【背中トレ】広がりと厚みの筋肉を作る鍛え方,科学的証拠アリ


背中はかなり多くの人がやっている部位でもありますが、実は間違った鍛え方が非常に多い部位でもあります。今回は科学的な証拠をもとに背中の筋肉の正しい鍛え方を紹介します。科学的な根拠がしっかりあるトレーニングをしたい、安全に筋トレをしたいといった効率重視のトレーニーの人にこの動画は最適です。

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解剖学的な背中の筋肉

背中には多くの筋肉があります。有名な部位で言うと広背筋や僧帽筋がありますがそのほかにも菱形筋や大円筋があり紹介しきれないくらいの筋肉があります。たくさんの筋肉があるため背中トレーニングでは各筋肉を狙った種目を作らなければいけないのかと思う人も多いと思いますが、実際のところそれぞれの筋肉の解剖学的な運動はかぶっていることも多いのですべての筋肉を区別しなければいけないというわけではありません。

フィットネスの科学者であるmenno henselmans博士によると背中を鍛えるときは広背筋,三角筋後部,僧帽筋、そして脊柱起立筋に分けることを推奨しています。

一般的に背中は広がりと厚みの2つといわれていますがこの4つの筋肉を広がりと厚みに分けると広背筋は広がり、その他の3つは厚みとして分けることができます。

背中の広がりを作る広背筋は肩関節の内転と伸展、腕を上から下に引っ張るような運動に関わります。

厚みを作る筋肉については三角筋後部は肩関節の伸展と腕を横に開く水平外転、僧帽筋には上部と中部,下部の3つがありますが上部は肩をすくませる肩甲骨の挙上、中部はベンチプレスの時のように肩甲骨を寄せる内転、下部は内転に加えて肩甲骨を下に下げる下制に働きます。

最後の脊柱起立筋は背中を反らせるような脊椎を伸展させる運動で活性化されます。

スポーツ生理学の博士号を取得しているmike israetel博士によると背中を鍛えるときは広がり,つまり広背筋を主に狙う種目である垂直プルと僧帽筋などの厚みに貢献してくれる筋肉を狙う種目の水平プル、この2つが必要であると話しています。

これは広背筋は上から下に引っ張る運動に主に活性化されるが、厚みを作る筋肉は前から後ろに引っ張る運動で活性化される傾向があるためです。

つまり、どっちかを優先させたらもう片方の活動は弱くなる可能性が高いため厚みと広がりの両方にとって理想的な種目はありません。なので背中のトレーニングメニューでは厚み用の種目と広がり用の種目が必要になります。

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広がりの作り方

広背筋の運動は非常にシンプルで肩関節の伸展と内転の2つだけです。内転を使う種目は主に懸垂やラットプルダウンがあります。これらの種目について一般的な常識としてはワイドグリップが広背筋といわれていますが科学はその情報を支持していません。

内転トレーニングのおすすめ手幅

2014年の研究では肩幅と同じ広さのナローのラットプルダウンとその1.5倍のミドルグリップ,2倍のワイドグリップで比較したところ広背筋の活動はほとんど変わりませんでした。

そして、グリップについてもラットプルマシンにはいろいろなグリップがあるため試してみたくなりますが一般的な回内グリップで体の前にもっていくのがおすすめです。

2002年の研究ではクローズグリップ、回外グリップ、回内グリップのワイドグリップで体の前にバーをもっていくラットプルダウン、そして同じく回内グリップのワイドグリップで首の後ろにバーを引っ張るトレーニングで比較しました。

その結果、ワイドグリップで体の前に引っ張るラットプルダウンが広背筋の活動が最も高いことがわかりました。他の3つにはほとんど差がありませんでした。

クローズグリップにすると脇が閉じて肩関節の伸展運動に近くなりますがおそらくその場合はあまり広背筋にとって効率的な方法ではないでしょう。伸展を使いたいならもっといい選択肢があると思います。

そのため、懸垂やラットプルのような種目では手幅は肩幅と同じもしくはそれよりもこぶし一つ分くらい広い範囲で回内グリップを使ってバーを自分の大胸筋上部にくっつけるのが科学的なデータを見るとベストです。

