トレーニングで停滞していますか。新しいトレーニングプログラムを試してみたいですか。
今回は筋肉の成長を促進させるための3つのテクニックを紹介します。最近、筋肉の成長が止まった気がすると感じている人や筋トレがマンネリしてきたから気分的にちょっと違うトレーニング法を試したいという人におすすめの筋トレ法を紹介します。もちろん科学的な証拠もアリ、おすすめの鍛え方です。
バスキーたちのEMG研究で上腕二頭筋を測定したグラフがこれです。一番左の種目が飛びぬけていることが分かりますよね。一番左の青とその隣の赤は同じコンセントレーションカールです。しかし、青はあるテクニックを使用して40%も上腕二頭筋の筋活動を増加させたことがわかりました。
それはエキセントリックオーバーロードです。
エキセントリックはネガティブ動作のことです。分からない方のために説明するとベンチプレスを上げるときやバイセプスカールでウエイトを持ち上げるとき、つまり重力と反対に働く部分はコンセントリックといいますがエキセントリックはこの逆です。重力に従ってウエイトを降ろす運動です。
科学的な2007年の研究ではコンセントリックよりもエキセントリックのほうが約20~60パーセント多くの力を生み出せることを示しています。
これはベンチプレスの自分のマックス重量は降ろすだけならかなり簡単であることからも想像できる通りです。
2018年の調査によるとエキセントリックは受動的な力の生成ですが筋線維に生体力学的な張力をもたらし、それが筋肉の成長を促進させる可能性があることを示しています。
簡単に言うとエキセントリックオーバーロードは普通のトレーニングよりも高いレベルの筋肉の活性化をもたらす可能性があり、これが筋肉の成長を加速させます。
例えばマシントレーニングでエキセントリックオーバーロードを使ったトレーニングについてこの研究は調べました。マシントレーニングは重力の向きというのは気にしなくてもいいので一貫して同じだけの刺激が入ります。
これに加えてエキセントリックオーバーロードグループではエキセントリックフェーズでより多くの負荷がかかるように設計されました。その結果エキセントリックオーバーロードを使用した被験者のほうが筋肉を成長させました。
カールマシンでカラダの勢いを使って持ち上げてエキセントリックではゆっくり降ろしたり、レッグエクステンションマシンで最初は両方の足を使って持ち上げてあとは片方の脚の力だけでゆっくり降ろすのも効果的です。
注意点として重量が重くなるので関節や筋肉、体の負担も大きくなることに注意する必要があります。おすすめの種目としてはアイソレーション種目やマシンの種目などに使用することをおすすめします
2つ目のテクニックはクラスターセットです。これは普通の1setを何個かのミニセットに分割します。最も一般的なのが6repできる重量を2,3repのミニセットを2つから3つに分割させます。そしてミニセットの間には10~20秒程度のかなり短い休憩を挟みます。
普通は6repできる重量を一気に連続させて行いますがクラスターセットでは分割して合間に少しの休憩があるためウエイトを持ち上げるのがより簡単になります。そのため、仮に6repで限界を迎える重量でもクラスターセットを使うことで高重量を扱いながら、同じボリュームを確保しながらも低いRPEを維持でき、少しだけ余裕をもって終わらせることができます。
2013年の研究ではクラスターセットは一般的なストレートセットよりも筋肉の成長のために重要な強度とパワーを上げてくれることを示しています。
加えてクラスターセットを使用することで6rep潰れる重量が2rep 2rep 3repのミニセットに分けられることができてその結果1rep分多くの回数ができることにつながる可能性があります。
重要なポイントとしてこのクラスターセットは高重量トレーニングのみに効果的である可能性があります。
2005年の研究ではクラスターセットのようにセットの途中で30秒の休憩がある場合とない場合でラットプルダウン,ショルダープレス,レッグエクステンションの10repのトレーニングを3~5rep行いました。その結果、従来のストレートセットのほうが筋力と筋肥大に適していることがわかりました。
使うべき種目としてはベンチプレスやスクワットなどのBIG3に特に適していると思います。
そして、長い休憩をとることを忘れないでください。6repを2rep3setに分割するとして3set目の2repが終わったら短い休憩の後、すぐに次に行くわけではなくていつも通り3分程度の休憩を入れる必要があります。
そのため、クラスターセットは細かい休憩の時間が延長されるので一般的なトレーニングよりも時間が延長されることに注意しましょう。
アンタゴニストというのは拮抗筋という意味です。
例えば2005年の研究では大胸筋トレーニングの前にロウ、つまり背中トレーニングを行うと大胸筋トレーニングのパフォーマンスが向上していました。この理論は明確になっていませんが複数の研究で確認されています。
大胸筋と背中だけでなく、上腕二頭筋と上腕三頭筋、大腿四頭筋とハムストリングスのような拮抗筋で作用します。例えば大腿四頭筋の動きである膝関節の伸展はハムストリングスの膝関節の屈曲と真逆の運動であることがわかります。
大腿四頭筋を収縮させたとき、ハムストリングスはストレッチします。
やり方としてアンタゴニストのスーパーセット、ペアセットとも言いますがEZバーカールを行ってそのあと休憩なしでオーバーヘッドのエクステンションを行います。かなりの時間の節約になるため短時間でトレーニングを終わらせることができます。
必ず拮抗筋同士で行うのがおすすめです。そのため、ショルダープレスとサイドレイズを連続やったりオーバーヘッドプレスとベンチプレスの組み合わせは効果的ではありません。これは過度の筋肉の損傷や同一の筋肉を休憩なしで鍛えることを意味するためボリュームが大きく落ちます。
そして注意点としてアンタゴニストのスーパーセットは神経筋の強い疲労を計測しています。
疲労感は人によるとは思いますが、僕と同じように疲労感が強く感じる人はこのトレーニングの取り入れ方には注意しましょう。少なくともベンチプレスや懸垂など、コンパウンドトレーニング同士のスーパーセットは避けて腕などのアイソレーションで取り入れるのが効果的です。
PAPとは最初に高レベルの筋肉の活性化を行うとその後のトレーニングパフォーマンスが向上させるというものです。
2021年の5月の研究では被験者に1RMの70%を4set行うトレーニングメニューを被験者に行わせました。片方のグループでは4setの本番セットの前に1RMの90%の重量を1set行います。その結果、事前に90%のスクワットを行ったグループは平均ボリュームが16%向上しました。
このPAPを利用したトレーニングプログラムとして1-6メソッドがあります。まずは1RMの90%、非常に重い重量を1rep行います。そのあと、3分程度休憩して重量を落として6rept行います。この休憩時間中に他のトレーニングをするのもアリです。
もちろん6repではなくてもいいです。ベンチプレスなどで重量がなかなか伸びない人などは本番セットの前に高重量を持ち上げておくとパフォーマンスが向上する可能性があります。
筋トレのモチベーションの低下は筋肉の成長に結構な悪影響をもたらします。いつもやってるトレーニングに少し飽きてきた人は変化をつけるとモチベーションが向上する可能性があります。トレーニングの停滞やマンネリによって筋トレのモチベーションが下がってきた人は今日紹介したエキセントリックオーバーロード、クラスターセット、アンタゴニストのスーパーセット、PAPトレーニングを試してみてください