フィットネスの迷信といわれたら何を思いつきますか?プロテインは太るという情報?Bro-split?追い込めば追い込むほど筋肉は付くという情報でしょうか。
僕は間違いなく空腹で筋トレしたら筋肉がどんどん無くなるという情報だと思います。これは知名度というか世間にかなり知れ渡っているのももちろんですが先ほど挙げた迷信よりはるかに悪質です。
この動画ではそんなYouTuberが広めた迷信、空腹状態で筋肉が落ちる、空腹状態で筋トレすると筋肉がエネルギーになって分解されるという迷信を科学的な根拠を基に暴き、この情報がどれほど悪質かについて紹介します。
空腹で筋肉が分解されると情報を発信する人間の主張はこんな感じです。空腹であることは体内の栄養素が足りていない状態です。そのときに筋トレしたり有酸素運動することでエネルギーが必要になります。体内の栄養素が無いということですからそのエネルギーをどこで補うかと言うと筋肉を分解して運動エネルギーに充てるというものです。
しかし、この情報は理論的にも、そして実際の科学的研究で示されている通り現実的にもおかしなことです。まず空腹=体内のエネルギー貯蔵が無いと考えてる時点でおかしいですが人間が筋肉を燃料にするときは非常に限られた状況のみです。
Comparative Physiology of Fasting, Starvation, and Food Limitationという本に載っているケビンホール博士が実施したこの研究を見てみましょう。この研究ではどの栄養素が優先的に使用されるかを調べました。
結果はこのグラフにある通りまずは炭水化物、赤のラインが一気に下降し、炭水化物が消費されたあとに脂肪、緑のラインが下降し始めていることがわかります。そして青のたんぱく質はわずかに低下していますが重要なのはほぼ一定でありどのタイミングでも増減は変わっていないということです。
断食や飢餓についての専門家であるファン医学博士によると人間はまずは炭水化物、そして脂肪、最後にたんぱく質をエネルギーとして変換するようです。つまり、迷信発信者が言う筋肉が分解されてエネルギーになるのは数日間何も食べてない+体脂肪率が非常に低い場合というごく限られた状態のみで起こることです。
科学的に起こっていることは人間は空腹状態になると筋肉を分解するのではなくその真逆で筋肉を維持しようとします。
1980年代半ばのレビューではその人間が筋肉を保存しようとする機能があることを裏付けています。このグラフを見る通り、人間は飢餓状態になると窒素排泄量を抑えます。窒素は3大栄養素の中で唯一たんぱく質のみにある物質ですからこれはたんぱく質を体内にとどめようとすることを意味します。
そもそも理論的に考えても空腹で筋肉がどんどん分解されるなんて全く理にかなっていません。非常に重要な筋肉を優先的に分解する作用なんて生物にどんなメリットがあるんでしょうか。
視聴者の中には研究がちょっと古すぎる、実際に筋肉量を測った研究を見たいと思ってる人もいるでしょう。そこで実際の研究を示します。
2010年の臨床試験では被験者に断食と食事の日を繰り返させました。つまり普通に食事する日と24時間食べない日を交互に繰り返すということです。
結果がこちらにあります。断食と食事を交互に繰り返したグループは体脂肪の量が大きく減っていることが示されましたが除脂肪体重にはほとんど変化がありませんでした。
減量中はこまめに食事をして空腹状態を作らないようにするといわれていますが多くの研究で断食するよりも筋肉の破壊作用が大きいことを示しています。2016年の研究によると一般的なカロリー制限と断食を組み込むグループとでは断食を組み込んだグループは除脂肪体重の損失がカロリー制限グループよりも少なく、筋肉量の維持率が最大4倍高いことを示しています。
これは断食を組み込むことで先ほどの窒素排泄量の研究のように体が筋肉を維持しようとするためカロリー制限グループよりも優れていたことを示しています。
2020年のアメリカでも最も人気のダイエット法がIF、つまり断続的な断食を組み込むプログラムで合ったことからも分かる通り断食のメリットが数多くの研究で示されています。
筋トレしてる人、筋肉量が多い人はどうでしょうか。2016年の研究ではウエイトトレーニング経験の豊富な34人を16時間断食して残りの8時間で食事をするグループと断食はせずに普通に食事をするグループに分けました。総カロリー,たんぱく質摂取量は同じです。
研究結果として2つのグループは同じだけの筋肉量を獲得し筋肉の損失はありませんでした。
最後のとどめとして2017年の科学的なレビューを紹介します。科学的なレビューは多くの研究を評価して結論を出す研究です。つまり、科学的な結論というものに最も近いものです。
この研究では空腹状態での運動について体組成に悪影響が無いことがハッキリと示されています。
科学は空腹や飢餓で筋肉が分解されるという情報を否定してますし、ほとんどの研究者たちが空腹で筋肉が分解されるのは間違いであることを示しています。最低でも筋肉量の維持はできます。
ハッキリ言って空腹で筋肉が分解されるという表現は動物を例に出したように理にかなっていません。車で言うタイヤのように人間の生存にとって非常に重要な筋肉を優先的に分解しても生物には何のメリットもないからです。
そもそも空腹だったりちょっと食べてないくらいで体内のエネルギーが無い、飢餓状態という考え方自体がとてもバカらしいですが、科学的な研究から現実的に筋肉の分解は起こってもいません。つまり机上の空論ですらないただのデマであることを断言します。
なぜ科学的な根拠もほとんどないデマを流すのか。最初に話した通りこれには悪質な理由があります。
例えば空腹で筋肉が分解されるという情報を信じたとしましょう。栄養が足りてない状態で筋トレすると筋肉、つまりたんぱく質がどんどんなくなるという情報です。
これを真に受けると皆さんはどうしますか?全員が全員たっぷり食事した後にトレーニングできるわけじゃないですからトレーニング中、トレーニング前にたんぱく質やアミノ酸を摂取するようになりますよね。もう勘のいい人なら気づいたと思いますがこのデマを信じ込ませることで多くの人がアミノ酸をトレーニング中に摂取するようになりBCAAやEAAが売れまくります。
批判覚悟で言うと「空腹で筋肉が分解されるという情報は、アミノ酸サプリを売るためのデマ」です。
デマを拡散してる人たちはアミノ酸サプリメントを売ることしか考えていません。アミノ酸サプリがただの高額な味の付いた水である理由は違う動画でも説明している通りです。そんなものを買ってもあなたがバルクアップするよりも彼らの財布がバルクアップするだけです。
この動画の情報を信じる信じないは視聴者次第ですが、僕はサプリメントメーカーからお金は貰ってませんし科学的な論文をメインに紹介してます。間違いなく客観的という面ではサプリメントの販売リンクを動画にくっつけてるyoutuberよりも高いのは事実です。1人でも多くの被害者を救えると嬉しいです。