広背筋に効かせるテクニックとして筋トレ初心者の人に特に多いですが広背筋になかなか効かせられないという相談をもらうことも多いです。確かに背中の筋肉は腕や肩と違って鏡で確認することができません。

2009年の研究でもトレーニング初心者の人はラットプルダウンエクササイズで背中よりも腕の筋肉に頼ってしまうことが多いようです。この改善策として広背筋を触りながら行うことで筋肉の活性化が高まったことを示しています。

広背筋トレーニングが苦手な人は一人でやるときケーブルマシンでラットプルダウンを行い、シングルアームで自分の広背筋を触りながら行うのがおすすめです。

さらには肩甲骨を下制させることも重要です。背中に負荷が入っていない人は大体肩がすくんだままバーを引っ張っていることが多いです。肩甲骨を下げながら引っ張るようにすると広背筋に刺激が入りやすくなります。

ラットプルダウンや懸垂は内転を使う種目でしたが伸展での広背筋トレーニングも非常に効果的でありながらもかなり後回しにされています。

伸展トレーニングも重要

広背筋といえば内転というイメージですが2014年の研究では広背筋はラットプルダウンや懸垂などの肩関節の内転よりも伸展の時に最高の筋活動が示されています。

デッドリフトでは肩関節の伸展がほとんどないため、デッドリフトでは広背筋はほとんど鍛えられないでしょう。これと同じでベントオーバーロウでも肩関節の伸展範囲は90度程度しかないため可動域は人間ができる伸展運動の半分程度しかありません。

にもかかわらずアメリカ運動評議会のEMG研究ではベントオーバーロウでもラットプルダウン以上の筋活動を示しています。そのため、肩関節の伸展は内転以上に広背筋を刺激してくれる可能性があります。

menno henselmans博士が推奨するラットプレイヤーは内転を使った広背筋トレーニング種目です。ケーブルを使って肩関節の伸展を行います。重要なポイントとして伸展を使うときは肩の位置に注目しましょう。肩の位置は多くの人は気にしませんが、実は筋トレで非常に重要なポイントです。

menno henselmans博士によると伸展運動の時は肩が中立位置にあるときに広背筋が最も活動的になるようです。

つまりストレートバーでこの種目を行うときは回内グリップを使用しますが回内グリップというのはサイドレイズで小指を上げるのと同じく肩が内側に回転することを意味します。これよりもグリップをニュートラルにすると肩が外側に回転して広背筋の活動が強くなるようです。

そのため、ケーブルを使ったラットプレイヤーはロープを使うとニュートラルなグリップになるため広背筋にとって理想的な肩の位置になるようです。

背中の広がりである広背筋を鍛えるときは内転と伸展を使った種目を取り入れるのがおすすめです。

間違った鍛え方としてはまずは過度なワイドグリップで懸垂やラットプルダウンを行うこと。人間の関節は円運動であるため、ワイドにすることでより下のほうからのスタートになるため可動域が狭くなり、スタートでのストレッチもなくなります。可動域とストレッチは科学が重要と認めている筋肥大に大事な要素であるため、これを犠牲にするのは筋肥大効果も犠牲になります。

加えてワイドグリップは手首の負担も大きくなるためメリットはほとんどありません。

そしてもう一つのミスはストレッチを殺すこと。ラットプレイヤーのような運動で特によくあるミスは体の正面でストップさせることです。これでは強いストレッチは入りません。ラットプルダウンや懸垂でも肘が伸びるまで広背筋をストレッチさせずに中途半端な位置で止めていることです。筋トレの基本はストレッチから収縮であるためしっかり背中を伸ばしてから限界まで収縮させましょう。

もちろんラットプルダウンでバーが大胸筋につくまで下げていなかったり懸垂で自分の大胸筋上部が手と同じ高さになるまで引っ張っていないのも筋トレ効果を大きく落とします。

トレーニング中のチート行為にも気を付けましょう。背中の力ではなく勢いを使うことをチート行為と呼びます。特に多いのがラットプルダウンでかなり重い重量を扱っている人で背中を後ろに下げる勢いを使ってウエイトを引っ張っていること。確かに科学的なデータではラットプルダウンで背中を45度傾けたほうが広背筋の活動が11%増えたことを示しています。

