上腕三頭筋の筋繊維は速筋繊維が多い、速筋繊維は高重量低回数のほうがいいので上腕三頭筋のトレーニングは高重量低回数が良い。これ間違いです。
視聴者の方から筋繊維についての質問をいただきました。ご本人からの許可もいただきましたので質問の内容を乗せます。
質問の内容はトレーニングルーティーンについてです。上腕三頭筋は大胸筋や肩のトレーニングで使用されているため高重量が上がりにくくなります。上腕三頭筋は羽状筋,なので高重量を扱ったほうがいいという情報を聞いたんですが本当ですかという感じですね。
羽状筋,紡錘状筋,速筋繊維は高重量、遅筋繊維は高回数とかよく言われてますよね。科学的な文献を基に筋繊維とその鍛え方について今回は紹介します。
筋繊維とそれに適した鍛え方について大きく間違えている点があります。
それはどこどこの部位は速筋繊維が多いというのと速筋繊維とか羽状筋は高重量で鍛えたほうがいいという点です。運動生理学者のグレッグ博士の記事を見てみましょう。
第一に、科学的には遅筋繊維はタイプ1、速筋繊維はタイプ2と呼ばれます。タイプ2にはAとXがあるんですがまぁ今回は重要ではないので省略します。タイプ1が遅筋でタイプ2が速筋というのは覚えてください。
実は遅筋繊維のタイプ1と速筋繊維のタイプ2はタイプ2のほうが強いようなイメージがありますが、実際には単位面積当たりほとんど同じ量の力を生み出します。ただし、タイプ2はタイプ1よりも25~75%成長する傾向があるためサイズが大きくなりやすく、結果的に速筋繊維のほうが力が強いと考えられています。
タイプ1は持久力トレーニングによりよく反応し、タイプ2は筋力トレーニングでより反応します。なので持久力アスリートはタイプ1が多く、パワーアスリートはタイプ2の割合が多くなっています。
これを見るとわかりますが調査によるとパワーリフターは普通の人よりもタイプ2繊維が多いことがわかります。
そのため、筋肉をつけたい人はタイプ2の速筋繊維を気にします。しかしグレッグ氏によるとほとんどの筋肉はタイプ1の遅筋繊維とタイプ2の速筋繊維がかなり均等に分かれています。
彼によると研究によっては比率が6:4とか3:7などの結果が示されているそうですが大体多数の研究では各筋肉がかなり均等に分かれているそうです。
例外的にふくらはぎのヒラメ筋は80%以上が速筋繊維で構成されている可能性が高いようですが主要な筋肉のほとんどはかなり均等に分割されているそうです。
つまり、パワータイプのアスリートが速筋繊維が多いのは最初は5:5からスタートさせて速筋繊維が発達していって速筋線維の割合が大きくなるというものです。
そして、筋線維の割合には多様性、つまり個人差があります。しかしながらそれを簡単に知ることはできません。例えば1RMから実際に行える回数に基づいて自分の筋肉にある筋繊維の割合について知る方法がありますがこのアプローチには多くの問題があるためかなり精度は悪いです。
そして筋繊維についての一番大きな問題は筋線維によって鍛え分けはできないということです。
高重量が速筋繊維に適しているなどというのは証拠がかなり乏しいようです。
2016年の研究では1rmの30~50%グループと1rmの75~90%でトレーニングした後のタイプ1とタイプ2の成長グラフです。両方の筋線維で変化率はほとんど同じことがわかります。
これについてはこの回数についての動画がほぼ答えになっています。高回数も低回数も筋肥大にはほとんど差がありません。これが筋線維にも同様です。大きくなりやすいタイプ2、速筋繊維が高重量で反応しやすいとしたら高回数よりも低回数のほうが優れているはずです。しかしメタ分析では例外的な回数の範囲はあるにせよ高重量も低重量も基本的には筋肥大効果はあまり変わらないことが示されています。
速筋と遅筋繊維を言いましたが羽状筋や紡錘状筋も同じです。一応理屈的には高重量によく反応したり低重量によく反応します。しかし実際に起こってることは違います。