カッコイイ肩というのは細長い肩ではなく、バランスのとれた丸みのある肩を指します。しかし、肩の丸みをつけるためにはただ肩を鍛えればいいというわけではなく全ての筋肉をバランスよく鍛えて丸みを作ります。
この動画では丸みのある肩を作るために意識しなければならないポイントと絶対やって欲しい最強種目について科学的に徹底解説します。
当たり前ですが肩を巨大化させるためには肩を鍛える必要があります。三角筋には前部と中部、後部の3つが存在していますが丸みを作るときに非常に重要になるのは前部と後部です。中部は鍛えても正面から見たときの肩の印象は変わりますが、ここを成長させても横から見た外見、肩に丸みを帯びさせることはかなり難しいです。
そのため、細長い肩に丸みを作るときは肩の前方と後方が重要になります。三角筋で言うと前部と後部です。この筋肉を成長させることで細長い肩の横の部分が膨らむようになります。特に後部は前部と比べると非常に成長しづらくなる可能性があり、マイケルガンディル博士の調査ではトレーニング未経験者と比べて後部のサイズはそこまで差がないことが報告されています。後部のサイズは+10~15%であり、中部の300%や前部の500%と比べるとはるかに小さいことがわかります。
さらに2001年の調査でも肩の外見や安全性のために三角筋後部を強化することを推奨している通り、三角筋は前部が成長しやすく後部が成長しにくい傾向にあることをいくつかの科学的データは示しています。
三角筋後部が成長しにくい理由はいくつかありますが、最も大きなものはコンパウンドトレーニングが充実していないことです。例えば大胸筋のトレーニングの多くではストレッチポジションで三角筋前部は強く伸ばされるため、筋肉が成長しやすいですが、ラットプルダウンなどのプル、ベントオーバーロウなどのロウなど背中トレーニングのほとんどは腕が体の前にある状態から後ろに引くためストレッチポジションで三角筋後部があまり伸ばされていません。
ストレッチポジションでどれくらいの負荷がかかるか、そして筋肉がどれくらい伸びるかは筋肉の成長にかなり大きな影響を与えることが膨大な科学的データによってわかっています。
筋肉は最大まで伸ばしてそこで負荷をかけると筋トレ効果が大幅に上がるためほぼすべての背中トレーニングではストレッチが不十分で三角筋後部はあまり成長しない可能性が高いです。
肩の丸みをつけるためには三角筋の前部と後部を狙う必要がありますが、後部の比重を強くしたほうがバランスのいい肩になります。
肩の外見を整える上で今すぐ実行でき、すぐに効果があるのは姿勢を正すことです。特に肩を結構鍛えてるのに丸みが出ない、後部の成長が変わらない場合、一番最初に疑ってほしいところです。
2017年の調査ではウエイトリフティング選手はトレーニング経験のない人と比較して猫背のように肩が前方に出ている傾向が非常に高いことがわかりました。これはおそらく先ほどの調査でも紹介したように三角筋の中で最も成長しやすいのは前部であり、肩のバランスが崩れるのも大体が前部が強すぎることが原因です。
姿勢を正すことはケガや肩の安全性を高めることはもちろん肩の外見を高め、より全体的に丸みのある肩を作ります。逆に背中が丸まっており、肩が前に出ている場合三角筋の後部が伸ばされることによってこの部分の凹凸が無くなるため、丸みのある肩に見えなくなったり前部だけが成長しているようなバランスの悪い肩に見えることがあります。
複数の文献に基づくと、猫背のように背中が丸まり、肩が前になってしまう原因は体の前面の筋肉の柔軟性です。特に重要なのは大胸筋のあたり。この部分の柔軟性が足りていないと猫背のように肩が内側に引っ張られる可能性があります。
これの改善策としてゴムチューブを使って胸郭を伸ばします。ゴムのほうがある程度遊びが効くので安全にストレッチをかけることができるので伸び縮みしない棒よりもゴムチューブをおすすめします。まずは一番ゴムの力が弱いチューブを選んで手のひらを下にして肩幅より少し広めに持ちます。そしてそのまま肘を伸ばしたままゆっくり自分の頭上を通って後ろに回します。
そして、自分の背面にゴムチューブが当たるまでこの運動を行います。これをすることで自分の大胸筋や三角筋の前部が伸びるのを感じると思います。
ポイントとしては必ず肘を伸ばしたまま行うこと。そして出来るだけ僧帽筋に力は入れずにリラックスし、頭の上に通す時に肩がすくまないように注意してください。まずは肩幅から少し広めで一番張力の弱いゴムを使いましょう。そしてどんどん柔軟性が強くなってきたら手幅を狭くして肩幅くらいにしてみたり力の強いゴムを使用してください。
この運動を筋トレ前または筋トレ後にやるのがおすすめです。特にゴムチューブを使ったタイプのストレッチングは柔軟性を高めることでダンベルプレスでダンベルがより下に下げられたり、プレス系トレーニングの可動域を増やしてくれる可能性が高いので筋トレ前にやるのがおすすめです。
三角筋前部は腕を上にあげる肩関節の屈曲や腕を閉じる水平内転によって働き、前部はベンチプレスやインクラインプレスなどの大胸筋のプレストレーニングでかなり活動していますが、直立したプレス運動をするだけで最高レベルで三角筋前部を活性化できることを示しています。
バスキーの2000年のEMG分析ではミリタリープレスはバーベルベンチプレス、フロントレイズよりも約40%高い三角筋前部の活動を示しています。さらに立ち上がることで三角筋全体の活動が上昇することを示す研究がいくつか出ています。
