トレーニングし過ぎると関節のダメージやケガ、体力の低下、そして疲労の蓄積などデメリットが増えます。これをオーバーワーク、オーバートレーニングといいます。
しかし、筋肉を成長させるためだったり自分のカラダを改善させるためにはトレーニングのボリュームは一番と言ってもいいくらい重要なものになります。トレーニーの間で議論されるのはこのバランスです。オーバートレーニングにならずに筋肥大にとって最適なセット数を知りたいはずです。
オーバーワークについてボディビルダーのCTフレッチャーは次のように主張しています。オーバーワークは神話である。全てのトレーニー、全てのボリュームはアンダートレーニングである。
つまりトレーニングをやりすぎるということはなく多ければ多いほどいいということです。
しかし、実際のところオーバーワークは複数の科学的研究で確認されており、2011年の研究ではオーバーワーク症候群の発症率は20~30%でありスポーツ選手でかなり高い発症率が確認されているようです。
そのため、オーバーワークは間違いなくあると考えます。特にナチュラルにとっては。
2019年の研究では3年間のトレーニング経験を持つ女性でトレーニングを5set,10set,15set,20set行う4つのグループで比較しました。その結果、20set行ったグループは全ての測定値で最悪の数値を出しました。
しかし、2015年の研究では軍人の被験者に上腕三頭筋を6,18,30セット、上腕三頭筋を9,27,45セット行わせました。その結果、ベンチプレスの筋力以外はボリュームが多いほど効果が高いことがわかりました。特に上腕三頭筋で非常に顕著な結果を示しています。軍人であることから筋トレ経験者であり、この研究は研究期間としては非常に長く、6か月間続きました。
次に2018年の研究では8週間の研究で上腕二頭筋、上腕三頭筋と大腿四頭筋の大腿直筋と外側広筋の筋肉量とスクワットベンチプレスの1RMを測定しました。その結果、スクワットの1RMは最もボリュームの低いグループが優位でしたがそれ以外は高ボリュームのほうが優位であり、5setグループが行ったボリュームは1週間で30setと45setでした。
最適なトレーニングボリュームは矛盾しています。ここである研究チームが行ったレビューを見てみましょう。
この研究では大量のボリュームを行うことによる効果を強く裏付けています。つまりある意味ですがCTフレッチャーの意見は正しいかもしれません。100setとかはさすがに分かりませんが40セットは20setや30setよりも筋肥大効果が高いということです。ちなみにこれは初心者には当てはまりません。初心者の場合は10、多くても20setで筋肥大効果は十分だと考えます。筋トレ経験が積み重なっていくにしたがって筋肉をつけるために必要なボリュームが多くなっていきます。
しかし問題は多くの人がこれほどの高ボリュームができないということです。筋肥大にとっては非常に高ボリュームがいいです。例えば40setとしましょう。ただ、これを実際にやろうと思ったらかなり大変です。まず、各部位そんなやってる時間が無いこと。そして40setいくまえにオーバーワークの症状、オーバーリーチングの症状が出るからです。
海外ではオーバーワークとはあまり言いません。オーバートレーニングとオーバーリーチング十呼びます。オーバーリーチングというのは黄色信号だと思ってください。オーバーワークは赤色、つまりアウトですがオーバーリーチングは注意です。
オーバーリーチングは回復するのに数週間かかりますがオーバーワークは何か月、何年もかかる場合があります。
40set各部位をやろうと思ったら筋肉の回復的には大丈夫かもしれません。しかし、筋肉が回復できるボリュームに到達する前に精神面、モチベーションだったり関節の痛みや疲労感が間違いなく出てそのボリュームがこなせなくなります。あくまでも研究は高ボリュームを行ったのは2~3この部位でしかないということです。皆さんのように全身やってるわけではありません。
例えるなら受験勉強、沢山やれるだけやったほうがいいです。1日10時間より20時間やったほうがいいですよね。しかしその時間やろうと思ったら10時間たったら眠気が出てきて集中できなくなったり20時間ずっと集中することは不可能です。勉強の質の低下によって1時間で学習できる内容がどんどん少なくなってきます。
筋トレもこれと同じです。筋肉にとっては沢山やれるだけやれたらいいですが現実的に考えると無理です。
