のストレッチと水平内転を使用するダンベルプレスはバーベルベンチプレスが100kg持ち上げられる人でも片方15〜20kgのダンベルで十分トレーニングになります。
広背筋を鍛えるときはラットプルダウンや懸垂が代表的ですが、それよりもラットプレイヤーまたはケーブルのショルダーエクステンションが効果的です。
この運動は懸垂などの代表的な種目よりもはるかに強い広背筋のストレッチがあるため、広背筋の成長を最大化させますが、ラットプレイヤーを正しく行うためにはいくつかのポイントがあるので必ず押さえましょう。
まずはストレッチポジションで広背筋を伸ばすために上半身を動かす必要があります。直立した状態ではストレッチポジションで負荷がかからないため水泳選手の飛び込みのように上半身を横向きにします。この時、非常に重要なポイントですが、ケーブルの負荷が真上にかかっているようにしましょう。それをすると最高のストレッチがかかるため広背筋が理想的に伸ばされます。
ケーブルマシンと体の距離が遠すぎたり、ケーブルの設定位置が低すぎると上向きではなく横向きの力がかかるため、クローズグリップのラットプルダウンのように負荷の向きが体と一直線になることから広背筋が理想的な向きで伸ばされなくなります。マシンの位置が低いことのメリットはないため、特別な理由がない限り一番高い位置に設定するのが無難です。
そして立ち上がった状態でも座った状態でも正しくできていれば構いませんが、立つとケーブルマシンとの高さができずストレッチポジションで上向きの力が弱くなったり、最大まで腕を屈曲させられない可能性があるので座って体を低くしたほうがおすすめです。
ラットプレイヤーはこれを繰り返します。この種目は肩関節の伸展を使うためグリップが広い狭いなどは関係ありません。ロープでもストレートバーでもやりやすい、三角筋後部に逃げないやりやすい持ち方で構いません。
ハムストリングスを効果的に鍛えるためにはストレッチポジションを考えるとレッグカールよりもヒップエクステンションを使用した種目のほうが効果的である可能性が高いです。太ももの裏側にある筋肉は膝を曲げる屈曲と上半身を起こす股関節の伸展に関わるため、最大のストレッチをかけるためにはヒザを伸ばしてお辞儀をするように体を曲げる必要があります。
そのため、寝転がった状態のレッグカールよりも座って行うレッグカールは股関節が屈曲された状態で行われるためハムストリングが強く伸ばされ、筋肉の成長効果が高いことがいくつかの文献で示されています。
ジムにシーテッドレッグカールマシンがない人はスティフレッグデッドリフトがおすすめです。
この種目は簡単に言うとヒザを伸ばした状態で行うデッドリフトです。
バーベルを持ち上げるスタンダードなやり方でももちろん構いませんが、おすすめの方法のひとつとしてバーベルを大腿四頭筋の位置に固定させてストッパーの役目をさせてウエイトプレートを抱えながら行います。
これをすることで体の安定感が増します。スティフレッグデッドリフトをするとき、バランスをとるのが難しいという相談を受けることがあります。これは完全にお辞儀をするように上半身を前に倒すようにすると前方に重心が傾いてバランスが崩れますが、このやり方ならそういったことは一切意識しなくてOKです。
断言します。この種目は大腿四頭筋すべての筋繊維を活性化させるうえで最も効果的です。
大腿四頭筋を鍛える代表的な種目はスクワット、そしてマシンレッグエクステンションがありますが、このふたつの種目には致命的な欠点があります。まず、スクワット。この種目は大腿四頭筋の筋肉4つのうち3つは効果的に鍛えることができますが、ひとつの筋肉は全くと言っていいほど成長しません。
ある研究では被験者にマシンレッグエクステンションとバーベルスクワットを行わせ、大腿四頭筋の成長を測定したところスクワットでは大腿直筋がほとんど成長していないことがわかりました。
これは大腿直筋という大腿四頭筋の中で最も巨大な筋肉がヒザ関節と股関節にまたがる筋肉であるためです。スクワットの膝関節と股関節の運動をチェックしてみると体を沈めたときヒザが曲がって大腿四頭筋が伸ばされますが、股関節は屈曲し、ヒザが体のすぐ前にあります。
そして立ち上がるときはこの逆、ヒザ関節が伸展して股関節が伸展します。
筋肉は伸びた状態から縮むことで機械的な緊張を受けます。大腿直筋以外の筋肉は膝関節にしか関わらないため機械的な緊張がかかりますが、大腿直筋は伸びた状態と縮む状態がスクワットの動作中ずっと起こるため筋肉の長さがほとんど変わりません。これは機械的な緊張が大腿直筋にそもそもかからないことを意味します。
そのため、大腿直筋を成長させたい人やスポーツ選手がキック能力を上げたい場合、スクワットは効率的ではありません。
