トレーニングルーティンは人によって様々ですが、もしあなたが効率的に筋肉をつけたかったりボディメイクをしたい場合は分割法をやめて全身法に今すぐに切り替えてください。全身法の効果は科学的なデータによって既に裏付けられており、最近でも証拠がどんどん出ています。
この記事では科学的に裏付けられた高頻度の全身トレーニングのメリットと実際にやってほしい理想的なおすすめ筋トレメニューについて紹介します。
全身トレーニングのメリットは「高頻度で筋肉を鍛えることができる」です。よく全身トレーニングについてのメリットを解説すると「全身を鍛えるのがいい」と思われがちですが、全身を鍛えること自体に意味はあまりありません。
つまり、「上半身と下半身を鍛えてる人と上半身だけ鍛えてる人がいるとしても脚トレをしてない人からといって上半身の筋肥大効果にボーナスがあるわけではありません」
全身トレーニングのメリットは高頻度で鍛えられることができるのがメインです。全身法ならジムに行くたびに筋肉を鍛えることができるので間違いなく分割法よりも高頻度でトレーニングができます。
高頻度で筋肉を鍛えることのメリットは筋肉が成長しやすいことです。現代の科学は高頻度のほうが筋肉が成長する可能性が高いことを示しています。これはいくつかの研究ではなく、科学的信頼性の頂点にいるシステマティックレビュー規模で裏付けられていることが非常に重要です。
さらにレビュー後の研究データにも高頻度のほうが筋肉が成長する可能性が高いことを示す研究が大量に出ています。2022年の10月に公開された最新の研究では、被験者は片脚のレッグプレスマシンを週3回と週1回の脚に分けます。1週間の合計は9setで週3は3setを3回、週1は9setを1回です。
そして被験者を2つのグループに分けます。ひとつはVOLを同じに、もう一つは努力量を同じにしました。結果としてVOLを同じにしたところ筋肥大効果はほぼ同じになりました。努力量を同じにしたところ週3グループのほうが多くの回数と重量をこなしたため筋肉がより成長していました。
筋肥大効果は週1回グループは大腿四頭筋のサイズがプラス1.5~2.1%でしたが週3回グループは平均4.1%であり週1回よりも2~2.7倍筋肉を成長させ、筋力については週1はプラス16~19%、週3はプラス25%でした。
この研究が素晴らしいのは片足ずつで頻度を変更させたことです。つまりこれは同じ人間で頻度の比較をしており、高頻度トレーニングのメリットが遺伝子や食生活などの個人差に依存しないことを意味します。
9setを一気にやれば最後の方では筋肉の疲労により回数が大きく落ちますが1日3setずつやれば3setと4set目の間には24時間以上の休憩があるためパフォーマンスが大きく落ちる前に回復ができます。例えば大胸筋9setではなく、大胸筋3set、背中3set、大腿四頭筋3setなら同じ9setでも鍛える筋肉が違うため大胸筋3setやった後でも背中はほぼ最大のパフォーマンスが出来ます。このボリュームの向上により筋肉が低頻度の分割法よりも成長することを膨大なデータは裏付けています。
さらに全身トレーニングでセットを分割することはジャンクボリュームの削減につながります。ジェームスクリガー博士のボリュームバイブルに示されている通り筋トレは各部位1日で6set程で筋肥大効果が停滞する可能性があり、ある研究では週に2回の筋トレ頻度では1週間で14setも27setもほとんど筋トレ効果が変わらないことを発見しました。
そのため、分割法のように1日で同じ部位を10set,20setやっても実は後半のセットは筋肥大効果が極端に少ない可能性があります。1日少しずつやる全身トレーニングのほうが全てのセットを筋肉の成長に働かせられます。
そして、VOLの高いトレーニングは多くの脂肪を燃焼させる可能性があります。2016年の研究では最低2年の筋トレ経験のある男子ラグビー選手を対象に全身トレーニングとスプリットトレーニングを行わせました。結果として筋肉量スプリットトレーニンググループは平均して+0.4%だったのに対し、全身トレーニンググループは+1.1%で2倍以上の差がありました。そして体脂肪の量はスプリットトレーニンググループは-2.1%だったのに対し、全身トレーニンググループは-5.7%でこれも2倍以上の差がありました。
そのため、全身トレーニングは分割トレーニングよりも体脂肪を落としながら、かつ筋肉を構築する優れたトレーニングです。
