下半身にある大腿四頭筋は非常に外見に重要な筋肉です。大腿四頭筋のカットはボディビルのコンテストでも勝敗を分ける非常に大きなポイントにもなります。今回は科学的な証拠,そしてフィットネスの学位を持った博士の意見などを参考に大腿四頭筋の安全かつ効果的な鍛え方を紹介します。
最初は大腿四頭筋について基礎的なことを覚えておく必要があります。どんな運動に大腿四頭筋が関係しているのかです。この筋肉は名前に4という数字がついているように4つの筋肉で主に構築されています。
名前は外側広筋,内側広筋,大腿直筋,そして大腿直筋の中に隠れている中間広筋です。
これら4つの筋肉は膝関節の伸展に関わります。膝関節を中心に脚を伸ばす動作です。そしてとても大きな大腿直筋のみ股関節の屈曲にも関わり、脚を上に上げる運動に関わります。
大腿四頭筋の主な役割は膝を伸ばすこと、そして大腿直筋のみ脚を上げる股関節の屈曲に関わるということを忘れないでください。なぜならこの解剖学的な動きからメニュー構成を考える必要があるからです。
大腿四頭筋のメニューの組み方についてヒントとなる研究が2021年の5月に発表されました。この研究では筋トレ歴最低2年の被験者に34人の健康的な男性、平均年齢25.4歳を対象に大腿四頭筋トレーニングを行わせました。
被験者は二つのグループに分けられ、スミスマシンのスクワットグループとレッグエクステンショングループにランダムに分類されます。
結果として大腿直筋はレッグエクステンショングループで優位に成長しましたがスクワットグループでは大腿直筋のサイズはあまり増加していませんでした。
これは解剖学的な観点からも明らかです。先ほど解剖学的な大腿四頭筋の話しで大腿直筋は膝関節の伸展だけでなく股関節の屈曲に関わります。スクワットの動きを見てください。立ち上がるとき膝関節は伸展し、大腿四頭筋は収縮しますが股関節の屈曲による大腿四頭筋の収縮はありません。
逆にレッグエクステンションでは大腿四頭筋を収縮させるときにわずかに股関節を屈曲させています。わずかですがこれが大腿直筋を優位に成長させます。
フィットネス研究所の理事であるmenno henselmans 博士はこの研究を引用して、実際に大腿四頭筋のトレーニングメニューを組むときはスクワットのような形の種目とスクワットのような形の2種類を取り入れるべきであると話しています。
股関節の屈曲があり大腿直筋を主に刺激するレッグエクステンション型のトレーニングは種類は少ないですが、スクワット型の膝関節の伸展のみで大腿四頭筋を鍛える種目はブルガリアンスクワット,レッグプレスなどかなり多くの種目があります。
大腿四頭筋のサイズに違和感があったり大腿直筋や外側広筋にこだわりたいという人は別ですが基本的にはレッグエクステンション型の種目とスクワット型の種目のボリュームを1:1で構築すると大腿四頭筋の4つの頭のバランスが取れた大腿四頭筋になります。
どんなにトレーニングをしていてもそれが正しいやり方でなければ筋肉は大きくなりません。大腿四頭筋トレーニングの最も大きなミスについてスポーツサイエンティストのmike israetel博士が紹介しています。
「詳しくは動画まで」
大腿四頭筋トレーニングの最も大きな間違いはパーシャルレップです。例えばスクワットやレッグプレスで片方何枚もプレートを付けてほとんどしゃがんでいなかったり膝を曲げていなかったりするトレーニングをエゴリフティングといいます。これをやる人は高重量を扱うことで周りの人が自分のことを尊敬すると思っています。しかし、ほとんどしゃがんでいないのはばれていますしそもそも周りは自分が思っているよりもあなたのことを気にしていません。
mike israetel博士が言うようにエゴリフターたちは軽い重量でのレッグプレスやスクワットをダサくて恥ずかしいことだと思っていますが深く膝を曲げるスクワットこそ大腿四頭筋を成長させます。
最新のレビュー研究に示されている通り科学は筋肥大のために広い可動域とストレッチポジションの重要性を認めています。深くしゃがまないことで大腿四頭筋はストレッチせず可動域も狭くなります
2013年の研究ではパーシャルスクワットとディープスクワットで比較したところ、筋肉のサイズは深くしゃがむパラレルスクワットグループのほうがはるかに筋肥大しておりパーシャルスクワットは測定した6つのうち4つの部位で筋肥大効果が確認できませんでした。
筋肥大のためにはスクワットでも深くしゃがむ必要があります。しかし、フルスクワットについて調べると深くしゃがむと危険という情報を見たことがある人もいるでしょう。例えばバットウインクです。これはスクワットのリフト下部で腰が丸まってしまうことです。
加えてフルスクワット、深くしゃがむスクワットは膝を痛めやすいと話す人もいます。
これを理由にフルスクワットは危険だからといってウエイトをたくさんつけたパーシャルスクワットトレーニングを肯定する人もいますがこれらの主張には科学的な根拠がありません。
2013年のスクワットの深さと膝関節,そして腰椎のケガのリスクの増加についてのレビュー研究では一般的に言われている懸念とは違いフルスクワットは受動組織のケガのリスクを高めないと示されています。
フィットネス研究者の権威でもあるブラッドシェーンフェルド博士も自身のツイッターでケガのリスクのためにディープスクワットを避けることを示す説得力のある証拠はなく深くしゃがむことで多くのメリットがあると話しています。つまり、フルスクワットで膝や腰を痛める可能性は非常に低く、フルスクワットでケガする人はそもそもフォームが悪いだけでありスクワットの深さのせいではありません。
フルスクワットで膝や腰が痛くなる人は深さのせいにするのではなく自分のフォームをもう一度確認するのがいいでしょう。
