今回はナチュラルボディビルダーでトレーニングコーチのジェイコブシェピスさんがこの画像のように筋肉をとんでもなく成長したトレーニング法、そしてその鍛え方を証明する科学的な背景を紹介します。
ステロイドユーザーならまだしもナチュラルのジェイコブさんがここまでの筋肥大効果を得たのはあるトレーニングサイクルを実施したためです。彼にはすでに何年も筋トレ歴があることからも分かる通りこれは初心者ボーナスをフルに活用したトレーニングではなく、むしろ筋トレ中級者や筋肉が成長しづらくなった上級者に特に効果のある筋トレメニューです。
彼が行ったのは超高ボリューム集中トレーニングです。この記事の後半には実際に何セットやればいいのか頻度はどれくらいなどを詳しく解説しますので効果が欲しい人は絶対に最後まで見てください。
まず一般的に言われているのはベストなセット数は1週間で20setというもの。筋トレのセット数について調べるとこのようなグラフを見たことがあると思います。
おおよそ10~20setの間で筋肥大効果が最大であり20setあたりから筋肥大効果が停滞してそれを超えると筋肥大効果が落ちるというものです。これにより20set以降はオーバートレーニング、やりすぎと結論付ける人もいます。
しかし、科学的な根拠を見るとこのグラフはほとんどの人には当てはまりません。20setを目安にする必要も特にないと考えています。
2015年の全身トレーニングプログラムで上腕二頭筋を週に2回、上腕三頭筋を週に3回トレーニングさせました。1週間の合計ボリュームは1種目につき1setやるグループがそれぞれ二頭筋を週に6set、三頭筋を9set、1種目3setやるグループは1週間で18setと27セット、1種目5setグループは1週間で30setと45setでした。
結果はこちらのグラフ。ベンチプレスの1RM 以外は大量にボリュームを行うグループのほうが優れており、上腕三頭筋の発達については研究を疑いたくなるほどの筋力の増加です。この研究のすごいところは研究期間が6か月もアリ、参加者はみな軍人でありトレーニング経験が豊富な被験者でした。
大量のボリュームを行うことによる筋力アップについてはあまり有意な効果がありませんでした。
続いて2018年のブラッドシェーンフェルド博士の研究。これもほとんど同じで被験者を3つのグループに分けました。1setグループは各筋肉のトレーニングを1週間で6~9set行い、3setグループは18~27set、5setグループは30~45setでした。結果としてスクワットやベンチプレスの1RMは大量のボリュームを行うことによる効果はありませんでしたが筋肥大効果は測定した値全てで大量のボリュームを行うグループのほうが優れていました。
ココで世界的なフィットネス科学者であるmennohenselmans博士の研究チームが行ったレビューを乗せます。ボリュームと筋肉の反応についての関係です。
まずはこちらが筋トレ未経験者のトレーニングボリュームに関する研究。未経験者の場合はほぼ横ばいであり各筋肉5~10setで筋肥大効果はほぼ最大になります。そのため筋トレ未経験者の場合は週に5~10set各筋肉を鍛えれば十分筋肥大効果は最大になります。
そしてこれが筋トレ経験のある被験者のグラフ。分かる通り大量にトレーニングボリュームを確保することによる筋肥大効果を裏付けています。これは実際に理にかなっています。トレーニング経験やレベルが増えるにしたがって筋肉を増やすために必要なシグナルがどんどん鈍くなっていきます。
簡単に言うと筋トレ初心者の場合は少しのボリュームでシグナルが目を覚ましますが、筋トレ上級者になってくるとちょっとやそっとで起きなくなってくるため多くのボリューム、多くの刺激が必要になります。
つまり、科学的な証拠から筋トレのセット数20setが上限というのは少なくとも健康な人には全く当てはまらないでしょう。よく言われているトレーニングのやりすぎで筋肉が傷つきすぎて成長しないオーバーワークというラインのは存在すると思います。しかし、あなたはその場所にほぼ間違いなくたどり着けません。