そして、全身トレーニングは短時間で筋トレを終わらせることができます。全身トレーニングは時間がかかると良く勘違いされますが実際は真逆です。最初にも話した通り全身トレーニングは高頻度で鍛えてるだけ。つまり、9setやってたレッグプレスを3setを3回にしてるのと同じであり全体のセット数は変わりません。
しかも、筋肉の局所性を利用しています。例えば分割法でベンチプレスが終わった後にケーブルクロスオーバーをする場合、ベンチプレスとケーブルクロスオーバーの間に数分の休憩が必要です。しかしベンチプレスの後に懸垂なら大胸筋の疲労は懸垂にほとんど影響がないため休憩は息が整うくらいで十分であるため種目間の休憩が最小限で済みます。
多くの人が勘違いしていることとは逆で筋トレ時間は最低でも分割法と同じであり、大体の場合は分割法よりも短くて済みます。
全身トレーニングをすると各筋肉をちょっとずつしか筋トレをしないのでパンプが分割法よりも感じにくくなる場合があります。しかし、パンプ、化学的ストレスは筋肉の成長に結びつくという信頼性の高い証拠はありません。POF法というものもありましたが、ブラッドシェーンフェルド博士は信頼性の高いのは機械的緊張しかないというようにパンプや筋肉の損傷が筋肉の成長に結びつくわけではありませんのでパンプを求めてもあまり意味がありません。
そして筋肉の回復について、高頻度だと筋肉の回復が間に合わないという人もいますがこの情報のほとんどはボディビルダーやインフルエンサーの根拠のない主観に基づいています。2021年の9月に公開したシステマティックレビューは神経疲労や筋肉の疲労は非常に些細なものであり、多くの疲労は心理的なものが大きいと示しています。一般的な常識と違い、筋トレの筋繊維の損傷は大したものではなく当然24時間もあれば余裕で回復できます。
高頻度全身トレーニングのメリットは分割法よりも筋肉が成長すること、脂肪が燃えやすいこと、短時間で筋トレが終わるコト、そして高頻度の全身トレーニングのデメリットといわれるパンプや筋肉の回復も筋肉の成長にはほとんど影響を与えません。
フィットネスの先進国では高頻度トレーニングが多くの人に取り入れられており、専門家の多くも高頻度トレーニングのメリットについて同意しています。
実際の全身トレーニングのメニューは下の動画で詳しく紹介しています。
全身トレーニングでは筋トレメニューを2通り作ることを推奨します。
これは大胸筋だったらプレスとフライ、背中なら垂直プルと水平プルというように筋肉の成長を促進させるためには2種目ほどは最低でも必要になる部位があるからです。特に大胸筋,背中、大腿四頭筋は他の種目では刺激されづらいため腕や肩よりもたくさん行います。
この全身トレーニングメニューでは最も目立つ主要筋肉群と2つの部位のペアを交互に行います。
出来る人なら1日ですべての筋肉をやってもいいんですが、今日紹介するのは11部位のトレーニングメニューであるためこれを一気にやると2時間は余裕で超えるくらいのVOLになります。筋トレ時間は1時間から1時間半くらいの人が大半だと思うのでそれくらいの時間を目安にしています。
メニューはAとBに分けて紹介します。
種目名 | セット数 | レップ数 | |
1 | Flat Barbell Bench Press | 3~5 | 3~8 |
2 | Pull Up | 3~5 | 5~10 |
3 | Leg Extention | 3~5 | 20~ |
4 | Standing Arnold Press | 3~5 | 7~12 |
5 | Reverse Cable Fly | 3~5 | 20~ |
6 | Cable Curl | 3~5 | 10~15 |
7 | Cable Crunch | 3~5 | 7~12 |
種目名 | セット数 | レップ数 | |
1 | Barbell Squat | 3~5 | 3~8 |
2 | Incline Cabel Fly | 3~5 | 15~20 |
3 | Barbell Row | 3~5 | 5~10 |
4 | Machine Leg Curl | 3~5 | 7~12 |
5 | Cable Lateral Raise | 3~5 | 10~15 |
6 | Triceps Extention | 3~5 | 10~15 |
7 | Reverse Cable Curl | 3~5 | 20~ |