僕視聴者の方からリクエスト貰うまでこのプログラム知らなくて、論文調べてみました。調べてみると研究のメニューと紹介されてるメニューは若干違うようです。
今回はHPSトレーニングについて科学的根拠を基にレビューしたいと思います。
このHPSについて取り入れるべきかについて悩んでる人は是非この動画の続きを見てください。
HPSっていうのはHはハイパトロフィーという意味の筋肥大、Pはパワー、Sはストレングス、筋力です。HPSトレーニングですのでHPSのアルファベットの順番でトレーニングを行います。
英語で調べてもあんまりヒットしなかったので日本語で調べてみたらめちゃくちゃ出てきました。どうやら僕よりもチャンネル登録者圧倒的に多くて非常に有名なYoutuberの方がこのプログラムについて紹介したので一気に広まったみたいですね。
HPSについて、このメニューはDUPのひとつです。DUPというのはDaily Undulating Periodisationのことで非線形のトレーニングプログラムのことを言います。例えばずっとベンチプレス5repというのは線形でDUPはある日は3rep、この日は5repというようにトレーニングの回数を変えます。
まだ信頼性はめちゃくちゃ高いわけではありませんが複数の研究でDUPのほうが筋力アップに効果的であることが示されています。これは神経系の刺激変動を広い範囲で行えるためです。まだ矛盾してる研究そこそこの量はあるのでこっちのほうがいいというのは難しいですが科学的にはややDUPのほうが良さそうって感じです。
さて、研究結果ですがHPSトレーニングが従来のHSPと比べてスクワットやデッドリフトには有意な差がありませんでしたがわずかにHPSグループのほうが効果が高かったので研究者はHPSを支持しています。
有意であったのはベンチプレスでした。ベンチプレスの筋力アップには有意な効果がありました。
こう見るとHPSトレーニングが順番を入れ替えただけで筋力効果をアップさせた。非常に効果的なプログラムのように見えます。これの最も大きな要因はボリュームです。
多くの研究でボリュームの向上は筋力アップ効果に強い影響をもたらすことがわかっています。筋力アップ効果に強い影響をもたらすのは固有ボリュームであり例えばベンチプレスならベンチプレスのボリュームです。ベンチプレスの強さはベンチプレスボリュームにかなり関係しています。
これはウエイトを持ち上げるときに必要なのは筋力とテクニックであるということです。そしてこのテクニックの割合がかなりデカいです。つまりベンチプレスボリュームが上がると人間の体がより効率的なリフティングテクニックを学習するため筋力がまだ伸びてなくても持ち上げられる重量が上がるということです。
ちなみにこれは皆さんがベンチプレスやって、「あ、こうやって持ち上げると上げやすいわ」って実際に学ばなくてもテクニックは無意識に向上しています。
ちょっと脱線しましたが、この研究ではデッドリフト、スクワット、ベンチプレスボリュームがHPSのほうが高かったんです。ベンチプレスのボリュームはHPSはHSPと比べて1.6倍以上あります。つまりこの差はパワーとストレングスの日を入れ替えただけでストレングスの日の疲労が軽くなりボリュームが1.6倍近くにもなったからだと考えられています。
研究のメニューを見ると筋肥大の日は1RMの75%を8rep5set、ストレングスは1RMの85%を限界回数3set、パワーは80%を1rep5setです。ちなみにここのIAはindividually adjustedであり日本語で言うと個人で調節してくださいって意味ですね。
続きをみるとそこから筋肥大の日とパワーの日は週によってセット数を削ってますね。なので筋肥大の日は8rep5set、パワーの日は1rep何セットとか一概にこの日は3setとか5setとか固定ではなさそうです。研究の表では計画が進んでいくにつれて筋肥大の日とパワーの日はどんどんセット数が減ってます。
なので筋肥大の日は5setと紹介されていましたが研究では減らしているため研究通りのベンチプレスについての効果が欲しいならこの辺のプログラムはセット数や重量はかなり調整が必要なようです。
