全身トレーニングの一番のメリットは高頻度で鍛えられるということです(詳しくはこちら)。2021年の頻度と筋肥大についてのレビューでは頻度の直接的な筋肥大への影響はないがボリューム向上によって筋肥大効果に大きな差が出ることを示しています。
筋トレは長い時間行えば行うほど疲労が出てきます。当たり前のことですが正しく理解していない方が多いです。そしてこの疲労感は同じ部位であればあるほど強く出ます。例えばベンチプレスを10set一日でやる場合は1set目と10set目の回数は大きく違うでしょう。
これがあるため1日で同じ部位を多くやればやるほど質の悪いセットが多くなります。この疲労感を追い込んでる証拠だからデカくなると考えてる人が多いですが科学的な証拠から筋肥大するのに重要なのはキツさや追い込みではなくボリュームであるためこの追い込み感は不要です。
高頻度トレーニングでは各筋肉を1日あたり3~8setを目安にトレーニングを行います。これをすることで質の悪いセットがほとんどなく筋肉の成長にとって非常に効率的です。全身トレーニングは初心者中級者に特にいいと思っている人が多いですが全身トレーニングのボリューム増加は上級者ほどメリットが受けられるトレーニングメニューです。
ジェームスクリガー博士のボリュームバイブルによると1回あたりのトレーニングボリュームは各筋肉6~8setが最大の効果を発揮するようです。そのため、コンパウンドなどを含めて8set以内には抑えるのが最も効率的です。加えて全身トレーニングではアイソレーションばかりだと時間がとんでもなくかかってしまいます。
出来るだけ一度に複数の筋肉を鍛えるためにもコンパウンドトレーニングを採用します。
そして全身トレーニングの時は筋肉のアンバランスを抑制する目にも筋トレメニューは1種類を毎日やるのではなく2通り用意して交互に行うのをおすすめします。
この記事ではDay1とDay2で同時に解説します。
まずジムについたらウォームアップを行います。上半身の筋肉は肩関節を動かす運動と肘を曲げたり伸ばしたりするのがメインになります。最低でも動的ストレッチを数分行って関節を温めておきましょう。
上半身の筋肉は基本的にはプッシュマッスルとプルマッスルで構成されています。ベンチプレスはプッシュトレーニングの王様であり懸垂はプルトレーニングの王様です。
ベンチプレスは大胸筋全体を刺激してくれる種目です。筋電図分析によると特に手幅を肩幅と同じくらい,もしくはそれよりほんの少し少し広めにすると大胸筋上部の活性化が強くなります。
これはバーベルの軌道がナローにすることで肩の屈曲動作に近くなるからです。
そして大胸筋上部の活性化は5rep程度の高重量よりも10rep以上の回数が推奨されています。ブレットコントレラス博士によると大胸筋の上部はマインドマッスルコネクションを使用して比較的軽い重量でトレーニングするとフラットなベンチプレスでも大胸筋上部を強く刺激できるようになるようです。
グリップの目安としては一番手前のバーに人差し指がかかるくらいです。ベンチプレスと懸垂ではプログレッシブオーバーロードを忘れないでください。
簡単なプログラムとしてベンチプレスは3set*10rep行い、次は3set11rep、次は3set12rep、12repできたら次のはウエイトを増やしましょう。
ちなみに大胸筋の科学的鍛え方の動画セーフティーバーなしでは危険とありがたいことに心配してくれた方がいましたがセーフティーバーは見やすいように撮影用として外してるだけで普段はしてるので大丈夫です。
撮影する時は潰れる心配がない軽い重量でやってて重量挑戦もしてません。
懸垂については肩幅の1.5倍がおすすめです。大体肩幅の広さよりもこぶし1つぶんくらいワイドにします。
アメリカの運動評議会の研究ではプルアップはラットプルダウンよりも広背筋の筋活動が強いことを示しています。
ラットプルダウンとは違い、加重ベルトをつければ細かいローディングができるため次は1kgだけ増やしたいなども可能です。プルアップは高回数というよりは高重量をおすすめします。6rep 3setでベンチプレスと同じように6repできたら次回は7repと回数を増やして8repまでいったら次回はウエイトを増やしてみましょう。
30repってやばくねって思うかもしれませんが高回数トレーニングは最も過小評価されていると思います。
ブラッドシェーンフェルド博士の回数の研究では同じボリューム下において回数の筋肥大効果の差はほとんどないと示されています。しかし、ベンチプレス100kg1回と50kg2回ではどちらが簡単かは一目瞭然であるため高重量トレーニングで高いボリュームを確保するためにはとんでもない時間がかかります。そのため高回数トレーニングは全身トレーニングと同様にボリュームを稼ぐ最も効率的な種目です。
