筋トレを週5回、1日当たり1時間だとしても1年で260時間となります。せっかくそれだけの時間をかけてトレーニングしているので誰しもその効果を100%最大限受け取りたいと思うはずです。sしかし、長い時間をかけた筋トレが台無しになってしまうことが多くあります
この動画では筋トレ効果を100%受け取るために絶対にやってはいけない5つについて科学的なデータを基に解説します。特に最後については筋トレ上級者ほど勘違いしている傾向にあります。この5つどれかひとつでもやると筋トレ効果は半減するといっても過言ではありませんので絶対に避けましょう。
筋肉の成長には効果的な筋トレと十分な栄養摂取が必要です。どんなに素晴らしい筋トレをしても栄養不足は筋肉の分解や筋トレ効果の半減につながります。
筋肉の成長にとって最も重要なのはカロリー摂取量とたんぱく質摂取量。多くの研究者がこの2つが体組成の90%程を決めると解説しています。2010年の研究ではカロリーが不足すると筋肉の合成反応が20~30%低下することを示しており、2015年のたんぱく質サプリメントの効果についてレビュー研究ではトレーニング経験のある被験者がたんぱく質サプリメントを摂取すると1日の合計たんぱく質摂取量が増加するため筋肉のサイズが上昇することを示しています。
特にたんぱく質は筋トレ初心者の人は特に意識してください。意外と足りていません。筋肉の成長を最大化させるためには体重1kgあたり最低1.6g以上のたんぱく質が必要です。体重60kgのひとだと100gほどです。単純に食事だけだと難しい人も多いのでプロテインサプリメントを2~3杯飲むのがおすすめです。
おそらく視聴者の人の中にはお酒を飲むのが好きな人もいるでしょう。しかし、アルコールは筋トレの効果を大きく減少させる可能性があります。とは言っても飲酒禁止とは言いませんが、避けるtべきタイミングは必ず意識してそのタイミングの飲酒は避けるようにしましょう。アルコールの最も大きな要因はテストステロンの減少です。テストステロンレベルについては最新のレビュー研究で示されている通りテストステロンは除脂肪体重と体脂肪の量に関係していることが示されています。
科学的な研究からもアルコールの乱用により肝臓でより多くのテストステロンがエストロゲンにテストステロンレベルが大きく減少させる可能性があります。(1,2)
アルコール摂取で最も避けなければならないのは筋トレ後近いタイミングで飲むことです。筋トレ後ジムでアルコールを摂取する人はほとんどいないと思いますが例えば夕方、仕事後にジムに行って夜お酒を飲むという流れです。
この場合筋トレとアルコールのタイミングが非常に近いため筋肥大効果を大きく損なう可能性があります。
科学的な証拠から9杯のアルコール摂取は筋肉の合成反応を24%低下させます。これは体重維持カロリーが40%不足し、たんぱく質摂取量が体重1kgあたり0.1gになると合成反応は36%低下するという研究と比較すると筋トレ効果をほぼゼロにするといっても過言ではありません。
アルコール摂取をするタイミングとしては筋トレと出来るだけ時間を空けることです。朝筋トレして夜飲むなど時間を空ければ開けるほどアルコールの影響は少なくなる可能性が高いです。これがアルコールと筋肥大の影響について調べた研究をまとめた画像です。
矢印が上に向かっているほどマイナスの影響が大きくなります。Short-termつまり筋トレとアルコール摂取の感覚が短いほど矢印が大きいことがわかります。そしてLong-termではアルコール8杯以下なら減少効果はわずかです。最もベストなのが筋トレをしない日にアルコール摂取を行うこと。そしてそれが無理な人は出来るだけ時間を空けて、最低でも6時間は空けましょう。これをすることでアルコールの影響は限りなく小さくできます。
睡眠は最も過小評価されている筋肥大の要素の一つかもしれません。新しい筋トレ法やサプリメントについては多くの人が関心を持っていますが、この睡眠を改善させることは筋肉の成長率を大きく変える可能性があります。
2018年の研究では被験者に8週間の一般的なカロリー制限ダイエットプログラムを行うよう指示し、これに加えて片方のグループは多くの専門家が推奨する8.5時間の睡眠をとり、もう片方のグループは5.5時間の睡眠をとりました。
結果としてふたつのグループは同じだけの体重を失いましたが、その内容が大きく異なりました。睡眠が十分にとれていたグループは失った体重の83%が脂肪でしたが、睡眠が5.5時間と足りていなかったグループは失った体重のうち85%が筋肉でした。
2021年の9月に公開されたテストステロンについてのレビューペーパーでは睡眠不足によってテストステロンレベルが下がる可能性を示しており、別の研究では5時間未満の睡眠習慣を1週間続けたところテストステロンレベルが10~15%減少していることを発見しました。
