筋肉を成長させるための三大要素は睡眠、栄養摂取、そして筋トレです。今回は最新の科学的なデータによって筋肉の成長を何倍にもすると証明されている筋トレ法について紹介します。この動画で紹介される筋トレ法はすべて科学的信頼性の頂点にあるメタ分析やレビューペーパーといった大量の研究をまとめて分析したデータによって証明されている筋トレ法であるため、この動画にとって都合のいい研究だけを紹介するわけではありません。
そして何倍にもするというのも大げさな表現ではなくリアルに研究データで何倍にもなっている筋トレ法です。しかし、信頼性も効果も抜群なのにまだまだこの筋トレ法を実践してる人は多くありません。
この動画ではそんな筋肥大効果を倍増させる筋トレ法を3つ紹介します。この動画を見て実践すれば他の人と大きな差をつけられること間違いありません。
2016年の研究では最低2年の筋トレ経験のある男子ラグビー選手を全身トレーニンググループと分割トレーニンググループに分けました。この研究では両グループの筋トレ種目、研究期間中の合計セット数、強度など、頻度以外のすべての変数を統一しました。
結果として除脂肪体重はスプリットトレーニンググループは平均して+0.4%だったのに対し、全身トレーニンググループは+1.1%で2倍以上の差がありました。そして体脂肪の量はスプリットトレーニンググループは-2.1%だったのに対し、全身トレーニンググループは-5.7%でこれも2倍以上の差がありました。
全身トレーニングは最も信頼性が高い筋肉を成長させる筋トレ法です。特に胸の日などの週1回分割の人が全身トレーニングをすると筋肥大効果はほとんどの研究で最低でも2倍以上になっているため絶対にやって欲しい鍛え方です。
全身トレーニングがなぜ筋肉を成長させられるのか。それは各筋肉を高頻度で鍛えられることです。
筋トレ頻度についてのデータはここ20年で急速に増えました。2016年のブラッドシェーンフェルド博士が行ったメタ分析ではその時までに出ていたすべての筋トレ頻度についてのデータを分析しましたが7件しかありませんでした。
そのメタ分析では週に1回トレーニングするよりも週に2回トレーニングしたほうが筋肉は成長するということを示しましたが、週に2回がなぜ優れているのかについての具体的な原因。そして、週3回以上の頻度についての筋肥大効果はデータの少なさが原因で詳しいところまでは調べることができませんでした。
2年後の2018年の同じくブラッドシェーンフェルド博士が行ったメタ分析では2年前の7件よりも圧倒的に多い22件の研究を分析しました。その結果、高頻度がなぜ筋肥大効果が高いかについての原因はトレーニングボリュームの向上が大きな原因であることを発見しました。
その後もいくつかのメタ分析が行われてきましたが結果は同じです。オークランド工科大学のスポーツコンディショニングの研究者であるエリックヘルムズ博士は「一時は筋タンパク合成が原因と考えられていましたがそれは大きな意味を持たず、高頻度トレーニングの効果が高いのはボリュームの向上が原因であるため、高頻度の全身トレーニングが優れている」ことを話しています。筋トレ頻度についての科学的な答えは週2よりも週3。週3よりも4というように高頻度ほどいいというものです。これはかなり強力な証拠によって裏付けられており、ほとんどのトレーニーは高頻度で筋肉を鍛えたほうが筋肉が成長しやすいということを示しています。
なぜ高頻度のほうがVOLが高いのか。それは3分の休憩か24時間の休憩か次のセットで多くの回数を持ち上げられるのはどっちかというのと同じです。例えばレッグプレスを9set連続、休憩3分でやると1set目には10repできたとしても2set目には9rep,5set目には5repというように疲労によって回数が間違いなく低下していくはずです。
ここで3setごとに終わったら24時間の休憩をはさむ場合。4set目は疲労がゼロの状態でトレーニングができるため4set目も10rep出来ることになります。これが高頻度トレーニングでVOLが高い原理です。実際最新の研究ではレッグプレスを片脚週3回3setずつの高頻度グループ。もう片方の脚で週1回9setを実行したところ筋肥大効果は高頻度グループのほうが2.7倍も高いことを示しています。
1日で同じ部位を集中して鍛えると筋肉痛やパンプがあるから筋肉が成長しやすいと考える人もいますがブラッドシェーンフェルド博士がインスタグラムで話しているようにインターネット上ではパンプなどについて間違った情報が拡散されており、実際パンプや筋肉の損傷について筋肥大にメリットがあると示す証拠は非常に不足しています。
