「最後の4レップが実際に筋肉を成長させる これがチャンピオンか、そうでないかの違いさ」
byアーノルドシュワルツェネッガー
一般的な常識では筋トレでの追い込みは必要不可欠、筋肉は裏切らない。追い込めば追い込むほど成長する。追い込まないと意味が無い、追い込まないと甘え。なんかも言われることがあります。
科学的にはどうでしょうか。ホントに筋トレはトレーニング全部で追い込まないといけないのでしょうか。限界まで追い込むことは正しいのでしょうか。今回はその追い込みの必要性について科学的論文を基に紹介します。
まずは追い込みの前にエフェクティブレップについて科学的な研究を参照します。偉大なるアーノルドシュワルツェネッガーは最初の動画でも話している通り、すべてのレップが筋肥大につながるわけではなく潰れるまでの最後の数レップが実際に筋肥大をもたらすものだと話しています。
これは確かに真実であると考えられます。
例えばこの研究のようにラットプルダウンを10rep行う研究対象者を10rep連続でやるグループと5preやって30秒休んでまた5rep行うグループとで分けました。2つのグループとも重量やボリュームは一緒ですが後者のグループは途中で休憩が入るので最後のレップはそれほどきつくはないでしょう。
結果として2つのグループには3倍以上の差がありました。(12.9と4)
さらに2012年の研究では限界の回数に近づくにつれて多くの筋繊維の動員と全体的な筋肉の活性化がおこるようです。筋トレをスタートさせて最初のほうでは筋繊維はあまり多くの数動員されていません。
回数を重ねていって限界に近づくにつれてどんどんたくさんの筋繊維が動員されるようです。つまり限界に近い、もしくは限界まで行うことは筋肥大にとって有利に働きます。
このエフェクティブレップ、限界に近い回数のほうが効果的という考え方は存在すると考えられます。限界に近い回数はそうでない回数よりも効果があります。しかし、エフェクティブレップではない部分はごみ箱に捨てられるのでしょうか。余裕をもって終わらせることはほとんど筋肥大効果が無くなってしますのでしょうか。
例えばエフェクティブレップが最後から5repまでだとしましょう。10repの種目の場合は最初から5reoまではエフェクティブレップではありません。5repの種目の場合は全てがエフェクティブレップなので最も効率的なのでしょうか。20repの種目ではセットの大部分が意味のない作業となります。
スポーツ生理学者であるDr.mike氏はこう話しています。限界に近い回数(エフェクティブレップ)がそうではない回数(のっとエフェクティブレップ)よりも筋肥大に貢献するのは真実です。しかし、RIR6でも筋肥大が起こるようにそれ以外の回数が全く無駄であるというわけではありません。
彼が話すエフェクティブレップのイメージはこんな感じです。
RIR5と4だと大きな筋肥大効果の差がありますが、RIR0つまり限界回数とRIR1とではほとんどさはありません。
限界まで追い込んだほうが良い | 限界まで追い込んでも変わらない |
2005 Kazushige Goto | 2018 Eric R Helms |
2017 Saulo Martorelli | 2016 J A Sampson |
2017 F Pareja-Blanco | |
限界まで追い込むグループと限界まで追い込まないグループの2つに分けて筋肉の反応を見た7つの研究を参照してみましょう。
この7つの研究は2つのグループに分けることができます。ひとつ目は限界まで追い込んだグループのほうが優れていた。ふたつ目は限界まで追い込んでも変わらなかったグループです。2014年の研究はシングルセットで非常に低いボリュームであったため皆さんの筋トレとはかなり異なるので現実的ではないと考え除外します。そして2018年のこの研究も限界まで追い込まないグループのトレーニングが限界値にかなり近いものであったためお互いのグループの差がほとんどなかったため差が出ないのは当然と考えられるので除外します。
除外した後の研究を観察するとここである程度の答えが出ます。限界まで追い込んだ方が効果的だった研究の対象者は全員筋トレ未経験者であり、どちらも変わらなかったグループは1年以上の筋トレ歴がありました。
これを踏まえてスポーツ科学者で運動生理学者でもあるグレッグ博士の記事を見てみましょう。グレッグ博士は限界までの追い込みについてこのように話しています。
「筋トレ経験のあるリフターは最初ほうのレップから多くの筋繊維を動員できます。さらに未経験者とは扱う重量が違うため限界までの追い込みにより受ける疲労も異なる。そのため筋肥大を最大化させるためには筋トレ経験者は未経験者よりも限界に近づく必要はないと考えます。」
筋トレ経験者にとって限界まで行うことはリスクが伴います。複数の研究(ソース,ソース)によると限界まで行うトレーニングは過度の筋肉の損傷を起こし、回復時間を大幅に延長させます。これが長期的に続くとオーバーワークの状態になる可能性が示されています
2019年の細菌の研究では限界まで行うことでパフォーマンスの低下が示されています。限界まで行うグループは2セット目以降に大きな回数の低下が起こりました。
そのため、1セットのみを考えた場合は限界まで追い込んだほうが回数が多いのでボリュームが多いと考えられますが、2セット目やそれ以降のボリュームを考えた場合は限界まで追い込んだほうがボリュームを確保できるとは言えません
さらに同年の2019年の研究では次のように報告されています。
ラストのセットだけ限界まで追い込むグループと全てのセットでRPE4~8とかなり余裕をもって追い込まないグループは、両方実験前と比べて筋肥大しましたが余裕をもって終わらせたグループのほうが効果的でした。
これについては研究者たちは限界まで追い込むことによる疲労と回復の欠如だと示しています。
この動画に出ている論文が発表された年を見るとわかりますがほとんどが2000年代であり非常に最近の研究です。筋トレはまだまだ発展途上の文化なのでどんどん新しく常識が出てきます。
限界まで追い込んだり、週に1回1部位を1日で大量のボリュームを行うBro-splitだったり昔当たり前だと思われてきたことがどんどん変わりつつあります。なので新しいものを受け入れ、自分のやってきた筋トレメニューを変えることも重要だと考えます
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