ショルダープレスのやり方について調べた研究では立ち上がることで座った状態よりも三角筋前部の活動がわずかに増え、中部と後部が大幅な上昇を示しています。ショルダープレスでは座った状態で行うパターンが多いですが、その方法で行うよりも立ち上がることで不安定になり、それを支えるために肩の筋肉がより活動的になるようです。
ただし、この筋電図分析は筋肉の成長に直結するような信頼性の高いものではなく、前部にとっても有意さが出るものではないため、パーカーフィットネスとしてはやりやすいほうでいいと考えていますが、立ち上がったほうがチートや勢いを使いにくいのでおすすめです。
マシンやバーベルのものよりもダンベルのほうが低い位置まで下げることができるため三角筋前部の成長にとって効果的である可能性があります。かなり多いミスですが20kg 30kgのダンベルでショルダープレスをしている人の多くは十分ダンベルを下まで下げていません。
一部のボディビルダーは下げ過ぎるとストレッチが強すぎて肩がケガをするといいますが、これはBroScienceでそもそも下まで下げてストレッチがかかるとケガするような重量を扱うことが間違っています。
必ずダンベルが自分の肩と同じ高さになるまで下げましょう。
ダンベル同士はくっつける必要はありませんが、三角筋前部にとって最大の可動域で行う場合は肩幅と同じ広さになるまで腕を閉じる必要があります。
正しくやる場合は、バーベルベンチプレスが100kg上げられる人でも10kg程度の重量で十分トレーニングになります。
前部を鍛えるときの注意点として先程のマイケルガンディル博士の調査でも示されている通り前部の筋肉は中部や後部よりもはるかに大きい可能性があるため、前部のトレーニングのやり過ぎには注意が必要です。そもそも大胸筋トレーニングで十分成長するだけの機械的緊張がかかっているため、人によってはショルダープレスをやる必要すらない可能性があります。
自分の肩のバランスにもよりますが、ショルダープレスをやる場合は週に1~2回、合計5set前後で十分で、大半の時間は中部や後部に充てましょう。
三角筋の後部は前部とほぼ逆です。腕を下に下げる肩関節の伸展、そして開く水平外転。この筋肉を鍛えるときは、肩関節のトレーニングでは水平外転を使うのがおすすめです。多くの筋電図分析ではマシンのリバースフライが三角筋後部の活動を最も高めていることを示しています。
ただし、三角形後部のストレッチポジションは腕を横にする位置にあり、リバースマシンフライのような腕が真っすぐ前に出ている状態ではこの筋肉はほとんど伸びないため、この種目はじめ背中トレーニングではこの筋肉はあまり成長しません。
三角形後部を理想的に鍛えるためにはケーブルを使うのがベストです。
この種目を行うときはあくまでも肩の力のみを使って引っ張ることが必要です。肩の力のみで引っ張るために意識するべきポイントはヒジを伸ばすこと。三角形後部はヒジ関節にはまたがりませんが、ヒジを曲げた状態で引っ張ると上腕二頭筋の力を無意識のうちに使ってしまうことがあります。
そして、リバースケーブルフライでよくありがちなミスとして腕をクロスさせずに腕がまっすぐ前を向いた位置でストップさせてストレッチポジションをカットしたり、上から下に引っ張ったり下から上に引っ張るようにすることです。三角形後部は水平外転で最も強く活動しますが、上から引っ張ったりと肩とケーブルに高低差をつけると他の運動に変化するため三角形後部以外の筋肉に刺激が逃げます。
そして出来るだけストレッチポジションで負荷をかけるためにもケーブルは前から引っ張るよりも横から引っ張るほうが理想的です。そのため、ケーブルマシンに近づいて、出来ればマシンの幅が広いものがおすすめです。
狭いものだと三角形後部が十分伸びる前に負荷が無くなってしまったりすることがあります。
ケーブルの持ち方はケーブルのヘッドをそのままつかんで手のひらが下になる回内グリップで引っ張ると肩が中立的な位置に配置され、三角形後部が後ろを向くため鍛えるために理想的な位置になります。
この種目は高重量は全く必要ありません。ほとんどの人は2~3kgで十分トレーニングができます。ヒジを伸ばして、重量よりもフォームやストレッチを優先させましょう。
肩を丸くする上で特に重要なポイントは姿勢を正すことと肩の後ろ側を鍛えること。まずはこの動画を見終わったら家やジムにある鏡でリラックスした自分の姿勢が猫背のようになって肩が前に出ていないかを確認してください。最初にも話した通りウエイトトレーニングをしてる人は普通の人よりもなっている可能性が高いです。おそらくこれはほとんどの人は三角筋前部が後部よりも何倍も巨大化しており、前部と後部の力に不均衡が生まれるためだと思います。
基本的には前部は1週間で3setくらいやれば十分であり、menno hsenlmans博士が解説している通り最悪ここを狙ったショルダープレスなどを一切しなくても大胸筋のプレストレーニングで十分成長します。肩トレの時間は後部や中部を優先したほうがバランスのいい肩になります。そのため、肩のトレーニングでは後部をしっかりトレーニングして、肩の後ろ側を成長させたほうが正しい姿勢を維持しながら丸みのある肩ができやすくなります。
姿勢が悪いと思った人は胸郭ストレッチングがおすすめです。ゴムチューブを使うストレッチは簡単にできてプレストレーニングの可動域も増える可能性があるので、姿勢が悪くない人も準備運動や姿勢が悪くなる予防として是非やってほしいウォームアップです。
ゆっくり10往復ゴムチューブを移動させるだけでOKです。