自分にとって最適なボリュームは自分の回復力など色んなものに考慮する必要があります。この研究ではGVT法10set10repよりも5set10repでボリュームを半分にしたほうが効果的であることを示しています。
オーバーリーチングの症状が出てきたらトレーニングを見つめなおす必要があります。判断するポイントとしてはモチベーションが下がってきたり体がだるくなっていたり、あとは関節が痛み出したり、メイン種目の重量が落ちてきたりなんかが判断するポイントになります。
しっかりと自分がどんな状態なのかを把握する必要があります。根性論大好きな人、分かりやすいところで言うとロックリーみたいな人はオーバーリーチングの症状に気づかなかったりそれ自体が成長してる証拠なんだと勘違いしてしまう場合があります。
モチベーションなどの精神面は筋肥大において意外と重要です。トレーニング行くのがだるくなってきたら頻度を下げてみたりいったんディロードをしましょう。その状態でジムに言ってもほとんど無駄な時間であるということです。
個人的なものですけど頻度が高いほどオーバーリーチングの症状は出にくいと感じてます。PPL週に6回やってた場合は1か月したら体がだるくなってきたりしましたが、上半身を週に3でやるようにしたらモチベーションの低下はかなり感じにくくなってきました。
あとは限界まで追い込まないことです。これは非常に強い身体的、精神的なストレスを引き起こします。
オーバーリーチングの症状が出やすくなる可能性があります。
トレーニングボリュームは0~9までの数字で構成されていますがこのモデルにある通り性別や睡眠、栄養、トレーニングレベルなど多くの要因が複雑に絡まってきまるものです
まずは試してみることをおすすめします。今僕がやってるのは上半身で言うと大胸筋と背中は週に3回合計30setやってます。時間とか集中力は有限なのでこの部位を増やしてる代わりに腕のボリュームを減らしています。腕は6~9setです。大胸筋や三角筋前部のコンパウンドトレーニングで上腕三頭筋は刺激されています。これらを含めると紹介した研究に似た40set近いモノになるんですよね。多くの人は腕のトレーニングは30setはやっています。高ボリュームが優位な結果をもたらした研究は大胸筋トレーニングとか背中トレーニングやってないんですよね。大胸筋40setやって上腕三頭筋40setやってるわけじゃないということ。
そして自分を客観的に見てオーバーリーチングの症状が出てないかを測ることです。倦怠感は出てないか関節は痛んでないか、扱う重量は増えているか。この症状が出てるけど沢山やらなきゃという使命感から無視してトレーニングを行ってしまう人が真面目な日本人には多い傾向があると僕は感じます。
それを押し殺すとオーバートレーニング症状が出て元に戻すのにとんでもない時間がかかったりします。
この動画を見てよーしこれから大量にボリュームやるぞって思ってる方、沢山のボリュームをやって大きな効果を得たいなら一番重要なのはトレーニングすることではなく自分の回復力を高めることです。
睡眠をしっかり摂ったり栄養摂取をしっかり意識したり、回復力を高めないと効果的に行えるボリュームが少なくなるのでジムに何時間いても無駄になってしまいます。
そして短時間で大量のセットをこなすためにインターバルを短くしたり間違ったスーパーセットを多用しないでください。それをやったら本末転倒です。あとは当たり前ですけどメイン種目が一番大事なのでボリューム上げたとたんにスクワット上がらなくなったとかならないようにしてください。あとはダンベルカール10setやった次の日に背中のメイン種目があって上腕二頭筋の疲労で懸垂が上がらないみたいなのもNGです。もちろん前日に腕を10setやっても背中のメインが上がってれば問題ありません。
まずは大胸筋や背中、脚を1週間で20set行うことからスタートさせてみてください。特に大腿四頭筋は週に2回とかでやったら相当しんどいと思います。そういう場合は全身トレーニング週に5~6回に切り替えて各筋肉1日で多くのボリュームをやらないようにするのも効果的な作戦です。
何回も言いますけどオーバーリーチングの症状が出たらディロードしたりボリュームを減らしてみたりするのがおすすめです。頻度についての研究でも頻度が少ないほうが筋肥大したというのはあります。有意差はなかったので大きな問題ではありませんが、これについては回復期間だと研究者たちは考えています。
最近まで10setやってた人がいきなり30setとか無理な話です。結局体は適応するので2~3セットずつ徐々に上げていってください。