このように睡眠不足が続くと多くの筋肉が分解され、筋肉を構築しづらく、脂肪も増えやすくなる可能性があります。さらにその他の大量の文献では睡眠不足はパフォーマンスを下げる可能性が高く、これはトレーニングボリュームの低下につながります。
ボディメイクのためには睡眠時間はおおよそ7~9時間が多くの専門家に推奨されています。
筋トレ効果を大きく損なうNG行為は筋トレ直後に有酸素運動をすることです。世間一般的に言われている情報は脂肪を落としたいときは筋トレ後に有酸素運動をすると効率的にカロリーを燃焼させることができるといわれているため、トレーニングが終わった後に有酸素運動マシンに行ってランニングをしたりする人も多く見かけます。
しかし、筋トレ後すぐに有酸素運動を行うことは筋トレ効果を大きく半減させます。2012年のメタ分析では有酸素運動とウエイトトレーニングを不適切に組み合わせると筋肉の成長が約31%低下し、筋力が18%低下することが示されています。
1980年にこれは正式に学会でロバートヒクソン博士によって発表され、今に至るまで多くの研究で発見されています。彼は23人の被験者を筋力トレーニングのみのグループ、持久力トレーニングのみのグループ、そして筋力と持久力を両方を取り入れるグループで比較しました。
10週間後、筋力トレーニングのみのグループ、赤のラインは順調に筋力を伸ばしました。しかし青はある週を境に筋力がみるみる低下していきました。
これは主にカラダの適応が理由だと示されています。マラソン選手と短距離選手の体が全く違うようにパワーリフター兼マラソンランナーは作り上げることはできません。そのため、筋トレと有酸素運動を組み合わせると目標となる体が全く違うため筋トレ効果が大幅に落ちます。
脂肪を落とすために有酸素運動をしたい人は、まずは筋トレとの間隔をあけることです。最悪なのが筋トレ後すぐに有酸素運動を行うこと。
研究ではバイセプスカールを被験者に行わせて筋トレ後すぐにバイクマシンを漕ぐグループと筋トレ24時間後にバイクマシンで有酸素運動を行うグループで比較したところ、筋トレ後すぐに有酸素運動を行ったグループの上腕二頭筋は24時間後のグループと比較して半分しか成長していませんでした。
そのため、理想的なのは筋トレをしない日に有酸素運動を行うようにしましょう。これをすると筋肥大を妨げることはまずありえません。
ハードなトレーニングを行い、筋繊維にダメージを与えて損傷させると回復するときに勢い余って成長する。これを超回復といい、一部のトレーニーはこの筋肉の損傷や筋トレ後の筋肉痛をモチベーションや筋肉の成長にとって非常に重要だと考えています。
しかし、多くの研究で筋肉の損傷はあまり筋肥大に関係がないことが示されており、現在では筋繊維の損傷にあまりこだわらず機械的緊張に注目してトレーニングするのが最も効果的だと考えられています。
さらに関係ないどころか、筋繊維の損傷は筋肉の成長を低下させる可能性があります。
2016年の研究では平均27歳の男性10人を対象に実験を行いました。被験者はトレーニングを行い、その後のタンパク質合成反応と筋肉の成長率、筋肉の損傷について測定されました。実際、筋トレ後に全ての被験者にタンパク質合成反応の向上が起こっていることを発見しましたが、初期段階では筋肉の合成反応と筋肥大が相関せず、被験者の筋繊維の損傷が小さくなるにつれて筋肉の合成反応と筋肉の成長率が相関したことを発見しました。
つまりどういうことかというと研究の初期段階では合成反応の増加は筋肉の構築には100%向けられておらず、徐々に合成反応の大部分が筋肉の構築に向けられたということです。これは筋肉の合成反応のすべてが筋肉の成長に使われず筋損傷の回復に充てられてしまったことを意味します。
1999年の古い研究でもこれと似たことが示されており、被験者はトレーニング後に強い筋肉痛を感じましたが筋肉の損傷が収まった後、筋肉量が10%減少していたことを発見しました。
そのため、少しの筋肉痛や筋肉の損傷は問題になりませんが激しい痛みは逆に筋肉の成長を妨げる可能性が高いです。高重量のダンベルフライをするとストレッチポジションでかなりの負荷がかかるので筋肉が裂けるような感覚、または分割トレーニングのように同じ筋肉を集中的にやると次の日の筋肉痛が感じやすいと思いますがそれは筋肉の成長にとってプラスにはなりません。
筋トレは分割法ではなく全身法に切り替え、トレーニングでは筋肉のバーン感や追い込み感にこだわらずボリュームを意識しながら鍛えたほうが効果的です。
以上が筋トレが台無しになる絶対避けるべき5選です。筋トレ直後は有酸素運動、飲酒は避けて睡眠、栄養は十分摂るようにしましょう。筋肉の合成反応を100%筋肥大に使ってもらうためにも激しい筋肉痛が出るトレーニングは避けましょう。ダンベルフライのような種目では5rep以下の高重量ではなく10rep以上できる重量がおすすめです。