さらに全身トレーニングでは筋肉の局所性を使って効率的に鍛えることができます。局所性というのは筋肉の疲労は使った部位でしか起こらないということです。例えば、ベンチプレスでは大胸筋や上腕三頭筋、三角筋の前部が強く活性化されますが懸垂では背中と上腕二頭筋、三角筋の後部を働かせます。つまり、ベンチプレスの後に懸垂をすればベンチプレスで背中はほとんど使われていないのでベンチプレス後でもかなり高いパフォーマンスを発揮できるということです。
逆に、分割法のようにベンチプレスの後にケーブルフライの場合、ケーブルフライはベンチプレスでの疲労の影響を大きく受けるためパフォーマンスが低下します。
2018年の研究では週5回の全身トレーニングと大胸筋の日、肩の日というように週に1回の分割トレーニングを行うグループで筋肥大効果を測定したところ、青の全身トレーニンググループのほうが筋肥大効果がはるかに高いことがわかります。1RMについてはロウとベンチプレスでは効果がみられませんでしたが、右の3つ。筋肥大効果については全ての部位で2倍近くの差があるコトがわかります。
ほとんどのトレーニーにとっては鍛える部位を週1~2回で分割させるのではなくちょっとずつ鍛える全身法を高頻度でやったほうが筋肉が成長する可能性が非常に高いです。
2014年の研究では被験者にレッグエクステンションを実行させ2つのグループに分けました。ひとつはレッグエクステンションを50~0度まで行うショートマッスルレングス。この可動域でレッグエクステンションしてる人を皆さん一度は見たことがあると思いますが、これに対しもう一つのグループは90~40度のロングマッスルレングス。つまり大腿四頭筋が主に収縮した可動域でのレッグエクステンションと伸びている可動域でのレッグエクステンションということです。
8週間後、筋束の長さはショートマッスルレングスグループが+15%、筋断面積が+18%,同化ホルモンIGF1の分泌が+7%であったのに対し、ロングマッスルレングスグループは筋断面積が+53%というように全て2倍以上の差がありました。
さらに2021年の別の研究ではほとんどこの研究と同じような設計でプリチャーカールという種目を使って調査をしたところストレッチ部分を意識したプリチャーカールは収縮可動域を意識したものよりも3倍近く筋肉が成長していることがわかりました。
最新の科学的データでは筋肉が最も成長するのは筋肉が伸びているポジションであることが示されています。つまり、スクワットでは深くしゃがんだほうが大腿四頭筋が伸ばされるため成長しますし、ダンベルプレスでは出来る限りダンベルを下に下げたほうが大胸筋がストレッチして成長します。
2019年のこのストレッチポジションについて調べた研究をまとめたレビューペーパーでは筋肉が伸びている位置で負荷をかけることで筋肥大効果が約3倍になることを示しており、その後のメタ分析でもストレッチポジションで負荷のある種目はそうでない種目よりも筋肥大効果が高く、最低でも同じであることを示しているためこのストレッチをかけることに損はありません。
例えば先ほど紹介したようにレッグエクステンションでは膝を出来るだけ曲げることはもちろん。ダンベルカールやバーベルカールなどのストレッチポジションで負荷がかからない種目ではなくケーブルを使って上腕二頭筋が伸びている位置で横方向に負荷をかけると筋肉の成長効果が倍増します。
そして今年の1/18に公開された超最新システマティックレビューでもストレッチポジションで筋肉は最も成長することを示しているように筋肉の成長のために伸びている位置で負荷をかけるという戦略は非常に科学的な信頼性が高いことがわかります。
なぜストレッチポジションで筋肉は成長するのか。それはストレッチポジションで筋肉に最も負荷がかかっていると考えられています。感覚だけを頼りにすると収縮部分で筋肉が特に働いているように見えますが、実際は筋繊維が伸びている位置で一番負荷がかかっているようです。
つまり、ストレッチを無くした可動域でトレーニングすることは筋肥大に最も重要な可動域をカットしてそこまで重要ではない可動域を重視していることになります。その証拠にダンベルカールでは10kgのダンベルが持ち上げられてもストレッチで負荷のかかるケーブルカールをすると扱える重量は半分以下になります。
ストレッチポジションをカットしたトレーニングは非常にもったいないです。必ずトレーニングでは筋肉を伸ばした時に負荷がかかる種目を選んでウエイトを持ち上げる前に鍛えたい部位が伸びている感覚があるかを絶対に忘れないでください。パンプと違ってストレッチを意識しても達成感や追い込み感など感覚的なものはほとんど変わらないので「ほんとうにこれで筋肉の成長が変わるのかよ」と思うかもしれませんが本当に変わることを科学は認めています。