そして、マシンレッグエクステンションでは大腿四頭筋全ての筋肉に機械的な緊張がかかりますが、マシンのレッグエクステンションではストレッチ不足が起こります。スクワットのように完全にヒザが曲がるまで可動域がなく、おおよそ60度程度の屈曲で負荷が無くなってしまうことに加えて股関節が屈曲した状態で運動を行うため筋肉の成長にとって効果的ではありません。
大腿四頭筋にとって最高のストレッチをかけるためには股関節を伸展させて、出来るだけ脚を後ろに引いてヒザを限界まで屈曲させる必要があります。レッグプレスでも股関節は屈曲した状態を維持するためスクワットよりは大腿直筋の成長はありますが、ベストではありません。
ケーブルのレッグエクステンションではこれが可能です。ケーブルを脚に引っ掛けて引っ張ります。ポイントとして、ケーブルが上方向にあるほどストレッチがかかりやすくなるので可能な限り高い位置に設定します。
この種目はヒザをロックさせるまで引っ張るとケーブルが足に当たってしまうため完全に膝を伸ばす必要はありません。可動域は減りますが、ロングレングスパーシャルの科学的データを考えると収縮ポジションが減る分には問題ありません。
スティフレッグデッドリフトの後にレッグエクステンションであるため脚のトレーニングが連続しますがこの2つは脚の前側と後ろ側を鍛える種目であるため大胸筋と背中のような拮抗筋同士なので連続して鍛えて構いません。
肩の広がりを作る最強の種目を聞くと90%近い割合でダンベルサイドレイズという答えが返ってくると思いますが、近年の科学的データではこの種目は筋肉の成長にとって効果的ではないということが示されています。
これについて研究者のmenno henselmans博士は次のように答えます。
ダンベルサイドレイズは三角筋中部にとって代表的な種目ですが大きな欠点があります。それは筋肉が伸びている位置で負荷がないこと。ストレッチポジションで負荷のない種目はストレッチポジションを無くしているのと同じく筋肉の成長にとって効果的ではありません。
そのため、サイドレイズを改良する必要があります。三角筋中部にストレッチを入れるためには直立した状態から傾くことで三角筋中部にストレッチがかかるようになります。一般的には離れるように傾きますが、これは収縮可動域が拡張されているだけなので筋肉の成長にとってほとんどメリットがありません。
壁にもたれかかるように傾くことでストレッチポジションで負荷がかかります。
インクラインベンチを使っても壁にもたれかかるようにしてもどちらでも構いませんが、適切な向きに体が傾くことが重要です。
重要なポイントは体の角度です。あまりにも体が水平に近いと腕が前に出たり、肩が内側に回転しやすくなり、ストレッチポジションで負荷を受ける筋肉が三角筋中部ではなく後部になる可能性があります。
角度としては直立した状態を基準にして大体30度程度傾けば十分です。
上腕三頭筋を鍛えるときに最も重要なのがオーバーヘッドでトレーニングすることです。menno henselmans博士はオーバーヘッドの上腕三頭筋トレーニングはプッシュダウン等の腕が中立の位置にあるトレーニングよりもはるかに多くの成長を促すと主張しており、実際2023年7月の最新の研究では中立位置でのプッシュダウンよりもオーバーヘッドのトライセプスエクステンションのほうが上腕三頭筋の成長が1.5倍高いことを示しています。
これはオーバーヘッドですることで肩関節が屈曲され、上腕三頭筋がより強く伸ばされるためです。筋肉は伸ばした位置で最も負荷がかかり、一部の研究では柔軟体操のような筋肉を伸ばすだけで筋肉が大幅に成長することを発見しています。中立位置では上腕三頭筋の長頭は収縮したままですがオーバーヘッドにすることで伸ばされます。
ダンベルのオーバーヘッドトライセプスエクステンションは上腕三頭筋を成長させるために最適です。この種目は強度曲線からすると上部ではほとんど負荷がありませんが、ストレッチポジションで負荷が最大になるため筋肉の成長にとって全く問題がありません。
ポイントとしては両手で高重量のダンベルで行うよりも片手ずつ低重量のダンベルがおすすめです。というのも高重量のダンベルはサイズが大きく、ストレッチポジションでダンベルが背中に当たってしまうことがあるため、小さいダンベルを扱ったほうがおすすめです。
収縮ポジションでは負荷はほとんどないため、ヒジをロックさせるまで行う必要はなくヒジが90度、それよりもやや上になる程度まで持ち上げましょう。
必ず限界まで肘が曲がって最大のストレッチがかかるようにしましょう。ダンベルプレスと同じくヒジが直角になる位置で止める人がかなり多いです。