多くの人が20setを基準に筋トレを考えます。これに原因についてはほとんどの人にとって20setは目標となるボリュームだからだと思います。例えば週に2回,大胸筋トレーニングをしてる人は1日10setとなります。これはみんながみんな簡単にこなせる数字ではありません。僕の印象ですが普通の人は筋トレは多くやってる部位でも15set程度だと思います。そこで20setという目標を単に立てているにすぎません。
ジェイコブシェピスさんが行った超高ボリュームトレーニングは上腕二頭筋と上腕三頭筋を集中的に鍛えました。注意点として超高ボリュームトレーニングは極端なセット数を行い、対象の筋肉を1~2部位に絞るべきです。この理由はmennohenselmans博士の記事にある通りです。非常に大量のボリュームを行うことは身体的、精神的なストレスがかかるためです。つまり、この動画を見て「よっしゃこれから全身の筋肉30setや」と思ったところで不可能でしょう。
これは筋肉が傷つきすぎるとかではありません。あなたの関節が消耗し、痛み始め、いつもやってるトレーニング時間が何倍にもなり数週間であなたはジムに行くことすら嫌になるでしょう。僕自身も高ボリューム集中トレーニングをやると肘が普段よりもかなり消耗しやすくなりました。
それではどうやって超高ボリュームトレーニングを取り入れるべきか。おすすめのセット数としてはジェイコブさんは上腕二頭筋と上腕三頭筋をそれぞれ30setずつ1週間で行いました。科学的な権威でありグルートガイで有名なブレッドコントレラス博士はクライアントに30setの大殿筋トレーニングプログラムを実施することがよくあります。
超高ボリュームトレーニングを行っている科学者の人の推奨するボリュームを考えるとおおよその目安として1部位に絞る場合は1週間で30~40set、2部位に絞る場合は30setがおすすめです。25setとか中途半端なボリュームにはせずに極端なセット数にするべきですので最低でも30setです。
そして、非常に重要なポイントは筋トレメニューに組み込むときです。超高ボリュームトレーニングをやるときは筋トレの全体的な時間は変えずに集中的にやる部位の時間を増やして他の部位のボリュームは減らすことをおすすめします。どれくらいかというと筋肉が落ちないくらいまでということです。実は筋肉は成長させるよりも維持させるほうが遥かに簡単です。
ブレッドコントレラス博士によると筋トレ経験のある若い成人の場合は筋肉量を維持するために週に1回の全身トレーニングで良いと話しているので各筋肉1週間で3~6set程度で筋肉量は維持できると思います。年配の方の場合はもう少し必要になります。
つまり超高ボリュームトレーニングを長期的に継続させるためにはあなたの今の筋トレに費やす時間は変更しないことをおすすめします。そのためにも、1日で行うトレーニングの合計が20setだとすると1/4から半分程度を対象の部位に捧げて他の部位は10setもしくは現状維持程度のボリュームにする必要があります。
そして最も重要なのは高頻度で分割させること。腕の日など週に1回1部位を鍛えるのは非常に非効率的な鍛え方です。最新のレビューで筋肉の合成期間という可能性は排除されましたがトレーニング質の低下によって週に1回1部位は非効率的であることが証明されました。
ジェームスクリガー博士のボリュームバイブルによると多くのトレーニーは1回のトレーニングで1部位あたり6~8setのセット数で筋肥大効果が最大になるようです。つまり、30setを週に3回10setずつやる人と6setを週に5回やる人とでは同じ30setでも効果がまるで違います。セット数はお互い30setでも1日10setずつやってる人はボリュームがはるかに少ないでしょう。
ジェイコブシェスピさん自身の記事でも自分が犯したの高ボリューム集中トレーニングのミスとして1回で大量のボリュームをやろうとしていたことを上げています。
そのため、低頻度で鍛える人は高ボリューム集中トレーニングをやろうとしてもジャンクボリュームが多すぎて外見的には30setでも実際のボリュームはその半分程度ある可能性も高いです。
おすすめのセット数としては1回8set以内、つまり30setの超高ボリュームトレーニングをするときは最低でもその部位を週に4回以上は鍛えられる人である必要があります。