次はレッグエクステンション型,スクワット型のおすすめの種目を紹介します。
レッグエクステンション型おすすめの種目はレッグエクステンションマシンです。レッグエクステンションの動作は円運動にかなり近いためダンベルを挟んだり、フリーウエイトの種目を選ぶと強度曲線がかなり不安定になります。これでは広い可動域をとれないのでマシントレーニングに頼ると可動域全体で負荷が入ります。
レッグエクステンションは膝関節のストレスが大きいですがブラッドシェーンフェルド博士によると運動が適切に行われていればレッグエクステンションが健康な人の膝関節に悪影響を与えることはなく、健康な人がレッグエクステンションを行うことでケガのリスクが高まるという証拠は見たことが無いと話します。
そのため、高重量でもチートを使っていなかったりフォームが適切なものであればあなたの膝関節がダメージを受ける可能性は低いでしょう。
先ほどの研究で示されている通りレッグエクステンションは大腿直筋を強く刺激されています。2009年の下半身トレーニングの筋電図分析でもレッグエクステンションは大腿直筋を強く刺激することを示しています。
加えて2つの研究(壱,弐)によるとレッグエクステンション中のつま先の位置によって大腿四頭筋の刺激を変えられることを示しています。つま先を内側に向けると外側広筋が強く刺激されるようです。
レッグエクステンションではフルレンジモーションで行い、絶対にチートを使わないでください。レッグエクステンションではかなり重い重量でやってる人もいますがかなりの人が可動域を狭くしていたりチートを多用しています。勢いは使わずに下半身の力、膝の伸展のみでウエイトは持ち上げるべきです。
スクワット型のおすすめ種目はバーベルスクワットです。先ほど話した通り、フルスクワットは危険ということを示すような強力な証拠はなくフルスクワットで膝や腰を痛める人の多くは単純にフォームが悪いだけです。
加えて深くしゃがまないスクワットは先ほどレビュー研究で示されている通り可動域とストレッチが無くなります。筋肥大効果にはいいコトが1つもないのでスクワットはできるだけ深くしゃがんで大腿四頭筋を伸ばします。
そして膝をロックさせるまでがフィニッシュです。膝のロックは危険という人もいますがこれについての証拠もほぼ皆無であり、健康な膝を持ってる人がロックでケガすることはゼロに非常に近いです。基本的には正しいフォームと適切な重量さえ扱っていれば深くしゃがむバーベルスクワットは安全な種目です。
スクワット、そしてレッグプレスの脚幅について、
1999年の研究ではスクワットのスタンス幅を肩幅の75%,そして140%の2パターンで比較した結果大腿四頭筋の活性化パターンに違いが無いことが報告されています。
加えて2001年、2009年の研究では肩幅の1倍と2倍のスタンス幅では大腿四頭筋の活性化には違いが無かったことが示されています。
スタンス幅はおそらく大腿四頭筋の活性化に有意な影響をもたらさないでしょう。しかしながら、ワイドスタンスでのスクワットはしゃがむ距離を大きく減少させます。そのため、可動域が大きく減少し大腿四頭筋のストレッチもなくなるためmike israetel博士が話すようにクローズドスタンスでスクワットするのがいいと思います。脚幅を開いてもできるだけ肩幅を超えないように意識すると広い可動域でトレーニングすることができるため効率的に大腿四頭筋を成長させます。
大腿四頭筋の頻度やセット数や回数について紹介します。まず頻度については科学的な証拠から新たな答えが出ました。最新の頻度と筋肥大効果についてのレビュー研究では十分にトレーニング経験のある被験者では筋肉の合成反応については差が無いがボリュームの観点から筋トレ頻度が高いほど筋肥大効果が高い可能性があると示されています。
さらには最新のレビュー研究でオーバートレーニングについて一般的に考えられている情報はは明らかに過大評価されていることがわかっています。そのため、トレーニング頻度については週2回よりも3回,5回よりも6回と高頻度ほど大腿四頭筋は成長するでしょう。そして頻度が高くても回復に問題が出る可能性は非常に低いです。
加えてボリューム上限についても人間は常識よりもかなり多くの上限を持っています。
おすすめのボリュームとして筋トレ初心者のひとは1週間で5~10set大腿四頭筋トレーニングをすると筋肥大効果はほぼ最大になるでしょう。筋トレ中級者から上級者の人は他の部位とのボリュームもあるので1週間で20setを基準に考えてください。
そして大腿四頭筋トレーニングをもっとしたい人や大腿四頭筋を特に発達させたいと考えている人は1週間で30~40setを推奨します。
ちなみにこのセット数はスクワット型とレッグエクステンション型の2つを合わせたセット数です。
ただし、最も重要なのは高頻度で分割することなので週5回で4setずつ、1週間で20set行えていれば全てのボリュームの品質が高いため、30setやってるが週1回や2回と低頻度で脚を鍛えてる人よりも筋肥大効果が高いはずです。
まずはトレーニング頻度をできるだけ多くしてそのあとに1週間で何セットやれるかを考えるべきです。
回数についてはレビュー研究でも示されている通り高重量も高回数もボリュームが同じなら筋肥大効果は変わらないと報告されています。しかし、高重量は筋力をアップさせて、高回数は短時間で多くのボリュームをこなせるため効率的に筋肉のサイズを増やします。
出来るだけどちらかにこだわるのではなく大腿四頭筋トレーニングでは高重量と高回数を両方取り入れるのが最も効率的に筋肉をつける方法です。
何度も言いますがフルレンジモーションでのトレーニングを忘れないでください。どれだけプレートをマシンやバーベルにつけても深くしゃがんでなければあなたの大腿四頭筋は成長しません。