筋トレは何レップでトレーニングしていますか。筋トレの基本としては5~20repくらいだと思いますがそれ以上の回数でもトレーニングすると筋肉の成長が爆発的に伸びる可能性があります。
多くの人が耳にしてきた情報としては筋トレは8~12rep程が最適であるというものです。しかし、近年の科学的データをみるとそれは迷信であることがわかります。2021年のレビューペーパーでは1RMの30~80%までの範囲は筋肉の成長効果がほとんど変わらないことがわかっており、ブラッドシェーンフェルド博士も自身のSNSで軽い負荷で筋肉を構築できるという証拠は今や議論の余地がなく、増加は重い負荷の場合と同様であると答えています。
じゃあ別に何レップでも筋肥大効果は変わらないってこと?それなら高回数でやる必要も別にないじゃんとなるかもしれません。でも実際はそうではありません。筋肥大効果が高負荷でも低負荷でも変わらないのはVOLが同じ場合です。
しかし、高回数と低回数のVOLが同じになることはありません。例えばベンチプレス100kg1repがMAXの人は50kgが2repしか上がらないのでしょうか。そんなことないというのは視聴者の皆さんわかると思います。実際1RM計算サイトで予想回数とVOLを計算してみるとこのように高回数ほどトレーニングボリュームが高いことがわかります。近年の科学的なデータはVOL至上主義。ボリュームが筋肉の成長に最も影響を与えることを示しているため、1RMの50%、つまり100kgの場合50kgのベンチプレスは30rep上がるためVOLは1500kgとなり、100kg 1repの15倍のボリュームがあることは高負荷低回数よりも筋肉の成長が圧倒的に高いことがわかります。
これは理論的なものではなく科学的な実験でも証明されています。
2014年のブラッドシェーンフェルド博士の研究では筋トレ経験の豊富な被験者に10rep 3setの高回数トレーニングと3rep 7setの高重量トレーニングで比較しましたところボリュームを同じにしたため筋肥大効果は同じでしたが、3repの高重量トレーニングは高回数グループの4倍の時間がかかりました。
そして、同じくブラッドシェーンフェルド博士の研究では筋トレ経験1.5~9年の被験者に25~35repの高回数トレーニングと8~12repの高重量トレーニングを3set 週3回被験者に指示したところ高回数トレーニングループのほうがトレーニングボリュームが3倍近く高いことがわかりました。(+31305kg +10714kg)
このように、高重量低回数よりも低重量高回数トレーニングのほうがはるかに高いボリュームを確保できることがわかります。ほとんどの人は多くても20repくらいでトレーニングしますが週に1回でもいいので30~40repのトレーニングをすると1setあたりのトレーニングボリュームが何倍にもなるので筋肉の成長効果が倍増するといっても過言ではありません。
8repほどでやる3setと30repでやる3setとではボリュームは2~3倍差が出ることになり、これは筋肉の成長効果が大きく変わります。
最初に紹介した全身トレーニングと組み合わせて週に1~2回各筋肉を30rep以上の回数でやる超高回数トレーニングの日を作るのが非常におすすめです。
コツとしてはアイソレーショントレーニングの方がやりやすいと思います。例えばベンチプレスのようなコンパウンドトレーニングで30repやろうとすると大胸筋の前に腕が疲れるということがあり、狙いたい部位が疲労する前にほかの部位が限界になることがあります。
それよりも、マシンのような軌道が固定されているアイソレーション種目で30~40repを目指すのがおすすめです。
そして、超高回数トレーニングの注意点として40rep超える回数ができる重量だと筋肥大効果が大きく低下する可能性があります。レビューペーパーでは1RMの30~80%まではボリュームが同じ場合、筋肥大効果も等しくなるため超高回数トレーニングのメリットがありますが、1RMの30%を下回る負荷だと筋肥大効果とボリュームが比例しない可能性があります。そのため、まずは自分の最大重量の50%くらいの重量から、30repくらいを目指して始めてみてください。
全身法、ストレッチ、超高回数トレーニングは、科学が認めている筋肥大効果を倍増させる筋トレ法です。科学的な証拠全てがメタ分析やレビューペーパー規模であることは分かってもらえたと思います。そのためこの動画で紹介した鍛え方は奇をてらった動画ではなく本当に科学が裏付けている筋トレ法です。最後まで見て参考になったと思ったら高評価をしていただけると非常にありがたいです。