それでは僕なりにこの研究、HPSトレーニングについてレビューしたいと思います。
まずこの研究を見て気になったところはこの一文です。すべての被験者は失敗が起こるまで反復する事を指示されていた。ストレングスの部分、1RMの90%を自分のできる最大回数で行うという部分です。
多くの研究で自分の最大回数まで行うことはその後のトレーニングボリュームが大きく低下することを示しています。
科学的なレビューで筋力アップのために自分ができる最大の回数を上げる必要はないと示されています
そのためブラッドシェーンフェルド博士はじめ、ほとんどの科学者はトレーニングで数回分余力を残して終わらせることを支持しています。さらにはこの研究のように自分が失敗するまでトレーニングを行うことは身体的、精神的な疲労を大幅に増やすことになります。
余力を残すと言っても感覚なのでかなり個人差があるります。曖昧なことを科学は嫌うので筋トレの研究は大体が上がらなくなるまで行うことを好みます。例えば筋電図とかその程度なら限界までやってもやらなくてもほとんど変わらないんですがこの研究ではHPSトレーニングがHSPによりも有意に高い効果を発揮した理由に疲労だと説明しています。
是非覚えといてほしいんですがいろんな科学的な研究を見るとき、疲労が1つの原因と示されたときは余力を残して終わらせたかどうかがかなり重要なポイントとなります。つまりこの疲労については研究のように上がらなくなるまで、あと1rep分余力が無い状態までやるかどうかはかなり大きな差が出ます。
多くの人がベンチプレスの後にダンベルプレスとかフライとか、ショルダープレス、などトレーニングを行うはずです。例えばSの日の最大回数を3セット行うことは間違いなくその後のトレーニングに悪影響が出るためボリュームの低下につながります。ボリュームの低下は先ほど示されている通り筋力にかなりの影響をもたらし筋肥大効果についても同じです。
さらにはストレングスの日で最大回数こなすことで2セット目の回数も大きく下がり3セット目ではさらに下がります。これは反復回数、ボリュームの減少につながります
そのため、疲労によりボリュームが影響してこの差が起こるならば、1rep分余力を残して終わらせたときHPSとHSPで果たして差が出るのか。そしてボリュームについてはHPSトレーニングは効率よく稼げるトレーニングなのか
さらには調べた感じたった一つしかこの研究しかHPSについての研究はありませんでした。なので圧倒的な研究不足感は否めません。さらには研究期間が6週間というのも研究にしてはちょっと短いです。
この研究で使用されたHPSトレーニングをすると効果的だと思う人はトレーニング上級者であること。これは研究で行った実際のメニューから見てわかる通り調整がかなり必要であるためです。サンプルプログラムでは週を追うごとに筋肥大の日とパワーのセット数が少なくなっています。そしてトレーニング計画そしてベンチプレスの後、特にストレングスの日にベンチプレス以外の種目を行わない人にとっては有効である可能性があります。
研究者も結論で紹介していますがこの研究からわかることは2つです。HPSがどうこうというよりもDUPが筋力アップには効果が高いということ。そして固有ボリューム、ベンチプレスボリュームをあげると筋力アップ効果も高くなるということ
僕のレビューの結論としてHPSは効果的なプログラムだとは思いますがもっといい方法があるんじゃないかと思います。
ブラッドシェーンフェルト博士のSNSでは2021/6/10に次のような投稿がされています。
「ピリオダイゼーションは概念であり定義されたトレーニングモデルではありません。」
つまりパワーの日は1rep5setとか筋肥大の日は8rep5setとか固定させずに研究のようにセット数を調節する必要があります。
この研究の被験者は6年以上の上級者でしたが上級者だからこそセットの調整とか重量の調整がうまくできたんだと僕は思います。初心者だったら重量設定とか個人で決められないんだと思います。