しかし、この運動が強すぎるとその運動によってウエイトを持ち上げていることになるので背中への刺激はほとんど入りません。

ラットプルダウンで高重量を扱うときはチート行為に特に注意しましょう。

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厚みの作り方

厚みは水平プル

次は厚みの鍛え方です。厚みは三角筋後部,僧帽筋,そして脊柱起立筋です。僧帽筋には上中下がありますが、上部は外見的な背中の厚みには貢献してくれないので中部と後部に集中しましょう。

広がりは広背筋ひとつだけでしたが厚みは3つもあるのか。ややこしそうだなと思う人もいると思いますが実際ひとつの運動でほとんどの筋肉がカバーできます。

三角筋後部は腕を閉じた状態から外側に開く水平外転と伸展、僧帽筋の中部と下部で重要なのは肩甲骨の内転、脊柱起立筋は脊椎の伸展で収縮します。

懸垂やラットプルダウンのような垂直プルでは前から後ろに引っ張る運動がほとんどなく、広い可動域もストレッチもありません。アメリカ運動評議会の筋電図分析でも懸垂やラットプルダウンは僧帽筋中部の活性化が非常に弱いことがわかります。

加えてバスキーたちの行った筋電図分析では僧帽筋の中部と後部はリバースのフライが最強であることがわかります。僧帽筋と三角筋後部のためにはおそらくリバースのマシンフライが最強でしょう。

ただし、脊柱起立筋も非常に重要です。この部位は僧帽筋や広背筋ほど目立つ筋肉ではありませんが背中のかなり広い範囲をカバーし、脊椎の伸展で収縮します。

この部位を鍛える最も一般的な方法はヒップエクステンションのような種目ですがこれはロウのフィニッシュで体を反らせることでも脊柱起立筋も収縮します。mike israetel博士の推奨するロウはフィニッシュで背中を反らしていることがわかります。

これをすることで脊柱起立筋もアクティブになるため、この運動を使えば背中の厚みを構築する筋肉がアクティブになります。

そのため、背中の厚みを作る三角筋後部と僧帽筋の中部と下部、脊柱起立筋はmike israetel博士が紹介する水平のプル、つまり自分の上半身と垂直に引っ張る運動で十分成長します。これは厚みを作る筋肉が前から後ろに引っ張る運動に強く干渉するためです。

間違いが多いロウトレーニング

そしてこの水平プル、つまりロウトレーニングは懸垂やラットプルダウンなどよりもはるかにミスが多い種目です。多くの人が間違ったロウトレーニングをしており、mike israetel博士は背中トレーニングについての記事で地球上の約5%だけが正しいテクニックでトレーニングされていると話しています。

つまり、ロウをしている人の95%は間違った鍛え方をしています。

間違ったロウは狭い可動域とストレッチ不足です。

1つ目の間違ったロウはこのようなトレーニングです。シーテッドロウやベントオーバーロウで良くありますが、どこが間違っているかわかりますか?

正解は背中を収縮させたままトレーニングをしていることです。何度も言っている通り筋肉の成長のためには広い可動域とストレッチが重要です。背中トレーニングで特に多い気がしますが肩甲骨を寄せたままウエイトを持ち上げている人が非常に多いです。筋肉はゴムのように伸びて縮むことが力を発揮して負荷を受け取るため背中を寄せたままウエイトを引っ張ることは僧帽筋を殺しているのに等しくウエイトの負荷のすべては三角筋後部と上腕二頭筋に逃げています。

スタートでは僧帽筋をストレッチさせます。ボディビルのポーズで言うラットスプレッドのように肩甲骨を開きます。ダブルバイセップスポーズと違って僧帽筋が離れていることがわかると思います。

このように肩甲骨を開いてからフィニッシュではダブルバイセップスポーズのように収縮させます。この形が僧帽筋を成長させるためには理想です。スタートとフィニッシュで肩の位置が変わっているようにしてください。スタートでは肩は前に出てフィニッシュでは後ろに下がっています。

間違ったロウはスタートで肩が前に出ておらず、動作中ずっと大胸筋よりも後ろに下がったままです。

もう一つの間違いは体を直立させることです。バスキーのEMG研究をもう一度参照してみると僧帽筋の上部はシュラッグやデッドリフト、ナローグリップのフロントレイズで強く活性化されることがわかります。これは最初にも話した通り僧帽筋の上部は中部や下部と違い、肩をすくませる肩甲骨の挙上で強く活性化されるためです。

