上腕三頭筋は非常に巨大な筋肉で腕のサイズに最も影響する筋肉のひとつです。この動画では科学的な文献や学位のある博士の意見を参考に科学的に上腕三頭筋を鍛える方法について紹介します。
上腕三頭筋には3つの頭があります。ひとつ目は外側頭、そして内側頭、長頭です。
3つ全ての筋肉が肘関節の伸展に関与するため上腕三頭筋トレーニングには肘を曲げてから伸ばす運動が必要です。
そして重要なのは長頭のみが肩関節の伸展に関与します。背中のトレーニングで上腕三頭筋の長頭の疲労感を感じる人は少なくないと思いますがこれは広背筋が関わる肩関節の伸展に上腕三頭筋の長頭も関与するためです。
上腕三頭筋の鍛え方にはいくつかの情報がありますが代表的なのはこの2つでしょう。
1.大胸筋のプレスなどで上腕三頭筋は強く刺激されている。特に内側頭外側頭はプレストレーニングで非常に強く活性化されているため上腕三頭筋トレーニングは長頭を重点的に鍛えるべき。
2.上腕三頭筋の長頭は肩関節の伸展に唯一関与している筋肉であるためこの運動があるトレーニングは長頭を強く刺激する。例えばオーバーヘッドのトライセプスエクステンションやオーバーヘッドでのエクステンションは肩関節の伸展が強いため長頭向きの種目である。
上腕三頭筋の長頭のみが肩関節の伸展に関与しているため確かにこの2つは理にかなっています。オーバーヘッドのトライセプスエクステンションは肩関節の伸展が強いですし、プレスの時は肩関節の伸展はないので長頭は強く刺激されていないというのが自然です。
世界的に有名なフィットネスの科学的な権威であるブラッドシェーンフェルド博士の記事でもオーバーヘッドのトライセプスエクステンションのような肩関節の伸展種目は長頭にとって最適であり、プッシュダウンは腕が体の側面に保持されるため内側頭や外側頭にとっていい種目であるとかかれています。
しかし、科学的な筋電図分析ではこのことが示されていません。例えばバスキーたちのEMG研究によるとインクラインベンチにうつぶせになるキックバックは肩関節の伸展があまりないにもかかわらずオーバーヘッドのトライセプスエクステンションよりも高い長頭の活性化を示しています。
加えて2018年のemg研究では座った状態でオーバーヘッドで行うダンベルエクステンションと寝た状態で顔の前で行うダンベルエクステンションでは上腕三頭筋の長頭にの活動に違いが無かったことを示しています。
そしてアメリカの運動評議会のemg分析ではトライアングルの腕立て伏せが長頭や内側頭外側頭にとってオーバーヘッドのトライセプスエクステンションより優れた筋肉の活性化を示しています。
そのため、プレスは内側頭外側頭だから上腕三頭筋は長頭狙いというのは長頭をやりすぎて筋肉の不均衡を生むため長頭ばかり狙うのはおすすめしません。
上腕三頭筋のおすすめの種目と正しいやり方を紹介します。
最近のトレーニングの科学はストレッチの筋肥大効果について評価を改めています。非常に最近の可動域についてのメタ分析ではパーシャルレップよりもフルレンジモーションが筋肥大効果が高いことに加えて可動域の中でストレッチが強いほうが筋肥大効果が高い可能性を認めています。
例えばレッグエクステンションで収縮部分のみ行う人よりもストレッチ部分のみを行う人のほうが大幅に筋肥大しているということを示す研究が多くあります。もちろん収縮が必要ないというわけではありません。ダンベルフライのようにストレッチの部分のみが強い種目では大胸筋の発達にとってそこまで良いとは言えないでしょう。なので、そこは勘違いしないでほしいですが上腕三頭筋の種目選びではストレッチが強い種目をおすすめします。
さっき言った通り上腕三頭筋トレーニングでで重要なのは長頭と内側頭外側頭をバランスよく鍛えること。そしてオーバーヘッド=長頭というわけではないということを忘れないでください。
パーカーフィットネスおすすめの上腕三頭筋トレーニングはキックバックとプッシュダウンです。オーバーヘッドのトライセプスエクステンションも効果的だと思いますがキックバックのほうが気に入っています。
キックバックはダンベルよりもケーブルをおすすめします。理由としては強度曲線です。
ほぼ水平にカラダを傾けるキックバックでは上部で張力が最大になりますが下部では0になります。スタートで0になることはストレッチがほとんどなくなってしまうということですので可能ならケーブルや抵抗バンドを使うといいです。
スタートでストレッチを感じて腕を体の側面に固定させます。そしてフィニッシュでは体よりも腕を後ろに引っ張って最大限収縮させます。ロープなどを使ってもいいですがケーブルのヘッドを持つのがおすすめです。肩関節の伸展はそこまで必要ないので体よりも前に腕を伸ばさないでください。
次はプッシュダウン。ストレートバーなど色んなグリップがありますが基本的には大きく上腕三頭筋の筋活動は変わらないようです。しかし、ロープを使用することで内側頭外側頭の筋活動が落ちる代わりに上腕三頭筋の長頭の活動が増えるためバランス良く鍛えます。上腕三頭筋の種目を1つに絞りたい場合はロープをおすすめします。
ケーブルプッシュダウンを逆手で行う人もいますが上腕三頭筋は手首の回転には関係しません。そのため、逆手で行うことのメリットはありませんし、重量が落ちて上腕三頭筋の収縮も落ちるためおすすめしません。そしてケーブルのスタート位置は一番高い位置に設定するのがおすすめです。この位置が低いと十分ストレッチをかけられるポジションでウエイト同士が接触するためストレッチが無くなります。
mike israetel博士によると上腕三頭筋のセット数は1週間で10~14setが推奨されています。上腕三頭筋は大胸筋トレーニングのプレスや背中トレーニングの肩関節の伸展で刺激されているのは間違いありません。
しかし、研究によるとベンチプレスのみのグループとベンチプレスにオーバーヘッドのトライセプスエクステンションを組み込んだグループのほうが上腕三頭筋のサイズが2倍になっているということが示されました。
そのため、中級者以上の人がベンチプレスやショルダープレスなどのコンパウンドトレーニングのみで上腕三頭筋が発達するとは思えません。上腕三頭筋を発達させたい場合は上腕三頭筋トレーニングが必須だと考えます。腕を重点的にやりたいという人でない限り、まずは大胸筋などのトレーニングを優先させて上腕三頭筋トレーニングは週に10~15setを目指しましょう。
頻度については同じ部位をやればやるほど疲れるため、高頻度でトレーニングすることの重要性が見直されつつあります。しかし、1~2setとかなり少なくして毎日やる必要はないと思います。パーカーフィットネスのおすすめとしては週に3回程度、1回3~5set上腕三頭筋トレーニングをすることをおすすめします。