この種目は片腕で行う場合リーンインサイドレイズと同じくらいのダンベルでトレーニングが可能です。この2つのスーパーセットも試してみてください。
スミスマシンのスクワットはフリーウエイトのスクワットよりもいくつかのメリットがあります。
ひとつは安定性。milo wolf博士はトレーニング種目を選ぶ指標として安定性を挙げています。一部のトレーナーやボディビルダーは「フリーウエイトは筋肉を構築するのに最適である。理由はフリーウエイトは不安定でありそれを安定させるために多くの筋肉が活動するため」といいます。
もちろんフリーウエイトが悪いわけではありませんが、バランスボールに乗った状態のスクワットと一般的なスクワットではほとんど違いがないように、安定させるために働く筋肉は成長するだけの強い刺激があるかといわれるとその可能性は低いでしょう。
実際、2023年10月の研究ではフリーウエイトもマシンも筋肉の成長にとってはほとんど同じだけの効果があることを示しており、多くの文献や専門家の中でもマシンとフリーウエイトの差はごくわずかであると答えています。
ただし、milo wolf博士は不安定なトレーニングは特定の筋肉を成長させるのに非効率的なことがあると答えています。例えばバンブーベンチプレスのようにバーがしなるようなトレーニングの場合、そしてバランスボールに乗った状態のスクワットではウエイトがかなり不安定になることで安定した種目よりも回数が落ちる可能性が高くなります。
これによってベンチプレスやスクワットの回数が減ることで狙いたい部位にかかる機械的な緊張が減ります。
一般的なバーベルスクワットはそこまで不安定ではないため大きなデメリットはないと思いますが、スミスマシンでスクワットをするとウエイトを持ち上げることに集中できるため大腿四頭筋、そしておしりの臀筋、狙いたい筋肉に最大の負荷がかかるようになります。
必ず深くしゃがんで大腿四頭筋と臀筋を伸ばしましょう。深くしゃがむとケガすると主張する人もいますが、科学的なデータからその信頼性は非常に低く、適切なフォームであればフルスクワットは安全です。必ず深くしゃがんで大腿四頭筋を伸ばしましょう。
いくつかの研究によると大胸筋の中部、下部、上部では成長率がほとんど同じだとしても元々のサイズの影響で大胸筋の上部が成長が遅れる可能性があることを示しているため、大胸筋の基本的な鍛え方としてフラットなベンチプレスやフライと上部を狙う種目を組み合わせたほうがよりバランスのいい大胸筋になるようです。
低い位置から引っ張るケーブルクロスオーバーをするときに重要なポイントがいくつかあります。
まずは屈曲量。大胸筋上部は肩関節の屈曲、フロントレイズのように腕を上に上げる運動にかかわることは事実ですが、筋トレ初心者の人の多くが勘違いしやすいのが最大の屈曲が最大の上部線維の活動を促すワケではありません。
インクラインベンチプレスの角度と大胸筋と肩の筋活動について調べた研究ではベンチ角度が30度が大胸筋上部のピークであり、それ以上になると筋活動が大幅に落ちていることがわかります。ベンチ角度が上がるにつれて屈曲が強くなるため、これは大胸筋上部の成長を最大化させるためには屈曲をすればいいわけではないことがわかります。
この原因は上部線維は屈曲に関わりますが、それは補助的な役割であり、屈曲に関わる筋肉は主に肩であるからです。そのため、大胸筋上部を強く刺激するためには腕を閉じる水平内転に加えて少しの屈曲を組み合わせるのがおすすめです。
おおよそ腰の位置から肩の高さまで引っ張ります。この高さから引っ張ることで大胸筋上部の筋繊維の向きに沿ったトレーニングができるため、大胸筋上部の活動を最大化することができます。wolf博士によると立ち上がった状態で引っ張ると安定性が無くなるため、座った状態で引っ張るほうが大胸筋にフォーカスしたトレーニングになるようです。
立ち上がってもほとんど差はないと思うので無理して行う必要はないと思いますが座りながら行うものも試してみてください。
リバースフライは多くの筋電図分析で三角筋後部や僧帽筋など背中の厚みを構築する筋肉の活動を最も高めていることを示しています。
ただし、三角形後部のストレッチポジションは腕を前ではなく横に配置する位置にあり、リバースマシンフライのような腕が真っすぐ前に出ている状態ではこの筋肉はほとんど伸びないため、この種目はじめロウトレーニングではこの筋肉はあまり成長しません。
三角形後部を理想的に鍛えるためにはケーブルを使うのがベストです。