ロウトレーニングのスタートから上半身を起こした状態でのトレーニングはウエイトの負荷の向きを考えると僧帽筋の上部にかなり逃げていることがわかります。加えて体を起こすと僧帽筋の中部下部のストレッチはほぼ感じることができません。ストレッチも僧帽筋の上部に逃げているからです。

フィットネスの科学的な権威でもあるブラッドシェーンフェルド博士も芝刈り機をスタートさせるような体を起こした状態でのロウはやるべきではないと話しています。

スタートではできるだけ背中をストレッチさせるためにウエイトを下におろしましょう。基本的には床につくまでウエイトを下すのはベンチプレスで大胸筋にバーをつけるのと同じくらい必須なことです。腕の長い人はストレッチを感じる前に床についてしまう可能性があるのでその場合は床に高さの出るものを置くといいです。

ロウトレーニングの正しいフォームはバーをつかむ手幅を肩幅と同じにします。広いとストレッチがなくなり、手幅が狭すぎると肩甲骨の内転と肩関節の水平外転の運動が小さくなるため肩と僧帽筋の活動も弱くなります。

足幅も開きすぎると体と地面の高低差がなくなるため手幅よりも狭くします。スタートで肩甲骨を開いて背中をできるだけストレッチさせます。イメージとしては水泳のスタートのようなイメージです。そしてウエイトを引っ張って大体自分のへそくらいにバーを当てます。同時に背中にアーチを作ることで脊柱起立筋も収縮します。このやり方でやればほとんどの人にとっては片方5~10kgのウエイトプレートで十分です。

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筋トレメニュー

 

背中トレーニングの筋トレメニューの構築法としてはmike israetel博士はほとんどの人にとっては垂直プルと水平プルのを1:1で取り入れるのがベストだと話しています。ただし、今まで懸垂しかやってこなかった人やロウしかやってこなかったから広がりと厚みのバランスがかなり悪いという人は配分を変えるのがおすすめです。

広背筋のような広がりを作るトレーニングは懸垂やラットプルダウンのような内転で鍛える種目とラットプレイヤーのような伸展で広背筋を刺激する2種目を取り入れるのがおすすめです。個人的には懸垂とケーブルのラットプレイヤーが好きです。

僧帽筋などの厚みを作るときはロウのトレーニングを行いましょう。三角筋後部のトレーニングの多くで僧帽筋は強く活性化されていますが脊柱起立筋は刺激できません。ベントオーバーロウやダンベルのロウ,シーテッドロウのようなトレーニングがおすすめです。シーテッドロウの時はナローグリップよりも手幅の広いグリップを使うほうが厚みを作る筋肉にフォーカスすることができます。

筋トレ頻度としては高頻度のほうが筋トレの効果は高いので上級者なら週に3回以上がおすすめです。垂直プルと水平プルを1日ごとに交互に行うのもいいでしょう。

セット数としては背中にこだわりたい人は週30set,30setと聞くとオーバートレーニングが心配な人もいると思いますがハードな部活動をしていたり、筋トレ以外で強度の高い運動をしている人以外なら科学的なデータを見ると30setでオーバートレーニングになる可能性は低いです。

多くの人にとっては高頻度トレーニングのような品質の高いセットというのが前提で15~20setがおすすめです。背中の日などの週に2回以下の頻度で鍛えている人はセットの質が悪いため同じ筋肥大効果を得るためにはこの1.5倍以上のセット数は必要になります。

筋トレ初心者は10setあれば十分です。

ちなみにこの数字は水平プルと垂直プルの2つを合わせてセット数です。背中トレーニングでも広い可動域とストレッチを忘れないでください。この2つがトレーニングにしっかり存在していれば筋肥大効果はかなり高いはずです。

Parker Fitness

今までの失敗,そして成功から科学的な文献を基にすると筋肉の付き方が全く違うことに気づきました。 それを皆さんにも経験してほしくYoutubeなどで科学的なアプローチで効果的な筋トレ法を紹介しています。