40repだと軽すぎて全く効いてる感じが無いという人は30repでも構いません。ワイドグリップのシーテッドロウだとそうなってしまう可能性があると思いますので個人で調節してください。
mike israetel博士が言うように背中には広背筋のような垂直な運動に関与する筋肉と僧帽筋のような水平な運動に関与する筋肉の2つがあります。
垂直プルは懸垂に任せてワイドグリップにすることで三角筋後部や僧帽筋に刺激を集中させます。スタートポジションでは筋肉をしっかりストレッチさせてフィニッシュで収縮させます。懸垂は背中の広がりを作りますがこの種目は背中の厚みを作ります。
マシンフライは大胸筋にとって非常に優れた種目です。バスキーたちのEMG研究によるとダンベルのベンチプレスに匹敵する大胸筋の筋活動を示しています。しっかりと大胸筋をストレッチさせましょう。わざとゆっくりにしたりする必要は全くありません。実はリフティングテンポを変更するのにメリットは基本的にはなく逆に筋肉の活性化が弱くなってしまう可能性すらあります。スピードは速すぎず遅すぎずです。
ダンベルサイドレイズは三角筋の中部を鍛える最強の種目です。ダンベルサイドレイズについてコメントで小指を上に上げるとインピンジメントが怖いという人がいました。確かにその通りで肩を内側に回転させてから腕を上げるとある部分で上がらなくなるように、科学的な証拠から小指を上げることでインピンジメントのリスクは間違いなく高くなります。しかし、僕は小指を上げてますがインピンジメントは感じたことがありません。個人差があるため実際に小指を上げてみて痛いと思うならやめるべきですがそうでない場合はある程度小指を上にしても問題ないと思います。
科学的な研究から小指を挙げたり肩の高さよりも上に上げることで三角筋中部の筋活動をより強くすることができます。インピンジメントが大丈夫そうな人はぜひ挑戦してください。
ケーブルフェイスプルのlowtohighは三角筋中部と後部、そして僧帽筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋など大量の筋肉を鍛えるおすすめの種目です。僕も最初の頃は難しかったですが上手くできるようになるとめちゃくちゃ良い種目であることがわかると思います。ロープはできるだけ長いのを選んでストッパーに親指をかけます。
高さは大胸筋の下部くらい。フィニッシュでダブルバイセップスポーズをとるように意識すると肩に刺激が入りやすくなります。それと同時に僧帽筋を収縮させましょう。
懸垂やシーテッドロウで上腕二頭筋は活性化されていますが上腕二頭筋の短頭を強く刺激するためにダンベルカールで手首をひねることは上腕二頭筋の不均衡を改善させる有効な方法です。
ダンベルカールでは右左と交互にやる場合が多いですが片方に集中して行うことをおすすめします。これにより左右の筋肉の太さのバランスを改善することができます。インクラインベンチに手をかけることでカラダの勢いを使ってウエイトを持ち上げることを防ぐことができます。
ケーブルのプッシュダウンは内側頭外側頭に強い刺激が入りますがロープのグリップのプッシュダウンはよりバランス良く上腕三頭筋全体を鍛えてくれます。肘がロックするまでしっかりと引っ張り切り、上腕三頭筋を収縮させましょう。スタートでは上腕三頭筋をストレッチさせます。
腹筋にはスクワットなどのコンパウンドで十分であるという主張とそれでは腹筋の維持はできても発達はできないという主張があります。少し前までは僕の意見は前者でしたがスクワット中の腹筋の筋活動を調べた筋電図分析を参考にするとスクワットやデッドリフト中は腹筋はあまりアクティブにならないようです。そのため、腹筋の発達には腹筋トレーニングが必要だと考えます。バスキーたちのEMGによると腹筋には下部と上部が存在してレッグレイズムーブメントは下部をクランチムーブメントでは上部を刺激します。
全体的に腹筋を鍛える種目としてお勧めなのがベンチ台の端に座ってクランチを行います。この時同時に脚を上げるとレッグレイズムーブメントとクランチムーブメントの両方ができます。脚にウエイトを挟むことでローディングも可能です。
次は前腕の後部を鍛えるリバースグリップのカール。前部は握力に大きく関係するのでデッドリフトや懸垂でも刺激されています。なので他の種目であまり活動的にならない後部を重点的に鍛えることをおすすめします。カールに加えて手首を伸展させると効果的です。