この種目で腕をクロスさせることによって三角筋後部と僧帽筋が強く伸ばされます。ポイントとして水平外転という大胸筋とは逆、真横に腕を開く運動が背面にある筋肉にとって最適であるため、真横に引っ張るようにしましょう。上から引っ張ったりと肩とケーブルに高低差をつけると他の運動に変化するため三角形中部や広背筋など、他の筋肉に刺激が逃げます。
ケーブルの持ち方はケーブルのヘッドをそのままつかんで手のひらが下になる回内グリップで引っ張ると肩が中立的な位置に配置され、三角形後部が後ろを向くため鍛えるために理想的な位置になります。
この種目は高重量は全く必要ありません。ほとんどの人は2~3kgで十分トレーニングができます。ヒジを伸ばして、重量よりもフォームやストレッチを優先させましょう。この種目は先程のケーブルクロスオーバーと使用するマシンや器具がほとんど同じであるためケーブルクロスオーバーとリーバスフライというスーパーセットができるので可能な人は是非そちらも試してください。
上腕二頭筋のトレーニングとしてはフリーウエイトカールが代表的ですがこの種目にも致命的な欠点があることをmenno henselmans博士は指摘しています。
2023年6月に公開された最新の研究では筋トレ歴最低6か月の女性38人をインクラインカールグループとプリチャーカールグループに分けたところ、研究期間後、測定した3つの部位すべてでプリチャーカールグループのほうが高く、50%では3倍、70%の位置では4倍近く違うことがわかりました。
これはインクラインカールはじめ直立したフリーウエイトカールではストレッチポジションで負荷がないことが原因です。
ポイントとしてはまずはケーブルから1m程離れます。これはストレッチポジションでウエイトプレートが接触して負荷が無くなってしまうのを防ぐためです。そして腕を体の横に固定させて腕が後ろに引っ張られないようにします。理由としては上腕二頭筋には横方向の力がかかる必要があるため後ろに引っ張られるとケーブルの負荷と腕が一直線になるためフリーウエイトカールと同じ強度曲線になりストレッチが消えて筋トレ効果が大幅に落ちてしまうからです。
ストレッチポジションではケーブルと腕に角度をつけて手のひらを上にしながら引っ張りましょう。
三角筋中部を鍛え、肩の広がりを作るための一番おすすめの種目はケーブルを使ったサイドレイズです。
この種目に関わらず三角筋中部を鍛えるときに重要なポイントはヒジを伸ばして出来るだけ真横に腕を上げるようにしましょう。複数のデータでヒジを曲げたり、腕を前に出せば高重量が扱えるようになりますが三角筋中部の活動が大幅に減ることが示されています。
真横過ぎると上部での負荷がほとんどかからなくなるため、真っすぐリラックスして立った状態の手の高さから5~10cm程度下の位置が理想的です。
時間効率のために両肩を一緒に鍛えたいという人もケーブルサイドレイズなら可能です。腕を体の前か後ろに配置して引っ張ります。ケーブルサイドレイズでは無理に高重量を扱おうとしないで2~3kgでまずは様子を見てください。
可能な人はケーブルサイドレイズとケーブルカールをスーパーセットで行うと短時間でトレーニングができます。マシンや必要なグリップは全く同じであるため、ケーブルカールとサイドレイズを交互に繰り返すと筋肉を休憩させながら違う筋肉を鍛えられるため、トレーニングの時間効率が格段に上がります。
一般的なクランチやレッグレイズなどの腹筋トレーニングでは直立したダンベルカールのようにストレッチポジションで負荷がないため、効いてる感やパンプは感じますが、筋肉の成長効果は良くありません。
これもケーブルを使うことで解決します。ロープグリップを背負って背中を丸めます。クランチをするとき、ストレッチポジションでは横向きの力が必要であるため、ケーブルの高さは高すぎないように頭の高さ、もしくはそれよりもやや高い位置がおすすめです。
この運動を行うと腰を痛めそうと感じる人も少なくないと思いますが、適切な重量やフォームの場合リスクは非常に少ないです。ブラッドシェーンフェルド博士はクランチをしてはいけない人はもともと腰を痛めている人であり、健康な人がこれを避ける理由はないと論文で主張している通り実際やってみて痛みを感じる人や腰に問題が元々ある人にとってこの運動はほとんどリスクはありません。
サンプルプログラムとしてこのメニューをおすすめします。回数やセット数は変更させても全く問題ありませんが、回数は8rep前後の高重量、10~20repまでの中重量、20~40repまでの低重量の3つで組むのが最も効果的で、セット数も各種目3~5setがおすすめです。
必ず重量よりもストレッチポジションやフォームを優先させて狙った筋肉に適切な負荷を入れましょう。現代の科学的なデータからストレッチポジションで負荷のかからない種目はハッキリ言ってやる価値がありません。